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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

小さなウミウシ

2010年06月30日 | 海の生物

海の中にも陸上とは違うたくさんの生物たちが生活しています、今回はその中でも「ウミウシ」に注目してみたいと思います。
 「ウミウシ」とは何やら?という人も多いと思いますが、簡単に言うと貝殻が無くなってしまった貝です。もしくは海のナメクジ?って感じかな?
進化なのか退化なのかは誰にも分りませんが、時間の流れの中で貝とはまた違った変化をしてきたようです。
世界で数千種も確認されているくらい世界中にたくさんいますが、ここ大島でも300種に届きそうな勢いです。
大きな物は50cmを越えるくらい大きくなりますが、小さいものは1cmに満たない物も確認されています。
通常のサイズでしたら色が派手なウミウシは簡単にみつかりますが、目が慣れてくると本当に小さな個体も見つける事ができます。
ただ申し訳無いのですがこの手のサイズですとシニアグラスの必要な方にはちょっと見つけるのは困難です、最近ではシニアグラスをマスクの上に付けたりルーペなどを持って入る方もいらっしゃいますが。
個人的に最近この小さなウミウシを探すのにはまっています・・・、私もそろそろシニアグラスが必要になる年頃ですので見えるうちに・・・。
この写真のウミウシはコンシボリガイといいます、実は貝殻が上に付いていますが詳しい話はまた次回に。

この写真の個体はまだ2mmほどでした、遠目に見ると只のゴミにしか見えません。でも私には十分なサイズです、小さければ小さいほど見つけたときの充実感は例えようのない快感です。
今度は1mm以内のウミウシを見つけてやるぞー!

 海ガイド 石田

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自然は五感で味わうもの?

2010年06月23日 | 海の生物
道を歩いていて、フト!漂う香りに小花を摘んだり、花芯を引き抜いて蜜を吸ったりした事有りますか?
「有ると思います。」・・・ですよね~。やっぱり、自然は五感で感じなくっちゃ~。 笑

さて、日頃海の中でローインパクトを心掛けている私ですが、持ち前のサービス精神旺盛なのが災いし
ガイド中にとんでもない目に遭う事がしばしば有りました。

今回は、そんなお話です。

ヤドカリ
皆さんの中には、子供の頃海辺に行った時、ヤドカリを捕まえて遊んだ方も沢山居らっしゃると思います。
大きな家を背中に背負ってヒョコヒョコ歩きまわる姿、可愛いですよね~。

良く見ると、触覚や目など色彩の綺麗なものが沢山居て、結構飽きません。
グローバルの中には、ヤドカリにドップリ嵌まり“ヤドカリ図鑑“を出す直前まで
話の進んでいるスタッフまで居ます。

さて、ある日私は、数人のゲストを連れてガイドをしていました。
フト!海底に目を向けると大きなイシダタミヤドカリが歩いています。
あまりの立派さに思わず伸びてしまった右手・・・ゴツイ大きな爪に挟まれない様注意深く捕まえて
「ほら~・・・」とゲストの前に差し出しました。

突然の大物にゲストはビックリ! 私は鼻高々?
皆さん、ちょっとたじろぎながらも喜んでいます。

軽い気持ちで「触ってみれば?」ってな感じで、更に差し出してみました。
しかし、大きな爪が怖いのか? 手に取る人はいません。

私は、そんな様子を見て「怖くないんだよ~」とアピールしようと思い
口からレギュ(呼吸の為、口に咥えている部分)を外し、ヤドカリにキスをしました。
しかし、その瞬間!「ギャ~!!!」

ヤドカリは私の唇をチョッキン!まぁ、切れはしませんが、凄い力で挟んできたのです。
手に取る時には警戒していたのに、何を私は血迷ったのでしょう???
引っ張っても痛いだけ、しかし此処は海の中レギュを咥えなければ呼吸ができません。
そうこうしている内に、何とかギリギリ息の続くところで離れてくれました。



確か?挟まれたのは、これと同じ種類だと思うのですが・・・
あのままスッポンみたいに食らい付いて離れなかったら、どうなっていた事でしょう。
“ガイドダイバー・・・ヤドカリに唇挟まれ溺れる”
こんな見出しが載ったら、余りにもブザマですね~。苦笑


