病院広報(はとはあと)評価支援情報

「はとはあと」は、市民の暮らしに必要な、誠実で適切な医療情報を評価し、支援することで参加施設の透明性と“信頼を高めます。

自前主義を超えて、外部のチカラを活用する

2012-06-29 17:16:34 | はとはあと最新情報

 第158回企画広報塾受講のみなさん、お疲れ様でした。今回はデザイン理論に触れ新鮮に受け取っていただいたようでよかったです。人によって広報が宣伝のように理解されるのと同じように、デザインは表層を飾る色柄、ソエモノという認識が一般にあります。これらは、とりもなおさずデザイナー業界の怠慢、説明不足の結果だといえます。

 しかし、講座の中でも申し上げたように、デザインは医療と同様に、人間の心身に関わり働きかけることを目的に行います。当然、医療施設においては、人にストレスを与えないデザインの構築が必要です。1枚の貼り紙を見てもらいたいなら、作り手の好みではなく、相手への科学的配慮が必要ということ、それがヘルスケアデザインとい概念です。手法ではなく、あくまでも考え方、実現への姿勢が重視されます。

 とくに欧米では、アートは尊敬に値する概念であり、デザイナーは真剣です。ギャランティと同じくらい「使われ方」を重要視してきます。著作権ということもそうですが、自分たちの魂、あるいは分身くらいに思っているのではないでしょうか。それは自分が導きだした価値観、オリジナリティであり、思考そのものであるからです。その点、日本人は、昔から長屋の熊さんでも、盆栽をいじったり俳句をたしなんだりと、一億総芸術家の文化があり、誰もが当たり前のようにしている、誰もができる範囲がデザインになっています。

 外部の活用という話をしましたが、誤解のないよう申しそえます。デザイナーといっても、千差万別の感があり、デザイナーなら何でもこなせるということはありませんし、その志向も考え方もいろいろです。ですから、どのように連携をとるかが問題になります。自分一人が楽しむためのデザインなら何ら問題はありませんが、組織という目的と役割分担のルールを念頭におく場合は、そういった背景を知った上で、自分でできることと、できないこと、自分でした方がいいことと、よくないこと、プロに委ねた方がいいことと、よくないこと、を的確に判断しマネジメントしなければなりません。つまりテーマやコンセプト、戦略や目的によってこれらの能力を使い分けることが、多分、魅力的な情報を生み出し、費用対効果を高めるように思います。

 プロの制作の現場では、文案がらみはコピーライター、写真はフォトグラファーまたはカメラマン、その間を走り回るのがデザイナーというディレクターまたはマネージャーが、さらにそれぞれのスタッフ、専門職を動員して作りあげています。一枚の印刷物といっても、伝達性の高いデザインの追求は生易しいものではありません。

 そこで医療施設の広報にとって大切なことは、外部の技術ノウハウに学ぶという姿勢です。ヌスムといった方がわかりやすいかもしれません。とにかく接触し協働しないとわからないチカラです。それによって情報の質を上げていこうとする文化がないと、組織の発展も望めないのではないかと思います。プロの現場でも、いつも他流試合のような感覚を忘れたチームに発展はありません。やり方に法則などありません。必要なことは、広報の「あなた」の、その前向きな構えなのです。

 日本HIS研究センター・企画広報塾 振り返りシートへのコメントより


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