━ かぜ、喉(のど)の違和感 ━
日増しに寒さが増し、空気も乾燥してくると“かぜ”にかかる人が増えて
きます。
しかし、たいていの人が、年に1~2回はかかるほどありふれたこの疾患は、
それが元でいろいろの重い病気を起こすこともあるので、できるだけ症状が
軽いうちに対処することが大切です。
そして、この時期の風邪は、鼻水や発熱、悪寒、頭痛などの症状はそれほど
激しくはなく、咳やのどの痛みだけがいつまでも続くことがあります。
そんな症状を緩和させるツボとして【天突 てんとつ】が効果を発揮します。
「天突」を人差し指の先で下方へ圧し込むように圧しては離すの刺激を
くり返すことで、喉周辺の気血の流れが良くなり、気管が広がり呼吸を楽にし、
咳や息苦しさなどの症状を取り除いてくれます。
ツボ療法・・・胸骨の上縁のくぼみが【天突】のツボです。
━ 元気回復、イライラ解消 ━
人は親から受け継いだ先天の気(生命エネルギー)と食物や大気から得た
後天の気によって生命が営まれています。
そして二つの気が合わさった元気は、身体に流れている経絡(けいらく)に
分与されている。
また、臓腑が陰陽になっており、腑に属する経が陽、臓に属する経が陰で、
その陽経に滞りが起こると陽の気が不足して元気がなくなってしまう。
にぎやかで明るい性格の人を「陽気」といいますが、陽の気を整えることで
こころも身体もリフレッシュするのです。
そこでお勧めなのが【陽池 ようち】のツボです。
“陽”の気が“池”のように貯まっている場所という【陽池】穴は、
陽の気を全身に行き渡らせ、元気回復、足腰の冷え、イライラ、疲れやすい、
足腰がだるい、精力減退などの症状に効果を発揮します。
またこのツボは、子宮後屈などの位置異常を治す経穴(けいけつ)としても
知られています。
ツボ療法・・・【陽池】のツボは、手の甲側の手関節のほぼ中央で、
2本の腱のくぼみの中にとります。
━ 焦燥感(イライラ・あせり)、足の冷え ━
不安のためにしきりに焦りイライラすること、ジッとしていられない状態を
焦燥感(しょうそうかん)といいますが、焦燥感の強い人は、物事を否定的に
とらえる傾向が見られます。
そこで自己への肯定感(ポジティブ)を高め、のんびり音楽を聴いたり、
運動をしたりして、自分自身の生活に充実感をもつようにすると焦燥感が
徐々に薄らいできます。
そして、足にある【隠白 いんぱく】のツボを強めに刺激していると
気血の流れが良くなり、イライラがなくなり、根気も続くようになります。
また【隠白】は、足の冷え、痺れ・ひきつけ・腹の張り・生理不順・吐き気
などにも効果があります。
ツボ療法・・・【隠白】穴は、足の親指の内側で爪の生え際に取ります。
━ 痔疾患、頭痛、脱毛症、高血圧症 ━
身体を動かすことが少なくなった現代人は、座る、しゃがむ、かがむ、中腰
というような姿勢をとる機会が多くなり、腹圧が高くなり、肛門周辺の血液が
心臓に戻り難くなって鬱血(うっけつ)し、“痔疾”になり易くなっています。
そこで、仕事の合間に肛門をすぼめたり、軽い体操をしたりして、姿勢の
転換をはかり、肛門周辺の気血が滞らないようにして、よい排便を心がけます。
そして効果的なのが【百会 ひゃくえ】のツボ刺激です。
鍼灸医学には、「病上にあればこれを下にとり、下にあれば上にとる」と
いう“遠道刺”という方法がありますが、下の病である“痔疾”を頭(上)の
天辺にある【百会】のツボを刺激することで気血の虚実を調整し、肛門付近の
鬱血が改善されていくのです。
また【百会】のツボは、頭痛、高血圧、乗り物酔い、鼻が詰まる、疲れ目、
耳鳴り、脱毛症などにもすぐれた効果を発揮します。
ツボ療法・・・【百会】穴は、頭頂部のほぼ中央に取ります。
━ 下痢・腹痛・便秘・月経不調 ━
食事の欧米化、ストレス、不規則な生活などが原因して、大腸炎で苦しんで
いる人たちが急激に増えてきているといわれています。
中でも、阿部晋三元首相が患い、一躍知名度が上がった“潰瘍性大腸炎”は
厚生省指定の特定疾患で、下痢や腹痛、血便などの症状を抑えるために
ステロイド剤を常時服用しなければなりません。
しかし、ツボ療法ではこれらの症状に有効なツボがあります。