又、ある日のガイド中、エキジット間際に可愛いウバウオを見付けました。



この魚体表に鱗は無く、体はヌルヌルの粘液に包まれています。
このヌルヌルが皮膚を保護する役目を負っているのです。

又、殆ど泳ぐ事は無く、岩の亀裂や岩壁に居て
海藻の表面等に、腹部の吸盤を使って貼り付いている事も良くあります。

のぺっとした見た感じで苦手な方も居ますが、殆どの方はこのキュートな目に心をウバわれます。
因みに、私もこの“クリクリお目々”が大好きな一人です。
さて、ウバウオを見付けて、日頃のサービス精神とおっちょこちょいの性格がムクムクと頭を持ち上げてきました。

よく、“小さなコウイカの仲間を捕まえては口から出す芸”(どんな芸じゃ!)を披露していたのですが
何となくこの時は、ウバウオでやってみたくなったのでした。


おもむろに又してもレギュを外し、ウバウオを口の中に離しました。

すると、「きゃ~!」ウバウオが喉の近くで、貼り付いてしまったのです。 ピトッ!っと・・・。

「ゲッ!ゲッツ!」吐き出しそうとしても出てきません。
彼は、「い~ぃ、隠れ家を見付けたわい、ウフッ!」とでも、思ったのでしょうか?
そして、一生懸命吐き出そうとしていると、口の中にモワ~っとした“渋み”か“エグミ”が広がってきました。
きっとウバウオの出す粘液には、他の生物が嫌がる毒の成分でも有るのでしょう。
まぁ、又々こうして新聞ネタにも成らず此処に居るので、何とか退散して頂いたのですが
吸盤で吸い付かれた時には、一瞬「ヤバイ!」と思いました。

吸盤続きで、もうお一つ・・・




吸盤と言えばやはりタコ、大島でもマダコ・テナガダコ・スナダコ・ヒョウモンダコ・マメダコ等
色々な種類を見る事ができます。

ある日浅場で石をはぐっていると、タコの姿が見えました。大きさは12~3センチ。
彼らはご存じの様に軟体動物・・・変幻自在の体をくねらせながら、積み重なった小石の隙間に潜りこんでいきます。
ゲストに見せようとしつっこく追い、やっとの事で足をつかみました。
しかし、「ほら~・・」と見せようと思った途端、指先には10cm程の足が一本残っているだけでした。
何と!トカゲと同じ様に、掴まれた足を自切してしまったのです。

千切れた足を、ゲストにお見せする訳にはいきません。私は慌てて隠しました。

以前、聞いた話ですが、この自切した足を水中で食べようとした兵が居たそうです。
ところが口に入れた途端、上顎に吸い付かれ喉の方にまで足が伸びてきたそうです。
慌てて水面に上がり、何とか足を引き剥がし引っ張り出したそうですが、怖いですね~。
タコもイカも、足だけになっても吸い付いたり、巻き付いてきますからね。

悪戯も度を超すと良くありませんね。

長々とおバカな話にお付き合い・・・ありがとうございました。
でもこの手の話は、まだまだ続きます。 悪しからず。

文・画像  海ガイドチーム K/Y

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季節来遊魚

2010年06月16日 | 海の生物

初めての書き込みになります、海スタッフの石田と言います。水中の常識・情報などを写真と共に書き込んでいきたいと思います。

 季節来遊魚?ダイビングをされている方には聞き慣れた言葉ですが、普通?の方には何のことやら???
陸上も同じですが、水中も季節によって見ることのできる生物が変わっていきます。
陸上生物の様に水中生物も温度によって棲み分けをしていますが、夏になれば沖縄などの熱い地域の生物が伊豆などの暖かい地域で見ることも出来ます。
長い距離を水中で泳いできたのか?人為的に運ばれたら?勿論それもあるかもしれませんが、多くは「黒潮」と呼ばれる潮にのってくることで長い距離を移動します。
私達の様に伊豆近海で潜っている人にとって、沖縄など見ることの出来る魚はなかなか見る事が出来ません。
しかしこれぐらいの季節(6月~)から黒潮が伊豆近海に近づく事によって、本人?の意思にかかわらず潮にのってしまい彼達にとっては寒~い伊豆まで来てしまうのです。
その魚たちを季節来遊魚と呼んでいます。以前は死滅回遊魚なんて呼ばれていましたが、死滅という言葉が悪かったのか少し前に変わってしまいました、そっちの方がなじみがあったのですけどね。
その季節来遊魚の代表格といえば、ツユベラやカンムリベラなどのベラの仲間です。

