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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

海の中のウサギ達

2011年01月19日 | 海の生物
皆さん、今年の年賀状はどんなデザインだったでしょうか?
ダイビングをされている方は、結構海の写真を使ったりします。
水中の風景や生物を題材にしている方が多いです。

水中の生き物を年賀状にしてる方には、その年の干支が名前に入った生き物を使う方がいらっしゃいます。
そう考えると、水中の生物には動物・植物・昆虫・自然の風景や現象を名前に使った生き物が結構います。

今年の干支は「卯」
ウサギと付く、魚は案外少なくです。
そこで、今年多く使われたのがウミウサギと呼ばれる貝の仲間です。
沖縄などのお土産物屋さんで、真っ白な貝にお洒落な文字や柄が入った物を見た事がないでしょうか?
あれが、ウミウサギガイと呼ばれる貝です。
大島での出現は珍しく、滅多に見られません。

ウミウサギガイの仲間は、貝殻を外套膜と呼ばれる軟体部で覆っています。
その軟体部の模様が実に美しい物が多いのです。
まずは、THEウミウサギガイです。


大人になると外套膜は真っ黒になりますが、幼貝の内はこんなにキュートな模様です。
刺激を与えると写真の様に貝に中に引っ込んでいきます。

他にも色々なウミウサギガイの仲間は大島は出現しており
今現在37種類を記録しています。
その中から少しご紹介しましょう。



↑この貝はスミレコボレバケボリと呼ばれる種類です。
ウミウサギガイの仲間は、必ずホストと呼ばれる宿主に付いています。
その宿主を餌とし、そこに卵まで産み付けます。完全に寄生して居ますね・・・
宿主には、腔腸動物を呼ばれる物が選ばれ、ポリプと呼ばれる生き物の集合体になります。
このポリプを開き、宿主は餌を取るのですが、この貝は外套膜で見事にその開いたポリプも表現しています。
ホストに似せれば捕食され難くなるのは分りますが、凄すぎますね。

ウミウサギガイの仲間にも他の動物の名前が入っている種類がいます。
それが、この貝です↓


トラフケボリといいます。
阪神タイガースファンの方には大人気です(笑)
昨年の年賀状に使った方も多く見られました。

最後に私の大好きなウミウサギガイの仲間をご紹介しましょう。


ハグルマケボリと言います。
実は貝の大きさは5mm程、大島では生息水深が深いのは難点です・・・
貝殻の張り出した部分がボコボコとしており、まるで歯車の様に見える事が名前の由来でしょう。

この様に海の中にも、御目出度い干支が多く棲んでいます。
今後も機会があったらご紹介して行きましょう。

(有馬)

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水中生物の名前 2

2011年01月12日 | 海の生物

今回も水中生物特に魚の名前について書いてみたいと思います。

基本的に魚の名前も~ハゼとか~ザメとか、名前の後半にその種類が分りやすいものが多いです。

ただ時折なんでこんな名前?もしくはう~ん納得!と思うものもあります。

魚の名前も日々増え続けています、新しく発見された物・以前からいたがやっと名前がついたものいろいろです。

特に最近はなんだかひねりが無い?というか面白くないものが多いような気がします、まぁ学者さんも毎回毎回名前を付けるのに苦労するのでしょうが???


今日の四枚の写真の魚はちょっと変わっているというか、なるほどね!なんて納得してしまう名前です。

まずは一枚目、何だと思います?一応ハゼの仲間ですがヒントは黒い帯です。答えは『ネジリンボウ』といいます、黒い帯がねじれているように見えるからなのでしょうね。

二枚目は同じ様に黒い帯が入っていますが、ちょっと目線を変えて『ミギマキ』といいます。何故これが右に巻いている?なんて野暮な質問は無しです、そういわれればそう見えてきませんか?

次は体の真ん中にある大きな丸いマーク、何だか射撃の的の様に見えませんか?名前は『マトウダイ』といいます、覚えやすいでしょ?

最後はかなり難問です、これを食べたらどうなるか?を考えてみてください。ご存知の様にフグの多くは毒を持っています、そのまま食べてしまうと最悪死んでしまうかも?そんなところから名前は『キタマクラ』、皆さん間違っても食べないように!北枕になってしまうかも?

こんな感じで名前の意味を考えながら見ていると、簡単に覚えられそうじゃないですか?

