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2024年5月に見たい展覧会【犬派?猫派?/吉田初三郎/TRIO】

4月は諸事情により一ヶ月ほどブログの更新を休ませていただきました。いかがお過ごしでしょうか。



GWも後半に入って遠出をされている方も多いかもしれません。東京から日帰り圏内で楽しめる5つの美術館についてFIGARO.jpにまとめました。お出かけの参考にしてくださると嬉しいです。

「ゴールデンウィークは、アートに触れる休日を。」madameFIGARO_jp


それでは5月に気になる展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『ライトアップ木島櫻谷—四季連作大屏風と沁みる「生写し」』 泉屋博古館東京(3/16~5/12)
・『没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる』 東京都写真美術館(3/16~5/12)
・『歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能』 すみだ北斎美術館(3/19~5/26)
・『月岡芳年 月百姿』 太田記念美術館(4/3~5/26)
・『古染付と中国工芸』 日本民藝館(3/30~6/2)
・『遠距離現在 Universal / Remote』 国立新美術館(3/6~6/3)
・『第8回横浜トリエンナーレ 野草:いま、ここで⽣きてる』 ヨコハマトリエンナーレ(3/15~6/9)
・『フランシス真悟 Exploring Color and Space─色と空間を冒険する』 茅ヶ崎市美術館(3/30~6/9)
・『青山悟 刺繍少年フォーエバー』 目黒区美術館(4/20~6/9)
・『サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品』 サントリー美術館(4/17~6/16)
・『茶の湯の美学 —利休・織部・遠州の茶道具』 三井記念美術館(4/18~6/16)
・『歸空庵コレクションによる 洋風画という風 ―近世絵画に根づいたエキゾチズム』 板橋区立美術館(5/3~6/16)
・『驚異の細密表現展—江戸・明治の工芸から現代アートまで』 横須賀美術館(4/20~6/23)
・『どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより』 東京ステーションギャラリー(4/27~6/23)
・『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』 DIC川村記念美術館(3/9~6/30)
・『マツオヒロミ展 レトロモダンファンタジア』 弥生美術館(4/6~6/30)
・『吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる』 神奈川県立近代美術館 葉山館(4/20~6/30)
・『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』 世田谷美術館(4/24~6/30)
・『ブランクーシ 本質を象る』 アーティゾン美術館(3/30~7/7)
・『翻訳できない わたしの言葉』 東京都現代美術館(4/18~7/7)
・『石岡瑛子 I デザイン』 茨城県近代美術館(4/27~7/7)
・『犬派?猫派? —俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで—』 山種美術館(5/12~7/7)
・『Beautiful Japan 吉田初三郎の世界』 府中市美術館(5/18~7/7)
・『三島喜美代—未来への記憶』 練馬区立美術館(5/19~7/7)
・『いざなぎ流のかみ・かたち —祈りを込めたヒトガタたち—』 横浜人形の家(4/20~7/21)
・『未来のかけら: 科学とデザインの実験室』 21_21 DESIGN SIGHT(3/29~8/12)
・『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』 東京国立近代美術館(5/21~8/25)
・『デ・キリコ展』 東京都美術館(4/27~8/29)
・『生誕120周年 サルバドール・ダリー天才の秘密ー』 諸橋近代美術館(4/20~9/1)
・『シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝』 森美術館(4/24~9/1)
・『伊藤潤二展 誘惑』 世田谷文学館(4/27~9/1)
・『カルダー:そよぐ、感じる、日本』 麻布台ヒルズギャラリー(5/30~9/6)

ギャラリー

・『アピチャッポン・ウィーラセタクン「Solarium」』 SCAI THE BATHHOUSE(3/16~5/25)
・『第17回 shiseido art egg  岩崎宏俊展』 資生堂ギャラリー(4/23~5/26)
・『久保寛子展「鉄骨のゴッデス」』 ポーラ ミュージアム アネックス(4/26~6/9)
・『Human Baltic われら バルトに生きて』 スパイラルガーデン(5/27〜6/9)
・『開発の再開発 vol. 5 奥村雄樹』 gallery αM(4/13~6/15)
・『GOMA ひかりの世界』 GYRE GALLERY(5/4~6/29)
・『フェイイ ウェン|パン カー 二人展』 シャネルネクサスホール(5/22~7/15)
・『MARK LECKEY』 エスパス ルイ・ヴィトン 東京(2/22~8/18)

まずは山種美術館です。『犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―』が開かれます。



『犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―』@山種美術館(5/12~7/7)

これは江戸時代から現代までの犬と猫を描いた作品に着目するもので、俵屋宗達、伊藤若冲、円山応挙、長沢芦雪、歌川国芳といった絵師から、明治以降の竹内栖鳳、川端龍子、藤田嗣治、速水御舟、さらには山口晃などの作品が公開されます。


いずれも初公開となる『洋犬・遊女図屛風』や菱田春草『柏ニ小鳥』などの作品にも注目が集まりそうです。

続いては大正から昭和にかけて名所案内を多く描いた画家の展覧会です。府中市美術館にて『Beautiful Japan 吉田初三郎の世界』が行われます。



『Beautiful Japan の世界』@府中市美術館(5/18~7/7)

京都に生まれ、関西美術院で学んだ吉田初三郎は、鉄道沿線の名所案内などの商業美術家としての地位を獲得すると、ポスターなどのグラフィックや絵画作品などを制作しました。


展示では10点以上の大型肉筆鳥瞰図をはじめ、ポスターや絵葉書、さらには絵画作品などが公開されます。現実の景観を重ね合わせた上で生み出される、現実には存在しない風景を描いたという吉田の画業を知るまたとない機会となりそうです。

日仏を代表する3都市の美術館のコレクションが集結します。東京国立近代美術館にて『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』が開かれます。



『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』@東京国立近代美術館(5/21~8/25)

これはパリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館の3館のコレクションより、20世紀初頭から現代までのモダンアートを紹介するもので、絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像など150点の作品が公開されます。


「モデルたちのパワー」や「空想の庭」、「現実と非現実のあわい」など、3館の作品にて34のトリオを組むというユニークな構成にも期待ができそうです。

4月は関東以外へ出向く機会が多く、逆に東京近辺の美術館にあまり行くことができませんでした。今月は見落としていた展覧会を中心に追っていくつもりです。

しばらく不定期での更新となります。それではどうぞよろしくお願いします。
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2024年4月に見たい展覧会【板倉鼎・須美子/青山悟/ダリ】

今年は関東でも桜の開花がずれ込み、久しぶりに4月に入ってから見頃を迎えました。



4月は主に中旬から下旬にかけて多くの展覧会がスタートします。気になる展覧会をピップアップしてみました。

展覧会

・『生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真』 東京ステーションギャラリー(2/23~4/14)
・『生誕150年 池上秀畝—高精細画人—』 練馬区立美術館(3/16~4/21)
・『須藤玲子:NUNOの布づくり』 水戸芸術館(2/17~5/6)
・『花・flower・華 2024 —奥村土牛の桜・福田平八郎の牡丹・梅原龍三郎のばら』 山種美術館(3/9~5/6)
・『没後50年 福田平八郎』 大阪中之島美術館(3/9~5/6)
・『旧朝香宮邸を読み解く A to Z』 東京都庭園美術館(2/17~5/12)
・『ライトアップ木島櫻谷—四季連作大屏風と沁みる「生写し」』 泉屋博古館東京(3/16~5/12)
・『没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる』 東京都写真美術館(3/16〜5/12)
・『国宝・燕子花図屏風 デザインの日本美術』 根津美術館(4/13~5/12)
・『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024』 京都市内各所(4/13〜5/12)
・『大吉原展』 東京藝術大学大学美術館(3/26~5/19)
・『HELLO! コレクション ZOZO×千葉県立美術館』 千葉県立美術館(4/6~5/19)
・『出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅠ 復刻 開館記念展—仙厓・古唐津・中国陶磁・オリエント』 出光美術館(4/23~5/19)
・『歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能』 すみだ北斎美術館(3/19~5/26)
・『没後100年 富岡鉄斎』 京都国立近代美術館(4/2~5/26)
・『月岡芳年 月百姿』 太田記念美術館(4/3~5/26)
・『雪舟伝説 —「画聖(カリスマ)」の誕生』 京都国立博物館(4/13~5/26)
・『古染付と中国工芸』 日本民藝館(3/30~6/2)
・『遠距離現在 Universal / Remote』 国立新美術館(3/6~6/3)
・『第8回横浜トリエンナーレ 野草:いま、ここで⽣きてる』 ヨコハマトリエンナーレ(3/15~6/9)
・『フランシス真悟 Exploring Color and Space─色と空間を冒険する』 茅ヶ崎市美術館(3/30~6/9)
・『テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本』 パナソニック汐留美術館(4/6~6/9)
・『画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎 —「地獄極楽めぐり図」からリアル武四郎涅槃図まで』 静嘉堂文庫美術館(4/13~6/9)
・『空海 KŪKAI —密教のルーツとマンダラ世界』 奈良国立博物館(4/13~6/9)
・『青山悟 刺繍少年フォーエバー』目黒区美術館(4/20〜6/9)
・『板倉鼎・須美子展』 千葉市美術館(4/6~6/16)
・『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』 東京オペラシティ アートギャラリー(4/11~6/16)
・『サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品』 サントリー美術館(4/17~6/16)
・『茶の湯の美学 —利休・織部・遠州の茶道具』 三井記念美術館(4/18~6/16)
・『驚異の細密表現展—江戸・明治の工芸から現代アートまで』 横須賀美術館(4/20~6/23)
・『どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより』 東京ステーションギャラリー(4/27~6/23)
・『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』 DIC川村記念美術館(3/9~6/30)
・『マツオヒロミ展 レトロモダンファンタジア』 弥生美術館(4/6~6/30)
・『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』 世田谷美術館(4/24~6/30)
・『ブランクーシ 本質を象る』 アーティゾン美術館(3/30~7/7)
・『ホー・ツーニェン エージェントのA』 東京都現代美術館(4/6~7/7)
・『翻訳できない わたしの言葉』 東京都現代美術館(4/18~7/7)
・『ふたり 矢部太郎展』 PLAY! MUSEUM(4/24~7/7)
・『未来のかけら: 科学とデザインの実験室』 21_21 DESIGN SIGHT(3/29~8/12)
・『デ・キリコ展』 東京都美術館(4/27~8/29)
・『生誕120周年 サルバドール・ダリー天才の秘密ー』 諸橋近代美術館(4/20~9/1)
・『シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝』 森美術館(4/24~9/1)
・『伊藤潤二展 誘惑』 世田谷文学館(4/27~9/1)

ギャラリー

・『ピート・アウドルフのナチュラリスティックガーデン —いのちがめぐる庭』 ギャラリー エー クワッド(4/19~7/11)
・『大木裕之 アブストラクト権化』 ANOMALY(3/16~4/13)
・『第17回 shiseido art egg  野村在展』 資生堂ギャラリー(3/12~4/14)
・『高木由利子 写真展 カオスコスモス 弐 - 桜 -』 GYRE GALLERY(3/1~4/29)
・『TDC 2024 (TOKYO TYPE DIRECTORS CLUB EXHIBITION 2024)』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(4/1~5/15)
・『アピチャッポン・ウィーラセタクン「Solarium」』 SCAI THE BATHHOUSE(3/16~5/25)
・『第17回 shiseido art egg  岩崎宏俊展』 資生堂ギャラリー(4/23~5/26)
・『久保寛子展「鉄骨のゴッデス」』 ポーラ ミュージアム アネックス(4/26〜6/9)
・『開発の再開発 vol. 5 奥村雄樹』 gallery αM(4/13~6/15)
・『MARK LECKEY』 エスパス ルイ・ヴィトン 東京(2/22~8/18)

まずは1920年代のパリで才能を見出されものの、早世した画家夫妻を紹介する展覧会です。千葉市美術館にて『板倉鼎・須美子展』が開かれます。



『板倉鼎・須美子展』@千葉市美術館(4/6~6/16)

1901年に生まれた板倉鼎は、東京美術学校西洋画科に進んだのち、ロシア文学者である昇曙夢の長女須美子と結婚すると、ハワイを経由してパリへと留学しました。そこで夫妻とも油彩画を手がけると、サロン・ドートンヌに入選するなどして評価を得るものの、鼎はわずか28歳という若さにて客死し、さらに須美子もふたりの娘とともに亡くなってしまいました。


この板倉鼎・須美子の画業を顕彰するのが今回の展覧会で、須美子の代表作ともいえる「ベル・ホノルル」シリーズなど、実に約240点もの作品にてパリに生きた洋画家夫妻の軌跡をたどります。