この写真はその幼魚になります、伊豆近海では幼魚しか見る事が出来ません。
何故か?彼達は冬になり水温が下がってしまうと寒さのせいで死んでしまうからなんです。
ただここ最近の温暖化の影響か?時折冬を越える個体も出てきます、今年もカンムリベラの幼魚が一匹だけ越冬してまだ頑張っています。
どちらにせよ相手がいないので繁殖する事はできませんが、もう一冬越せれば大人になれるかも?
今年は黒潮が例年より近く、季節来遊魚が期待できますね~。今年は何がやって来るのかな?

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梅雨になると・・・

2010年06月02日 | 海の生物
早いものでアッと言う間に6月・・・6月と言えば梅雨・・・梅雨と言えば雨・・・
雨と言えば “アメフラシ“ (強引に持ってきてしまいました。)



ダイバーでなくても、この名前をご存じの方は多いと思います。
この名前の由来を調べると、“体内から出す紫色の液体が、水中で雨雲の様に見えるから“とありました。
私はてっきり、梅雨時に姿を現すので付けられた名前かと思っていたのですが、どうやら違っていたようです。

この液体、以前“癌の薬に利用できるのではないか?と研究が進められている”との記事も読んだ事があります。
その後、研究はどうなったのか?気になるところですね~。

さて横道に逸れましたが、この季節海の中には、数センチから数十センチにもなる色々な種類の“アメフラシ”が沢山発生します。
一部はタイドプール等にも入り、磯遊びに興じる子供達や一般の方達も目にする機会が増える事でしょう。
磯を歩いていて、知らずにグッニョッ!としたモノを踏み付け、更に紫色の液に驚かれた方も居るかも知れません。

これからが本格的な繁殖シーズンに入り、あちらこちらの浅場で交接をしています。
しかも雌雄同体の彼ら、何匹もが数珠つなぎになっている事も珍しくありません。
多い時には、7~8匹が連なっている事も有ります。

アメフラシに対するダイバーの反応は「キャ~気持ち悪い~!」と言う方が殆ど。
でも中には、とても気に入って「連れて帰りた~い!」と言う方もいらっしゃいました。

あまり注意深く見る人は少ないのですが、可愛いグリーンの目も有ります。



しかし、殆ど光を感じる程度で、実際にモノを見る役割は果たしていない様です。

さてアメフラシの仲間にウミウシと言うのが居ます。
こちらはアメフラシと違って、色や形も可愛いモノが沢山居ます。
ウミウシ好きのダイバーも多く、良い被写体となっています。

これは“ニシキウミウシ”
カラーバリエーションが多く、10cm以上の個体もいます。



“トゲトゲウミウシ“ 
手荒く触ると、この突起が取れてしまう事もあります。



“バライロマツカサウミウシ”
黄色いツブツブは卵、このホスト(アカガヤ)以外の所で見た事が有りません。



“アオウミウシ“ おそらく交接中



“キイロイボウミウシ“ 交接中
見辛いですが、2匹の間に透き通った交接管が判ると思います。



さて、広い海の中で動きの遅い彼ら、よく繁殖相手を見付けるものです。
以前は不思議でなりませんでした。

どうやら彼らは、自分の通った後に航跡を残している様です。
ナメクジが這った後にテカテカ光る筋が残りますが、あれと同じ様なものでしょう。

繁殖期になると仲間の残したシグナルを探して、相手を見付けるのです。
数少ないチャンスを逃さない為、雌雄同体という技?も身に付けたのかも知れません。
凄いですね。

文・画像  海チーム K・Y
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【 命有るモノ・・・ 】

2010年05月26日 | 海の生物
以前、“死んだ魚を見ないわけ”という本を読んだ事があります。
古い本なので、詳しい内容は忘れてしまいましたが、海の中では弱った魚はすぐに捕食者の餌食となり
死んだ魚もスキャベンジャー(腐肉を漁るモノ達)によって、すぐに片づけられてしまうから・・・
と言う様な事が書いてありました。

確かに、水中でこれらの魚に出会う事は稀かも知れません。
しかし、永く潜っていると、案外死の場面と遭遇することも多いのです。
今回は、そんな魚達の死にまつわる話について少し・・・。 暗い?