次回も面白名前の水中生物を紹介したいと思います。

担当 石田

 

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水中生物の名前 1

2010年12月29日 | 海の生物

今回は水中生物の名前について書いてみたいと思います。

もちろん水中生物にも名前が付いていますが、日本の場合それが標準和名といわれます。

外国では学名以外に標準的な物がなく、一般的に英名が付いていることが多いのです。

一枚目の写真ですが日本ではトラウツボと言われ、人気のある種です。

今年は寅年だったので年賀状に使われた方も多いのでは?

トラ柄からその名前が付いたのでしょうが、見た目から想像しやすい名前ですよね。

この種外国ではドラゴンイールといわれ、結構人気があります。

イールはウツボの仲間の総称で、外国人からみると龍(ドラゴン)を思わせるのでしょう。

外国ではあまり見る事ができないのか、日本に来る外国人ダイバーには大人気!

お国が違えば見方も変わってくるのでしょうね、調べてみると結構おもしろいです。

 

二枚目はミカドウミウシと呼ばれていて、日本では人気の高い種です。

帝の名前が付いているくらいなので、神々しく見えるかも?

ところが外国ではスパニッシュダンサーなんて名前が付いていて、かなり趣きが違うようです。

なぜダンサー?なんて思いますよね、実はこのウミウシ踊るのです???

踊るというか泳ぐといった方が良いのでしょう。

縁を波立たせてゆらゆら泳ぐ姿は、あたかもスペインの踊り子がスカートをヒラヒラさせるように見えるのでしょう。

何とも華やかな名前ですが、日本の見方とは大違い!

それ以外にも面白い名前が付いている種がありますので、また書いてみたいと思います。

担当 石田

 

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歯は命?

2010年12月22日 | 海の生物

今回は魚の歯について投稿してみたいと思います。

陸上生物同様に水中生物たちもそれぞれの食性があります、それに合わせて歯の形はいろいろですね。

例えば写真のブダイは岩などに付いている藻や海藻、時に甲殻類も食べます。
前歯が前に出て幾つもかさなりあった歯は、岩から藻を効率よく剥ぎ取るためにできているのでしょう。
歯の隙間に海藻らしき茶色い物が挟まっています、デンタルクロスしてあげたくなりますね?

次はウツボです、鋭く尖りなおかつ内側に向いて伸びています。
一度咥えたら絶対離さないぞってのが良く分るし、典型的な肉食性ですね。
咬まれたらかなり痛そう~、実は私もウツボに噛まれたことがあります。
まだ子供のウツボだったのでそれほど血は出ませんでしたが、以前お客様が咬まれた時は大変。
その方何故だかウツボの口に指を向け、突付こうとしたようです。
結果は見事に咬まれ大量出血、すぐに病院に行って縫ってもらったそうです。
皆さんもウツボには気をつけてくださいね、間違ってもいじめないように!

さて次は何だか分ります?変な形をしてますよね~。
ネコザメというサメの仲間で、サザエなどの固い物を食べます。
固い物を砕く為に歯と言うよりは、万力の如く平らで丈夫にできています。
以前ネコザメが水中でサザエをバリバリ噛み砕いている映像を見たことがありますが、まぁ見事に割っていきますね。
ある程度噛み砕いた後に殻だけ吐き出し、サザエの中身だけを食べていました。
私達からするとなんて贅沢な魚!って思いますよね、町でサザエを買えばいくらになると思ってるのでしょう。

最後はヒラメです、それも1m近くはありそうな大物でした。
ヒラメも肉食性で、上を通り過ぎようとする魚などを襲います。
ただこのヒラメよ~く見てください、歯がボロボロ・・・。
ここまで大きくなるのはかなりの老成魚です、敵から実を守りながら数多くの魚を捕食してきたのでしょうね。
なんだか哀愁を感じてしまいます・・・、歳をとると歯にきますからね~。
これ以上歯がなくなると食べるのも困ります、やっぱり歯は命ですかね~?

