私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

身延山へ

2018-03-31 09:21:11 | 日記

March 30, 2018

英和辞典の点訳に携わっている方たちと4人で身延山にお花見に出かけた。私には珍しいことだったが、楽しい1日だった。身延山は日蓮宗の霊山で四季折々の観光名所としても知られているところだ。たまたま点訳をご一緒していて甲府から通って来てられる方の案内で実現した小旅行だった。新宿からあずさ号に乗り、甲府で降りた。案内してくださった方の運転する車で山頂に通じるシャトルバス乗り場まで行き、そこからはタクシーも使ったりしながら身延山久遠寺まで登り、宿坊の一つで予約してあった精進料理をいただいた。湯葉を使った料理が多く、私たちの年齢にあっていておいしかった。宗教には無縁の身ではあるが、本堂の前では合掌した。途中で財布の入った袋を置き忘れ、運よく手元に戻ったが、ご利益があったのではないかと皆に笑われた。メインである樹齢400年のしだれ桜をはじめ、山肌を背景に咲き誇るソメイヨシノも満喫した。ここ2,3日の暖かい陽気で一斉に開花したのだろう、今日が最高といった感じで、日程を早めたのがよかった。少しきつい坂道や階段もあったが、リュックに持参した杖が役立った。皆様に気を使っていただいたが、体のどこかが痛むとかなんとかは全くなく、少し自信がついた。画像をいつもより大きくして載せて、今日のブログは終わりにしよう。

 


笑いを拾う

2018-03-26 13:07:51 | 日記

March 26, 2018

老人が多い。先日バスに乗っているとき、はす向かいに座っていたおじいさん(といっても私よりは若い)の胸元が気になってよく見ると、上着から頭だけ出した小さな犬のぬいぐるみを抱いていて、バスが走り出すと、その犬の頭を撫でて、「もうすぐお家だよ」といった言葉を口にした。それがあまりに自然だったので、心が和み、また笑いをこらえた。帰宅すると、さっそく棚に置いてある猫のぬいぐるみに目をやった。これは、友人から家にあるぬいぐるみを捨てるといったときにもらい受け、私が毛糸で帽子を作ったものだ。私も出かけるときは、バッグに入れて持ち歩いてみよう。

あんなに寒かったのがウソのような陽気だ。毎年繰り返されることとはいえ、今年はいつまでも寒さで悩まされたので、日差しが出てくると、特に用事がなくても1日1度は駅前まで出かける。どこを歩いていても桜が目につく。小学校ごろに使っていた下敷きに富士山と桜の絵があったのを思い出した。日本人、富士山、さくら、どういうわけかなじめなかったものが、ようやく身内に感じ始めてきた。30日には、点訳の会の方たち数人と、身延山にお花見に行くことになっている。背中の圧迫骨折が完治しているわけではないが、こういったお誘いに乗ることも必要だと考え、ご一緒させていただくことにした。思いのほか早く桜の季節が来てしまったので、4月初めだったのが、だいぶくり上がった。花の命は短い。せっかく行くのだから、満開の桜を楽しみたい。いろいろと手はずをしてくださる方に感謝したい。

画像は、ベランダのすぐ先に見える「モクレン」。大きな花びらが、風に乗って植木鉢を覆っていたりする。


本を買う

2018-03-17 14:58:09 | 日記

March 16, 2018

年度末なので、買い物で使っているカードのたまっているポイントで本を買うことにした。最近はもっぱら図書館を利用しているので、本屋に立ち寄っても買うことはめったにない。私のようなものとは別に、この頃本屋で本を買う習慣がなくなってきているようだ。本屋の閉店が続いている。いつも立ち読みで利用していた駅構内の本屋がなくなっていた。仕方がないので、駅前の大きなショップの中にある有隣堂に行った。ここで、次回の読書会の本に指定されている向田邦子の文庫本2冊とダン・ブラウン『インフェルノ』上(角川文庫)を購入した。老い支度もあって、できるだけ身の回りにものを増やさないようにしているのだが、久しぶりにこうして本屋で本を買うと、たとえ文庫本であってもうれしい。

夕食に何を作ろうかと冷蔵庫を覗いていたら、冷凍庫の中にだいぶ前に買って冷凍しておいたひき肉が目についた。これでスタッフドピ-マンを作ることにした。ピーマンのひき肉詰めである。特に目新しいレシピではないが、肉の味付けにみそを用いることにしている。ひき肉、玉ねぎのみじん切り、パン粉、卵、みそ(ひき肉200グラムに小さじ1)に塩コショウをこね合わせ、縦半分に切って片栗粉をふったピーマンにきっちりつめて、肉の面を下にして焼き色がつくまで焼き、裏返して酒と水各大匙1入れて5分ほど蒸し焼きにすれば出来上がり。キャベツの細切りを添える。最近、足がつったりして、血流がよくないようだ。魚料理に切り替えようと思っているので、自分で作る最後の肉料理かもしれない。

画像は、友人のメールから、「シクラミネウススイセン」。


本を読む

2018-03-13 11:23:43 | 日記

March 13, 2018

図書館から、予約してあった本、ジェイムズ・ロード『ジャコメッティの肖像』(みすず書房)が届いたというメールが入り、借りてきて読んだ。先日このブログで触れた映画「ジャコメッティ 最後の肖像」の原作となった本だ。映像もよかったが、なぜか活字で読んでみたかった。ジャコメッティは、20世紀を代表する彫刻家であり、同時に優れた画家であり、素描家であり、版画家でもあった。本書は、1964年9月12日からの18日間に、パリのアトリエで、ジャコメッティが著者ロードをモデルとして油彩画を制作した際の記録である。みすず書房の高価な本で、私には、図書館で借りてこそ読める本だ。この肖像画の作成過程の絵を写真に撮ったもの、ジャコメッティ本人やアトリエ、またモデルとなった著者の写真も含まれていて、手元に置きたいと思うような本だった。なお、著者のロードは、アメリカ生まれの美術評論家、エッセイストである。第二次世界大戦中、アメリカ兵としてパリに滞在し、退役後もフランスにとどまり、パリの芸術家、思想家と広く交友を持った。