過去に見たもので一番大きなモノは、1,5m程のメジロザメの仲間です。

(これは別物です。)

それは、水深14メートルのゴロタ斜面に横たわっていました。
特に目立った傷は無かったので、
上の画像と同じ様に回収したエビ網にでも掛っていたのが捨てられたのでしょう。

発見当時はまだ体色も残り綺麗だったのですが、数日で白くなり
更に匂いを嗅ぎつけた大きなマツバガニ(甲長20cm程の2匹)や貝類に食い荒らされ
2週間程でボロボロになってしまいました。

次は、水深40m付近で見付けたクエの死体、体長120センチ程の大きな個体でした。
この時は、ビデオしか持っていなかったので画像は有りません。

高級魚のクエですから、活きが良ければかなりの値段が付いた事でしょう。勿体ないですね~。

そしてこれは、水深20m付近に沈んでいた、30cm程の“イシガキフグ”
数日後には、大きなホラ貝の仲間やレイシガイ・ヤドカリ等が群がっていました。



さて、魚達の死因は様々です。

ある日潜っていると、水深20m付近で横たわるカエルアンコウを見付けました。
まだ目はしっかりしていますが、明らかに死んでいます。

しかし、私が手に取ってみるとブルブルっと動いたのです。
何と!動いたのはお腹の中の魚でした。

きっと皮膚毒を持ったハコフグの仲間でも丸呑みしたのでしょう。
そして呑み込んだ本人は皮膚毒にやられ、中の捕食された魚がまだ生きていたのです。

又有る時は、口に白くて丸いモノを咥えて死んでいる“アカエソ”や“ウツボ”を見た事があります。

咥えられていたモノは、“キタマクラ”
“キタマクラ”はフグの仲間で、その不吉な名前の通り身には毒があります。
しかし、死んでいた“エソ”や“ウツボ”は、毒にやられたのではなく窒息死だったのです。

捕食された“キタマクラ”は、瞬間的に膨らんで捕食者の気道を塞いだのでしょう。
結局、食うか食われるかの戦いは、両者共倒れ。
パンパンに膨らんだ“キタマクラ”も息絶えていました。

数年前、冬に低水温(12℃位)が一月近く続いた事が有りました。
夏から秋にかけて流れついた南方系の幼魚達も、日増しに減っていきます。

特にこのシーズン数の多かったトラギスの仲間が、あちらこちらで
息絶え絶えになっていたのは痛々しかったです。

そして、これはその時の“ハワイトラギス”
ちょっと遊び心で、“イロカエルアンコウ”の近くに置いてみました。


《 ちなみにカエルアンコウの仲間は、生き餌しか食べません。》

「ワッ!死への冒瀆だぁ~」なんて言わないで下さいね。

最後のこれは“イタチウオ”、エキジット(海から上がる事)間際、水面から降ってきました。
普通は、夜行性の魚で昼間は岩陰や岩壁の亀裂に入って居ます。


お腹に痛々しい、モリで突かれ引き抜かれた痕が有ります。

ここ数年、夏になると“手モリ”を持った人達(子供も大人も)を沢山見掛けます。
そして、一部だとは思いますが、食べもしない魚を突くのです。

知っている方も多いと思いますが、某TV番組(「とったド~~!」と叫ぶヤツ) の
影響が大きいと思います。

こんなシーンに遭遇した時、何とも言われぬ怒りと悲しみを覚えます。
 
声を大にして言いたい!「突いたら食え」
私は何度か海で叫んでいますが、きっと“口煩いおじさん”としか思われていないでしょうね? 苦笑

文・画像共 海ガイドチーム KY
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【 魚達の住宅事情 】