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生き残る為には・・・4

2010年12月08日 | 海の生物
今回もまた海の生物達の生態を載せてみようと思います。

魚は勿論手がありません、当たり前ですが・・・。
なので身体に何か(ゴミ・寄生虫・その他生物など)が付いたとしても、それを自分で取り除くことはかなり大変です。
中には砂や岩に身体を擦り付けて取る種もいますが、多くの魚達はクリーナーと呼ばれる生物達に食べてもらう事が多いのです。
そんなに都合よくそれだけを食べてもらえるなんてあるのかな?なんて思われる方もいらっしゃるとは思いますが、それが以外に簡単に沢山観察されています。
クリーナーと呼ばれる生物の代表格がエビと魚です、魚の方はクリーナーフィッシュと呼ばれ何処の海にでもいます。
こんな都合の良いクリーナー達はボランチティアで取ってあげているのか?いやいや実はお互い持ちつ持たれつなんですね。
魚達はクリーナーたちに寄生虫などを食べてもらう代わりに、クリーナーを食べることはありません。
つまりどんなに近づいても何処にいても、時には口の中に入っても食べられることは無いのです。
そういった信頼関係があるからクリーナーの近くは色々な生物が集まり、時にクリーニング待ちなんてのもざらにあります。

さて今回の主役ですがニセクロスジギンポといいます、10cm程度の小さな魚ですが独特な生き残り方で有名なんです。

次にこの写真を見てください上の魚と似てませんか?この魚はホンソメワケベラといってクリーナーフィッシュとして一番有名かも?なんてくらいの魚なんです。

なぜこんなに似ているのでしょうか?実はニセクロスジギンポは肉食なのにホンソメワケベラになりすまし、クリーニングしてあげるよ~なんて見せかけながら魚に近づいて皮膚を食いちぎるのです。
皮膚を食べられた魚はビックリですよね~、おいおい約束が違うじゃない!なんて怒ってるかも???

生き残っていく為に食べられることのない種に似ていったのでしょうか?こういったずる賢さも時には必要なのかも?
なんか今流行の振込み詐欺みたいで、好きになれないのは私だけでしょうか?
今の世の中そんな事も言ってられないかも?せちがらい世の中になってしまいましたね~。

担当 石田

 

 

 

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弱肉強食

2010年11月24日 | 海の生物
陸上同様海の中も生き残るために、食べられる者と食べる者がいます。
ただ陸上と違い水中はそこに留まっている時間や、環境はそんなに簡単ではありません。
もちろん空気もありませんし、冬になれば冷たい水中で長くいる事も出来ません。
そんな短い時間の間に弱肉強食の世界が時折観察できます、ただそれは時間や場所が決まっているわけでもなくダイバーの運次第です。
私達ダイビングガイドはほぼ毎日の様に海に入り、そういったシーンを見る機会は多いとはいえそれを記録として残すには撮影技術も必要になります。
今回お見せする写真は海の中で起こったほんの一瞬を撮影したものです、強者と弱者の力関係も気にして見てみてください。

一枚目はエソの仲間がフグの仲間であるキタマクラを捕食したシーンです。
キタマクラは名前から想像できるように毒を持っています、でもエソにはそれがきかないようですね。



二枚目もエソの仲間ですが、食べられたのはトラギスの仲間ですね、口の中に目が見えるはずです。
ただこの場合尻尾から食べてしまった為に、なかなか飲み込めず四苦八苦していました。



三枚目はキイボキヌハダウミウシ(大きくて白い方)がアオウミウシ(小さくて青い方)を食べています。
このキイボ~はウミウシを食べるので有名ですが、時に同じ種類の仲間も食べるそうです。
以前自分より三倍も大きなウミウシに喰らい付いているシーンを見たことがありますが、非常に貪欲で大食いなウミウシですね。



四枚目はアオリイカがイソカサゴを捕まえたシーンです、まだ食べる前ですね。
このイソカサゴも背鰭に毒を持ちますが、アオリイカには関係ないようです。



五枚目はよ~く見てくださいアカハタ(大きい方)がイソカサゴ(口の中)を咥えていますが、そのイソカサゴも実は小さなエビを咥えています。
つまりイソカサゴがエビを捕まえてしてやったりの所を、アカハタがまんまとイソカサゴを捕まえたのでしょう。
ほんの数秒の間に生死の境目が二度も訪れたのです、これはかなり稀なシーンでしょう。



次はいつ訪れるか分らない貴重なシーンを今後も撮りつづけていきたいと思います、そのときはまたお見せしますね。

担当 石田
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レッドデータ調査報告 vol.2

2010年11月17日 | 海の生物

  11月3日の日記に大島で行われた「レッドデータブック再登録」の調査を行った記事を書きました。
今回は、その続編です。

再度、説明させて頂きますと、10月18日~21日にかけて
東京都のレッドデータブックの再登録に伴う調査が行われました。
私がご協力させて頂いたのは「汽水・淡水性のカニ類」の調査です。