活字で描かれる多くの天才と同様、複雑な芸術家の心と向き合って、根気よくモデルをつとめながら、ジャコメッティと彼を取り巻く人々や事象を鋭く観察し書き留めた作品に、こうして出会えたことがうれしい。若いころは、よく美術館に足を運び、海外の名作にじかに触れて感動したものだったが、入館料が高価だといったこともあり、最近はずいぶんそういったことからも遠のいてしまっていた。久しぶりに訪れた国立新美術館での「ジャコメッティ展」が、こんなにも楽しい思いを与えてくれた。そんなわけで、今、国立新美術館で開かれている「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」を妹を誘って出かけることにした。次に、著者とジャコメティの終わりなき対話の一部を引用させてもらう。

 彼はうめいた。彼はため息をついた。私はすっかり慣れてしまってていたが、彼は自分を非難する言葉と激怒の言葉のかぎりを口にした。ようやく彼はこう言った。「きみは怒ってるか?」
 「いいえ」と私は言った。「もちろん怒ってなんかいません。なんで私が怒るんですか?」
 「すべてを壊しているからだ。」
 「ばかなことを言わないでください。」
 「だが、それはほんとうのことなんだ。」
 「それはあなたの意見にすぎません」と私は言った。「一般に芸術家は自分の作品を判断できないと思われているんですよ。いずれにせよ、あなたはおそらくこれを私と同じ見方で見ることはできないのです。それが私にとって美しいものであるのに、同じときに、あなたにとっては台無しになったものであるかもしれないのです。」
 「いまにわかるだろう」と彼は言った。(ジェイムズ・ロード、関根浩訳『ジャコメッティの肖像』みすず書房)

画像は、妹のメールから、「クリスマスローズ」。

        


一陽来福

2018-03-09 10:27:56 | 日記

March 9, 2018

東北大震災が起こった日、3月11日が近づき、メディアでも頻繁に取り上げられている。あの震災を風化させてはいけないという言葉は声高に言われる。確かにどんなにひどかった出来事でも、自分と結びつくものが薄いほど意識の中から消えていくことは否めない。私も、今あの日を振り返ってみると、歯科医院の待合室で、かなりひどい揺れがあって、3階にある医院から1階まで誘導してもらい、それを2回繰り返したことを思い出す。帰宅して見た、テレビの画面に映し出される津波の映像は衝撃的なものだったが、私の日常の中では薄れていっている出来事だ。

眠れないままに聞いているラジオのNHK深夜便で、この震災を扱ったドキュメンタリー映画「一陽来福」について語られているのを耳にした。一陽来復とは、文字通り、冬が去り春が来ること。悪いことばかりあったのがようやく回復した善い方に向いてくることだ。3月3日から公開されているということで、私が足を運べる映画館でいつ上映されるかは定かでないが、ぜひ見たい。最近物忘れがひどく、気配りもできなくなっている自分があり、心もとない日常である。それでも依然開いていた英語教室に来てくれていた生徒さんから、暖かくなったらお邪魔していいですか、などというメールや電話をいただくと、気持ちがしゃんとして、自分が過ごしてきた日々を大切にしていきたい、その中に震災の記憶もあるのだろうと思う。私たちの年代にとって忘れてはならない、第2次世界大戦の記憶とともに、改めて頭に刻み込もう。

画像は、ベランダの沈丁花。小さな鉢の花でも、春の香りを届けてくれる。 


映画「はじめてのおもてなし」

2018-03-02 15:29:30 | 日記

March 2, 2018

3月、これで季節も後戻りはできないだろう。アルテリオ・シネマで映画を見てきた。珍しくドイツ映画だった。「はじめてのおもてなし」、2017年のバイエルン映画賞とドイツ・アカデミー賞を受賞している。メルケル首相の移民受け入れ政策に少し陰りは出てきてはいるものの、ヨーロッパで、増え続ける難民を受け入れてきた国ならではのヒューマンな映画だ。映画紹介はいつものようにパンフから抜粋、「ミュンヘンの閑静な住宅地に暮らす一家。父は引退勧告を突っぱねる大病院の医長、母は定年退職した元教師。子供たちも成長し、暇を持て余す母は、アフリカからの難民をひとり受け入れると宣言、ナイジェリアから来た難民の青年を自宅に住まわせる。家族は初めてのおもてなしに張り切るが、反対デモやテロ疑惑で大騒動が起きてしまい、・・・。難民問題で揺れるドイツで大ヒットを記録したホームコメディ。」とある。

フランス語ほどではないが、ドイツ語も私には耳にやさしい。外国映画を見るといつも感じることだが、日本では同じようなシチュエイションは考えられない、だからこそみる価値があるのだと思う。パンフにはまた、「笑いあり、涙あり、そして考えさせられる映画。」という言葉があった。その通りの映画だ。収容人数が113人の小劇場だが、今日はほとんどが女性で、しかもほぼ満席だった。後で調べてみると、今日は金曜日、レディースデーとかで、女性の割引がある日だった。私はシニア割引でいつでも1000円だが、一般1800円が1000円になるのだから、満席になるのも当然だろう。知る人ぞ知るような小さい地味な映画館だが、私には、唯一の娯楽場所が歩いて行けるところにあることがうれしい。

画像は、寒椿。友人宅のお庭で撮らせていただいた。