Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

本心

2009-07-15 | 想い・雑感
もう10年以上動物園に行ったことがないので
いまでは状況が変わっているかもしれないが
ゴリラの檻の前には
「ふんを投げつけるので気をつけてください」
などという立て看板がある
投げつけられたくなければ近づかなければ良いのだろうが
逆に興味を持ち 恐る恐る近づいたりするのが 人である
そして時にはヒトの優越を感じたりもする

しかしゴリラは分けがわからずフンを投げるのではないだろう
この野郎 と思うかどうかは知らないが
何かの感情表現のはずで
フンを投げていること自体は認識しているはずである

ヒトの場合
己の排泄の管理ができるというのが当たり前と思って生きているので
そのゴリラを見ると ヤレヤレ と感じるわけだが
自身の排泄管理ができなくなる事態はヒトにだっておきうること

病気や年齢による機能低下のために起きる場合と
認知症などの精神障害によって起きる場合とがある
前者の場合はその本人も事態を認識しているので対処法もあるだろうが
後者の場合は本人がわからない場合も多いだろうからなかなか難しい

認知症がかなり進んだ方に対する治療を依頼される事がある
精神科病棟があるので
そこに入院していただいた上で治療計画を立てていくことになる

そのような方の中には
ところかまわず排泄したり 排泄物を投げ散らかしたりする方もおられる
当然手術内容の説明を本人が理解することは望めず
手術自体を本人が希望するか否かもわからない
結局家族の希望にそう形になってしまう

こんなとき
叶わぬことではあるが
本人の心に繋がる糸電話でもあればなぁ と思う
本当は何を望んでいるのか 知りたいなぁ と思う

結局本人がどうしたいかではなく
家族の気持ちを納得させるための治療になってしまっているのではないかと
自問するが答えは見つからない
本人の本心がわからないのだから