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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

タマキビ物語

2013年10月04日 | 海の生物
6月のブログで海岸のタマキビの仲間(貝)の写真を載せたところ、島内の2人の方から「島の中学生や高校生が過去にこの貝を研究していた」という情報をもらいました。

(写真はアラレタマキビです)

中学生の研究は、東京都科学教育振興会、読売新聞社主催の日本学生科学賞・東京都の部で最優秀賞になったとのこと。その研究が「海辺の科学」という本の中に掲載されていました。

本の中には、生徒達がフィールドでの観察から様々な疑問を感じ、それを解決するために自分たちで方法を考えていった過程が記録されていました。

全く動かない貝に対しての「生きているの?」という疑問から始まり、海水をかけたり、真水をかけたり、光に対する反応を調べたり…。本ですぐに答えを見つけるのではなく、自分たちで答えを探していく行程が素晴らしかったです。

その本の中から、私が「!」と思ったこと…
「海水をかけると動き出すけれど、真水をかけると動きが止まる。」
「光と反対の方向に移動する。」

「そうなんだ~!」
現場で観察したくなって、先日太陽が沈む直前に海岸に行って来ました。

太陽の角度はこれぐらいでした。

「タマキビは光に背を向けているのだろうか?」
ワクワクしながら岩場をのぞいて見たら…

あれ?

なんか思ったよりバラバラ…。

あ、そうか、彼らにとって「光と反対の方」というのは「暗い方」…すなわち、溶岩の穴や隙間なのかも。全部太陽に背をむけているような光景を想像していましたが、そんなわけないですよね(笑)

さらに海水をかけたら動き出すのかと期待して潮溜まりの水をかけてみましたが、タマキビは微動だにしません…。うむむ~、手でピチャピチャかけるぐらいでは、水の量が少ないのかも?

なんだか納得できなかったので、今日も再度、同じ場所に行って来ました。
昼11時頃、ほとんどのタマキビたちは、いつものように穴の中。

でも溶岩の表面に出ているものが何匹かいました。

なんだか堂々としています!
餌でも食べに出て来たのでしょうか?(動かないけど・笑)

海水中に入っているものもいました。

本には「炎天下にいるタマキビは蓋を閉じて岩に着いているが、海水を岩にかけると足でくっつく。」と書いてあったので、調べてみました。

ホントだ!

蓋を閉じたまま、なにやら糊のようなもので岩に貼り付いています。
蓋をすることで、乾燥から身を守っているのでしょうか?

さて、夕方になってから、またまた同じ場所に行ってみました。

海は昼よりも荒れていて、時々白い波の飛沫が上がっていました。

驚いた事に、たくさん居たタマキビたちが1匹も居なくなっていました!
海が荒れて来たから避難したのでしょうか??

「あんなに居たのに,どこにいったんだろう?」
不思議に思って水の中の小石の下も調べましたが、姿がありませんでした。

海も荒れていて近づけないので、違う場所にいた5匹を持ち帰って観察する事にしました。

「海水の中では良く動く」…本のとおりです!
(潮溜まりではほとんど動きがないような気がするのですけど?)

仲間に接近中。


あ、登ります!


おんぶ~。


裏から見ても可愛いです!


水を持ち上げます。


水を乗せたまま出てきます。


脱出~。

美しい水のヴェールを身につけているのが、なんとも素敵です。

しばらく放っておいたら、みんな水面上に出て来ました。

ほんとうに水が嫌いなんですね~。

本には「淡水に入れると2~3日で死んでしまうが、乾燥した空気中では約9ヶ月も生きている。」と書いてありました。

で、ケースの蓋をあけてみたら、みんなそれぞれの道を歩きはじめました。
水の中に帰るもの、縁に留まるもの、そして新天地へ冒険の旅にでるもの…

いや~、生き物って本当に多様ですね。(実感)

ところで、この先の展開はどうなるんでしょう?
タマキビ達は、水の存在を感じて、あまり離れずにいるのでしょうか?
このまま朝までおくのが怖いような、楽しみなような…笑。

溶岩の小さな穴の中に入って、いつもジッとしているように見えるタマキビたち。
実は不思議がいっぱいの、面白い生き物だったのですね。

これから溶岩の上で暮らすこの小さな生き物を観察するのが、楽しくなりそうです。

(カナ)




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伊豆大島、ばんざい!