続いては現代美術作家、青山悟の個展です。目黒区美術館にて『青山悟 刺繍少年フォーエバー』が行われます。



『青山悟 刺繍少年フォーエバー』@目黒区美術館(4/20〜6/9)

主に工業用ミシンを用いて作品を制作する青山は、これまで国内外の美術館での展覧会などに参加すると、人間や労働のあり方などを批評的に問いながら、刺繍の枠を超えた作品を発表してきました。

その青山の美術館での初個展が『青山悟 刺繍少年フォーエバー』で、出身地でいまも在住する目黒区内の出身校を描写した初期の作品から新作までが公開されます。

最後は日本で随一のダリ・コレクションを有する美術館からスタートするダリの展覧会です。諸橋近代美術館にて『生誕120周年 サルバドール・ダリー天才の秘密ー』が開かれます。



『生誕120周年 サルバドール・ダリー天才の秘密ー』@諸橋近代美術館(4/20~9/1)


これは1「ダリのペルソナの形成」、2「パリのシュルレアリストとダリ」、3「進化する芸術家 ダリ」の3章構成にて、ダリの生涯を初期から時間を追って紹介するもので、昨年のクラウドファンティングによって修復された『キャバレーの情景』といった2作品も公開(予定)されます。


*諸橋近代美術館(2021年11月に撮影)

また開館25周年を記念する本展は、同館史上初めて開催後に秋田、大分、神奈川、広島などの全国の美術館を巡回します。中世の馬小屋というイメージした美術館の建物をはじめ、磐梯高原の美しいロケーションを誇る同館ならではのダリ展となるかもしれません。

ブログはしばらく不定期での更新となります。それでは今月もよろしくお願いします。
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2024年3月に見たい展覧会【福田平八郎/木村伊兵衛/内房総アートフェス】

今年の冬の関東は暖かい日が多く、私の地元でも河津桜が例年よりも早く見頃を迎えました。



3月は春のシーズンに向けて多くの展覧会がスタートする時期です。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『魅惑の朝鮮陶磁/謎解き奥高麗茶碗』 根津美術館(2/10~3/26)
・『VOCA展2024 現代美術の展望—新しい平面の作家たち—』 上野の森美術館(3/14~3/30)
・『中平卓馬 火—氾濫』 東京国立近代美術館(2/6~4/7)
・『美術家たちの沿線物語 小田急線篇』 世田谷美術館(2/17~4/7)
・『生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真』 東京ステーションギャラリー(2/23~4/14)
・『第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)』 川崎市岡本太郎美術館(2/17~4/14)
・『「シュルレアリスム宣言」100年 シュルレアリスムと日本』 板橋区立美術館(3/2~4/14)
・『生誕150年 池上秀畝—高精細画人—』 練馬区立美術館(3/16~4/21)
・『須藤玲子:NUNOの布づくり』 水戸芸術館(2/17~5/6)
・『花・flower・華 2024 —奥村土牛の桜・福田平八郎の牡丹・梅原龍三郎のばら』 山種美術館(3/9~5/6)
・『春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術』 府中市美術館(3/9~5/6)
・『没後50年 福田平八郎』 大阪中之島美術館(3/9~5/6)
・『旧朝香宮邸を読み解く A to Z』 東京都庭園美術館(2/17~5/12)
・『イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い』 宇都宮美術館(3/10~5/12)
・『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?—国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ』 国立西洋美術館(3/12~5/12)
・『没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる』 東京都写真美術館(3/16~5/12)
・『ライトアップ木島櫻谷—四季連作大屏風と沁みる「生写し」』 泉屋博古館東京(3/16~5/12)
・『歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能』 すみだ北斎美術館(3/19~5/26)
・『内房総アートフェス』 内房総5市(3/23~5/26)
・『MUCA展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~』 森アーツセンターギャラリー(3/15~6/2)
・『遠距離現在 Universal / Remote』 国立新美術館(3/6~6/3)
・『モダン・タイムス・イン・パリ 1925 —機械時代のアートとデザイン』 ポーラ美術館(12/16~2024/5/19)
・『記憶:リメンブランス —現代写真・映像の表現から』 東京都写真美術館(3/1~6/9)
・『第8回横浜トリエンナーレ 野草:いま、ここで⽣きてる』 ヨコハマトリエンナーレ(3/15~6/9)
・『北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画』 SOMPO美術館(3/23~6/9)
・『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』 DIC川村記念美術館(3/9~6/30)
・『ブランクーシ 本質を象る』 アーティゾン美術館(3/30〜7/7)

ギャラリー

・『大木裕之 アブストラクト権化』 ANOMALY(3/16〜4/13)
・『千賀健史個展「まず、自分でやってみる。」』 BUG(3/6~4/14)
・『ポーラ ミュージアム アネックス展 2024 ―表彰と趣意 ―』 ポーラ ミュージアム アネックス(3/15~4/14)
・『第17回 shiseido art egg  野村在展』 資生堂ギャラリー(3/12~4/14)
・『高木由利子 写真展 カオスコスモス 弐 - 桜 -』 GYRE GALLERY(3/1~4/29)
・『アピチャッポン・ウィーラセタクン「Solarium」』 SCAI THE BATHHOUSE(3/16~5/25)
・『MARK LECKEY』 エスパス ルイ・ヴィトン 東京(2/22~8/18)

まずは関西では17年ぶりとなる日本画家の展覧会です。大阪中之島美術館にて『没後50年 福田平八郎』が開かれます。



『没後50年 福田平八郎』@大阪中之島美術館(3/9~5/6)

ここでは『漣』(大阪中之島美術館蔵) や『竹』(京都国立近代美術館蔵) 、『雨』(東京国立近代美術館蔵) といった代表作をはじめ、初期から晩年までの作品約120件以上を展示し、平八郎の画業を紹介します。


また福田平八郎の関係者宅に長年保管されていた作品で、これまで存在を知られていなかった『水』が初めて一般に公開されます。

続いては今年没後50年を迎えた写真家、木村伊兵衛の展覧会です。『没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる』が東京都写真美術館にて行われます。



『没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる』@東京都写真美術館(3/16~5/12)

1901年に東京にて生まれた木村伊兵衛は、文芸諸家のポートレートや東京の街角のスナップショットなどで評価を得ると、広告写真や舞台写真、また秋田の農村をテーマとした作品などを手がけ、日本の写真史に大きな足跡を残しました。


今回の回顧展では一連の写真作品に加え、最近発見された生前最後の個展「中国の旅」(1972-1973)の展示プリントも特別に公開されます。写真ファンにとっても見逃せない内容となりそうです。

最後はこの春、千葉県の内房総地域を舞台に開かれる芸術祭です。『百年後芸術祭-内房総アートフェス-』が開催されます。



『百年後芸術祭-内房総アートフェス-』@内房総5市(3/23〜5/26)

これは総合プロデューサーに小林武史、アートディレクターに北川フラムを迎え、アート、クリエイティブ、テクノロジーの力を融合した、100年後の未来を創っていくための芸術祭と行われるもので、市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の5市を会場にさまざまな作品展示のほか、ライブイベントなどが実施されます。


同地域では過去、市原市において「いちはらアート×ミックス」が開かれてきましたが、さらにエリアを広げて幅広いアートが展開する、新たな広域芸術祭として注目を集めるのではないでしょうか。

一部内容が重なりますが、イロハニアートにも今月のおすすめ展覧会を寄稿しました。

【3月のおすすめ展覧会5選】福田平八郎からカール・アンドレ、そして北欧の絵画まで。 | イロハニアート

それではどうぞよろしくお願いいたします。
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2024年2月に見たい展覧会【池大雅/アブソリュート・チェアーズ/マティス 自由なフォルム】

関東では比較的暖かい年明けとなりましたが、1月の後半からは冬らしい寒空の日が続いています。



2月は意外にも数多くの展覧会が開幕する時期です。今月に注目したい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『恵比寿映像祭2024 月へ行く30の方法』 東京都写真美術館(2/2~2/18)
・『うるしとともに —くらしのなかの漆芸美』 泉屋博古館東京(1/20~2/25)
・『Seed 山種美術館 日本画アワード 2024 —未来をになう日本画新世代—』 山種美術館(2/17~3/3)
・『豊嶋康子 発生法—天地左右の裏表』 東京都現代美術館(12/9~2024/3/10)
・『もじ イメージ Graphic 展』 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(11/23~2024/3/10)
・『FACE展2024』 SOMPO美術館(2/17~3/10)
・『ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家』 東京オペラシティ アートギャラリー(1/17~3/24)
・『アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウイリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで』 千葉県立美術館(1/30~3/24)
・『四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎』サントリー美術館(1/31~3/24)
・『生誕300年記念 池大雅—陽光の山水』 出光美術館(2/10~3/24)
・『魅惑の朝鮮陶磁/謎解き奥高麗茶碗』 根津美術館(2/10~3/26)
・『開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』 森美術館(10/18~2024/3/31)
・『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』 東京都美術館(1/27~4/7)
・『円空 —旅して、彫って、祈って—』 あべのハルカス美術館(2/2~4/7)
・『中平卓馬 火—氾濫』 東京国立近代美術館(2/6~4/7)
・『美術家たちの沿線物語 小田急線篇』 世田谷美術館(2/17~4/7)
・『生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真』 東京ステーションギャラリー(2/23~4/14)
・『須藤玲子:NUNOの布づくり』 水戸芸術館(2/17~5/6)
・『アブソリュート・チェアーズ』 埼玉県立近代美術館(2/17~5/12)
・『旧朝香宮邸を読み解く A to Z』 東京都庭園美術館(2/17~5/12)
・『マティス 自由なフォルム』 国立新美術館(2/14~5/27)
・『モダン・タイムス・イン・パリ 1925 —機械時代のアートとデザイン』 ポーラ美術館(12/16~2024/5/19)
・『村上隆 もののけ 京都』 京都市京セラ美術館(2/3~9/1)

ギャラリー

・『第1回BUG Art Award ファイナリスト展』 BUG(1/24~2/18)
・『米田知子 氷晶』 シュウゴアーツ(1/13~2/24)
・『横山裕一 アースデイ』 ANOMALY(1/27~2/24)
・『ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし』 N&A アートサイト(2/1~3/2)
・『第17回 shiseido art egg 林田真季展』 資生堂ギャラリー(1/30~3/3)
・『Master of Elegant Simplicity ジョージ ホイニンゲン=ヒューン写真展』 CHANEL NEXUS HALL(2/7 ~3/31)
・『ポーラ ミュージアム アネックス展 2024 —表彰と趣意—(前期)』 ポーラ ミュージアム アネックス(2/9~3/10)
・『ヨシロットン 拡張するグラフィック』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(2/14~3/23)
・『能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)—複数種の網目としての建築』 TOTOギャラリー・間
(1/18~3/24)
・『マーク・レッキー 個展「FIORUCCI MADE ME HARDCORE FEAT. BIG RED SOUNDSYSTEM」』 エスパス ルイ・ヴィトン東京(2/22~8/18)

まずは江戸時代中期の京都で活躍した絵師の展覧会です。『生誕300年記念 池大雅―陽光の山水』が出光美術館にて開催されます。



『生誕300年記念 池大雅―陽光の山水』@出光美術館(2/10~3/24)

これは今年生誕300年を迎えた池大雅の画業を、山水画を中心とする代表作を選んで紹介するもので、東京での大雅の本格的な回顧展としては約13年ぶりのことになります。

また大雅の作品のうち、現在3件が国宝、また13件が重文に指定されていますが、展示ではその半数以上に当たる国宝2件、重文8件が出品もされます。さらに戦前に展示されて以来長らく公開されなかった『餘杭幽勝図屏風』といったレアな作品も公開されます。まさに池大雅の回顧展の決定版といえるのではないでしょうか。

続いては戦後から現代までの美術作品における椅子の表現に着目します。埼玉県立近代美術館にて『アブソリュート・チェアーズ』が行われます。



『アブソリュート・チェアーズ』@埼玉県立近代美術館(2/17~5/12)

これは椅子のもつ多様な意味や象徴性を、主に現代アートを通して考察するもので、国内外の平面・立体・映像作品、約70点(作家数28組)が公開されます。


同館は開館時よりデザイン椅子を収集する「椅子の美術館」として知られていますが、端的ないわゆる椅子展ではなく、新しい視点から椅子というテーマを挑むユニークな企画となりそうです。

最後はフランスの画家、マティスの回顧展です。国立新美術館にて『マティス 自由なフォルム』が開かれます。



『マティス 自由なフォルム』@国立新美術館(2/14~5/27)

ここではマティスの画業のうち、後半生において取り組んだ切り紙絵に焦点を当てながら創作世界を紹介するもので、絵画、彫刻、版画、テキスタイルなど約150点の作品が展示されます。


