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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

御神火スカイライン植生回復のモニタリング準備

2015年01月29日 | 火山・ジオパーク
昨年11月、一昨年の土砂災害の崩壊斜面の表土流出を止めるため、数種類の植物のタネが散布されました。

そんな中で実は今、今年度の環境省予算により、ジオパーク活動として、島に暮らす私たちで崩壊斜面の植生回復を継続観察(モニタリング)していくための準備が始まっています。

昨日は、その準備のために専門家の方達が来島し、モニタリングの場所決めをするということで、同行させてもらいました。


モニタリングの予定場所は、これから道路や斜面の復旧工事が始まる場所です。

東京都大島支庁土木課の方々も一緒に歩きながら、工事の予定を踏まえて場所を探します。

久々に歩く御神火スカイライン。

最初に出てくる崩壊斜面は、綺麗に腐葉土に覆われていました。

まだ工事途中の斜面。
ネットを張り、その上に土をかぶせてあります。

土は粘りのある素材である程度固められているので、流れにくいそうです。(大雨はダメみたいですが)

ネットは2mmの太さの鉄線でできていて、この鉄線は10年ぐらいで腐植し、木の成長を妨げない物なのだそうです。

1m四方の4角い枠で、植物の被覆率(何割ぐらい植生が回復しているか)を調べています。


枠はお手製で、アルミサッシの窓枠をビニールテープで巻いて作っているのだそうです。


「あそこ降りられそうだな」とつぶやいて、ヒョイヒョイ身軽に(と私には見えました)斜面を降りていくI先生。


斜面が緩む場所で、被覆率を調べます。

急斜面を特に力むでもなく普通に歩いて行く専門家の方達はスゴイ・・・こういう調査に同行させてもらう度に、そう思います。

斜面に吹き付けたものは、肥料と植生材(粘度安定剤他)と種(ヨモギ、ススキ、イタドリ、メドハギ、コマツナギ、ヤシャブシ、シロツメグサ)。

崩壊斜面にマメ科の草のタネを撒くのは、根に空気中の窒素を栄養として取り込むバクテリアが住んでいて、その植物が枯れた後の土が栄養豊かになること、背の高い木々に覆われると消えていくタイプのものであること、等々の理由があるようです。

タネは流れてしまっている場所と、残っている場所がありました。

伊豆大島は雨量が本州の約2倍、風速10m以上の強風が年100日以上吹くような島なので、タネを定着させるのは大変なようです。

凹んでいるところがタネが残りやすいのかと思ったら、少し出ているところの方が残っているようです。これは水の流れる量に関係するとのこと。(「集中流下水」と言うそうです。)

でも・・・
少しずつ、小さな葉が地面から顔を出している場所もありました。

南側の暖かい斜面が多いようです。

小さな、そして元気の良い芽生えです!


黒かった斜面も、うっすら緑になってきました。

なんだか嬉しいです。

残った椿も花を咲かせていました。

椿、頑張っています!

崩壊斜面はできるだけ自然の植生遷移に近い形で回復していくのが望ましいのでしょう。
でも下に住んでいる人は、いつまでも雨の度に泥が流れてくると、本当に困ってしまいます。

自然と人の暮らしのバランスをどこで取って、どう納得して住むのか?・・・それを島に住む私たちが、皆で考えて行けたら良いなぁ~と思います。

なので、定点を決め、専門家の方から方法を学び、この島に暮らす私たちの目で定点の植物の移り変わりを見ていく今回の取り組みは、とても意義のある活動だと思っています。

きっと自然は調査を通して私たちに、様々なことを教えてくれるでしょう。
そして伊豆大島での調査結果は、これから日本中で起こるであろう土砂災害の後の、緑化の参考にもなると思います。

通常であれば、道路の復旧工事が行われる場所で調査をするというのは非常に難しいこと・・・これを実現できるところまで形にした方々の努力に敬意を表します。

この活動を、大事に育てなければ・・・と、思っています。

3月の広報には、調査に参加していただくための募集が載るはずですので、皆様ぜひ、ご協力ください。

(カナ)
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