2013年09月01日 | 海の生物
ナイトツアーでウミガメの産卵に出会ったのは、今年の7月13日のことでした。 翌14日には、島でウミガメを研究しているグループが卵を確認し、踏み荒らされないように柵で囲ってくれました。

そして産卵から49日目の昨日、研究グループの成瀬氏から下記のようなメールが届きました。「本日夕方、ウミガメの巣穴調べをします。台風15号の影響で冠水や卵の流出が心配されますので、早めに行うことにしました。生きている子ガメは見られないかも知れません。」

案内のあった時間に少し遅れて浜に着くと、たくさんの人が集まっていました。

太陽がかなり傾いて、あと30分ほどで水平線に沈みそうでした。

調査は既に始まり、卵が堀り出されていました。

まだ卵の中に残っていた子ガメは、一度箱に集められます。
子ガメ達は箱の中で、海に向かって進もうとしているようでした。

記録をつけていた方に、調査票を見せてもらいました。

こうやって10年以上、データを積み重ねているんですね。
地道な活動、素晴らしいです。

メモも見せてもらいました。

この日の見学者、111名!
ウミガメの卵と同じぐらいの数です!(笑)

子ガメは巣穴から自力で歩いて海に到達する必要があるそうです。成瀬氏がウミガメを歩かせはじめたら、見学の人たちが両側に並び、あっという間に「海への道」ができました!

ウミガメ達は次々に海を目指して歩いて行きます。

ヨイショ、ヨイショ!
時々、ひっくりがえりながらもまた起き上がって海に向かいます。

体の割に、目とヒレが大きいです。

もうすぐ海です!

うまく波に乗って、海にでられるでしょうか?

波が来ました!

この時の波では陸に引き戻されてしまいましたが、また起き上がって海を目指し…
3回目の波で海へ旅立ちました。

そういえば、ちょうどこの場所で、産卵し終わった親ガメが海に帰っていくのを見送ったのでした。
あの時、親ガメが大変な思いをして産んだ卵から、こうして新たな命が生まれて旅だっていくなんて…

もう、感無量です。

この日集まっていた何人かの人と、話しをしました。
そこで聞いた話…。

「地元の消防団員に団長から『海岸の監視の時に、ウミガメの卵の無事を見守るように』という指示があった。」「卵が気になって毎日巡回して、暑いとネットをかけたりして様子を見ていた」

それぞれの人の思いを乗せて、ウミガメ達は海に向かったのですね!
ウミガメの卵をみんなで見守り、そして子ガメの旅立ちを皆で見送れる島って最高です!

保護柵をすると「ここに卵があるよ」と教えることにもなる訳ですが、卵がいたずらされることもなく、カメ達が巣立てるということも素敵だと思います。

そして10年以上、ウミガメの調査や保護活動を続けている人々の存在も…。
いつものことながら本当に、宝物がいっぱいの島だなぁって思います。

伊豆大島、ばんざい~!

(カナ)








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「感動~!」ナイトツアー

2013年07月14日 | 海の生物
昨日「感動~!!」な出会いがありました。
ナイトツアーでの出来事です。

昨日のナイトは2組3名のお客様。開始時間も宿も違っていたので柳場が先にツアーを始め、後から私が追いかけるという計画をたてました。

場所の打ち合わせで柳場に電話をしたら「今、セミの脱皮を見てるからさ~早く来て。」と…。
「何ですって~?」

後で聞いたら、セミの幼虫が道路を歩いていたので木につかまらせて観察していたら、脱皮をはじめたようです。奇麗に背中が割れていますね。

(昨日のナイト写真は、全て柳場から送ってもらったものです)

殻から出たばかりの時は,翅が濡れて丸まっているのが可愛いです。


私が合流した時は、この状態でした。

丸まっていた翅はすっかり伸びていましたが、まだ白くて完全には乾いていないようで飛べません。
しばらく見ていたら体が少しずつ茶色くなってきましたが、このままずっと見ているわけにもいかないので、セミにお別れをして次へ。

この日のお客様はカエル好き。
カエルグッズもそろえているそう。

で、海で夜光虫を見た後に、カエルを見に行くことにしました。「今日は本物をいっぱい見られますよ。」と話したとたん、ヒキガエルが車の前にモソモソ出てきました。ナイスなタイミングです!