2010年05月19日 | 海の生物
伊豆大島に移り住んで20数年経ちますが、その間何回かの引っ越しを経験しました。
しかし、毎回感じたのは貸家が少ない事、住まい探しにとても苦労するのです。
空き家を見付けても、中々貸してもらえません。
一番多い理由は、「夏に親戚が帰ってくるから・・・。」 
確かに、子供達の9割以上が高校卒業と共に島を出てしまうという事情を考えると
何となく判ります。
あと・・・私が怪しい人物だから、“ウ~ン?それも有るかも知れません” 苦笑

さて、島の住宅事情はさて置き、海の中で魚達はどんな生活をしているのでしょう?

人間にとって住まいは生活のベース、本来一番安心できる場所だと思います。
遊泳性の生活を送るモノ達は別として、海の生き物もそれは同じ事。
己の身を守り、そして繁殖の場にもなります。今回は、そんな魚達の住まいのお話です。

まずこれは、おそらく知らない方は居ないかも知れませんね。“クマノミ”です。

イソギンチャクを住みかにしています。
クマノミにも色々な種類がいますが、大島で観察できるのはこの“クマノミ”だけです。

南方系のクマノミは、伊豆半島も含め一度も確認されていません。
季節来遊魚としても流れて来ないのです。
南の島では、
色々な種類のクマノミが、それぞれ違う決まった種類のイソギンチャクと共生しています。
夜潜ると、イソギンチャクにくるまって寝ているんですよ。

これは“ムチカラマツ”に住んでいる“ガラスハゼ”

滅多な事では、此処から離れません。
離れるのは、近くを餌となるプランクトンが流れて来た一瞬だけ・・・。
この棒の様な“ムチカラマツ”に卵を産み付け、孵化まで見守ります。

イシサンゴの間に身を潜める“ヒメゴンベ”です。

サンゴの表面に出ている事もありますが、近付くとすぐに隙間に隠れてしまいます。
勿論寝る時も、堅いサンゴに守られて眠っています。

単管(足場パイプ)に住みついた“カエルウオ”

普通は、水面近くの岩壁や岩場に生息し、岩の隙間(亀裂)を住まいにしています。
しかし、こんな人工物にも住みついてしっかり子育てもしています。
パイプの中に産卵時期が少し違う卵が産み付けられています。判りますか?

これは、ゴカイがサンゴに開けた穴を利用している“トウシマコケギンポ”

たまに巣穴を横取りされる事があるのか?出ている事もありますが
全身を観察できるのはかなり珍しいです。


最後は、ジョーフィッシュ(アゴアマダイの仲間)
何処に居るか判りますか?  石を咥えようとしています。

この魚の住まいは凄いです。巣穴の中を覗き込むと、綺麗に石積みされているのが判ります。
まるで城壁の様です。(画像が無くてごめんなさい)

何度か巣穴作りに遭遇したので、その様子をご紹介しましょう。

巣穴を作る場所は、砂や小石、貝殻等が程良く混ざっている“ガレ場“

まず凹地の中心に、自分の体(人間で言えば腹囲)より少し大きめに小石を丸く並べます。
次に石の周囲に砂や小石を運んで埋めます。そして更に石を重ね、また周囲を埋めていきます。
これを何度も繰り返し、すっかり凹地を埋めてしまいます。
そして今度は、下から石や砂を運び出しながらトンネルを掘るのです。

この魚は子育ても変わっていて、♂が卵を口の中に咥えて育てます。
しかし、数週間掛る孵化までの期間、ず~っと咥えている訳にもいきません。
巣穴の補修やお食事・・・

そんな時の為に、巣穴には卵の保管スペースも作られてるようです。
夜寝る時や子育て中は、しっかり石で蓋もします。

全て作業は口を使って・・・
だから顎が発達して、名前が”アゴアマダイ”になったのかも知れませんね。

この他に、かなり変わった住まいを持つ魚達

☆ ナマコの肛門に住む、“ナマコカクレウオ”
☆ クラゲに住む、“ハナビラウオ”や“クラゲウオ”

