中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

こころのケアマニュアル

2021年12月18日 | 情報

すでに入手済みかもしれませんが、もっとも参考になるマニュアルです。参考にしてください。

職場における災害時のこころのケアマニュアル (最新版 2021.8.6)

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/oshirase/pdf/R3kokoro_no_kea.pdf

発行者:独立行政法人労働者健康福祉機構

独立行政法人労働者健康安全機構(旧:労働者健康福祉機構)では、凄惨な災害や事件に遭遇し、強いストレスを受けた労働者及び家族の心のケアの参考に供するため、専門家の協力を得て、「職場における災害時のこころのケアマニュアル」を作成しています。(平成17年6月改訂)

このマニュアルは、心身に強いストレスを受けた労働者等の所属する企業の産業医、保健師等の専門職や、事業主、衛生管理者、労務担当者、同僚労働者等が、このような労働者や家族等にどのように接するべきか、企業においてどのような対応をとるべきか等について、一般的な指針を示しています。

なお、全国の産業保健総合支援センター(旧:産業保健推進センター)では、こころのケアに関する企業や産業保健関係者等からの電話等による相談に無料で対応しています。

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「産業医」の存在(続編)

2021年12月17日 | 情報

産業医を契約するには、まず産業医を探さなければなりません。以下、主な方法です。

1.健康診断を実施している機関に、産業医の資格を持つ医師がいないか確認し、契約。
2.地域の医師会に相談し、産業医を紹介してもらい、契約。
3.社長に紹介してもらう。 会社が参画している団体や商工会議所等で、
  知り合いになった経営者に産業医を紹介してもらい、契約。
4.医師の紹介会社に相談し、産業医を紹介してもらい、契約。
  ただし、紹介会社(ネットで検索できます)に依頼する場合は、有料になります。
  紹介料は、契約した産業医の報酬月額の2か月分が標準です。
  紹介会社は、契約手続きやその後サポート、不満があれば交代を依頼できる等の
  メリットがあります。

つぎに、産業医報酬です。
結論は、協定料金はありませんので、個別の交渉で決まります。
具体的には、50人以上の事業場は、産業医の選任が義務ですから、相応の報酬が必要ですが、
50人未満の事業場の場合は努力義務ですから、安衛則第14条に規定されたすべての職務を
依頼する必要はありません。
従って、必要とする職務、例えば、健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を
図るための措置に関すること(安衛則第14条の7)のみにすることもできますし、
ストレスチェックの実施結果の精査と、要面接者との面接・指導(小職の過去のブログを参照)と
いうように限定することも可能ですので、安価に収めることも可能です。

参考までに、少々古くなりますが、最も報酬額が高い東京地区での情報です。
公益社団法人日本橋医師会 産業医報酬基準額の調査結果

https://www.nihonbashi-med.com/topics/topic_file32_1460600097.pdf

 

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「産業医」の存在(従業員50人未満の企業)

2021年12月16日 | 情報

最近の当ブログで、労働衛生やストレスチェックの種々の問題点を紹介してきました。
いろいろと検討してみると、やはり、最終的に行きつくところは「産業医」の存在です。

従業員50人以上の事業場では、義務となっている産業医ですが、
当該事業場では、義務感ばかりで、その存在価値を理解していないのではないでしょうか。
それはともかくも、従業員50人未満の企業や、大規模企業の50人未満の事業場において、
産業医が不在による損失は、計り知れないものがあることを理解しましょう。

さて、50人以上の事業場・企業は、産業医の選任義務がありますが、
労働者50人未満の事業場では、安衛法第13条の2の規程により、
産業医の要件を備えた医師等に労働者の健康管理を行わせることが努力義務となっています。

『基発第566号 平成8年9月13日
2 産業医の選任義務のない事業場の労働者の健康管理等(第13条の2関係)
(1) 本条は、すべての事業場において労働者の健康の確保が図られるためには、
産業医の選任義務のない事業場においても産業保健サービスが提供される必要があることから、
事業者は、これらの事業場については、当該事業場の状況に応じ、
必要な場合に、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師
その他労働省令で定める者に、労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるよう
努めなければならないものとしたものであること。

(2) 「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師」には、
第13条第2項の労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について
労働省令で定める要件を備える者のほか、産業医学振興財団が都道府県医師会に
委託して実施している産業医基本研修の修了者、産業医として選任された経験を
有する者等が含まれるものであること。』

従って、現実的には、もし、産業医の見解や指導が必要になった場合は、
おおむね監督署管轄区域に設置されている、地域産業保健センター(地さんぽ)を
頼ることになります。当ブログでも、再三紹介してきました。

しかし、これには大きな問題点があります。地域産保には、産業医(医師)が
常駐しているわけではないのです。
ですから、地域産保に連絡しても、すぐに産業医を紹介してもらえるわけではありません。
例えば、二次予防対策は「待ったなし」ですから、これでは役に立たないのですね。

また、安衛法では、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により
疲労の蓄積した労働者に対して労働者の申出により、
事業者は医師による面接指導を実施することが義務づけられています。

面接指導は、労働者数50人以上の事業場については平成18年4月1日より義務づけられていますが、
労働者数50人未満の小規模事業場においても、平成20年4月1日より適用されています。
ですから、地域産業保健センターを活用して、面接指導又は面接指導に準ずる必要な措置を
講じなければなりません。

以上のことより、労働者50人未満の事業場でも産業医の選任・委嘱は、
従業員に長時間労働を課している以上、マストの要件になるはずです。

さて、以下に「小規模事業場産業医活動助成金」を紹介します。活用してください。

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpojoseikin/R3/shokibo_sangyoui/seIP_josei_tebiki_R3.pdf