マティスといえば昨年にも東京都美術館にて大規模な回顧展が行われましたが、前回展の内容との違いにも注目が集まるかもしれません。

それでは今月もよろしくお願いいたします。
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2024年1月に見たい展覧会【新版画の沁みる風景/鳥文斎栄之/印象派 モネからアメリカへ】

お正月も三が日を過ぎました。元日に能登半島で最大震度7の地震があり、石川県を中心に大変な被害が発生しています。亡くなられた方々に謹んでおくやみを申し上げるとともに、被災されたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。

この地震の影響により、富山市ガラス美術館は1月8日まで休館し、石川県七尾美術館と金沢21世紀美術館は当面休館することが決まりました。

「令和6年能登半島地震」の影響広がる 金沢21世紀美術館は当面臨時休館、石川県立美術館は予定通り4日開館、富山市ガラス美術館は8日まで休館



また地震の被害状況確認のため2日より臨時休館中の国立工芸館は、少なくとも5日も同じく休館となりました。状況は刻々と変化します。北陸方面の美術館や博物館の開館情報については各館のWEBサイトなどでご確認ください。

*1月5日追記
国立工芸館は1月6日より開館します。一方で富山市ガラス美術館の休館期間が当初の8日から1月14日までに延長されました。

1月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『国宝 雪松図と能面×能の意匠』 三井記念美術館(12/8~2024/1/27)
・『今村源 遅れるものの行方展』 水戸芸術館(11/3~2024/1/28)
・『繡と織 華麗なる日本染織の世界』 根津美術館(12/16~2024/1/28)
・『博物館に初もうで』 東京国立博物館(1/2~1/28)
・『ハッピー龍イヤー! ~絵画・工芸の龍を楽しむ~』 静嘉堂文庫美術館(1/2~2/3)
・『「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』 渋谷区立松濤美術館(12/2~2024/2/4)
・『新版画の沁みる風景―川瀬巴水から笠松紫浪まで』 川崎浮世絵ギャラリー(1/5~2/4)
・『ニューホライズン 歴史から未来へ』 アーツ前橋と前橋市中心市街地(10/14~2024/2/12)
・『魔除け-見えない敵を服でブロック!』 文化学園服飾美術館(12/9~2024/2/14)
・『HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美』 三鷹市美術ギャラリー(12/16~2024/2/25)
・『白井美穂 森の空き地』 府中市美術館(12/16~2024/2/25)
・『うるしとともに —くらしのなかの漆芸美』 泉屋博古館東京(1/20~2/25)
・『サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展』 千葉市美術館(1/6~3/3)
・『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』 アーティゾン美術館(12/9~2024/3/3)
・『豊嶋康子 発生法—天地左右の裏表』 東京都現代美術館(12/9~2024/3/10)
・『もじ イメージ Graphic 展』 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(11/23~2024/3/10)
・『フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築』 パナソニック汐留美術館(1/11~3/10)
・『本阿弥光悦の大宇宙』 東京国立博物館(1/16~3/10)
・『柳宗悦唯一の内弟子 鈴木繁男展 —手と眼の創作』 日本民藝館(1/14~3/20)
・『ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家』 東京オペラシティ アートギャラリー(1/17~3/24)
・『四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎』サントリー美術館(1/31~3/24)
・『開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』 森美術館(10/18~2024/3/31)
・『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』 東京都美術館(1/27~4/7)
・『建立900年 特別展「中尊寺金色堂」』 東京国立博物館(1/23~4/14)
・『モダン・タイムス・イン・パリ 1925 —機械時代のアートとデザイン』 ポーラ美術館(12/16~2024/5/19)

ギャラリー

・『Daijiro Ohara HAND BOOK』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(12/11~2024/1/31)
・『ダレン・アーモンド Timeline』 SCAI THE BATHHOUSE(11/18~2024/2/10)
・『Tomo Koizumi FUTURE』 YUKIKOMIZUTANI(12/9~2024/2/10)
・『棚田康司展「入って飛ぶ」』 ミヅマアートギャラリー(1/17~2/17)
・『米田知子 氷晶』 シュウゴアーツ(1/13~2/24)
・『横山裕一 アースデイ』 ANOMALY(1/27~2/24)
・『能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)—複数種の網目としての建築』 TOTOギャラリー・間
(1/18~3/24)

まずは近年、人気の高まる新版画の展覧会です。川崎浮世絵ギャラリーにて『新版画の沁みる風景―川瀬巴水から笠松紫浪まで』が開かれます。



『新版画の沁みる風景―川瀬巴水から笠松紫浪まで』@川崎浮世絵ギャラリー(1/5~2/4)

ここでは大正初期より制作された新版画の風景画の魅力を紹介するもので、新版画を牽引した川瀬巴水をはじめ、同じく風景画を手がけた笠松紫浪や土屋光逸、または橋口五葉や吉田博らの作品、約90点が公開されます。


チラシ表紙を飾る巴水の『上野清水堂の雪』をはじめとした情緒あふれる新版画を愛でながら、お正月気分を味わうのも良いかもしれません。

続いては浮世絵です。喜多川歌麿と同時期に活躍した浮世絵師、鳥文斎栄之の全貌を紹介します。千葉市美術館にて『サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展』が行われます。



『サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展』@千葉市美術館(1/6~3/3)

これは旗本出身という異色の出自をもちながら、美人画をはじめとした幅広い画題で人気を得た鳥文斎栄之の初期から晩年までの画業を明らかにするもので、ボストン美術館、大英博物館からの里帰り品を含め、錦絵および肉筆画の名品が一堂に公開されます。


実に世界で初めての栄之の回顧展だけに、浮世絵ファンの大きな注目を集めそうです。

ラストはこれまで日本で紹介される機会の少なかったアメリカの印象派に関する展覧会です。『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』が東京都美術館にて開かれます。



『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』@東京都美術館(1/27~4/7)

アメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館は、1910年にはモネの『睡蓮』を美術館として世界で初めて購入するなど、1898年の開館当初から同時代の印象派の作品を収集し続けてきました。


そのウスター美術館のコレクションよりモネやルノワールなどのフランス印象派やハッサムといったアメリカ印象派を代表する画家の油彩画約70点を展示するもので、このほかカサット、サージェント、ホーマー、シニャックら40人以上の画家の作品が集結します。

それでは今月もよろしくお願いいたします。
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2023年 私が観た展覧会 ベスト10

年末恒例の私的ベスト企画です。2023年に観た展覧会のベスト10をあげてみました。

2023年 私が観た展覧会 ベスト10

1.『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』 あべのハルカス美術館(4/22~6/18)



幕末から明治初期にかけて現在の高知県で活動した絵師、絵金の、実に同県外では半世紀ぶりとなる展覧会でした。絵金を代表する芝居絵屏風や絵馬提灯など約100点が公開された上、高知の夏祭りをイメージした会場構成もあり、まるで同地の「絵金祭り」に出かけているような気分を味わえました。かつて板橋区立美術館や江戸東京博物館での江戸絵画に関する展覧会で数点の絵金の作品を見て以来、心惹かれていた絵師だけに、ようやく回顧展に接することができました。

2.『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ』 アーティゾン美術館(6/3~8/20)



石橋財団のコレクションを中心に、国内外の美術館など約250点の作品により、フランスを中心としたヨーロッパ、およびアメリカ、また日本における抽象絵画の展開をたどる内容でした。このうちアーティゾン美術館における近年の新収蔵作品が95点も公開されていて、カンディンスキーやクレーはもとより、あまり見る機会の少ないドローネーやクプカの優れた作品も鑑賞することができました。あくまでも同館のコレクションに沿った構成のため、例えばロシア・アヴァンギャルドについては割愛されるなど、すべてを網羅しているわけではなかったものの、これほどの大規模な抽象絵画展は国内ではしばらく望めないと思うほどに充実していました。

3.『リニューアルオープン記念特別展 Before/After』 広島市現代美術館(3/18~6/18)



2020年末からの改修工事を終え、今年春に再開館した広島市現代美術館のリニューアル展で、国内外45組のアーティストによる新作を含めた約100点を全館スケールにて公開していました。劣化、変質、修復、原子力、爆発、夢、治癒といったキーワードを「#(ハッシュタグ)」として提示し、展示のテーマを伝えているのも特徴で、16年ぶりの新規購入作品となったシリン・ネシャットの『Land of Dreams』など、政治や社会へ批評的に向き合った作品も少なくなくありませんでした。また改修工事の図面や記録写真をはじめ、SNS投稿された「#ゲンビの工事日記」の画像など、工事のプロセスを紹介する展示も楽しく思えました。

4.『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』 国立西洋美術館(10/3~2024/1/28)



パリのポンピドゥーセンターのコレクションから、初来日作品50点以上を含む140点の作品によって構成された、実に国内では半世紀ぶりの大規模なキュビスム展でした。キュビスム以前からピカソ、ブラック、そしてその後の展開へと、まさにキュビスムの通史を極めて粒揃いのコレクションにて追っていて、ロシアにおけるネオ・プリミティヴィスムから立体未来主義、また第一次世界大戦とキュビスムの関係なども作品と資料にて検証していました。単にキュビスムといえども、その運動の諸相は驚くほどに多面的でかつ複層的に連なっていたのかを見て取ることができました。

5.『諏訪敦 眼窩裏の火事』 府中市美術館(12/17~2023/2/26)



緻密で再現性の高い画風で知られる画家、諏訪敦の、公立美術館としては11年ぶりの個展でした。終戦直後の満州で病没した祖母をテーマにした「棄民」をはじめ、コロナ禍の中で取り組んだ静物画、さらに舞踏家の大野一雄を描いた絵画などが紹介されていて、博物館の標本室を思わせる空間から最新作『Mimesis』の掲げられた展示室へと続くドラマチックな構成も魅惑的でした。また人の気高さ、尊厳までが滲み出す作品はもとより、対象へ真摯に向き合いつつ、長い時間をかけてリサーチを重ね、絵画として表していく諏訪の制作のアプローチそのものにも強く心を打たれました。

6.『聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-』 奈良国立博物館(7/8~9/3)



京都府最南部、奈良市に隣接する南山城に伝わってきた仏教美術を紹介する展覧会で、同地域に伝わる仏像や神像、また絵画や典籍、古文書など約140点の作品と資料が公開されました。古代寺院から密教に由来する山岳寺院の諸像、そして修理を終えた浄瑠璃寺の『九体阿弥陀像』のうち2軀などの仏像の展示がことさら充実していた上、行基への信仰とともに生まれた律宗文化など地域の信仰のあり方も資料などで細かく紹介していていました。この後、『特別展「京都・南山城の仏像」』と名を変え、東京国立博物館でも展示が行われましたが、奈良の方が大変に網羅的な内容で見応えがありました。

7.『佐伯祐三 自画像としての風景』 東京ステーションギャラリー(1/21~4/2)/大阪中之島美術館(4/15~6/25)



大正から昭和にかけて活動し、30歳の若さで世を去った画家、佐伯祐三の東京では18年ぶりの本格的な展覧会でした。大阪から東京、そして2度のパリへと渡ったのち、モランの地を経て亡くなった佐伯の画業を約140点の作品でたどっていただけでなく、これまであまり評価されてこなかった一時帰国時代の作品にも光を当てていて、まさに回顧展の決定版というべき充実した内容でした。また今回、東京と巡回した大阪中之島美術館の双方で展示を見ることができましたが、東京展では会場の都合上、一部作品に展示替えがあったものの、大阪展ではすべての作品が公開されていて、一度により多くの佐伯の絵画を楽しむことができました。

8.『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』 太田記念美術館(6/3~7/26)



3歳の時に来日し、64歳にて亡くなるまで日本で暮らした画家、ポール・ジャクレーの新版画に着目した展覧会で、彼の描いた全162点の新版画が首都圏の美術館としては初めて公開されました。いずれもミクロネシアやアジアの人々のすがたを瑞々しく七色に染まるような色彩にて描いていて、戦後に海外でも人気を博したというジャクレーの作品を存分に味わえました。近年、川瀬巴水や橋口五葉、吉田博といった作家による新版画が人気を集め、展覧会も多くの開かれてきましたが、さまざまな国の老若男女が暮らすすがたを描いたジャクレーの作品は、当時の新版画の中でも異彩を放っていて、その独創的な世界に魅了されました。

9.『挑発関係=中平卓馬×森山大道』 神奈川県立近代美術館 葉山館(7/15~9/24)



