医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ラットの実験的上部消化管ガンへのビタミンCの効果について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-02-25 11:30:25 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
ガンへのビタミンCの作用については、以前から多くの研究者が報告しています。ヒトへのビタミンCの効果の基礎研究として参考にして良いと、考えています。

ドイツのウエルナー博士らは、ラット小腸の化学的発がんに及ぼすビタミンCの作用を研究し、ラットの飲用水にN-エチル-N-ニトロソグアニジン(ENNG)を入れ、その投与後18週目に90%以上にラット小腸にガンが発生しました。発がんは、ラットの餌にビタミンCナトリウム(2~3%)を入れて摂取したグループでは抑制されなかったが、ガンの浸潤は抑制されました。

詳しく観てみると、上部消化管はENNGのみを摂取したラット36匹中29匹で進行し、ガンの浸潤はこのグループの25匹でステージP4に相当した。ENNGに加えてビタミンCを摂取したグループでは、35匹中13匹た。ステージP4に相当した。ENNGを加えず、ビタミンCを単独投与したグループでは小腸の病理学的変化は見られなかった。これらの結果から、ガンの浸潤はビタミンC投与後抑制された子、考えられます。ヒトでの研究でも、ビタミンCの日常的摂取で、大腸ポリープの進行や、膀胱ガンの再発が抑制されたとの報告もあります。更なる研究を期待しています。

References
ウエルナーB等.ランゲンベックス・アルキイプフール,キルルギー。354巻,2号,101-109


ガンのメガビタミンC療法について その三 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-02-23 11:22:57 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
ビタミンCと酸化生成物について考えると、脾臓組織の還元型ビタミンCから酸化型ビタミンCへの酸化/還元率において、老化動物の主たる抗体産生の場所である脾臓においてガンは進行します。その際、酸化還元率は著しく高まることが分っています。一方、還元型ビタミンCの含有率は、年齢と共に減少し、それに伴って、ガンの進行が伴います。そこで、ここで還元型ビタミンCのような還元物質を摂取するなら、還元型ビタミンCの軽減を防げるに違いないと、考えられます。

次に、Schemer(シェマール)博士によると、体外からのインターフェロンの投与は、ガンに対して、効果は少ないと考えている。また、シーゲル博士は、ビタミンC(還元型ビタミンC)には体内のインターフェロン産生促進作用があり、体内で作られたインターフェロンは、体外から投与したインターフェロンとは種類が異なると、述べています。博士は、白血病マウスへのビタミンC大量投与の効果は、ビタミンCによる体内インターフェロン産生促進作用によると、主張しています。このように、ビタミンCにはヒトと動物において、その体内インターフェロン産生増強作用があり、ガン細胞の破壊において重要な役割を担うことにより、ヒトへの恩恵をもたらすと、述べています。

また、組織と血漿ビタミンC値の低いヒトでの測定結果から、その他の治療にビタミンCを補助的に加える必要のある患者を選ぶことができ、感染症だけでなく、外科手術の必要な、いろんな疾患の患者がいます。そちらのヒトにもビタミンCを投与し、組織、血液中のビタミンC値を高めておくことは必要です。ビタミンCの要求量は、個人個人で異なり、体質の生化学的相違が関係しています。大多数のヒトでは、低摂取量でも十分かもしれないが、そのビタミンC量を5~10倍必要とするヒトもかなりいます。彼らは十分量のビタミンCを摂取しなければたちまち、抵抗力が低下し、各種疾患に罹るようになります。Wilson博士の研究によると、モルモットはビタミンC要求量に個々に差があり、あるものは低量必要とし、他のモルモットはその5~10倍必要とします。また、他のビタミンでは、ナイアシンアミド(ビタミンB3)は、体質によりヒトに必要量に差があり、必要量が満たされない場合、統合失調症を発症すると、Hoffer博士らは報告しています。

References
Ewan Cameron and Linus Pauling. Cancer and VitaminC. Linus pauling Institute of Science and Medicine. 1979
H.L. Newbold, M.D. VitaminC against Cancer. Stein and Day/Publishers/New York.1979


ガンのメガビタミンC療法について その二 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-02-21 16:08:19 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
ガンへのメガビタミンC療法(点滴、経口投与の併用)は、ガンの化学療法のように長期投与による重篤な副作用(心不全など)の恐れがなく、また、毒性に対する注意深い試行も必要がありません。ビタミンCは人類とその先祖が何百万年も食べ続けてきた栄養素で、毒性のない物質です。

Klenner博士が以前、報告したように、昏睡状態の若い婦人に10時間にわたって、点滴により125gのビタミンCナトリウムを投与し、すぐに昏睡からさめ、次の日、良好な体調に回復しました。ヒトはガンに罹ったとき、組織のビタミンC値が著しく減少することが知られています。ガンにおいて組織のビタミンC値は著しく減少するので、その分、正常値に回復さすために十分なビタミンCを補給してやらなければないません。

