August 30, 2017
話題になっている映画「海辺の生と死」を見てきた。この映画は、作家・島尾敏夫とその妻・島尾ミホの自伝的な作品を土台にして映画化されたものだ。時は太平洋戦争末期、映画は昔のお話のようなナレーションで始まていたが、80歳の私は共有する時代だ。奄美大島・加計呂麻島に、海軍の特攻隊の部長として着任した朔と島の名主の娘で国民学校の教員トエとのいつ訪れるかわからない死をはらんだ中での強い愛の姿が描かれている。島尾敏夫の作品『死の棘』や梯久美子が編纂した島尾敏夫作品集『祈る人』(中公文庫)を読書会で取り上げたこともあり、この映画はぜひ見たいと思っていた。
パンフの解説には、「島尾敏夫と妻ミホの伝説的な恋愛を、奄美の美しい風物とともに映画化」とある。確かにこの稀有なまでの男女のひかれあう姿は、神が宿るともいわれる奄美群島の中の島の美しい背景だからこそ存在したのだと感じさせられる。また、島で古くから歌い継がれてきたという奄美島唄の何とも言えない魅力的な旋律や踊り、すべては映画の叙情性を盛り上げている。主演の男女を演じた俳優・満島ひかりと永山絢斗が素晴らしかった。上でも触れたが、私は、ちょうどタエの生徒に当たる年齢だった。焼けるような太陽が照り付ける8月15日の終戦の日の情景も、昨日のようによみがえってきた。背景は違っても、あの時代あの日の体験は、忘れない思いとなって記憶の中に残っている。強い反戦の映画でもあった。世界の映画祭でも通用する作品ではないだろうか。日本映画を見る楽しみが増えた。午後5時25分 に始まり2時間半に及んだ映画を見終えて、夜の街を通って帰宅した。
画像は、図書館の庭で撮った。新しパソコンで、まだ画像がよく設定できず大きくなっている。