同じ年に生まれた中平卓馬と森山大道(1938年〜)の活動をたどりながら、ふたりの写真家の関係を出会い、交流、共同作業、相違、交差、反発、共感、畏敬などのさまざまなキーワードにて紹介する展覧会でした。作品は60〜80年代の雑誌や写真集、ヴィンテージ・プリント、さらには映像から2000年代以降の写真などと網羅的で、とりわけ近年、コロナ禍の中、Nこと中平との記憶を蘇らせながら、自宅のある逗子界隈や人々を撮り続けた森山の「Nへの手紙」に胸を打たれました。タイトルに「挑発」とあるように、一筋縄でいかない両者の有りようを丹念に検証する良い展示でした。

10.『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』 東京都美術館(1/26~4/9)



世紀末のウィーンにて活動したエゴン・シーレの画業を、ウィーンのレオポルド美術館の所蔵作品とともに、クリムトやココシュカ、ゲルストルをはじめとする同時代作家たちの作品などからたどっていました。画家の中にある自信や不安定さといった多感な繊細な感性を伺わせる自画像をはじめ、あまり知られていない風景画も紹介されていて、単に写生して描くというよりも、心象を投影するように風景を再構成したり、平面性や装飾性を強調するといった独自のスタイルを見ることもできました。

次点.『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本(後期)』 長野県立美術館(8/3~8/27)



ベスト10以外で特に印象に残った展覧会は以下の通りです。(順不同)

『中﨑透 フィクション・トラベラー』 水戸芸術館(2022/11/5~2023/1/29)
『江戸絵画の華 〈第1部〉若冲と江戸絵画 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派』 出光美術館(1/7~2/12、2/21~3/26)
『生誕100年 柚木沙弥郎展』 日本民藝館(1/13~4/2)
『トンコハウス・堤大介の「ONI展」』 PLAY! MUSEUM(1/21~4/2)
『没後190年 木米』 サントリー美術館(2/8~3/26)
『速水御舟展』 茨城県近代美術館(2/21~3/26)
『戸谷成雄 彫刻』 埼玉県立近代美術館(2/25~5/14)
『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』 東京都現代美術館(2022/12/21~2023/5/28)
『椿椿山展 軽妙淡麗な色彩と筆あと』 板橋区立美術館(3/18~4/16)
『東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密』 東京国立近代美術館(3/17~5/14)
『憧憬の地 ブルターニュ —モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷』 国立西洋美術館(3/18~6/11)
『ブルターニュの光と風』 SOMPO美術館(3/25~6/11)
『大阪の日本画』 東京ステーションギャラリー(4/15~6/11)
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』 京都市中心部・二条城・両足院・光明院(4/15~5/14)
『マティス展 Henri Matisse: The Path to Color』 東京都美術館(4/27~8/20)
『没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界』 たばこと塩の博物館(4/29~6/25)
『小林古径 生誕140周年記念 小林古径と速水御舟—画壇を揺るがした二人の天才—』 山種美術館(5/20~7/17)
『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』 上野の森美術館(5/31~7/22)
『若林奮 森のはずれ』 武蔵野美術大学美術館(6/1〜8/13)
『蔡國強 宇宙遊 ―<原初火球>から始まる』 国立新美術館(6/29~8/21)
『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』 千葉市美術館(6/10~9/10)
『ガウディとサグラダ・ファミリア展』 東京国立近代美術館(6/13~9/10)
『本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語』 東京都写真美術館(6/16~9/24)
『甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性』 東京ステーションギャラリー(7/1~8/27)
『スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた』 国立西洋美術館(7/4~9/3)
『発掘された珠玉の名品 少女たち-夢と希望・そのはざまで 星野画廊コレクションより』 京都文化博物館(7/15〜9/10)
『虫めづる日本の人々』 サントリー美術館(7/22~9/18)
『野又穫 Continuum 想像の語彙』 東京オペラシティ アートギャラリー(7/6~9/24)
『テート美術館展 光 —ターナー、印象派から現代へ』 国立新美術館(7/12~10/2)
『デイヴィッド・ホックニー展』 東京都現代美術館(7/15~11/5)
『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』 DIC川村記念美術館(7/29~11/5)
『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』 六甲山上(8/26~11/23)
『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン』 アーティゾン美術館(9/9~11/19)
『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』 国立新美術館(9/20~12/11)
『東京ビエンナーレ2023(秋会期)』 東京都心北東エリア(9/23~11/5)
『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023 物質的想像力と物語の縁起―マテリアル、データ、ファンタジー』富山県富山市富岩運河沿いの3エリア(9/15~10/29)
『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』 東京国立近代美術館(10/6~12/3)
『やまと絵—受け継がれる王朝の美—』 東京国立博物館(10/11~12/3)
『さいたま国際芸術祭2023』 旧市民会館おおみや(10/7~12/10)
『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』 千葉市美術館(10/4~12/17)
『石川真生 —私に何ができるか—』 東京オペラシティ アートギャラリー(10/13~12/24)
『鹿児島睦 まいにち展』 PLAY! MUSEUM(10/7~2024/1/8)
『ゴッホと静物画 伝統から革新へ』 SOMPO美術館(10/17~2024/1/21)
『特別展 北宋書画精華』 根津美術館(11/3~12/3)
『FUJI TEXTILE WEEK 2023』 山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺地域(11/23~12/17)
『大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ』 国立新美術館(11/1~12/25)
『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』 世田谷美術館(11/18~2024/1/28)
『明治のメディア王 小川一眞と写真製版』 印刷博物館(11/18~2024/2/12)
『みちのく いとしい仏たち』 東京ステーションギャラリー(12/2~2024/2/12)
『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』 森アーツセンターギャラリー(12/9~2024/2/25)



たくさんの展覧会をあげてしまいましたが、『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』や『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』、それに『東京ビエンナーレ2023(秋会期)』や『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023』、また『さいたま国際芸術祭2023』に『FUJI TEXTILE WEEK 2023』など、コロナ禍の制限がなくなって開かれた各地の芸術祭も印象に残った年だったかもしれません。



『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』 Vol.1 京都芸術センター・くろちく万蔵ビル・誉田屋源兵衛Vol.2 八竹庵(旧川崎家住宅)・HOSOO GALLERY・京都文化博物館別館Vol.3 二条城・東福寺塔頂光明院Vol.4 世界倉庫・藤井大丸ブラックストレージ・SferaVol.5 嶋臺(しまだい)ギャラリー・ASPHODEL・両足院
『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』 神戸・六甲山上
『東京ビエンナーレ2023』 東京都心北東エリア
『北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2023』 富山県富山市富岩運河沿いの3エリア
『さいたま国際芸術祭2023』 旧市民会館おおみや
『FUJI TEXTILE WEEK 2023』 山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺地域



この一年、皆さまはどのような美術との出会いがありましたでしょうか。このエントリをもちまして年内のブログの更新を終わります。今年も「はろるど」とお付き合い下さりどうもありがとうございました。それではどうぞ良いお年をお迎え下さい。

*過去の展覧会ベスト10
2022年2021年2020年2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年2007年2006年2005年2004年その2。2003年も含む。)
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2023年12月に見たい展覧会【みちのく いとしい仏たち/北斎サムライ画伝/和紙がおりなす日本の美】

今年も残すところあと1ヶ月となりました。関東でも短かった秋が過ぎ、朝晩はぐっと冷え込んできました。



12月にはじまる展覧会は意外と少なくありません。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『皇居三の丸尚蔵館 開館記念展「皇室のみやび-受け継ぐ美-」第1期「三の丸尚蔵館の国宝」』 皇居三の丸尚蔵館(11/3~12/24)
・『深掘り! 浮世絵の見方』 太田記念美術館(12/1~12/24)
・『上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす —菌類、植物、動物、人間』 東京都美術館(11/16~2024/1/8)
・『青木野枝 光の柱』 市原湖畔美術館(10/14~2024/1/14)
・『梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ(1期)』 ワタリウム美術館(12/1~2024/1/14)
・『テオ・ヤンセン 展』 千葉県立美術館(10/27~2024/1/21)
・『国宝 雪松図と能面×能の意匠』 三井記念美術館(12/8~2024/1/27)
・『モネ 連作の情景』 上野の森美術館(10/20~2024/1/28)
・『今村源 遅れるものの行方展』 水戸芸術館(11/3~2024/1/28)
・『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』 世田谷美術館(11/18~2024/1/28)
・『繡と織 華麗なる日本染織の世界』 根津美術館(12/16~2024/1/28)
・『癒やしの日本美術 —ほのぼの若冲・なごみの土牛—』 山種美術館(12/2~2024/2/4)
・『「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』 渋谷区立松濤美術館(12/2~2024/2/4)
・『ニューホライズン 歴史から未来へ』 アーツ前橋と前橋市中心市街地(10/14~2024/2/12)
・『明治のメディア王 小川一眞と写真製版』 印刷博物館(11/18~2024/2/12)
・『みちのく いとしい仏たち』 東京ステーションギャラリー(12/2~2024/2/12)
・『魔除け-見えない敵を服でブロック!』 文化学園服飾美術館(12/9~2024/2/14)
・『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』 森アーツセンターギャラリー(12/9~2024/2/25)
・『北斎サムライ画伝』 すみだ北斎美術館(12/14~2024/2/25)
・『HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美』 三鷹市美術ギャラリー(12/16~2024/2/25)
・『白井美穂 森の空き地』 府中市美術館(12/16~2024/2/25)
・『MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ』 東京都現代美術館(12/2~2024/3/3)
・『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』 アーティゾン美術館(12/9~2024/3/3)
・『豊嶋康子 発生法—天地左右の裏表』 東京都現代美術館(12/9~2024/3/10)
・『もじ イメージ Graphic 展』 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(11/23~2024/3/10)
・『開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』 森美術館(10/18~2024/3/31)
・『オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』 麻布台ヒルズギャラリー(11/24~2024/3/31)
・『モダン・タイムス・イン・パリ 1925 —機械時代のアートとデザイン』 ポーラ美術館(12/16〜2024/5/19)

ギャラリー

・『堀江栞「かさぶたは、時おり剥がれる』 √K Contemporary(11/18~12/16)
・『第八次椿会 ツバキカイ8 このあたらしい世界  “ただ、いま、ここ”』 資生堂ギャラリー(10/31~12/24)
・『ヘブル・ブラントリー traveling without moving』 NANZUKA UNDERGROUND(11/18~12/24)
・『金子富之展「辟邪神」』 ミヅマアートギャラリー(11/22~12/23)
・『リー・キット 息をのむような虚ろな視線』 シュウゴアーツ(11/18〜12/23)
・『熊谷亜莉沙|神はお許しになられるらしい』 ギャラリー小柳(10/31~2024/1/13)
・『バグスクール:うごかしてみる!』 BUG(11/29~2024/1/14)
・『アニッシュ・カプーア 奪われた自由への眼差し 監視社会の未来』 GYRE GALLERY(11/23〜2024/1/28)
・『Daijiro Ohara HAND BOOK』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(12/11~2024/1/31)
・『ダレン・アーモンド Timeline』 SCAI THE BATHHOUSE(11/18〜2024/2/10)
・『Tomo Koizumi FUTURE』 YUKIKOMIZUTANI(12/9〜2024/2/10)

まずは東京ステーションギャラリーとしては初の仏像と神像の展覧会です。『みちのく いとしい仏たち』が開かれます。



『みちのく いとしい仏たち』@東京ステーションギャラリー(12/2~2024/2/12)

これは江戸時代、北東北地方のお堂や祠などに祀られた民間仏と呼ばれる仏像と神像を紹介するもので、青森、岩手、秋田の3県に伝わる約130点の木像が展示されます。

素朴でユニークな民間仏を通し、北東北の人々の祈りのあり方を考える良い機会となるかもしれません。

続いては北斎と門人の描いたサムライの魅力に迫る展示です。すみだ北斎美術館にて『北斎サムライ画伝』が行われます。



『北斎サムライ画伝』@すみだ北斎美術館(12/14~2024/2/25)

ここでは葛飾北斎や門人の描いた武者絵などの浮世絵から、江戸時代の人々が抱いていたサムライのイメージにふれるもので、刀剣博物館所蔵の「太刀 銘 信房作」といった刀剣そのものもあわせて展示されます。


このほか、北斎の波と刃文の波が共演するなど、これまでになかった浮世絵と刀剣の展覧会となりそうです。

日本の紙文化の魅力を紹介します。三鷹市美術ギャラリーにて『HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美』が開催されます。



『HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美』@三鷹市美術ギャラリー(12/16~2024/2/25)

1806年に創業し、日本橋に店舗を構える「榛原-はいばら-」は、熱海製雁皮紙をはじめとする高級和紙や小間紙と呼ばれる装飾用の加工紙などを販売し、明治時代には日本を代表する工芸品として海外から高く評価されました。


この榛原の千代紙や和紙製品を公開するのが『HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美』で、明治時代前期の三代目当主榛原直次郎と関わった柴田是真や河鍋暁斎、竹久夢二の手がけた仕事についても紹介されます。