11月3日の日記にはケイカイでの調査の記録を書きました。
如何にケイカイの環境が貴重な物であり
保護して行かねばならない生物が生息しているのかが伝わってくれていれば嬉しいです。
無暗な工事は考えて行かねばならないでしょう。

今回調査を行ったのは、このケイカイの他に
野田浜・和泉浜・筆島海岸・砂の浜・フノウの滝です。

初日は、ケイカイの後に和泉浜に向いました。
残念ながらここでは、特に成果は無し・・・ヒメアカイソガニが見られた位です。

このカニも汽水のカニです。
ケイカイでも勿論見られました。 専門家曰く「このカニが居るという事は海岸が良好な状態だという事」だそうです。
何だか嬉しいですね。

和泉は早々に切り上げ、野田浜へ。
何故、野田浜かというと、島の方が「コヌタ」と呼んでいる、我々ダイバーがダイビングスポットにしている所があります。
その横に、大きな淡水の溜りがあるのです。
水が非常に濁っている事が多く、中に入った事は無いのですが、いつも生物が居そうな気配がありません。
その場所の浅い水深にある石を捲ってみました。
出てきたカニは、2種類。
カクベンケイガニ(これも3日の日記に登場してます。)とベンケイガニです。
両方とも基本的には陸に棲むカニですが、同行した専門家の方の話では
今回の様に水に入る事もあるそうです。
大島で良く見る陸のカニは「カクベンケイガニ」と「アカテガニ」
私もこの2種だけだと思っていました。しかし、今回の調査でベンケイガニを発見!!

今回の調査で参考にした資料に「伊豆大島及びその付近海域のカニについて」という論文があります。
これは、1954年~1965年にかけ、大島の水産試験場に勤務していらした倉田 洋二さんという方が、
当時金沢水族館にいらした鈴木 克美さんと共著で書かれた論文です。
これが、今改めて見ても驚くべき内容の物で、この論文が手元に無ければ、今回の調査は成り立たなかったと思っています。、
それを見ると、今回発見した「ベンケイガニ」は載っていません。
正式な記録しては、今回のが初記録となるでしょう。
これは、思わぬ大収穫でした。
この日は、これで終了。先のケイカイの結果と合わせてみると好スタートです。

今回いらした学者の方は、ダイバーでもあり
水中にも水が湧いている場所がある話をしたら、是非調査したいという事で
翌日は、タンクを背負っての水中調査です。
もしかして、凄いカニが見つかるかも~~と思ったのですが残念、そう上手くは行きませんでした・・・

3日目は、まず大島の海岸線で一番水が沸いていると行っても過言ではない筆島海岸に行ってみました。
確かに水は凄い量で湧いているのですが、飲み水確保の為にコンクリートで壁が作られています。
そのせいか、カニは勿論、淡水性のエビも居ませんでした。。。
学者の方曰く、このコンクリートの壁は高さが有り過ぎて、甲殻類は登れないという話です。。。
堰きとめられて無い場所も探したのですが、結局何も発見出来ませんでした。
やはり、この海岸は常時波辺りが強く生物が居付くのには過酷なようです。
その証拠に、砂浜に貝殻が全然落ちていません。。。 何だか納得の話でした。

帰り道に砂の浜でスナガニ探し。
砂浜の少ない大島では、スナガニ類も調査の対象です。「ミナミスナガニ」はレッドデータの対象種になっているでそうです。
カニ穴を掘ってみると、出てきました。スナガニの仲間
今同定中なのではっきりした事は分りませんが、「スナガニ」か「ミナミスナガニ」どちらかです。


非常に多くのカニ穴が、この浜には開いており、ここもこの環境がなくなったら不味い事になるでしょう。
しかも、ウミガメが産卵にも来る貴重な場所です。今、橋の工事や沖に消波ブロックを入れる計画があるのですが
それらが、どう影響を生むのか心配です。
波の影響により、砂浜が後退しているという話ですが、ブロックを入れれば本当に砂が無くならないのでしょうか?
逆に砂が戻って来なくなるなんて事態が起きる事も懸念されます。

