♪ あなたが噛んだ~ ♪ 小指が痛いぃ~・・・♪
「おいおぃ、どれだけ噛んだんですか~?」 翌日まで痛いとは(普通は甘噛みでしょ)
それに、小指を噛む男って・・・う~ん、どうなんでしょうね~?
いきなり古い歌で始まってしまいましたが、すみません。
実は先日、私もとっても痛い思いをしてしまいました。
それは・・・お客様と、海へ行く準備をしていた時の事です。
トランクス型海パンを穿いてウエットスーツを腰まで上げ、上着のインナーを着ようとしていると
“左の尻ッペタ”の所がモゾモゾします。
「アレッ!もしや・・・」 いや~な予感がしました。
何と!ムカデが潜んでいる海パンを、穿いてしまったのです。
「ヤバイ!噛まれる!」
心の中で悲痛な叫びを上げた私は、思わず、ウエットスーツの上からむんずと海パンごと怪しい部分を掴みました。
しかし、相手もとっさの反撃!
「痛たたたたたぁ~~~!」 ガブリ!と噛まれてしまいました。
更に、指先を抜けだしたムカデは“右の尻ッペタ”へ移動、もう一噛みされたのです。
両尻を押さえる私の異様な行動に、ゲストの方達は皆注目です。
しかし傍目を気にしている場合ではありません。 このピンチをどう切り抜けるか?
頭の中では色々な考えが錯綜します。
『器材洗いの水槽に飛び込んで、相手を溺死させる。』・・・そう簡単に死ぬ相手では無さそうです。
『この場でウエットを脱いで、海パンの中から何とかムカデを追い払う。』・・・
これもチョット手間取りそうです。
『これは、海パン毎脱ぐしかない!』大急ぎで扉付きシャワーの中へと駆け込みました。
そして出てきたのは・・・10cmは軽く超える“大ムカデ”
慌てて逃げるムカデがどうなったか?・・・それは、ご想像にお任せします。
その後、ゲストの方を待たせる訳にいかないので、すぐに車に飛び乗りポイントへ向かったのですが
車の振動が程良く噛まれた部分を刺激します。腰を浮かせての運転も中々楽ではありませんでした。苦笑
さて、皆さんもご存じと思いますが、この夏、私達ダイバーにとって何ともショッキングなニュースが流れました。
沖縄のダイビングインストラクターが砂浜に潜んでいた“オニダルマオコゼ”を踏み、死亡したのです。
私も何回か“オニダルマオコゼ”と遭遇していますが、実に巧妙に隠れています。
砂に埋もれていたり、岩陰に潜んで獲物を待っているのです。
そして背鰭には猛毒が有ります。何と!大人4人を死に至らしめる程のタンパク毒を持つそうです。
この他にも、海の中には実に様々な危険な生物が存在しています。
私達はそれらの生物から身を守る為に、生息場所や特徴等正しい知識を身に付ける必要が有ります。
なんて事を、普段はお客様にお伝えする立場なのですが、実は私自身色々な痛い思いをしています。
その中から、これまでに味わった最大の痛い思い出を一つ・・・
ある日のナイトダイビング、エキジット間際に珍しいウミウシを見付けました。
刺激を与えると光を発する“ヒカリベッコウウミウシ”です。
ビデオを構えて撮ろうとしますが、波で振られて中々体が安定しません。
こんな時私達は、海底に腹這いになり大きな岩を足で挟みます。
丁度手頃な岩を近くで見付け「ヨッシャ~!」と掛け声よろしく、両足で挟み込みました。
その瞬間!“右のふくらはぎ“に激痛が走りました。 何と!岩陰に大きなガンガゼが居たのです。
スーツを貫通して刺さったトゲは数十本、指先まで痺れてきました。
何とか海から上がり、足を引きずりながら車に戻りましたが、ウエットスーツを脱ぐ時の痛い事痛い事半端では無かったです。
ガンガゼの棘は、他のウニ類と比べ細くて脆いのが特徴です。
刺さると折れてしまい“トゲ抜き”も使えません。
1~2本なら毒の痛みも数時間で消えるのですが、流石に数十本の毒針に刺されては堪りません。
紫色に腫れた患部は翌日もジンジンしていました。
この棘は、いずれ吸収され消えてしまうのですが暫くは肉の中に残っていました。
皆さんも、ガンガゼの棘には十分注意しましょうね。思わぬところで痛い思いをしますよ~。
さてここから先は、昨日撮ってきたおまけの画像です。
これは“イイジマフクロウニ”大きさは20cm超
猛毒があり、棘に触れただけで激痛が走ります。
以前あやまって触った時には、余りの痛さにレギュ(呼吸をする為の道具)を外し、一呼吸毎に指を咥えずにいられませんでした。
まともに刺さったら、間違いなく悶絶しますね。
こちらは“ラッパウニ” 色々な本でも危険な生物と紹介されているのですが、実感が有りません。
綺麗なウニなので、ついついゲストの方にお見せする時掌等に乗せてしまいます。
毒を持つと言われるラッパ状の棘は簡単にウニ本体から外れ、指先にくっつきます。
でも、痛くも痒くもありません。 でも、“良い子の皆さんは真似をしないでね。”
最後はお魚・・・“ハナミノカサゴ”です。砂地で海底の獲物を狙っていました。
とても綺麗な魚で、私のお気に入りです。 ダイバーになりたての頃は“憧れの魚”でした。
これも背鰭に猛毒を持っていますが、意識的に私達が刺されようとしない限り安全です。笑
海の中では、“イモガイ”の仲間以外、幾ら毒を持っていてもそれを攻撃に利用する者は殆ど居ません。
皆、自分の身を守る為なのです。
しかし、寝床にまで忍び込んでくるムカデは絶対に許せません。
それと、何の前触れも無く刺して逃げる“アブ”・・・ これらは私の天敵です。笑
海チーム K/Y