November 28, 2017
久しぶりに「アルテリオ・シネマ」に出かけ、映画を見てきた。「サーミの血」。東京国際映画祭で、審査員特別賞と最優秀女優賞を受賞、そのほか世界の様々な映画祭で受賞している話題作だ。パンフレットの紹介記事を引用しよう。
1931年代、スウェーデン北部に暮らす先住民族、サーミ人は差別的な扱いを受けていた。寄宿学校に通う少女エレ・マリヤは成績もよく進学を望んでいたが、教師は「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げる。そんなある日、エレはスウェーデン人のふりをして忍び込んだ夏祭りで都会的な少年ニコラスと出会い恋に落のる。トナカイを飼いテントで暮らす生活から何とか抜け出したいと思っていたエレは、彼を頼って街に出た・・・。
監督はサーミ人の血を引いており、主演の少女はノルウェーに暮らすサーミ人でトナカイの飼育に従事しているという。少数民族や黒人に対する差別は、どんなに文明が進んでもなくならないものなのか。先日もアフリカを指して「黒い」と発言した議員が黒人差別的言葉だと批判されていたが、私を含めて人の心に巣食う差別意識を根絶することは難しい。教育で培われる知性で乗り越えていけることを願う。
主演の少女は純粋なラップランド人だそうだが、アジア系の面立ちであり、知性の輝きを持つその瞳に魅せられた。久しぶりに足を運んだ映画館で、素晴らしいひと時を過ごすことができた。最近は読書もなかなか集中してできない。映画鑑賞も読書も、時間の余裕があればできるというものではないようだ。映画館をはしごしたり、夢中でミステリを読みふけったあの時はもう訪れない。それでも自分を励ましながら少しでも有意義な日々を過ごしていきたいと思う。
画像は妹のメールから、泉自然公園の紅葉。