先の論文を元に見ると
砂の浜にスナガニ・間伏浜にミナミスナガニ・前浜にコメツキガニとあります。
う~~ん 間伏浜って何処になるんでしょうか?
第2砂の浜と呼ばれている場所でしょうか? それとももっと波浮側でしょうか?
どなたか、これをご覧の島の方教えて下さい。

そして、「前浜」ここは元町港のすぐ北側らしく
論文上の地図を見ると、今の浜の湯の下辺りになりそうです。
残念ながら今現在、この辺りに砂浜は無く、コンクリートの壁があります。
つまり、環境ごとここに居た「コメツキガニ」は絶滅した事になります。
う~~ん また難しい問題ですね。港周辺の開発は島民にとっては必要な面もあります。
しかし、貴重な環境を潰してしまった事も事実です。
公共事業と自然保護・・・・ 永遠のテーマですね。

その後は、フノウの滝へ行ってみました。
目的は・・・ 
おっと、何だかまた長くなってしまったので次回に続きます。

(有馬)

 

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生き残る為には・・・3

2010年11月10日 | 海の生物

今回も海の生物の生態について書いてみたいと思います。

 

陸同様海の中も食物連鎖は起きています、サメなどの大型肉食魚を頂点に下は小さなプランクトンまで。

食べられる可能性が高い下層の生物は食べられても子孫を残すため、より多くの卵を産みます。

それに比べサメなどはほとんど一匹づつしか生まないそうです、それだけ食べられる可能性が少ないのでしょうね。

 

今回の主役の『ダイダイヨウジ』は伊豆近海でしか見る事が出来ない日本固有種です、なおかつ水深も30mを越えないとなかなかお目にかかれません。

 

 

この仲間は比較的泳ぎが苦手なのか、いつも穴の中に隠れてほとんど外には出てきません。

水中ライトで穴の中を照らすとすぐに穴の奥の方に逃げてしまい、ゆっくり観察・撮影しにくい仲間です。

そんな臆病な性格な上、生んだ卵もお腹につけて常に携帯します。写真で分りますでしょうか?身体の下部に半透明のツブツブがたくさんついています、これが彼らの卵です。

もともと泳ぎが苦手だったからか大型魚が入って来れない穴で暮らし、なおかつ卵も身体につける事によってこれまで生き残ってきたのでしょう。

種類によって様々な生き残り方がありますが、皆子孫を残すために色々な方法で守っているのですね。

 

担当 石田

 

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レッドデータの調査が行われました。

2010年11月03日 | 海の生物
先月の18~21日にかけて、
東京都のレッドデータブックの再登録に伴う調査が大島で行われました。
私が協力させたもらったのは、「汽水・淡水のカニ類」です。

私と一緒にヤドカリの調査を大島でして頂いた、甲殻類の専門家の方がわざわざ来島され調査を行いました。

対象となる「汽水・淡水」の甲殻類には当然エビもいるのですが
それらは数が多い物が多く、今回はカニに絞っての調査になりました。
「汽水・淡水」と言っても川の無い大島にとっては、簡単には行きません。
幸い、大島は湧水が出ている所が多くあります。
海沿いだったり、山だったりと確かに数は少ないのですが結構あるのです。
今回、調査を行った場所は
①ケイカイ ②野田浜 ③和泉浜 ④筆島海岸 ⑤砂の浜 ⑥フノウの滝  です。

まず、最初はケイカイに行ってみました。
ここは、非常に多くの湧水が湧いています。
工事が行われている横を失礼して調査開始です。

工事が行われているので、環境が壊れていないか心配していたのですが
湧水も遮断されていないし、土砂も流れ込んでいませんでした
波うち際に石を捲ると 「アカイソガニ」が出てきます。



このカニが見られるというのが海岸としては、かなり良好な様です。
そして、水の中では凄い結果が出ました。
まずは、このカニ↓ 


タイワンヒライソモドキというカニです。
実はこのカニ、三重県と福島県で準絶滅危惧種に指定されています。
奈良県と和歌山県を流れる「紀の川」の工事では、
一部汽水域が淡水域に変化してしまうため、代替生息地を確保して
移植を試みた事例がある程の価値に高いカニです。

