March 9, 2018
東北大震災が起こった日、3月11日が近づき、メディアでも頻繁に取り上げられている。あの震災を風化させてはいけないという言葉は声高に言われる。確かにどんなにひどかった出来事でも、自分と結びつくものが薄いほど意識の中から消えていくことは否めない。私も、今あの日を振り返ってみると、歯科医院の待合室で、かなりひどい揺れがあって、3階にある医院から1階まで誘導してもらい、それを2回繰り返したことを思い出す。帰宅して見た、テレビの画面に映し出される津波の映像は衝撃的なものだったが、私の日常の中では薄れていっている出来事だ。
眠れないままに聞いているラジオのNHK深夜便で、この震災を扱ったドキュメンタリー映画「一陽来福」について語られているのを耳にした。一陽来復とは、文字通り、冬が去り春が来ること。悪いことばかりあったのがようやく回復した善い方に向いてくることだ。3月3日から公開されているということで、私が足を運べる映画館でいつ上映されるかは定かでないが、ぜひ見たい。最近物忘れがひどく、気配りもできなくなっている自分があり、心もとない日常である。それでも依然開いていた英語教室に来てくれていた生徒さんから、暖かくなったらお邪魔していいですか、などというメールや電話をいただくと、気持ちがしゃんとして、自分が過ごしてきた日々を大切にしていきたい、その中に震災の記憶もあるのだろうと思う。私たちの年代にとって忘れてはならない、第2次世界大戦の記憶とともに、改めて頭に刻み込もう。
画像は、ベランダの沈丁花。小さな鉢の花でも、春の香りを届けてくれる。