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ぽかぽか春庭「我が家にとっては大事件」

2018-06-23 00:00:01 | エッセイ、コラム
20180623
ぽかぽか春庭日常茶飯事典2018十八番日記梅雨的日常(1)我が家にとっては大事件

 世の中は、米朝会談やらギャンブル法強硬採決やら、歴史に関わるかもしれない出来事が次々起こり、関西では大きな地震も起きました。安全なはずの通学路で学校設置のブロック塀の下敷きになって亡くなった小学生、心痛みます。

 我が家の日常は、相変わらずの「金がないぞ問題」ばかりだと思っておりましたら、我が家にも巡り合わせの不運はやって来ました。夫骨折、骨にボルト4本入れる手術。息子も足を痛めて整形外科へ。

 それでも娘と私は、声を合わせてコロンビア戦応援しました。普段はマラソンやフィギュアスケートなど個人競技観戦ばかりで、チーム競技はオリンピックかワールドカップくらいしか見ない我が家ですが、めったに見ない我が家が応援したおかげで勝利を得たのを見届けたのでした。世の中にひとつくらいは明るいニュースが欲しいところでしたから、サッカー金星うれしかったです。

 6月半ばの日々。
 日曜日、雨の中出かけて、豊洲でアマチュアの室内楽を聞きました。シューマンのピアノ五重奏「ます」などを聞いて、うん、これはお金もらえまへんなと思いました。プロがお金をとるためには、どういう音を出さなければならないかがわかって、いい経験です。アマチュアの中には、プロ並みに上手なところもあります。たとえば、東京芸術大学付属高校の生徒たち。プロを目ざしているというより、もう十分にプロとして活躍できるような技量の持ち主がずらり。

 かえりはバスで東京駅へ。八重洲口から東西線に行こうとして、広い駅のなか、ぐるぐる回って迷いました。なぜか「黒塀横丁」の前を2度も通り過ぎ、東西線大手町駅にたどり着くまでに、えらく時間がかかりました。
 かえりの地下鉄、車内に折り畳みの傘を忘れてきてしまいました。まあ、これはしょっちゅうだけれど。
駅に問い合わせしたけど、ないので諦めた。以前、500円ほどだと思う傘を遺失物センターまで取りに行ったら交通費600円かかりました。小学生だった息子がおこずかい貯めて買ってくれたものだったから取りもどせて良かったですが、今回の傘には思いいれはないので。

月曜日、台風で交通も乱れるという予報が出ていたので、欠勤をメール連絡しました。まだ準備段階の仕事なので、出勤時間と勤務日は自由にしていいので、気楽です。
 雨はそれほど強くないことがわかり、平日になかなか行けないので、ちょうどよし、いつものクリニックで、いつもの薬を処方してもらう。
 薬局に処方箋を提出して「スーパーで買い物してから、戻ってくるので」と言って、買い物をしている間に処方箋のことはすっかり忘れて帰宅。いつものことだけれど。

 火曜日、娘がお気に入りのパン屋で買ってきたフランスパンサンドイッチで晩御飯。「いつ買いに行っても、必ず新作が並んでいて、新しい組み合わせが出ているので、選ぶのが楽しい」のだそう。私は「パクチーと中華ハムと玉ねぎサンドイッチ」というのを食べる。
 娘は定期健診に行って、「健康維持がんばった」のご褒美で、好きなケーキやパンを買って帰るのです。でも、食べ放題生活がたたって、太りすぎ指数はよくなかった、という健診結果。
 
 水曜日、朝から90分授業を4コマ連続でこなす日。日本語教育研究という授業、日本語教師資格をとりたい学生たちの発表も順調に進んでいます。
 途中50分の昼休みは、5分でお弁当をかっこんで、あとはコピーをとったり大忙し。午後の2コマ目にはそろそろ疲れてきます。さあ、もうひとがんばり、と思ったら、ガラケーのメール受信音。
 学生には「授業中メール電源を切るように」と言っているのに、私のガラケーは家族が連絡用に使うだけで昼間は鳴ることがないので、電源いれたまま。家族は、私が授業中であることを知っているから、緊急連絡でもなければ、かけてきません。それが鳴ったので、ドキリ。

 娘からのメール「父から電話で、出先ででつまずいて転び、動けなくなったので助けてほしいって言うから、父の事務所へ行ってきます」
 夫は、数年前の白内障手術のほかは入院した経験もなく、「病院はきらい」というわがままを通してきた人ですから、「助けてほしい」というのは相当な症状なのだろうと、覚悟しました。

 学生にプリントを配る。右半分の学生には予定のプリントだったけれど、半分の学生にはまったく違うプリントを配布していたのでした。「ごめんなさい」と、配布しなおし。
 
 娘は薬局で話をして、シップなどを購入したそうです。それで、痛いというところにシップを貼ってやり、「動けないから何も食べていない」という父のために、事務所の近くのスーパーで、父の好物のみかんやら飲み物を購入。
 トイレに行くのもたいへんだ、という父のために、介護用のおむつを買って持って行ったのに、タカ氏は「そういうのはイヤだ」と、わがままを言う。

 娘は「動けなくなったとか、このまま車いす生活になったらどうしようか、とか電話で言っているから、こっちだってパニックになってあれこれ揃えて心配して行ったのに、父は、わがまま言って。要は一人だと不安だから来てほしかっただけでした。シップ貼って安静にしていたら、ころんでぶつけたところの腫れも引いてきたから、母は事務所に来なくてもいいよ」と連絡してきました。