一部内容が重なりますが、「イロハニアート」へも12月のおすすめ展覧会を寄稿しました。あわせてご覧いただければ幸いです。

【12月のおすすめ展覧会5選】『癒やしの日本美術』から『みちのく いとしい仏たち』、それに荒木悠の個展まで。 | イロハニアート

それでは今月もどうぞよろしくお願いいたします。
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2023年11月に見たい展覧会【青磁/FUJI TEXTILE WEEK 2023/オラファー・エリアソン】

関東は11月とは思えないような暖かさが続いていますが、今年も残すところあと2ヶ月となりました。今月は東京都内に皇居三の丸尚蔵館と麻布台ヒルズギャラリーのふたつの芸術展示施設が新たにオープンします。



それでは11月に見ておきたい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『葛飾応為「吉原格子先之図」―肉筆画の魅力』 太田記念美術館(11/1~11/26)
・『横尾忠則 寒山百得展』 東京国立博物館・表慶館 (9/12~12/3)
・『激動の時代 幕末明治の絵師たち』 サントリー美術館(10/11~12/3)
・『特別展 北宋書画精華』 根津美術館(11/3~12/3)
・『装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術』 東京都庭園美術館(9/23~12/10)
・『楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師』 町田市立国際版画美術館(10/7~12/10)
・『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』 国立新美術館(9/20~12/11)
・『コスチュームジュエリー美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール』 パナソニック汐留美術館(10/7~12/17)
・『FUJI TEXTILE WEEK 2023』 山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺地域(11/23~12/17)
・『石川真生 —私に何ができるか—』 東京オペラシティ アートギャラリー(10/13~12/24)
・『文晁と北斎―このふたり、ただものにあらず』 栃木県立美術館(10/21~12/24)
・『皇居三の丸尚蔵館 開館記念展「皇室のみやび-受け継ぐ美-」第1期「三の丸尚蔵館の国宝」』 皇居三の丸尚蔵館(11/3~12/24)
・『大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ』 国立新美術館(11/1~12/25)
・『111年目の中原淳一展』そごう美術館(11/18~2024/1/10)
・『青木野枝 光の柱』 市原湖畔美術館(10/14~2024/1/14)
・『即興 ホンマタカシ』 東京都写真美術館(10/6~2024/1/21)
・『ゴッホと静物画 伝統から革新へ』 SOMPO美術館(10/17~2024/1/21)
・『テオ・ヤンセン 展』 千葉県立美術館(10/27~2024/1/21)
・『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』 国立西洋美術館(10/3~2024/1/28)
・『イン・ビトウィーン』 埼玉県立近代美術館(10/14~2024/1/28)
・『モネ 連作の情景』 上野の森美術館(10/20~2024/1/28)
・『青磁—世界を魅了したやきもの』 出光美術館(11/3~2024/1/28)
・『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』 世田谷美術館(11/18~2024/1/28)
・『ニューホライズン 歴史から未来へ』 アーツ前橋と前橋市中心市街地(10/14~2024/2/12)
・『奈良美智: The Beginning Place ここから』 青森県立美術館(10/14~2024/2/25)
・『もじ イメージ Graphic 展』 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(11/23~2024/3/10)
・『開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』 森美術館(10/18~2024/3/31)
・『オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』 麻布台ヒルズギャラリー(11/24~2024/3/31)

ギャラリー

・『風間サチコ展「ニュー松島」』 無人島プロダクション(10/28~12/3)
・『堀江栞「かさぶたは、時おり剥がれる』 √K Contemporary(11/18~12/16)
・『第八次椿会 ツバキカイ8 このあたらしい世界  “ただ、いま、ここ”』 資生堂ギャラリー(10/31~12/24)
・『ヘブル・ブラントリー traveling without moving』 NANZUKA UNDERGROUND(11/18~12/24)
・『金子富之展「辟邪神」』 ミヅマアートギャラリー(11/22~12/23)
・『熊谷亜莉沙|神はお許しになられるらしい』 ギャラリー小柳(10/31~2024/1/13)
・『バグスクール:うごかしてみる!』 BUG(11/29~2024/1/14)

まずはやきものの展覧会です、出光美術館にて『青磁—世界を魅了したやきもの』が開かれます。



『青磁—世界を魅了したやきもの』@出光美術館(11/3~2024/1/28)

これは成熟期を迎えて2000年もの間、多くの人々を惹きつけてきた青磁に着目するもので、青磁の誕生前夜の灰釉陶器から漢時代の越州窯、また龍泉窯青磁などの青磁を中心に120件の優品が展示されます。

同館のみならず、東京国立博物館や徳川美術館、それに根津美術館といった他館のコレクションにも注目が集まるかもしれません。

続いては山梨県の富士吉田市にて行われる「布の芸術祭」です。『FUJI TEXTILE WEEK 2023』が開催されます。



『FUJI TEXTILE WEEK 2023』@山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺地域(11/23~12/17)

富士五湖の中東部に位置する山梨県富士吉田市は、近年、インバウンドをはじめとする観光都市として発展するとともに、1000年以上続く織物の産地としても歴史を重ねてきました。

この織物と芸術を融合する芸術祭として2021年よりはじまったのが『FUJI TEXTILE WEEK』で、3回目となる今回は「Back to Thread / 糸への回帰」をテーマにさまざまなアート展示などが行われます。

ラストは新たにオープンする麻布台ヒルズギャラリーです。『オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』が行われます。



『オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期』@麻布台ヒルズギャラリー(11/24~2024/3/31)


これは麻布台ヒルズの開業にあわせて制作された新作のパブリックアートで取り組んだ主題を軸に、新作インスタレーションや水彩絵画、ドローイング、 立体作品などによって構成されるもので、日本初展示作品15点が公開されます。

なお一部内容が重なりますが、イロハニアートへも11月のおすすめの展覧会を寄稿しました。


【11月のおすすめ展覧会5選】大巻伸嗣の個展から、新たにオープンする皇居三の丸尚蔵館や麻布台ヒルズギャラリーの展示まで | イロハニアート

それでは今月もどうぞ宜しくお願いいたします。
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2023年10月に見たい展覧会【鹿児島睦/楊洲周延/青木野枝】

過去に記憶がないほどに暑かった日々もようやく終わり、朝晩を中心に一気に秋めいてきました。10月は1年のうちでも多くの展覧会が開幕する月です。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。


『鹿児島睦 まいにち展』※市立伊丹ミュージアムでの展示風景

展覧会

・『あざみ野コンテンポラリーvol.14 長谷川繁 1989—』 横浜市民ギャラリーあざみ野(10/7~10/29)
・『Material, or』 21_21 DESIGN SIGHT(7/14~11/5)
・『宇川直宏展 FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE』 練馬区立美術館(9/10~11/5)
・『めぐりあう大津絵』 八王子市夢美術館(9/15~11/5)
・『東京ビエンナーレ2023(秋会期)』 東京都心北東エリア(9/23~11/5)
・『手塚治虫 ブラック・ジャック展』 東京シティビュー(10/6~11/6)
・『春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ』 東京ステーションギャラリー(9/16~11/12)
・『村田コレクション受贈記念 西洋工芸の美』 日本民藝館(9/14~11/23)
・『インド細密画』 府中市美術館(9/16~11/26)
・『北斎のまく笑いの種』 すみだ北斎美術館(9/20~11/26)
・『日本画聖地巡礼 —東山魁夷の京都、奥村土牛の鳴門—』 山種美術館(9/30~11/26)
・「横尾忠則 寒山百得展』 東京国立博物館・表慶館 (9/12~12/3)
・『井田幸昌展 Panta Rhei|パンタ・レイ―世界が存在する限り』 京都市京セラ美術館(9/30~12/3)
・『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』 東京国立近代美術館(10/6~12/3)
・『やまと絵—受け継がれる王朝の美—』 東京国立博物館(10/11~12/3)
・『激動の時代 幕末明治の絵師たち』 サントリー美術館(10/11~12/3)
・『装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術』 東京都庭園美術館(9/23~12/10)
・『楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師』 町田市立国際版画美術館(10/7~12/10)
・『さいたま国際芸術祭2023』 旧市民会館おおみや(10/7~12/10)
・『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』 国立新美術館(9/20~12/11)
・『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』 千葉市美術館(10/4~12/17)
・『コスチュームジュエリー美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール』 パナソニック汐留美術館(10/7~12/17)
・『石川真生 —私に何ができるか—』 東京オペラシティ アートギャラリー(10/13~12/24)
・『文晁と北斎―このふたり、ただものにあらず』 栃木県立美術館(10/21~12/24)
・『鹿児島睦 まいにち展』 PLAY! MUSEUM(10/7~2024/1/8)
・『青木野枝 光の柱』 市原湖畔美術館(10/14~2024/1/14)
・『即興 ホンマタカシ』 東京都写真美術館(10/6~2024/1/21)
・『生誕270年 長沢芦雪 —奇想の旅、天才絵師の全貌—』 大阪中之島美術館(10/7~12/3)
・『竹内栖鳳 破壊と創生のエネルギー』 京都市京セラ美術館(10/7~12/3)
・『ゴッホと静物画 伝統から革新へ』 SOMPO美術館(10/17~2024/1/21)
・『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』 国立西洋美術館(10/3~2024/1/28)
・『イン・ビトウィーン』 埼玉県立近代美術館(10/14~2024/1/28)
・『モネ 連作の情景』 上野の森美術館(10/20~2024/1/28)
・『ニューホライズン 歴史から未来へ』 アーツ前橋と前橋市中心市街地(10/14~2024/2/12)
・『開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』 森美術館(10/18~2024/3/31)

ギャラリー

・『石内都 初めての東京は銀座だった』 資生堂ギャラリー(8/29~10/15)
・『ステファン・サグマイスター ナウ・イズ・ベター』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(8/30~10/23)
・『杉本博司|火遊び——Playing with Fire』 ギャラリー小柳(9/5~10/27)
・『雨宮庸介個展「雨宮宮雨と以」』 BUG(9/20~10/30)
・『牧野貴 コラージュとアンチコスモス』 ANOMALY(10/7~11/4)
・『ボスコ・ソディ「GALAXY」』 SCAI THE BATHHOUSE(9/16~11/5)
・『In Praise of Shadows – ヴェルサイユ宮殿 森田恭通 写真展』 CHANEL NEXUS HALL(9/27~11/5)
・『nomoco Organising Chaos』 YUKIKOMIZUTANI(10/21~11/11)
・『浮田要三 自画像』 Kanda & Oliveira(10/7~11/18)
・『西澤徹夫 偶然は用意のあるところに』 TOTOギャラリー・間(9/14~11/26)

まずは立川のPLAY! MUSEUMです。陶芸家でアーティストの鹿児島睦の個展、『鹿児島睦 まいにち展』が開かれます。



『鹿児島睦 まいにち展』@PLAY! MUSEUM(10/7~2024/1/8)

これは草花や生き物をモチーフにした絵皿を制作する鹿児島の新旧の器を紹介するもので、あわせて国内外のファッションやインテリアなどのさまざまな領域でのコラボレーションしたプロダクツなども公開されます。


また絵本『蛇の棲む水たまり』の物語の世界を言葉と器で紡ぐインスタレーションも出展され、鹿児島の幅広い制作を楽しむことができます。PLAY!による空間演出も見どころとなりそうです。

続いては幕末から明治末にかけて活躍した浮世絵師の展覧会です。町田市立国際版画美術館にて『楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師』が開催されます。



『楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師』@町田市立国際版画美術館(10/7~12/10)

1838年に高田藩の藩士の家に生まれた楊洲周延は、若くして歌川派に学ぶものの、戊辰戦争にて旧幕府軍に加わるなどして激動の時を過ごし、40歳となった明治に入ってから本格的に絵師として活動をはじめました。


今回の展覧会では錦絵、版本、肉筆画など約300点の作品が公開され、楊洲周延がどのように制作をしていったのかについて明らかにされます。必ずしも単独の展覧会で取り上げられる機会の多い絵師ではないだけに、浮世絵ファン注目の展覧会となるかもしれません。

ラストは現代美術です。市原湖畔美術館にて『青木野枝 光の柱』が行われます。



『青木野枝 光の柱』@市原湖畔美術館(10/14~2024/1/14)

かねてより鉄を素材にした彫刻を手がけてきた青木野枝は、各地の芸術祭に参加するなどして活動し、あたかも自然と調和するような有機的とも呼べる作品を制作してきました。


青木は展示に際し、美術館で最も特徴的な地下からの高さ9メートルの吹き抜け空間に着目して新作『光の柱』を制作していて、あわせてのような『core』をはじめとする大型作品が公開されます。

