September 27, 2017
夕方5時から始まる映画「夜明けの祈り」を見るために、アルテリオ・シネマに出かけた。風邪は治ったが、なんとなく気分がすぐれない。家にばかりこもっていたからかもしれない。帰りは7時過ぎてしまうが、この機会を逃すともう見れない映画だと思い、日暮れ近くなってから家を出た。セザール賞など数々の映画賞を受けた作品だ。あまり宗教色の濃い映画は避けたいと思っているが、久しぶりに映画を見たという実感がした。簡単に内容を紹介しよう。1945年12月のポーランド。赤十字の施設で負傷兵への医療活動を行う若いフランス人医師マチルドのもとに、悲痛な面持ちのシスターが助けを求めてやってくる。修道院でマチルドが目にしたのは、侵攻してきたソ連兵の蛮行によって身ごもり、信仰と現実のはざまで苦悩する修道女たちだった。
これは、実在したフランスの医師の物語だという。戦争というものが持つ犯罪、悲劇が、宗教というベールの中で癒されていく。若いころ見たならば疑問を感じたであろう映像が、ポーランドの雪で覆われた深い森、修道女たちの歌う祈りの声の中で、なぜか荘厳な気持ちに代わっていき、些細なことに不寛容な自分の日常を振り変えさせられた。人の生を支えているものは何なのだろうかということを深く考えさせられもした。暮れてしまった街を帰宅する道すがら、修道女たちが歌う祈りの声がいつまでも耳に残った。
画像は、住まいのある団地の庭で撮った。