 夫は日ごろ「ぼくは一人で生きていける人間だ」と豪語してきたのです。それが、ころんで足いたくなったら、電話で呼びつける。私は事務所にかけつけて「あら、ひとりで生きていけるんじゃなかったっけ」くらいのことは言いたかったけれど、娘が世話してくれるのだからと、娘の指示にまかせました。

 木曜日。仕事を5時に切り上げて(いつもは夜8時くらいまでパソコン前にいる)、事務所で動けなくなったままの夫の様子を見に行く。
 シップなどを買いに行った薬局で、「不用意に動かさないでしばらく様子をみたほうがいい」と言われたそうたけれど、もう様子見の範囲を越えたと判断。仕事にさしつかえるから病院はいきたくないと言う夫に、まだ立つこともできないのはただの捻挫と違う。これ以上ほっておいて本当に歩けなくなったらどうする、と脅して受診を承諾させました。病院嫌い老人は手間がかかる。

 金曜日、夫は事務所近くの病院に行きました。
 病院の受付を先に済ませた娘が「患者は、歩けない、動けないという状態だ」と説明したら、救急車を手配しなさいと病院の指示を受けて、運ばれたのです。
 救急外来の整形外科の医師から大腿骨から膝までの骨折と診断されました。そのまま入院。

 娘息子といっしょに、整形外科の若い医師の説明を聞く。レントゲン写真を見ると、かなりの長さで骨に亀裂が入っています。医者じゃなくても、こりゃダメだ、と見てとれる。大腿骨に骨を固定させるボルトを入れる手術をするという説明でした。

 夫は「仕事があるので、入院せずに通院で治療できないか」と、医者にわがままをいう。先生はあきれて「歩けないのに、どうやって通院するんですか」と夫を叱る。そうだそうだ。

 土日、けなげな妻は病院に通って、夫の指示通り、事務所の郵便受けに入っていた郵便物を病院まで届けたり、飲み物や新聞などの、夫要求の買い物をしたり。
 事務所でいちばん大事なことは、「玄関においてある水槽のメダカに餌をやること」です。夫にとって、「妻子はほうっておいてもなんとか生きていくが、メダカは餌やらないと死んでしまう」のですって。
 ああ、ほうっておかれた妻は、こうやって新聞なんぞ買ってきてあげてるんです。涙。

 月曜日、夫の手術は、当初の診断より1本多い4本のボルトを大腿骨に入れて完了。下半身麻酔を処置された夫は、手術の間「寝ていた」のだと。
 私は、うるさそうな老人に対し、医者はめんどくさいから、下半身麻酔だけではなく、事前に点滴などで睡眠薬処方したんじゃないかと推察したのですが、夫は「僕は手術と言っても、緊張なんかしないでリラックスしていたから、眠れたんだ」と言います。
 ま、いずれにしろ、無事に手術がすみ、あとは、体力回復次第でリハビリ開始。1ヶ月ほどの様子見で退院の予定。

 夫は、白内障手術で1週間ほど入院したことがあるだけで、長期入院は人生初体験なのです。最初は「入院中も仕事しなければならないから、個室希望しようか」と言っていたのですが、同じ階にある談話室では電話も使えることがわかり、個室希望は取り下げ。
 「僕自身の収入が一ヶ月なくなっても差し支えないけれど、仕事を下請けで依頼している校正者の中には、僕の仕事がメインになっている人もいるから、仕事を途切れさせるわけにはいかないんだ」と、相変わらず下請け福祉にはげんでいます。夫の優先順位は、メダカ、下請け、自分、456なしで、7が家族。ふう、メダカに病室の世話してもらえってんだ。

 火曜日の仕事帰りに、夫事務所のメダカにエサをやり、郵便物を病室に届けた時は通常の疲れ具合でしたが、水曜日に90分授業4コマすなわち45分授業なら8コマをこなしてから事務所に行ったときは、雨降っているし荷物重いし、ほんとメダカに八つ当たりして「オマイラ、トモグイしてしまえ!と思いました。息子の説明によると、メダカは共食いする性質があるので、エサが足りないと、いつの間にか数が減っていくのだそうです。

 夫は「メダカたち、僕に慣れているからドアを開けて入っていくと寄ってくるんだよ、かわいいもんだ」と、メダカ愛を語る。アホか。妻が夫に寄り付かないのは、エサもらつてないからだろがっ。

 災難は続く。
 今度は、息子が台所にいて足を捻ってしまったという。なんてことでしょう。信心がある一家ならお祓いでもしてもらうところです。
子供のために何一つしてくれなかった父のために入院手続きなど一番がんばった娘が風邪気味に。

家族の健康が何より大事と身にしみます。
夫も身にしみたと言っていることがあります。手術後のリハビリで、介助を受ければ車椅子に乗って移動できるようになったのですが、体がご不自由なかたの気持ちが身にしみたそうです。むろん、これまでも障害があるかたがたに気を配ってきたつもりでしたが、事務所で、歩けずにいたあいだ、トイレに移動するのにえらく時間かかり、5センチの段差が果てしない高さに思えたと。段差をなくしたバリアフリーの街を望んで来たけれど、自分が5センチの段差が足に引っかかるようになって、切実に身にしみた、と言っていました。

辛い経験もより深い心を育むために必要だったということでしょうね。
コメント (8)
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