イロハニアートにも10月のおすすめの展覧会を寄稿しました。


【10月おすすめ展覧会5選】長沢芦雪から『やまと絵』、松山智一まで | イロハニアート

少しブログの更新が滞っておりますが、しばらくはマイペースで続けたいと思います。それでは今月もどうぞよろしくお願いいたします。
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2023年9月に見たい展覧会【京都・南山城の仏像/杉本博司 本歌取り/インド細密画】

9月に入っても猛暑は衰えることなく、大変に暑い日が続いています。展覧会ではまもなく会期末を迎える『ガウディとサグラダ・ファミリア展』(東京国立近代美術館)が大変な人気を集め、最終日の9月10日までの開館時間を20時まで延長し、通常休館日の月曜も開館することになりました。



今月は秋のシーズンに向けて多くの展覧会が開幕します。見ておきたい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『横尾龍彦 瞑想の彼方』 埼玉県立近代美術館(7/15~9/24)
・『日本画に挑んだ精鋭たち —菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ—』 山種美術館(7/29~9/24)
・『あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―』 静嘉堂@丸の内(8/11~9/24)
・『館蔵品展 狩野派以外学習帳』 板橋区立美術館(8/26~10/1)
・『恋し、こがれたインドの染織—世界にはばたいた布たち—』 大倉集古館(8/8~10/22)
・『美人画 麗しきキモノ』 太田記念美術館(9/1~10/22)
・『江戸時代の美術—「軽み」の誕生』 出光美術館(9/16~10/22)
・『Material, or』 21_21 DESIGN SIGHT(7/14~11/5)
・『特集展示 堅山南風《大震災実写図巻》と近代の画家 大観・玉堂・青邨・蓬春』 半蔵門ミュージアム(7/19~11/5)
・『土方久功と柚木沙弥郎 熱き体験と創作の愉しみ』 世田谷美術館(9/9~11/5)
・『宇川直宏展 FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE』 練馬区立美術館(9/10~11/5)
・『めぐりあう大津絵』 八王子市夢美術館(9/15~11/5)
・『アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで』 そごう美術館(9/16~11/5)
・『ロイヤル コペンハーゲンと北欧デザインの煌めき』 横須賀美術館(9/16~11/5)
・『芥川龍之介がみた江戸・東京』 たばこと塩の博物館(9/16~11/12)
・『京都・南山城の仏像』 東京国立博物館・本館特別5室(9/16~11/12)
・『杉本博司 本歌取り 東下り』 渋谷区立松濤美術館(9/16~11/12)
・『春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ』 東京ステーションギャラリー(9/16~11/12)
・『山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ』 ワタリウム美術館(8/11~11/19)
・『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン』 アーティゾン美術館(9/9~11/19)
・『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』 六甲山上(8/26~11/23)
・『村田コレクション受贈記念 西洋工芸の美』 日本民藝館(9/14~11/23)
・『超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA』 三井記念美術館(9/12~11/26)
・『インド細密画』 府中市美術館(9/16~11/26)
・『北斎のまく笑いの種』 すみだ北斎美術館(9/20~11/26)
・「横尾忠則 寒山百得展』 東京国立博物館・表慶館 (9/12〜12/3)
・『井田幸昌展 Panta Rhei|パンタ・レイ―世界が存在する限り』 京都市京セラ美術館(9/30~12/3)
・『装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術』 東京都庭園美術館(9/23~12/10)
・『永遠の都 ローマ展』 東京都美術館(9/16~12/10)
・『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』 国立新美術館(9/20~12/11)

ギャラリー

・『落合翔平 THIS IS OCHIAI SHOHEI』 YUKIKOMIZUTANI(8/26~9/23)
・『Soh Souen(ソー・ソウエン)「Your Body is the Shoreline」』 √K Contemporary(9/16~10/14)
・『石内都 初めての東京は銀座だった』 資生堂ギャラリー(8/29~10/15)
・『ステファン・サグマイスター ナウ・イズ・ベター』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(8/30~10/23)
・『杉本博司|火遊び——Playing with Fire』 ギャラリー小柳(9/5~10/27)
・『ボスコ・ソディ「GALAXY」』 SCAI THE BATHHOUSE(9/16~11/5)
・『In Praise of Shadows – ヴェルサイユ宮殿 森田恭通 写真展』 CHANEL NEXUS HALL(9/27~11/5)
・『西澤徹夫 偶然は用意のあるところに』 TOTOギャラリー・間(9/14~11/26)

まずは仏教美術です。東京国立博物館にて『京都・南山城の仏像』が開かれます。



『京都・南山城の仏像』@東京国立博物館・本館特別5室(9/16~11/12)

これは浄瑠璃寺の九体阿弥陀の修理完成を記念し、京都府南部の南山城地域に伝わる諸仏を紹介するもので、『阿弥陀如来坐像』(九体阿弥陀のうち)をはじめ、海住山寺や禅定寺の『十一面観音菩薩立像』、または極楽寺の『阿弥陀如来立像』などが公開されます。

すでに奈良国立博物館にて『聖地 南山城―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝』(会期:7月8日~9月3日)が開かれ、南山城と周辺地域の仏像や神像、また絵画に典籍、考古遺品などが一堂に展示されましたが、そのうちの一部の仏像に焦点を当てた展覧会となりそうです。

現代と古典の作品同士が、現代美術家、杉本博司の目を通して邂逅します。渋谷区立松濤美術館にて『杉本博司 本歌取り 東下り』が行われます。



『杉本博司 本歌取り 東下り』@渋谷区立松濤美術館(9/16~11/12)

ここでは杉本が制作において援用する「本歌取り」をテーマにした新作を公開しつつ、元になる古典作品を公開するもので、杉本が本展のために手がけた『富士山図屏風』をはじめ、新作の「Brush Impression」シリーズ、または15世紀の『法師物語絵巻』などが紹介されます。白井晟一による建物とのコラボレーションにも注目が集まりそうです。

ラストはインドに関する美術展です。『インド細密画』が府中市美術館にて開催されます。



『インド細密画』@府中市美術館(9/16~11/26)

16世紀後半から19世紀半ばにかけ、インドの宮廷などでは一辺20センチほどの小さな絵、すなわち細密画が楽しまれると、今に至るまで多くの人々の心をとらえてきました。

そのインドの細密画に着目したのが今回の展覧会で、日本画家、およびインド美術研究家の畠中光享のコレクションより細密画の優品、約120点が公開されます。「愛」やインドの神々や英雄をモチーフとした、インド細密画の多彩な魅力に触れるまたとない機会となるかもしれません。

イロハニアートにも今月のおすすめの展覧会を寄稿しました。

【9月のおすすめ展覧会5選】『超絶技巧、未来へ!』から『めぐりあう大津絵』、『永遠の都ローマ』まで。 | イロハニアート

それでは今月もどうぞよろしくお願いします。
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2023年8月に見たい展覧会【葛飾北斎と3つの信濃/ジョセフ・アルバースの授業/六甲ミーツ・アート芸術散歩2023】

身の危険を感じるような暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。秋のシーズンを控え、今月にスタートする展覧会は必ずしも多くありません。見ておきたい展覧会をリストアップしてみました。



展覧会

・『練馬区立美術館コレクション+植物と歩く』 練馬区立美術館(7/2~8/25)
・『イギリス風景画と国木田独歩』 茅ヶ崎市美術館(6/18~8/27)
・『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本(後期)』 長野県立美術館(8/3~8/27)
・『北斎 大いなる山岳』 すみだ北斎美術館(6/20~8/27)
・『マルク・シャガール 版にしるした光の詩 神奈川県立近代美術館コレクションから』 世田谷美術館(7/1~8/27)
・『私たちは何者? ボーダレス・ドールズ』 渋谷区立松濤美術館(7/1~8/27)
・『歌川広重 山と海を旅する』 太田記念美術館(8/1~8/27)
・『フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン』 東京都庭園美術館(6/24~9/3)
・『聖像・仏像・彫像 柳宗悦が見た「彫刻」』 日本民藝館(6/29~9/3)
・『スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた』 国立西洋美術館(7/4~9/3)
・『杉浦非水の大切なもの 初公開・知られざる戦争疎開資料』 川越市立美術館(7/8~9/3)
・『中村直人 モニュメンタル/オリエンタル』 目黒区美術館(7/15~9/3)
・『日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術』 出光美術館(8/5~9/3)
・『生誕100年 山下清展ー百年目の大回想』 SOMPO美術館(6/24~9/10)
・『魔法の美術館 光と遊ぶ超体感型ミュージアム』 そごう美術館(8/1~9/10)
・『開館20周年記念展 中川衛 美しき金工とデザイン』 パナソニック汐留美術館(7/15~9/18)
・『虫めづる日本の人々』 サントリー美術館(7/22~9/18)
・『房総の海をめぐる光と影とアート展 クワクボリョウタ《コレクションネット》』 千葉県立美術館(7/19~9/18)
・『糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。』 静岡県立美術館(7/25~9/18)
・『冨安由真 影にのぞむ』 原爆の図丸木美術館(7/8~9/24)
・『横尾龍彦 瞑想の彼方』 埼玉県立近代美術館(7/15~9/24)
・『挑発関係=中平卓馬×森山大道』 神奈川県立近代美術館 葉山館(7/15~9/24)
・『開館10周年記念展 湖の秘密—川は湖になった』 市原湖畔美術館(7/15~9/24)
・『日本画に挑んだ精鋭たち —菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ—』 山種美術館(7/29~9/24)
・『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』 青森県立美術館(7/29~9/24)
・『あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―』 静嘉堂@丸の内(8/11~9/24)
・『テート美術館展 光 —ターナー、印象派から現代へ』 国立新美術館(7/12~10/2)
・『うえののそこから「はじまり、はじまり」 荒木珠奈展』 東京都美術館(7/22~10/9)
・『恋し、こがれたインドの染織—世界にはばたいた布たち—』 大倉集古館(8/8~10/22)
・『Material, or』 21_21 DESIGN SIGHT(7/14~11/5)
・『特集展示 堅山南風《大震災実写図巻》と近代の画家 大観・玉堂・青邨・蓬春』 半蔵門ミュージアム(7/19~11/5)
・『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』 DIC川村記念美術館(7/29~11/5)
・『山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ』 ワタリウム美術館(8/11~11/19)
・『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』 六甲山上(8/26~11/23)

ギャラリー

・『ハシグチリンタロウ × 山本尚志 - GRAM FORCE –』 YUKIKOMIZUTANI(7/14~8/12)
・『ジュリア・チャン Remember That Time When What』 NANZUKA UNDERGROUND(7/15~8/13)
・『THE ENDING '23』 クリエイションギャラリーG8(8/1~9/2)
・『石内都 初めての東京は銀座だった』 資生堂ギャラリー(8/29~10/15)
・『ケリス・ウィン・エヴァンス個展』 エスパス ルイ・ヴィトン東京(7/20~2024/1/8)

まずは日本美術です。長野県立美術館にて『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本(後期)』が開かれます。



『葛飾北斎と3つの信濃―小布施・諏訪・松本(後期)』@長野県立美術館(8/3~8/27)

これは北斎のゆかりのある信濃の3地域と北斎の関わりに焦点をあてるもので、錦絵の揃物や美人画や花鳥画などの肉筆画のほか、上町及び東町祭屋台天井絵や岩松院の天井絵といった晩年の小布施時代の作品も公開されます。


すでに7月1日から前期展示がはじまっていて、8月より多くの作品が入れ替わり後期展示がスタートします。あまり深く知られていない小布施、諏訪、松本での北斎の活動を紐解く見応えのある内容となりそうです。

続いては画家、デザイナー、そして美術教師として活動したアルバースの日本初の回顧展です。DIC川村記念美術館にて『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』が行われます。



『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』@DIC川村記念美術館(7/29~11/5)

ドイツのバウハウスで学び、のちに教師として基礎教育を担ったジョセフ・アルバースは、渡米後にブラックマウンテン・カレッジや、イェール大学に勤務にすると、戦後のアメリカの芸術家たちを育てました。


そのアルバースの主に教育者としての活動に着目したのが今回の展覧会で、ジョセフ&アニ・アルバース財団の全面的な協力のもと、国内初公開作品を含む絵画や関連資料など約100点が展示されます。アルバースの出した課題に挑戦できるというワークショップ・スペースにも注目が集まるかもしれません。

最後は今年注目の芸術祭です。『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』が開かれます。



『六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond』@六甲山上(8/26~11/23)

2010年より神戸・六甲山上にて毎年行われてきた『六甲ミーツ・アート芸術散歩』は、六甲の自然ともにアート作品を楽しめる芸術祭として知られ、アートファンだけでなく多くの観光客にも親しまれてきました。