そして、次にはもっと驚くべきカニの姿が!!
そいつはこれ!!↓


これは、ハチジョウヒライソモドキというカニ
前種との違いは、眼から下の甲羅の縁に目立った切れ込みがない事と
歩脚の先端に毛が生えている事です。

1955年の八丈島で発見され、八丈島の固有種と言われていました。
その後、奄美大島や沖縄でも発見されているようですが
今回の発見で北限の更新です。

確実にこの2種はレッドデータへの登録は間違えないでしょう。
まだ、同定結果待ちですが多分「ケフサヒライソモドキ」では無いかと思われるカニも発見されました。
これも、希少種のカニです。
これが、「ケフサ」なら間違え無しに登録です。
ケイカイだけで少なくとも3種が、レッドデータになりそうです。

4日間の調査の間に、これらのカニで出会えたのはケイカイだけです。
今回の工事は、今の所この環境に影響を与えていないので安心しましたが
気になるのは、今後です。
今のケイカイの様子はこんな感じ


新たに作られたスロープの下に土が露出しています。
雨や台風の度に、これが土砂となり海に流れ込んだら確実に
上記した3種のカニは死んでしまうでしょう。

そんな大袈裟な~と思うでしょうか、これらのカニは汽水でしか生息出来ないのです
海に流れ込む僅かな真水が作り出す、本当に狭い空間にしか棲めないカニなのです。
つまり、その環境に何かインパクトが与えられたら、貴重な生き物が暮していけなくなります。
この土の上に、元々あった石を積んでくれれば問題無くなるかもしれませんね。

先にも書きましたが、今の所海には影響は無いようです。
でも、これだけ大きく工事をして何処にも影響がないはずはありません。
今回のカニを中心に見ると、このスロープを作るせいで、
岸側にあった手頃な石がみんな無くなってしまいました。
写真の土の部分には、大小様々な石があったのです。
その石の下には、多くのカクベンケイガニというカニが棲んでいました。


大島では、これまた少ない陸生にカニです。
大島では、この他にアカテガニとベンケイガニがいます。
勿論、このカニも今回の様に環境が壊れれば、死ぬか何処かに移動しなけれないけません。

このカニ、他の陸生のカニに比べれば数は多い方です。
しかし、まだ居る、まだ居ると安心して、人間はどれだけの生き物を絶滅させていったのでしょう?
気をつけなければいけないと思います。

中には、土壁に穴を掘って暮す種類もいます。
ケイカイにもこの様なカニ穴が多くあります。
もし、ここがコンクリートに壁になったら確実に全滅です。

公共事業と自然保護の両立は非常に難しい問題です。
しかし、今時代は生物多様性年を迎え、自然を保護をしながらの開発という物が注目されています。
特に、今年ジオパークへ認定された伊豆大島では、より一層気をつけなければいけないでしょう。
火山の噴火に寄って作り出された海岸線の景色は、「ジオ」そのものだからです。

自然の配慮した、公共事業を勧める、見本となる島に大島がなってくれる事を願います。
それには、やはり自治体で貴重種の調査を行い、リストを作るしかないでしょう。
何処に、どれ位の数、どんな生き物がいるのか
別に全種やる必要はありません。
貴重とされている生物に絞ってやるのも手ではないでしょうか?

そんな大島を次の世代に繋げて行ければ嬉しいですね。
孫の代になったら島の周りが全部コンクリートだったら悲しいですからね~(笑)

あれ?ちょっと長くなってしまいました・・・
他の場所で行った調査に関しては、機会があったら書く事にします。

(有馬)
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生き残る為には・・・2

2010年10月27日 | 海の生物
水中生物も陸上生物同様に色々な方法で生き残る術を持っています。
泳ぎが得意なもの・擬態が上手なもの・何かに似せたものなど色々です、そんな中今回の主役「ジョーフィッシュ」は口の中から卵を孵化させる仲間です。



水中生物が一番食べられやすい時期はいつでしょう?
大きくなれば生きる術を知っています、小さいうちは確かに食べられやすいかも?
でも卵のうちは逃げることも出来ないし、身を守ることも出来ません。

この仲間は一日の内ほとんどを穴の中で生活するくらい臆病です、その上口の中の卵を食べられることはほとんど無いでしょう。
そしていざという時には大きく口を開け、卵の孵化を促します。
その時間や時期などは非常に難しく、なかなかその瞬間を見るのは容易ではありません。
温かくて浅い所で見る事が出来る南国ではそれ程難しくはないでしょうが、冷たくて深い(時に40mを越える)所ではそうもいきません。
それゆえに見ることが出来た時は喜びもひとしおでしょう。
是非見てみたいものですが、かなり難しいかも?

担当 石田
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