文・画像  海チーム KY

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【 かくれんぼ 】

2010年05月12日 | 海の生物
    
先日、朝の散歩で林道を歩いていると、フト!足元でこんなモノを見付けました。


枯れ枝そっくり凄い擬態です。


さて海の中にも、“かくれんぼ”が上手いモノ達が沢山居ます。
身を守ったり、周囲に同化して獲物を待ち伏せたり・・・様々な効果を得ている様です。
そこで今回は、水中世界の擬態名人を幾つかご紹介します。

まずこれは“イソコンペイトウガニ”・・・ 何処に居るか判りますか~?
比較的浅い水深のトゲトサカ (ソフトコーラル) に付き、カメラ派ダイバーに人気です。



因みに子供の頃のおやつは“コンペイトウ”
このカニを見て妙に懐かしく感じました。 でも、食べていません。笑

これは“ベニカエルアンコウ”
岩壁に付着したカイメンと同系色で、上手く背景に溶け込んでいます。



彼は身を守る目的以上に、“捕食の為“隠れていると言った方が良いかも知れません。
餌となる魚が近づくまで、ジッと待ちます。
必殺必中・・・100%相手が射程距離に入るまで微動もしません。

焦って食い付き捕り逃がすと、自分の存在がばれてしまうからです。
実に忍耐強い魚です。

さてこちらは、“カイメンガニ”
全身に、トゲトサカや色とりどりの海綿を付けています。



岩壁に張り付いていれば、中々ダイバーに気付かれる事はありません。



しかし、一旦動き出すと、これ程目立つ格好はありません。
擬態でも何でもない、単なる“目立ちたがり屋“になってしまうのです。

でも、身に纏っているモノは魚達にとって美味しくないものばかり、カモフラージュと言うよりも
「俺様を食べても不味いぞ~」ってアピールしているのかも知れませんね。

陸の上でも海の中でも、永い歴史の中で培われてきた様々な知恵
こんな素晴らしい出会いを与えてくれる恵まれた環境に、感謝々の日々です。
皆さんも、是非伊豆大島へ遊びにいらして下さい。 そして、感動を分かち合いましょう。
スタッフ一同、お待ちしています。

文・画像  海チーム K・Y
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【海の中にも鳥?】

2010年05月05日 | 海の生物
 
先週ご紹介した“ツバメウオ“もそうですが、海の中には鳥と名前が被るものが色々います。

ウミスズメやシマアジ、この他に部分的に“カラス”や“スズメ”“ホオジロ”“カツオ“”セグロ“”アカハラ“が付くモノ等、数え上げたらきりがありません。

中でも、海の中で“ヤマドリ”・・・この名前は、ダイビングを始めた当初かなりインパクトがありました。何故こんな名前が付いたのか?未だに良く分かりません。
しかし、“顔付きがキジ科の“ヤマドリ“ に似ているから”と言う説が有り「成る程」と思わせる部分もあります。

《ヤマドリの♂です。大きな背鰭は普段閉じています。》


さて、この“ヤマドリ”と同じネズッポ科に、アカオビコテグリと言う魚がいます。
どちらも大島ではポピュラーな部類に入り、7・8月には繁殖行動(放精放卵)も観察されています。
長年観察していると、実に様々なドラマが見えてきます。そんな中で、幾つか面白い出来事をご紹介しましょう。

彼らの繁殖行動は放精放卵、昼間活動する魚達が寝床に戻り、まだ夜行性の生き物達が動き始めない夕暮れ時、何処からともなく何時も決まった所に集まってきます。

其処は水深24メートル、広さは30畳程の小さな岩等が点在するガレ場・・・。

♀の個体数が多く、♂のバランス(数や強さ)が取れている時には、何匹かの♂が3~5匹の♀をテリトリー内に持ち、其々の場所で繁殖行動を繰り広げます。
反対に、♀の数が少ない時は大変です。♂達は少しでも多くの♀を確保する為に、熾烈な戦いを繰り広げます。
そして優劣が決まると、勝った♂はテリトリー内の♀を順番に回り放精放卵を繰り返します。

