私の日常

毎日の生活で印象に残った出来事を記録しておきたい。

映画「海辺の生と死」

2017-08-30 08:41:49 | 日記

August 30, 2017

話題になっている映画「海辺の生と死」を見てきた。この映画は、作家・島尾敏夫とその妻・島尾ミホの自伝的な作品を土台にして映画化されたものだ。時は太平洋戦争末期、映画は昔のお話のようなナレーションで始まていたが、80歳の私は共有する時代だ。奄美大島・加計呂麻島に、海軍の特攻隊の部長として着任した朔と島の名主の娘で国民学校の教員トエとのいつ訪れるかわからない死をはらんだ中での強い愛の姿が描かれている。島尾敏夫の作品『死の棘』や梯久美子が編纂した島尾敏夫作品集『祈る人』(中公文庫)を読書会で取り上げたこともあり、この映画はぜひ見たいと思っていた。

パンフの解説には、「島尾敏夫と妻ミホの伝説的な恋愛を、奄美の美しい風物とともに映画化」とある。確かにこの稀有なまでの男女のひかれあう姿は、神が宿るともいわれる奄美群島の中の島の美しい背景だからこそ存在したのだと感じさせられる。また、島で古くから歌い継がれてきたという奄美島唄の何とも言えない魅力的な旋律や踊り、すべては映画の叙情性を盛り上げている。主演の男女を演じた俳優・満島ひかりと永山絢斗が素晴らしかった。上でも触れたが、私は、ちょうどタエの生徒に当たる年齢だった。焼けるような太陽が照り付ける8月15日の終戦の日の情景も、昨日のようによみがえってきた。背景は違っても、あの時代あの日の体験は、忘れない思いとなって記憶の中に残っている。強い反戦の映画でもあった。世界の映画祭でも通用する作品ではないだろうか。日本映画を見る楽しみが増えた。午後5時25分 に始まり2時間半に及んだ映画を見終えて、夜の街を通って帰宅した。

画像は、図書館の庭で撮った。新しパソコンで、まだ画像がよく設定できず大きくなっている。    


新しいパソコン

2017-08-23 13:59:23 | 日記

August 23,  2017

使っているパソコンがとうとう限界に来たようで、思い切って新しいものを買うことにした。最初のパソコンを購入したのは2000年だったと記憶している。高価な買い物になるので、いったいこれからの自分の人生にとってパソコンは必要だろうかと考えた。今では私の生活にパソコンのない日々は考えられない。最近ガラ携をスマホにかえたので、パソコンとほぼ同じように使うことはできるのだが、とてもパソコンの代わりにはならない。こういうことが若い人との違いなのだと思う。

さて手元に届いた3台目のパソコン、初期設定をしたり・・・と、使いだすにはまだ関門がある。点訳は今までのパソコンを使いたいので、狭い部屋に2台のパソコンを置くことになる。無線ランのことで電話した先のブロバイダーの人が、今日は異常な暑さのようですから気を付けてくださいとひと言ご心配いただいた。珍しくエアコンを作動させているが、ご忠告に従ってパソコンをいじるのは明日からにしよう。冷たい肉うどんのようなものが食べたい。夕食はそんなものにしよう。

時が前後するが、パソコンの購入には、妹2人に相談に乗ってもらった。この日は、まず、祖父母、両親が埋葬されている高円寺の墓に寄った。死後のことはよく分らないが、私自身は、両親も分骨されて眠っているクリスチャンの姉が持っている墓に入れてもらうことにしてある。そういうつもりで出発した人生ではないとしても、独りで生涯を全うすることは大変だ。突然自分がとてつもない弱者になったような気分に襲われる。偶然BMとしてかけている内田光子さんの弾くショパンのピアノ・ソナタ〈葬送〉が悲しく耳に響く。しかし、気ままに生きてきたつけは背負わなければならないだろう。姉夫婦には感謝したい。あすは元気に新しいパソコンに向かおう。

画像は、「ブットレア」。古木だが、紫色の花房が美しい。


健康診断

2017-08-18 21:18:41 | 日記

August 18, 2017

8月18日(金)
1年に1回の健康診断を受けに、いつもの病院に出かける。去年より検診項目が少なくなっているように感じたが、どうだろうか。まあ血液検査の結果以外はあまり期待していないのでかまわないが、こういった公共のサービスが年々厳しくなってきているようもに思える。もともと膨大な借金を抱えている国なのだから仕方がないとしても、お金をどこにどう使うかということによって為政者の姿が見えてくるだろう。

健康診断の内科診察で、今私が抱えている胸椎骨折による背骨の曲がりからくる胸の圧迫感について、医師の話を聞こうと思っていたが、今回は健康診断の範囲内であるから、あらためて内科で診察してくださいと言われがっかりした。聴診器をあてられた具合では特に異常はないとのことだったので、あまり気にしすぎるのもよくないかもしれない。8月は点訳の例会もお休みで、コミュニケーションが病院が中心だと分り、苦笑している。8月は雨の日が多く、幸いなことにあまり暑くないので、夕方久しぶりでウォーキングに出かけた。大した距離は歩けなかったが、気持はよかった。