Cameron博士らは、以前、大量のビタミンCを点滴と経口投与を併用して、ガン患者の治療を始め、血清ビタミンC値、血漿ビタミンC値、白血球のビタミンC値の測定を始めました。その結果、数百名のガン患者では、それらのビタミンC値は低い値でした。ビタミンCは酸化生成物を形成することが知られており、その多くは体内で消えることが分りました。Pauling博士の研究所では、異なった器官のビタミンC濃度とビタミンCに起った事を測定するため、ビタミンCの種々の生成物を分析する微量測定法開発しました。博士らは、ビタミンCに起った事がどの程度かを調べるため、これらビタミンCの酸化生成物の生理学的性質を研究する必要性を述べています。その中で、ビタミンC塩とデハイドロビタミンC塩は、ビタミンCの有効性の基本となっています。

カリストラトス博士は、実験動物の体重あたり約2.5g/kgに相当するビタミンCを毎日、実験動物に6ヶ月間投与し、6ヶ月後、その動物を殺した時、器官のいかなる病理学的変化も観察されませんでした。

References
L. Pauling, E. Cameron. cancer and vitaminC. Linus Pauling Institute of science and Medicine.1979
H.L.Newbold,M.D. VitaminC and Cancer.STEIN AND DAY Publishers.1979



ガンに対するメガビタミンC療法について その一 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-02-19 16:55:52 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
ガンとビタミンCの関係については、多くの研究報告があります。体に自然に備わった防御機構は、ガンに対し効果的である事を示す多くの証拠があります。剖検が行われたドイツでは、どの男性でも前立腺ガンが見られ、彼らのうち少数においてのみ、この前立腺ガンはヒトを殺す程度にまで進行していたのが分りました。これらの体を循環する腫瘍細胞に何が起ったのか。もちろん、患者の大部分では、防御機構が100%働かなくて進行するのが、分っています。体の自然に備わった防御機構は、免疫機構であり、それは、しばしばガンに対し効果的であるという多くの証拠があります。そして、もしも免疫機構が症例の幾%かで効果的なら、多くの人が救われることを意味しています。

そこで、免疫機構を高めるビタミンCのガンへの効果に関する臨床研究では、Cameron博士らの研究は、対照があり、対照の内300名は、ビタミンCを投与したガン患者と同じ時期のガン患者で、同じベイルオブリーベン病院に入院していた。ビタミンCは栄養素なので、抗生物質や鎮などなどの効果を調べる二重盲検テストは採用しなかったが、対照を置かなかった研究ではない。また、森重博士や山口博士は、それぞれ別々に臨床研究を行い、Cameron博士と同じ、ビタミンCの大量療法は、ガンに対し効果的との報告をしています。

次に、ビタミンCの免疫能刺激作用は、酸化フリーラジカルを掃除する能力と関係していると、Anderson博士は述べています。なお、酸化フリーラジカルは免疫反応刺激作用を阻害します。マクロファージとT-リンパ球の機能は、ビタミンCが存在するときかなり強められます。それゆえ、ビタミンCは非特異的に免疫刺激因子となると、考えられます。なお、ビタミンCのメリットは、副作用が少なく、大量投与できることです。また、ビタミンCは非特異的免疫刺激因子であるので、あらゆる種類のガンの治療に有効であると、考えられます。また、Pauling博士によると、結腸ガンが進行しているガン患者では放射線と化学療法は、本質的に効果なく、手術できない状態なので、ビタミンCの大量投与が勧められると、述べています。

References
Cameron, E.,et al. Supplementary ascorbate in the supportive treatment of cancer:prolongation of survival times in terminal human cancer.Proc.Natl.Acad.Sci.USA73:3685-3689.1976
H.L.Newbold,M.D. VitaminC and Cancer. STEIN AND DAY/Publishers.1079


環境性発がん物質のニトロソアミンへのビタミンCの発がん抑制作用について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-02-19 11:05:05 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
環境性発がん物質として広く知られているニトロソアミンとニトロソアミドは、2級アミン、3級アミン、アミド、あるいは尿素とのニトロソ化反応により生じます。そして、ビタミンCは亜硝酸塩を窒素化合物へ還元することにより、発がん性のある硝酸塩量を低下させます。ビタミンCはin vivo、in vitroではニトロソ化を阻害することが示されています。実験結果では、形成された二トロソアミン量とニトロソアミド量の減少が示されています。Cameron博士とPauling博士は、過去のいろんな研究から、ビタミンCが腫瘍発有する可能性があるという仮説を世界に発信しました。それを受けてRiodan博士らは、ガン患者へのビタミンC点滴療法を実施し、有益な効果を報告しています。

ビタミンCはヒアルロ二ダーゼ阻害因子を維持し、適切なレベルで細胞増殖をコントロールし、腫瘍増殖と腫瘍の侵襲を抑制すると、報告されています。このことは、多くの研究者が追試を行っています。なお、ビタミンCは野菜や果物、イモ類、海藻などに広く含まれている栄養素で、大航海時代、多くの船員が、長期の航海でビタミンC欠乏による壊血病で亡くなった話は有名です。現代でも、加工食品やファーストフードの長期摂取での壊血病が報告されています。都会での生活者は、農村の人々に比べて、自然食品からのビタミンC摂取量が少ないのではないかと、考えられます。

References
Ewa Cameron, Linus Pauling. VitaminC and Cancer. CancerResearch. Vol39,
663-681,March ,1979