![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/cf/b44e563f64b2086f0fd46b79c3517e8e.jpg?1581225795)
バレンタインデーが近づいてきました。チョコレートの季節。原料のカカオの学名はTheobroma cacao。Theoは神、bromは食べ物、スウェーデンの自然科学者リンネが名付けました。チョコレートは歴史的にも植物学的にも興味深い食べ物なのです。
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@大船フラワーセンター展示パネル(2020)
カカオの原産地は熱帯アメリカを中心とした、赤道を挟んで北緯20度から南緯20度までの地域。
直径3cmほどの花は、幹から直接咲く「幹生花」。1本の木に1万もの花を咲かせるんだとか。
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もちろんすべてが実るわけではなく、無事受粉し、さらに病気や虫などから回避できたものだけが、カカオポッド(実)となるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/0a/0f8ada570c8721a3d8c6247a89423401.jpg?1581163007)
成熟したカカオポッドを割ると、中には白い綿状の果肉(カカオパルプ)に包まれた種子(カカオ豆)が確認できます。
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白い部分がカカオパルプ。真ん中が種子です。
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カカオポッドから種子を取り出すためには、カボチャのように硬い果皮を一つ一つナタで割らなければなりません。
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2015年に参加したWSの展示写真より
現地では一つ一つ手作業とのこと。
実が割れた後、さらに発酵の工程に入ります。その際、基本的にはカカオパルプは取り除かずに一緒に発酵させるようです。発酵させ乾燥させると、自然にとれるため、あえて取り除くという手間はかけないってことのようです。
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発酵の方法としては、バナナの葉が手に入る地域ではそれに包み、それが手に入らない地域では木箱に入れるのが一般的なんだとか。
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2018年に参加したWSの展示写真より
藁に納豆菌がいるように、バナナの葉にもカカオを発酵させる菌がいるんだそうです。
1週間ほどで発酵は完了。その際、カカオパルプが発酵した「カカオ酒」なるものができるらしく、これは現地に行かねば飲めないとのこと。いつか飲んでみたいものです。
乾燥は基本天日干し。再発酵しないよう水分が6%以下になるまでよく乾かします。
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2015年に参加したWSの展示写真より
ここまでの作業は、基本的に原産地で行われます。そして、厳しい基準に合格したカカオ豆だけが、日本へと輸入されてきます。長い道のりだぁ〜
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この麻袋1杯でだいたい60kg
このカカオ豆からいよいよチョコレート作りに突入するわけです。
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まずは種をローストし、皮を剥きます。中から出てきたものがカカオニブです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/1e/a54b6536c8f85229b77be94c91489719.jpg?1581222178)
皮をむいた分一回り小さくなりました。
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驚いたのはチョコレートっていうのは、このカカオニブを砕いて攪拌するだけでできちゃうこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/86/15d78a50bad01b0584324cab5a4f4953.jpg?1581222411)
火は使わなくてよいのです。
カカオ豆の40~50%は油脂でできているため、摩擦熱でこの油脂が溶け出し、ペースト状になります。
カカオ豆の40~50%は油脂でできているため、摩擦熱でこの油脂が溶け出し、ペースト状になります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/7c/f376d94013708d293da53eff3f8ea5bc.jpg?1581222495)
すでにチョコレートの様相ですが、このカカオニブペーストはそのままではものすごく苦いです。
神の食べ物と呼ばれたマヤ文明。その頃のカカオは、スイーツではなくエナジーフード。この苦い液体をパワーに変えていたようです。
というわけで、ここで砂糖を投入。
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砂糖を混ぜて、初めていつものチョコレートになるわけです。ですから昔は高級品。
南米からヨーロッパに渡ったことで今のチョコレートが誕生しました。
南米ではモレソースなど、カカオを使った肉料理に合うソースや飲み物としての食文化が育ったようです。
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攪拌すること10分。
油脂が溶け出したことでツヤもでてきました。
これを型に移し冷やします
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/68/e3c3ee0b13920c874ca1453c027aed02.jpg?1581223542)
そして出来上がったチョコレートがこちら↓
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/15/adab444ac21d0834653f74a66434325d.jpg?1581223622)
通常食べている舌触りの良いチョコと違い、この手作りチョコは豆の粒が残っていてざらつく感じがありました。それをなくすためには、コンチングという「練り」の工程が必要らしいのですが、その手法を確立したのが、スイスチョコ老舗の創立者、リンツさんだそうです。
ここから先の工程はお料理ページで検索ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/63/c042b49c6542bbbf8d8324a794919339.jpg?1581224901)
ちなみに、カカオニブをすり潰し、ドロドロ溶けたものは「カカオリカー」、そしてそれを固めたものは「カカオマス」と呼ばれます。
そしてカカオリカーから分離された油分は「カカオバター」その残りが「ココアパウダー」。
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ココアパター@大船フラワーセンター
ココアは、この油分のないココアパウダーを溶かしたもの。そしてホットショコラ(ホットチョコレート)は油分のあるチョコレートを溶かしたもの。実はそんな違いがあったのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/6d/4d5f80b5541232bdc7165ef162365768.jpg?1581225204)
カカオ豆を焙煎する温度や時間、発酵のさせ方、そしてカカオそのものの品種によって、チョコレートの味はかなり変わってきます。
もちろん、カカオと砂糖の割合や他の添加物によっても味は千差万別。
コーヒーやワインのようにチョコレートの世界も奥が深い、深い…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/31/efd85f3c007229094b1a52c63657c259.jpg?1644139962)
「チョコレートjourney」
@バニラビーンズみなとみらい店
いずれにしても、自然との関わりの中で食文化が生まれたんだと思うと、改めて食の世界もおもしろいなぁと…。
カカオ栽培についてはこちらの記事にも詳しく書きました
カカオ(アオイ科)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/83/f5728401461655a4111bd89b55f20f21.jpg?1644240390)
原産地:熱帯アメリカ/花は周年(日本では8月)
チョコレートのこと初めて知りました。
有難うございました。
ブログ5周年おめでとうございます。チョコレート、私もまだまだ知らないことだらけ。奥深いです!