8月19日(土)
昨日につづき今日も病院に出かけた。毎週受けている骨密度を高くする皮下注射を受けるためだ。出かける前に少しこの注射の薬「テリボン」についてネットで調べてみた。病院通いが頻繁になっていることもあり、以前はいつも自力で治していたものが何か医師だよりになっていることに気付いたからだ。何事もひとだよりにすることはよくない、と私は思う。重篤な病気は別として、現在の私の状況は、食事や運動で治せる範囲にあるのかもしれない。初心にかえって自分の身体と向き合おう。

画像は、住まいのある団地の庭で撮った。球根で増える百合と違って、どこからともなく種子が飛んできて根をおろし、花を咲かせる。清楚な姿が好きだ。

 


蝉時雨

2017-08-11 14:07:35 | 日記

August 11, 2017

どんなに暑くても、蝉時雨が耳につき始めるようになると、夏が終わりに近づいていると感じる。近々受けることにしている健康診断用の書類をそろえながら、胸椎の骨折で背中が曲がり肺を圧迫しているので、最近日本人の死亡原因の上位にランクしはじめた肺炎で命を断つことになるような予感がしてきた。ずっと健康には自信があり、死を意識するなどということはなかったが、あまり長生きできないなと悟り始めると、身辺整理をしておかなければならないと、急にあわただしく動き回っている。

100歳で亡くなった母と最後の十数年を共に暮らしてくれた一番下の妹にそんな話をすると、晩年の母は自分と比べてレントゲン写真に写る肺がずいぶん小さくなっていたけれども、肺炎に1度もかからずに長寿を全うしたと言っていた。そんな言葉を聞くと、日常生活に意欲がわいてくるから不思議だ。20日過ぎてから、妹と墓参りに行こうと思っている。その時に、ほとんど役に立たなくなっている今使用中のパソコンを買い替えるのも手助けしてもらうつもりだ。これまでは何でも独りでやってきたが、最近何か心もとなくなってきている。妹がいれば百人力だ。ここでも、5人姉妹を生んでくれた母に感謝したい。

点訳をはじめてから、以前あんなに親しんでいた詩歌の世界から遠のいている。久しぶりに、大岡信『折々のうた』(岩波新書)の何冊かに目を通した。取り上げている歌の数々とそれに添えられた短い文章を読むと、大きな才能に触れる思いを新たにした。その中の夏のうたから引用させてもらおう。

      大そらを静かに白き雲はゆくしづかにわれも生くべくありけり     相馬 御風

      やがて死ぬけしきは見えず蝉の声                      松尾 芭蕉

                                         (大岡『第六 折々のうた』岩波新書)

画像は、近くの友人が、お庭に咲いたのを届けてくださった「むくげ」。たくさんあったので、さし木にもしてみた。私の好きな花だ。

         


ジャコメッティ展

2017-08-07 18:10:51 | 日記

August 7, 2017

   

   

友人と国立新美術館で開催されているジャコメッティ展を見てきた。シュルリアリズムに傾倒していた頃その名は耳にしていたが、作品を見るのは初めてだ。「歩く人」をはじめ、彫刻の限界を超えるほど細長い人物像、観ているうちにだんだんこの細長い人物の世界に引き込まれていき、何の不思議もなくそれらを受け容れている自分に気づき驚いた。彫刻のほかに、和紙のような紙に鉛筆で描いたたくさんのデッサンが素晴らしかった。絵を描いている人だったならばなお一層影響を受けるものがあるのではないかとも思った。久しぶりに訪れた美術館だったが、退屈な日常に一陣の風を送り込んでもらったひとときだった。今日は台風が接近しつつあるというニュースもあり、ランチを食べて早々に帰宅した。

こういった展覧会では珍しく、撮影可能なエリアがあり、画像は、スマホで撮ったもの。あまり上手に撮れていないが、雰囲気だけは分るかもしれない。

 

 

 


映画「セールスマン」

2017-08-02 09:30:45 | 日記

August 2, 2013

いつのまにか時は過ぎて行く。ここ数日雨が降り続いている。猛暑が和らぐのはありがたいが、湿度には気をつけなければならない。3:00からアルテリオ・シネマで上映されている映画「セールスマン」を見てきた。本年度アカデミー賞受賞、カンヌ国際映画祭脚本賞と男優賞受賞など多くの賞に輝いたイランの名匠アスガ―・ファルハディ監督・脚本の最新作だ。

教師の夫エマッドとその妻ラナは、小さな劇団で俳優として活躍している。或る日引っ越して間もない自宅で、ラナは侵入者に襲われてしまう。引っ越した先の前の住人はいかがわしい女性であり、住人が変わったことに気づかずに訪れた犯人の男性。しかし、事件を表沙汰にしたくないラナは警察への通報を拒否し、仕方がなく自力で犯人探しを続けるエマッド。劇団で二人が演じるアーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の劇中劇を挟みながら、夫婦の感情のずれが展開されていく心理サスペンス。イラン映画なので映し出されるアラビア文字が美しい。言葉は違っても、人間や社会が抱えるテーマは世界共通である。それを高い芸術性へと導いた脚本の力がやはり見事だと思った。

当映画館の8月の上映情報によると、前回の読書会で読んだ島尾敏雄とその娘・島尾ミホの作品を映像化した「海辺の生と死」が上映されるようだ。ぜひ見たい。いつも思うことだが、住まいから歩いて10分足らずのところにある映画館「アルテリオ・シネマ」、ほんの数時間であっても日常を離れさせてくれる場所が貴重だ。

画像は、映画のパンフから。