そこで使うのが【天枢 てんすう】のツボです。
この【天枢】穴は、大腸の募穴(気血の集まり、反応が現れ易い場所)で、
お腹の病気全般に効く非常に重要なツボであります。
まずは、このツボを圧してみてください。
下痢などでお腹の状態が良くないときに、【天枢】穴に硬いしこりや圧痛を
感じますが、温灸による熱刺激を繰り返し行うと腸の動きが整ってきます。
また、このツボは、婦人科疾患などにも効き目を発揮しますから、
このツボの位置を知っておくと便利です。
さらに、疲れやすい、根気がない、なんとなくだるいという時にも、
【天枢】穴は有効です。
ツボ療法・・・【天枢】のツボは、へそから左右へ指幅2本分
のところにあります。
━ 突発性難聴、耳鳴り、めまい(眩暈) ━
耳は外耳、中耳、内耳の3つの部分からできていますが、鼓膜から一番遠く、
骨の中に埋まっている内耳は、蝸牛(かぎゅう)、三半規管などがあります。
その内耳の蝸牛に障害が起こることで、突然聞こえが悪くなったり(難聴)、
酷いときは聴力が全くなくなる(聾-つんぼ)ことがあります。
いわゆる“突発性難聴”ですが、内耳へのウイルス感染、内耳の血行不全に、
よるもの、原因が特定できないものなどがあります。
治療法として、薬物投与、星状神経ブロック、高圧酸素療法などの方法が
行われていますが、確定的なものはありません。
しかし、できるだけ早くツボ療法を開始すると、治療効果が高まります。
そこで効果的なのが【聴宮 ちょうきゅう】のツボです。
【聴宮】穴は、老人性難聴、耳鳴り、めまいなどにも特に有効なツボです。
ツボ療法・・・【聴宮】のツボは、耳珠(じしゅ…耳の前のやわらかい
小さな突起)のすぐ前で、口を大きくあけるとできる
くぼみのなかに取穴します
━ 変形性膝関節症、膝の痛み ━
膝関節には、体重の3~4倍もの圧力がかかっており、加齢、長年の運動
などが原因で、膝関節のクッションである軟骨がすり減って、変形したり、
炎症が生じて痛みが起こってきます。
この変形性膝関節症が中高年の女性に多い原因として、男性に比較して
膝を支える筋肉や靭帯が細いこと、関節の面積が小さいために、関節にかかる
負担が大きいこと、肥満などがあげられます。
痛みや炎症があるときには安静も必要ですが、動かさないでいると治癒を
遅らせることにもなりかねません。
膝に体重をかけないように椅子に腰掛けて、膝を真っ直ぐ伸ばしたり、
直角に曲げたりして膝や大腿にある筋肉の働きを高めることも大切です。
そして、膝関節の負担を軽減するために、体重を2~3kgほど減らす
努力をすることも必要です。
そして効果的なのが【犢鼻 とくび】のツボ刺激です。
【犢鼻】のツボを刺激することで、膝関節の血液の循環がよくなって、
炎症や痛みが和らぎ徐々に階段の昇り降りも楽にできるようになってきます。
ツボ療法・・・膝蓋骨(しつがいこつ=膝のお皿)の直下よりやや外側の
凹みに【犢鼻】のツボがあります。
━ 五十肩、腕の痛みや痺れ ━
気持ちは若いつもりでも40歳を過ぎると、白髪が増え始め、近くのものが
見え難く(老眼)なって、関節も硬くなるなど老化の兆候が始まってきます。
そこで、この歳のことを「初老」の異称があります。
特に50歳前後に肩関節に炎症をおこす肩関節周囲炎(五十肩)は、
血液の流れが悪くなって肩全体が冷えきって、凍ったように硬くなるため
「凍結肩=フローズンショルダー」とも云います。
加齢による一種の老化現象で、関節周囲の腱、筋、靱帯に異常が起こり、
肩関節の運動障害と激しい痛みが現れてきます。
とくに、帯を後ろで結んだり、髪を整えたりする動作が出来なくなり、
肩の重圧感、知覚異常、疼痛などで夜も眠れなくなるほどです。
そこで効果的なのが【肩ぐう けんぐう】へのツボ刺激です。
【肩ぐう】のツボを温かい指で丁寧に指圧したり、タバコ灸などで温灸
刺激をくり返すと、肩関節の血液の循環を良くさせ、筋肉、腱、靱帯等に
栄養や酸素が十分行き届くようになり、炎症が鎮まり痛みが和らいできます。
ツボ療法・・・【肩ぐう】のツボは、腕を真横に水平に上げると肩先と
腕の付け根あたりをよくさわってくぼんだところに
この穴をとります。