《背鰭を大きく広げ、一生懸命♀を誘っています。シーズン中は毎晩こんな光景が見られます。》


しかし、あぶれた♂も簡単には引き下がりません。勝った♂の繁殖を邪魔するのです。
基本的にネズッポの仲間は殆ど泳がず、海底を這う様に移動し生活しています。

しかし繁殖の時には、♂が♀を胸鰭に乗せて海底を離れ、1~2m浮き上がった所で放精放卵をします。
海藻や岩陰に隠れた♂は、ペアの気分が高まって浮上を始めると頃合いを見計らって、海底から物凄い勢いでアタックします。

当然、寄り添って上昇していたペアは、バラバラになり海底へ降りてしまいます。♂の方は、邪魔をした相手を追い払い、再び♀を放精放卵に誘います。余程何度も妨害され気分を損なわれない限り、目的を達成するまで諦めないのです。

《海底から1m以上浮上し、長い時はこの状態が1分以上続きます。》


さてある日の夕方、私達が観察をしていると・・・い~ぃ感じで浮上を始めたペアが居ました。
すると例のごとく海藻の影から飛び出す奴が・・・

しかし、邪魔をした相手をみて私達は、呆気に取られてしまいました。何と!邪魔をしたのは“ヤマドリ”の♂だったのです。同じネズッポ科に属するとはいえ、繁殖の相手ではありません。単なる嫉みか?はたまた余程仲間にモテナイ♂だったのでしょうか?

それから私達は、このヤマドリ♂を“ジャマドリ”と呼ぶ事になりました。

又ある日の事、♂が♀にアプローチして「さぁ、そろそろ浮上を始めよう」とした矢先、岩陰にいた別の♂が♀と一瞬で入れ替わった事が有りました。

そして何と!まんまと大きな♂の胸鰭にチャッカリ乗って一緒に浮上を始めたのです。
見ていた私達は、目が点になってしまいました。しかし、流石に途中で気付いた大きな♂は慌てて?海底に降りてしまい、凄い剣幕でチビ♂を追い払ったのでした。

さて、騙したチビ♂は、大♂の放精までさせたかったのでしょうか? だとしたら、凄い作戦ですね。

こんな感じで、海の中でも子孫繁栄に向け様々な生き物達が日々戦いを繰り広げています。

滞在時間に限りある海の中、生態観察は中々難しいのですが、出逢えた時の感動は何物にも代え難いものが有ります。
機会が有れば、皆さんもダイバーの仲間入りをして、こんな魅惑的な世界を覗いてみませんか?   私達、”海チーム”がご案内致しま~す。

画像・文  海チーム KY
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【三羽ガラスならぬ三匹ツバメ】

2010年04月28日 | 海の生物
 
大島へ渡ってまだ間もない頃、新たなポイント開発に燃えていた時期が有りました。
と言っても、大島のダイビング環境は漁協との関係で中々厳しいものが有り、何処でも潜れると言う訳ではありません。
そんな限られた中で、少しでも行動範囲を広げようとの思いでした。
そんなある日の事、島の代表的ダイビングポイントの隣“碁石浜”と言う場所に潜ってみました。
隣と言っても、大きく突き出した岬の先端を回り込んだ所です。
浜を利用するには、殆ど垂直に立ち上がった30メートル近い崖を上り下りしなければなりません。
地元の素潜り漁師達が使っている幅50センチ程のジグザク道があるのですが、フル装備を付けての崖の上り下りは、かなり厳しいものがあります。
しかし、体力・気力共に充実していた時期、そんな事は問題ではありません。
さて、ゴロタ石が敷き詰められた海底を進み砂地に出ると、その境目に大きな魚の影が見えました。
近づくとそれは“3匹のツバメウオ”
元々は南方系の魚ですが、黒潮に乗って流れ着いてしまったのです。
一般的に私達は、暖かい地域から北に流されてきた魚を“死滅回遊魚”(最近は“南方系来遊魚“)と呼んでいます。
繁殖シーズンとその地域の海流の強弱等条件が合えば、卵や孵化したての稚魚等が潮に乗って流されてくるのです。
一度暖流(黒潮)に乗ってしまうと元の場所へは戻れず、大島の様な離島や本州沿岸の様々な地域へ辿り着きます。
そして、水温の高い時期(8月~12月頃まで)はこの海域で育ちますが、やがて殆どが水温が下がり始めると体が弱り死んでしまうのです。
そんな滅多に見られない南方系の来遊魚に、私は大興奮していました。
何回か通ううちに段々と愛着も湧き、可愛くなってきます。水温も下がり始めたある時、フト!“餌付けをしてみよう“と思い立ちました。
少しでも長く留まって欲しかったからです。
沖縄の座間味でツバメウオに冷凍サンマで餌付けをした事を思い出し、すぐに島のストアーに走りました。
3匹のサンマを抱えてのエントリーはドキドキです。”無事居るのかな~?“”食べてくれるのかな?“等色々頭に浮かびます。
さて目的の場所に着くと、居ました!そして何度も通っているので逃げる素振りもありません。
ワクワクしながらレジ袋をほどき、中からサンマを取り出しました。
身を割って数m先のツバメウオに向かい左右に振った途端、思いもしない出来事が起こりました。
何と!そこら中の岩陰に潜んでいた大きなウツボ達が、ニョロニョロと十匹以上這い出してきたのです。
おそらく、身を割った時に出た血の臭いや、仲間達の異常な動きを察知したのでしょう。
サンマを持った私の体に絡みつく者、落ちた切れ端を奪い合う者達、辺りはさながら戦場の様になってしまいました。こうなると、大人しいツバメウオは近付きもしません。
結局餌付け大作戦は、単なる”ウツボショー“と化したのです。 
そしてこの日を境に、3匹のツバメウオはその場から消えてしまいました。
反省:今更ですが、自然のモノに対して人為的な行動は、出来るだけ慎まなければなりませんね。
(反省・・・と言いつつ、この他にも“餌付け物語”はまだまだ続きます。笑)