14回目を迎える今年は、招待アーティストの拡充や芸術祭の拠点づくり、また各会場を繋ぐトレイルへの作品展示など、内容を大幅に拡充して開催されます。関西最大級の芸術祭を目指し、新たなステージへと進む芸術祭として大きな話題を呼びそうです。

一部内容が重なりますが、イロハニアートにも今月おすすめしたい展覧会を寄稿しました。

【8月のおすすめ展覧会5選】Immersive MuseumからMOMATサマーフェス、それに魔法の美術館まで。 | イロハニアート

それでは8月もよろしくお願いします。
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2023年7月に見たい展覧会【甲斐荘楠音/デイヴィッド・ホックニー/シン・ジャパニーズ・ペインティング】

暑い夏がやってきました。6月にはじまった展覧会では『ガウディとサグラダ・ファミリア展』が特に人気を集め、土日を中心に入場待ちの列ができています。今後、夏休みに入り、9月の会期末に向けてさらなる混雑も予想されます。



7月も注目の展覧会が少なくありません。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「本の芸術家・武井武雄展」神奈川近代文学館(6/3~7/23)
・『2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展』板橋区立美術館(6/24~8/13)
・『日本のタイル100年—美と用のあゆみ』 江戸東京たてもの園(3/11~8/20)
・『物語る絵画 涅槃図・源氏絵・舞の本』 根津美術館(7/15~8/20)
・『蔡國強 宇宙遊 ―<原初火球>から始まる』 国立新美術館(6/29~8/21)
・『練馬区立美術館コレクション+植物と歩く』 練馬区立美術館(7/2~8/25)
・『イギリス風景画と国木田独歩』 茅ヶ崎市美術館(6/18~8/27)
・『北斎 大いなる山岳』 すみだ北斎美術館(6/20~8/27)
・『マルク・シャガール 版にしるした光の詩 神奈川県立近代美術館コレクションから』 世田谷美術館(7/1~8/27)
・『私たちは何者? ボーダレス・ドールズ』 渋谷区立松濤美術館(7/1~8/27)
・『甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性』 東京ステーションギャラリー(7/1~8/27)
・『フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン』 東京都庭園美術館(6/24~9/3)
・『聖像・仏像・彫像 柳宗悦が見た「彫刻」』 日本民藝館(6/29~9/3)
・『スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた』 国立西洋美術館(7/4~9/3)
・『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』 渋谷ヒカリエホール(7/8~8/23)
・『杉浦非水の大切なもの 初公開・知られざる戦争疎開資料』 川越市立美術館(7/8~9/3)
・『中村直人 モニュメンタル/オリエンタル』 目黒区美術館(7/15~9/3)
・『生誕100年 山下清展ー百年目の大回想』 SOMPO美術館(6/24~9/10)
・『開館20周年記念展 中川衛 美しき金工とデザイン』 パナソニック汐留美術館(7/15~9/18)
・『虫めづる日本の人々』 サントリー美術館(7/22~9/18)
・『野又穫 Continuum 想像の語彙』 東京オペラシティ アートギャラリー(7/6~9/24)
・『冨安由真 影にのぞむ』 原爆の図丸木美術館(7/8~9/24)
・『横尾龍彦 瞑想の彼方』 埼玉県立近代美術館(7/15~9/24)
・『挑発関係=中平卓馬×森山大道』 神奈川県立近代美術館 葉山館(7/15~9/24)
・『開館10周年記念展 湖の秘密—川は湖になった』 市原湖畔美術館(7/15~9/24)
・『エルマーのぼうけん展』 PLAY! MUSEUM(7/15~10/1)
・『テート美術館展 光 —ターナー、印象派から現代へ』 国立新美術館(7/12~10/2)
・『Material, or』 21_21 DESIGN SIGHT(7/14~11/5)
・『デイヴィッド・ホックニー展』 東京都現代美術館(7/15~11/5)
・『特集展示 堅山南風《大震災実写図巻》と近代の画家 大観・玉堂・青邨・蓬春』 半蔵門ミュージアム(7/19~11/5)
・『ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室』 DIC川村記念美術館(7/29~11/5)

ギャラリー

・『坂本夏子 TILES | SIGNALS — UNEXPECTED DIMENSIONS』 Kanda & Oliveira(7/1~8/5)
・『第25回亀倉雄策賞受賞記念 三澤遥 個展「Just by」』 クリエイションギャラリーG8(7/4~7/27)
・『近藤聡乃展「ニューヨークで考え中」』 ミヅマアートギャラリー(7/5~8/12)
・『宇治野宗輝 個展Lost Frontier』 ANOMALY(7/7~ 8/5)
・『ジュリア・チャン Remember That Time When What』 NANZUKA UNDERGROUND(7/15~8/13)
・『小杉幸一 グラフィックパーク』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(7/11~8/21)
・『ケリス・ウィン・エヴァンス個展』 エスパス ルイ・ヴィトン東京(7/20~2024/1/8)

まずは大正から昭和初期に活動した芸術家の展覧会です。東京ステーションギャラリーにて『甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性』が開かれます。



『甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性』@東京ステーションギャラリー(7/1~8/27)

これは当時、革新的な日本画表現を求めた「国画創作協会」の一員として活動した甲斐荘の仕事を紹介するもので、絵画はもとよりスクラップブック、写生帖、はたまた映像などの作品と資料が展示されます。またかねてより画家として知られる甲斐庄の映画人、演劇人としての活動についても掘り下げられます。

なお同展は京都国立近代美術館よりの巡回展で、東京の美術館としては初めての甲斐荘の回顧展となります。

続いては現代美術です。東京都現代美術館にて『デイヴィッド・ホックニー展』が行われます。



『デイヴィッド・ホックニー展』@東京都現代美術館(7/15~11/5)

1937年にイギリスで生まれたホックニーは、1964年にロサンゼルスに移住すると、アメリカ西海岸の陽光あふれる情景を描いた絵画で注目を集め、以来、60年以上にわたって絵画、版画、写真、舞台芸術などの分野で幅広く活躍してきました。


今回の展示ではホックニーの新旧作、約120点を紹介するもので、コロナ禍の中にiPadにて描かれた全長90メートルの新作など最近の制作も公開されます。実に国内では27年ぶりの個展だけに、期待されている方も多いかもしれません。

最後は箱根のポーラ美術館です。『シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画 横山大観、杉山寧から現代の作家まで』が開催されます。



『シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画 横山大観、杉山寧から現代の作家まで』@ポーラ美術館(7/15~12/3)


ここでは明治以降に確立した「日本画」というジャンルに着目し、明治、大正、昭和に活動した画家だけでなく、三瀬夏之介や野口哲哉、さらに山本基や蔡國強らの現代で創作を続けるアーティストについても取り上げられます。

同館では2010年に近現代の日本画コレクションを公開する展覧会を行いましたが、さらにアップデートした意欲的な日本画展となりそうです。

一部内容が重複しますが、イロハニアートにも7月のおすすめの展覧会を寄稿しました。

【7月のおすすめ展覧会5選】テート美術館展からソール・ライター、デイヴィッド・ホックニーの個展まで。 | イロハニアート

それでは今月もどうぞよろしくお願いいたします。
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2023年6月に見たい展覧会【ポール・ジャクレー/三沢厚彦/イギリス風景画と国木田独歩】

6月は真夏に向けて多くの展覧会がスタートします。今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。



展覧会

・『吹きガラス 妙なるかたち、技の妙』 サントリー美術館(4/22~6/25)
・『谷川俊太郎 絵本★百貨展』 PLAY! MUSEUM(4/12~7/9)
・『発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間』 府中市美術館(5/20~7/9)
・『霊気を彫り出す彫刻家 大森暁生展』(6/3~7/9)
・『小林古径 生誕140周年記念 小林古径と速水御舟—画壇を揺るがした二人の天才—』 山種美術館(5/20~7/17)
・『恐竜図鑑 失われた世界の想像/創造』 上野の森美術館(5/31~7/22)
・「本の芸術家・武井武雄展」神奈川近代文学館(6/3〜7/23)
・『木島櫻谷 —山水夢中』 泉屋博古館東京(6/3~7/23)
・『尾形乾山生誕360年 琳派のやきもの —響きあう陶画の美』 出光美術館(6/10~7/23)
・『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』 太田記念美術館(6/3~7/26)
・『田沼武能 人間讃歌』 東京都写真美術館(6/2~7/30)
・『2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展』板橋区立美術館(6/24〜8/13)
・『日本のタイル100年—美と用のあゆみ』 江戸東京たてもの園(3/11~8/20)
・『ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ』 アーティゾン美術館(6/3~8/20)
・『蔡國強 宇宙遊 ―<原初火球>から始まる』 国立新美術館(6/29~8/21)
・『イギリス風景画と国木田独歩』 茅ヶ崎市美術館(6/18~8/27)
・『北斎 大いなる山岳』 すみだ北斎美術館(6/20~8/27)
・『古代メキシコ —マヤ、アステカ、テオティワカン』 東京国立博物館(6/16~9/3)
・『フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン』 東京都庭園美術館(6/24〜9/3)
・『聖像・仏像・彫像 柳宗悦が見た「彫刻」』 日本民藝館(6/29〜9/3)
・『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』 千葉市美術館(6/10~9/10)
・『ガウディとサグラダ・ファミリア展』 東京国立近代美術館(6/13~9/10)
・『生誕100年 山下清展ー百年目の大回想』 SOMPO美術館(6/24〜9/10)
・『本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語』 東京都写真美術館(6/16~9/24)

ギャラリー

・『エレナ・ノックス あざらし話』 ANOMALY(6/3〜6/24)
・『第25回亀倉雄策賞受賞記念 岡崎智弘 個展「STUDY」』 クリエイションギャラリーG8(6/6~6/28)
・『横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(5/15~6/30)
・『神谷徹「息/瞼の裏/なぞる」』 SCAI THE BATHHOUSE(5/9〜7/8)
・『坪本 知恵 間の形 – undetermined forms –』 YUKIKOMIZUTANI(6/16〜7/8)
・『ケニー・シャーフ I’m Baaack』 NANZUKA UNDERGROUND(6/10〜7/9)
・『田原桂一展「存在」』 √K Contemporary(6/17〜7/15)
・『近藤亜樹 わたしはあなたに会いたかった』 シュウゴアーツ(6/10〜7/22)
・『資生堂のクリエイティブワーク Series.1 「あいだ に あるもの ー1970年代の資生堂雑誌広告からー』資生堂ギャラリー(6/6~7/30)
・『ドットアーキテクツ展 POLITICS OF LIVING ⽣きるための⼒学』 TOTOギャラリー・間(5/18~8/6)
・『ダラ・バーンバウム個展』 プラダ青山(6/1〜8/28)

まずは新版画の展覧会です。太田記念美術館にて・『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』が開かれます。



『ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画』@太田記念美術館(6/3~7/26)

3歳の時に来日し、生涯を日本で暮らしたポール・ジャクレーは、幼い頃から浮世絵に関心を抱くと、30代前半にして南洋の島々やアジアに滞在し、同地に暮らす人々のすがたを新版画に表しました。


そのジャクレーの描いた162点のすべての新版画を紹介するのが今回の展覧会で、国内にて全点公開されるのは、軽井沢町追分宿郷土館で開催された『軽井沢を愛したフランス人浮世絵師 ポール・ジャクレー全木版画展』(2021年)以来、首都圏では初めてとなります。

ジャクレーというと2003年に横浜美術館でも回顧展(*)が開かれましたが、久しぶりに色彩豊かな木版画を楽しめる機会となりそうです。*『ポール・ジャクレー展 虹色の夢をつむいだフランス人浮世絵師』(会期:2003年4月19日〜6月15日)

続いては動物の彫刻で人気の三沢厚彦です。千葉市美術館にて『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』が開催されます。



『三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions』@千葉市美術館(6/10~9/10)

これは1990年代の初期未発表作から、代表作の「ANIMALS」シリーズ、そしてキメラといった最新作まで200点を超える三沢の彫刻や絵画を紹介するもので、千葉県内としては初めての個展となります。


またさや堂ホールを用いた展示や美術館のコレクションとのコラボといった、千葉オリジナルの内容にも注目が集まるかもしれません。

最後は日本におけるイギリス風景画の受容をたどる展覧会です。茅ヶ崎市美術館にて『イギリス風景画と国木田独歩』が開かれます。



『イギリス風景画と国木田独歩』@茅ヶ崎市美術館(6/18~8/27)


この展覧会は独歩の代表作『武蔵野』などに見られる自然観を起点に、コンスタブルやターナー、ジョン・マー ティンにサミュエル・パーマーらといった近代イギリス風景画を紹介するもので、主に郡山市立美術館と府中市美術館の所蔵の作品が展示されます。

