Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

同じ移植?

2009-07-09 | 想い・雑感
移植の問題を語り合うテレビ番組を見ていると
どんどん移植医療を推進したいと考える人の中には
「輸血だって移植だよ」
と脅しのように発言する人がいる

三つの点で違和感を感じる

①移植といった場合通常は
実質臓器(心臓、肝臓、腎臓、膵臓、肺臓など)や
管腔臓器(小腸など)の移植をさすものなので
血球成分を細胞として輸注する輸血とは
ちょっと論点がずれると感じる

②輸血の中でも赤血球を主として輸注する(濃厚赤血球輸血)場合を考える
成熟赤血球は核を持たない(脱核)ので細胞分裂せず
平均120日ほどでなくなってしまうとされている
ずっと臓器として体内で生かそうとする臓器移植とは異質である
輸血には当然免疫抑制剤など必要ない

③多くの臓器移植が他者の死を前提としているのに対し
輸血の場合は血液提供者の生を前提としている

一般の移植と輸血を同じ土俵で論じてはいけないのだ

目の前の患者さんを救いたい気持ちは痛いほどわかるが
先走った発言は
かえって推進の妨げになるかもしれない