令和 3 年度版「小規模事業場産業医活動助成金」【産業医コース】の手引

小規模事業場が、産業医の要件を備えた医師と職場巡視、健康診断異常所見者に関する意見聴取、
保健指導等、産業医活動の全部又は一部を実施する契約を締結し、
実際に産業医活動が行われた場合に、費用の助成を受けることができる制度です。

従業員の健康管理等のために、是非ご活用ください。
この助成金は、厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として行われています。

用語の説明
■事業場
昭和 47 年 9 月 18 日付け発基第 91 号通達「労働安全衛生法の施行について」の
第2の3事業場の範囲で規定する事業場の適用範囲をいう。
■産業医
労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)第 13 条第2項の要件を備えた医師をいう。
■小規模事業場
常時 50 人未満の労働者を使用する事業場をいう。(「常時 50 人未満の労働者」とは、
届出時の人数とする。)
■事業者
労働安全衛生法第2条第1項第3号に規定されている
「事業を行う者で、労働者を使用するもの」をいう

4 助成対象
「産業医活動に係る契約」に基づく実施額

5 助成金額
6 か月以上の継続的な産業医活動契約に基づき実施した産業医活動の費用に対して、
6 か月当たり 100,000 円を上限に支給します。
ただし、1 事業場当たり将来にわたり2回限り助成されます。

6 取組の実施期間
令和2年 11 月~令和4年 3 月

※ 継続する 6 か月の産業医活動実施期間(助成金の支給対象となる6か月間)の初月が
令和2年 11 月以降、最終月が令和4年 3 月以前である必要があります。

 

 

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冬季における年次有給休暇の取得促進

2021年12月15日 | 情報

遅くなりましたが、厚労省 雇用環境・均等局職業生活両立課長より、
各職域団体等に発出された通達です。
以下、各サイトより確認してください。

雇均職発1112第2号 令和3.11.12

・冬季における年次有給休暇の取得促進について

http://www.hospital.or.jp/pdf/20_20211112_01.pdf

・年次有給休暇取得促進特設サイト

https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/

https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/jigyousya.html

・働き方・休み方改善ポータルサイト

https://work-holiday.mhlw.go.jp/

・働き方・休み方改善ポータルサイト(リーフレット)

https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category1/210122_1.pdf

・働き方・休み方改革取組事例集(令和2年度)

https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category1/210326_1.pdf

 

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健康情報の取り扱い方

2021年12月14日 | 情報

健康情報の取り扱い方で、トラブルが多いようです。
「健康情報の取扱規程」って、なに?という質問もあります。

1.前提;
健康情報は、個人情報の中でも 特に機微(センシティブ)な情報とされています。
個人情報は、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)で、多くの規制がかけられています。
しかし、個人情報のなかでも、健康情報は、個人情報の中でも 特に機微(センシティブ)な情報と
されていますので、安衛法に心身の状態に関する情報の取扱いについての規程が追加されました。

2.「健康情報の取扱規程」
法令では、よくわからないので、「労働者の心身の状態の情報の適正な取扱いのために
事業者が講ずべき措置に関する指針」(2019.3.28)が公表され、
すべての企業は(安衛法では珍しく、企業単位です)「健康情報の取扱規程」を
定めなければならないとされました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01170.html

参考に、中災防 安全衛生情報センターの情報です。

https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-20/hor1-20-19-1-0.htm

なお、厚労省は、「本指針は、心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、
事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定めたものである。」と
しています。

3.「事業場における労働者の健康情報の取扱い規程を策定するための手引き」
それでも、「健康情報の取扱規程」を、どのように策定しなければ、
これもよくわからないということで、手引きが公表されたのです。

https://www.mhlw.go.jp/content/000497966.pdf

4.策定にあたって
参考に、と云うよりも、手引きをほぼ丸写しでOKです。
策定は義務ですが、当規程を規定しないことによる罰則は、ありません。

5.情報の取り扱いポイント
①情報の収集は最小限で本人の同意を
②情報は集約・整理を
③情報の漏洩防止策を
④情報の取り扱いルールを策定し周知を
⑤情報の第3者提供は本人の同意を
⑥収集した情報を労働者の不利益になるように取り扱わないよう 等
註:各種指針等にも情報の取り扱いに関する規程があるので留意

6.社内でのトラブル対応

① 健康情報は、50人未満の企業では、人事労務の責任者に集約してください。
② 少し規模の大きい企業における多くのトラブルは、
人事労務部門と産業保健スタッフの対立が原因です。
この場合には、当事者間でよく話しあって解決の糸口を探してください。

話し合いのポイント
・情報を使用する目的はなにか?
・情報の提供先はどこかを明らかにする
・提供先を絞り込み、提供先に情報の秘匿を確約させる
・情報提供の取り扱い責任者を決める

(参考)職場と健康情報 産業医学振興財団
健康情報の取扱い
・健康情報は「要配慮個人情報」
・セキュリティーを確保ー鍵のかかるキャビネット、電子媒体はID、PWを設定
・健康情報を取扱う人を限定ー衛生管理者、衛生推進者等に、守秘義務を課す
・病名や検査結果等の生データは医療職に取扱わせる
・事業場のルールを決めるー健康情報取扱規程の策定、教育の実施(労働者・管理監督者対象
・法定健診項目以外の情報は本人からの提出か、同意を得て適切に活用する

https://www.so-net.ne.jp/webmail/index.php/mail

(参照)働き方改革関連法解説(労働安全衛生法 産業医産業保健機能の強化関係)厚労省

https://www.mhlw.go.jp/content/000497962.pdf

当ブログの再掲
・事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き
2019年04月09日

・(第6編)こころの健康確保対策 個人情報保護
2020年10月23日

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