一部内容が重なりますが、イロハニアートにも今月のおすすめの展覧会を寄稿しました。

【2023年6月のおすすめ展覧会5選】恐竜図鑑から抽象絵画、それに三沢厚彦や古代メキシコまで | イロハニアート

それではどうぞよろしくお願いします。
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2023年5月に見たい展覧会【大田南畝の世界/饒舌館長ベスト展/発掘・植竹邦良】

GWはいかがお過ごしでしょうか?今年はコロナ禍にもとなう行動制限が一切ない連休だけに、全国各地の行楽地へ多くの人が繰り出しています。新幹線や飛行機の予約状況もコロナ禍前の水準に近づいてきました。



私は近場の美術館を巡るつもりですが、特に連休後半にかけては『マティス展』をはじめとする人気の展覧会はかなり混雑するかもしれません。

それでは今月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『饒舌館長ベスト展』 静嘉堂文庫美術館(5/20~28)
・『茶の湯の床飾り —茶席をかざる書画』 出光美術館(4/22~5/28)
・『さかざきちはる ペンギンアパートメント』 芳澤ガーデンギャラリー(4/21~7/9)
・『建物公開2023 邸宅の記憶』 東京都庭園美術館(4/1~6/4)
・『明治美術狂想曲』 静嘉堂文庫美術館(4/8~6/4)
・『生誕110年 佐藤太清展 水の心象』 板橋区立美術館(4/29~6/4)
・『エドワード・ゴーリーを巡る旅』 渋谷区立松濤美術館(4/8~6/11)
・『大阪の日本画』 東京ステーションギャラリー(4/15~6/11)
・『さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展』 東京都現代美術館(3/18~6/18)
・『美しき漆 日本と朝鮮の漆工芸』 日本民藝館(4/13~6/18)
・『今井俊介 スカートと風景』 東京オペラシティ アートギャラリー(4/15~6/18)
・『没後40年 朝井閑右衛門展』 横須賀美術館(4/22~6/18)
・『麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン』 世田谷美術館(4/22~6/18)
・『奇想の絵師 歌川国芳』 うらわ美術館(4/22~6/18)
・『ベルギーと日本 光をえがき、命をかたどる』 目黒区美術館(4/29~6/18)
・『開館20周年記念展 ジョルジュ・ルオー —かたち、色、ハーモニー』 パナソニック汐留美術館(4/8~6/25)
・『吹きガラス 妙なるかたち、技の妙』 サントリー美術館(4/22~6/25)
・『没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界』 たばこと塩の博物館(4/29~6/25)
・『部屋のみる夢—ボナールからティルマンス、現代の作家まで』 ポーラ美術館(1/28~7/2)
・『谷川俊太郎 絵本★百貨展』 PLAY! MUSEUM(4/12~7/9)
・『発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間』 府中市美術館(5/20~7/9)
・『小林古径 生誕140周年記念 小林古径と速水御舟—画壇を揺るがした二人の天才—』 山種美術館(5/20~7/17)
・『アイラブアート17 プレイプレイアート展』 ワタリウム美術館(3/19~7/23)
・『日本のタイル100年—美と用のあゆみ』 江戸東京たてもの園(3/11~8/20)
・『マティス展 Henri Matisse: The Path to Color』 東京都美術館(4/27~8/20)
・『高橋龍太郎コレクション 「ART de チャチャチャ—日本現代アートのDNAを探る—』 WHAT(4/28~8/27)
・『石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ』 世田谷文学館(4/29~9/3)

ギャラリー

・『カーキな視界:内海聖史展』 三越コンテンポラリーギャラリー(5/3~5/15)
・『三嶋りつ惠 祈りのかたち』 シュウゴアーツ(4/22~5/27)
・『西島雄志 瑞祥 zui-shou ―時の連なり―』 ポーラ ミュージアム アネックス(4/28~6/4)
・『マッド スプリング』 Kanda & Oliveira(5/9~6/10)
・『横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(5/15~6/30)
・『ドットアーキテクツ展 POLITICS OF LIVING ⽣きるための⼒学』 TOTOギャラリー・間(5/18~8/6)

はじめはたばこと塩の博物館です。『没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界』が開催されています。



『没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界』@たばこと塩の博物館(4/29~6/25)

江戸時代の狂歌の名人、大田南畝は、版元の蔦屋重三郎や浮世絵師の喜多川歌麿と交流しながら、出版界の中心人物として活動すると、同時代の事件や歴史的典籍などを書き記した膨大な記録を残しました。


その南畝の業績を、書物や版本、それに肉筆や浮世絵を通して明らかにするのが『没後200年 江戸の知の巨星 大田南畝の世界』で、あわせて当時の文化人と南畝の交流を示す資料や南畝を支えたたばこ屋との接点なども紹介されます。

続いては8日間限定のスペシャルな展覧会です。静嘉堂文庫美術館にて『饒舌館長ベスト展』が開かれます。



『饒舌館長ベスト展』@静嘉堂文庫美術館(5/20~28)


これは今年7月に80歳を迎えた静嘉堂文庫美術館の河野元昭館長の傘寿を祝し、館長が選んだ近世絵画の名品を公開するもので、俵屋宗達の『源氏物語関屋澪標図屛風』や酒井抱一の『波図屛風』、また渡辺崋山の『芸妓図(校書図)』などが出展されます。

会場は千代田区の静嘉堂@丸の内ではなく、世田谷区の静嘉堂文庫美術館です。久しぶりに岡本の地が美術ファンで賑わうかもしれません。

ラストは府中ゆかりの画家の初の大規模回顧展です。『発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間』が府中市美術館にて開かれます。



『発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間』@府中市美術館(5/20~7/9)

戦後リアリズム美術運動の中に画家として歩みはじめた植竹邦良は、安保闘争や学園紛争などを題材をしつつ、戦中の記憶や地形、それに建築といったモチーフを混在させると、独自の奇異なモチーフが増殖しては入り乱れるような絵画世界を築き上げました。


その植竹の画業をたどるのが『発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間』で、初期から後年のスケッチや絵画に加え、植竹と接点を持っていた1960年前後の前衛表現をとった画家の作品が展示されます。

WEBメディアのイロハニアートへも5月のおすすめ展覧会を寄稿しました。

5月のおすすめ展覧会5選【2023年版】吹きガラスからベルギーと日本、それに石黒亜矢子展まで | イロハニアート

それでは今月もどうぞよろしくお願いします。
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2023年4月に見たい展覧会【明治美術狂想曲/谷川俊太郎/大阪の日本画】

4月に入りました。今年は3月からかなり暖かい日が続き、全国的に桜の開花も早まりました。下の写真は3月末に出向いた府中市美術館前の桜並木ですが、お花見こそ楽しめるものの、すでに散りはじめていました。



春の本格的な展覧会シーズンの開幕です。今月に見ておきたい展覧会をリストアップしてきました。

展覧会

・『東福寺』 東京国立博物館(3/7~5/7)
・『「買上展」藝大コレクション展2023』 東京藝術大学大学美術館(3/31~5/7)
・『戸谷成雄 彫刻』 埼玉県立近代美術館(2/25~5/14)
・『世界遺産登録10周年記念 富士と桜—北斎の富士から土牛の桜まで—』 山種美術館(3/11~5/14)
・『北斎バードパーク』 すみだ北斎美術館(3/14~5/21)
・『国宝・燕子花図屏風 光琳の生きた時代1658~1716』 根津美術館(4/15~5/14)
・『「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』 千葉市美術館(4/8~5/21)
・『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』 寺田倉庫G1ビル(4/5~ 5/26)
・『江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし』 太田記念美術館(4/1~5/28)
・『さかざきちはる ペンギンアパートメント』 芳澤ガーデンギャラリー(4/21~7/9)
・『ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築』 六本木ヒルズ展望台東京シティビュー(3/17~6/4)
・『建物公開2023 邸宅の記憶』 東京都庭園美術館(4/1~6/4)
・『明治美術狂想曲』 静嘉堂文庫美術館(4/8~6/4)
・『ブルターニュの光と風』 SOMPO美術館(3/25~6/11)
・『エドワード・ゴーリーを巡る旅』 渋谷区立松濤美術館(4/8~6/11)
・『大阪の日本画』 東京ステーションギャラリー(4/15〜6/11)
・『さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展』 東京都現代美術館(3/18~6/18)
・『美しき漆 日本と朝鮮の漆工芸』 日本民藝館(4/13~6/18)
・『今井俊介 スカートと風景』 東京オペラシティ アートギャラリー(4/15~6/18)
・『没後40年 朝井閑右衛門展』 横須賀美術館(4/22~6/18)
・『麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン』 世田谷美術館(4/22~6/18)
・『恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金』 あべのハルカス美術館(4/22~6/18)
・『開館20周年記念展 ジョルジュ・ルオー —かたち、色、ハーモニー』 パナソニック汐留美術館(4/8~6/25)
・『夢と自然の探求者たち―19世紀幻想版画、シュルレアリスム、現代日本の作家まで』 群馬県立館林美術館(4/22~6/25)
・『吹きガラス 妙なるかたち、技の妙』 サントリー美術館(4/22~6/25)
・『部屋のみる夢—ボナールからティルマンス、現代の作家まで』 ポーラ美術館(1/28~7/2)
・『谷川俊太郎 絵本★百貨展』 PLAY! MUSEUM(4/12~7/9)
・『アイラブアート17 プレイプレイアート展』 ワタリウム美術館(3/19~7/23)
・『日本のタイル100年—美と用のあゆみ』 江戸東京たてもの園(3/11~8/20)
・『マティス展 Henri Matisse: The Path to Color』 東京都美術館(4/27~8/20)
・『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会 みんなで学ぼう、アートと世界』 森美術館(4/19〜9/24)

ギャラリー

・『TDC 2023』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(3/31~4/28)
・『アダム・シルヴァーマン Umi no Tsubo 海のつぼ』 小山登美夫ギャラリー天王洲(4/6~4/28)
・『ケリス・ウィン・エヴァンス個展』 草月会館1階石庭「天国」(4/1~29)
・『山本基 時に宿る – Staying in Time–』 YUKIKOMIZUTANI(4/1〜5/6)
・『第16回 shiseido art egg 佐藤壮馬展』 資生堂ギャラリー(4/18~5/21)
・『JAGDA新人賞展2023石塚俊・藤田佳子・矢後直規』 クリエイションギャラリーG8(4/18~5/27)

まずは明治時代の美術に着目した展覧会です。静嘉堂文庫美術館にて『明治美術狂想曲』が開かれます。



『明治美術狂想曲』@静嘉堂文庫美術館(4/8~6/4)

これは「美術」という言葉は生まれ、美術館が初めて設置された明治時代を立脚点として、静嘉堂のコレクションを紹介するもので、近代美術として最初に重要文化財に指定された橋本雅邦の『龍虎図屛風』や論争を巻き起こした黒田清輝の『裸体婦人像』といった岩崎家とゆかりの深い作品が公開されます。


また幕末の世相の反映された落合芳幾の『末広五十三次 程ヶ谷』の初公開や、近年「超絶技巧」として再評価が進む鈴木長吉の『鷹置物』といった明治工芸の優品なども見どころになるかもしれません。

続いては詩人、谷川俊太郎の絵本に関する展覧会です。東京・立川のPLAY! MUSEUMにて『谷川俊太郎 絵本★百貨展』が行われます。



『谷川俊太郎 絵本★百貨展』@PLAY! MUSEUM(4/12~7/9)

ここでは谷川の200冊の絵本のうち20冊を取り上げ、その魅力を紹介するもので、絵本の原画はもとより、絵や言葉が動き出す映像、朗読や音、さらに巨大な絵巻や書き下ろしのインスタレーションなど、多様なアプローチによって絵本の作品を紐解いていきます。


PLAYならではのライブ感と絵本の世界を拡張したような空間構成にも注目が集まりそうです。

最後は日本画の展覧会です。東京ステーションギャラリーにて『大阪の日本画』が開催されます。



『大阪の日本画』@東京ステーションギャラリー(4/15~6/11)

これは明治から昭和前期にかけて大阪にて描かれた日本画を紹介するもので、50名を超える画家による約150点の作品が公開されます。(会期中展示替えあり)


すでに先行して開かれた大阪中之島美術館(*)でも評判を集めただけに、東京で大阪の日本画の魅力を楽しめるまたとない機会となるかもしれません。*「開館1周年記念特別展 大阪の日本画」会期:1/21~4/2。内容は一部異なります。

WEBメディアのイロハニアートにも4月おすすめの展覧会を寄稿しました。

2023年4月おすすめの展覧会5選 『燕子花図屏風』も見逃せない! | イロハニアート

それでは今月もどうぞよろしくお願いします。
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