ツバメウオの幼魚です。 何となく“ツバメ”と名付けた理由が判りますね。


“ウツボ”は、大きな口と鋭い歯で怖がられますが、いたって大人しい魚です。
人間の中にも、強面だけど“気の小さい人”や、とっても“優しい人“って居ますよね。


外国の方にとても人気の高い“トラウツボ”です。
気性が荒いと言われますが、撫ぜたり手乗りに出来るフレンドリーなウツボです。僕だけ?


海チーム 文:画像共に K.Y
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初めまして~

2010年04月21日 | 海の生物
皆さんご存じかも知れませんが、年度が変わり“陸ガイド部門”に2名の欠員が出てしまいました。一人は獣医さん、職場の異動で島外へ・・・そしてもう一人、子育て中のスタッフは中々時間が取れず、しばし陸ガイド部門をお休みとの事
そんな訳で、“陸部門スタッフ日記”に、海ガイドチームが“週一”で加わる事になりました。しかし、海チームは別部門として“スタッフログ”なるものを書き、最新の生物情報をほぼ毎日発信しています。そこで、ここでは海の生物のみにはこだわらず、今までの海との関わりで感じた事や面白い出来事等を、少しずつご紹介できればと思っています。 
勿論、大島を取り巻く海のnewsや、生物情報もリアルタイムでお伝えしていきます。どうぞ、宜しくお願いします。



さて、上の画像ハナタツと言うタツノオトシゴの仲間です。
胸元?に何か付いているのが判りますか?



アップにするとこんな感じ。何と!生きた貝が胸元を這っていました。
人間だったらきっと、ムズムズして手で払いのけるところでしょうね。
性格の穏やかなハナタツは、こんな事は気にしない!
ちょっと微笑ましい”ワンショット”でした。


(追加)
すみません。追加で登場です。
もう少し詳しく事の成り行きを・・・。

先日、毎週水曜日に担当してくれていた有馬典子から子育てが多忙を極めるため
完全休業をしたいとの申し出を受けました。

水曜日を日記の休みの日にしようかとスタッフ間で話しあいましたが
それも淋しいので、陸の話題はお休みにして、海スタッフの方から
大島の海の中を紹介していこうということになりました。

海のHPの日記は、リアルタイムの生物情報的な意味合いが強いのですが
ここでは海の生物たちの生態など、楽しい話題をお届けしたいと思います。

今まで水曜日に何回も登場していた“磯の貝達”よりも少し水深が下がります。(笑)

これからも引き続き、よろしくお願いします。

(カナ)
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