一瞬だけ車内に移動してもらいました。
カエル君、失礼~。
(ちなみにカエルは皮膚毒があるので、触ったら必ず手を洗ってくださいね)

モリアオガエルの子ども(1~2cm)も10匹以上見つかりました。

「カエル祭りだ~!」全員でカエル探しを楽しみました。

昨晩は星が全然見えなかったので、その時間を生物観察にあてることにして、場所を変えました。
夜の砂浜を生物を探して歩いていた時のこと…。

信じられないものが目に入りました。懐中電灯の光が照らし出したのは…
この光景だったのです!

大きなウミガメが、後ろのヒレで一生懸命砂を掘っている…ように見えました。
石の上に顎をのせ、泣いているようにも見えます。

「産卵に来たんだ!」

この浜は3年前にウミガメの上陸記録がありますが、その時は砂の層が浅くて生まずに海へ帰ったようです。(3年前の記事はこちら。http://blog.goo.ne.jp/gscrikuguide6/e/be21d6ca0ad4ae4a3507e17f41767310

「今回も産めないのでは?」
慌ててウミガメの保護活動をしている成瀬氏に電話しました。

「静かに見ていれば産み始めるかも」というアドバイスに従って、みんなで見守りました。

しかしカメは一向に落ち着きません。

せっせと砂を掘り続けますが、ちっとも深くなりません。

「きっと下に固い岩があるんじゃないかな?」

作業中のカメに申し訳ないと思いつつ、スケール代わりに横に並んでみました。

私の身長は160cmです。

カメはやがて、それまで掘っていたように見えた砂を、戻すような行動をはじめました。

頭を海の方に向け、帰ろうとしているようです。
でも石に乗り上げてしまってヒレが空回り…全然前へ進みません。

ジタバタ、ジタバタ…

最初はみんなでウミガメの格闘を見ていたのですが、あまりにも石超えが大変そうなので、ついに手を貸してしまいました。

「ヨイショ」ズリ…
「ヨイショ」ズリズリ…

もう少しです!

海へ!

ウミガメはこの後の波で、海へ帰っていきました。

ウミガメってこんな大変な思いをして、卵を産むために陸に上がるんですね。
命がけで…。

生涯忘れられない数10分….
「心が震える」まさにそんな感じでした。

でも実は「産卵を邪魔したかも?」ということが、少々気になっていました。
そうしたら今日、成瀬氏が卵を確認し保護柵をしてくれたという情報が入りました。(さすが!)

砂の下の石の間に卵を確認したそうです。
満潮が20時ごろだったのでそれにあわせて上陸し、早い時間に産んだのではないかと…。

私たちがカメと出会ったのは22時過ぎ。
ちょうど産卵を終えて砂をかけていた場面に、遭遇したのではないかとのことでした。

無事産卵できていて、とても嬉しいです。
ヨカッタ、ヨカッタ。

ただひたむきに生きようとするたくさんの「生命」に触れて、パワーをいっぱいもらったナイトツアーでした。

(カナ)

PS 昨日の昼のツアーにご参加いただいたAさん、ツアー報告を載せると言っていたのに、カメがあまりに感動的で予定が変わってしまいました。ごめんなさい。

裏砂漠の風の写真,良く撮れていました。

他の写真(飛ばない蛾と遊んでいるところ)は掲示板の方に載せてあります。
ぜひご覧ください。
http://6715.teacup.com/gscyama/bbs
























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ちょっと海?

2011年07月11日 | 海の生物
暑中お見舞い申し上げます  ? ちょっと季節が早いかな(暦的にはね)
風が吹けば少しはすごしやすい大島。昨日三原山に行った時は大汗をかくかと覚悟していったのですが、風が吹いてとても快適でした。食事時レジ袋が飛んでしまい慌ててしまいましたが、幸い帰る時に回収出来ました。

PCの中から そよ風
海にはこんな子達も生きていました

まだ生きていました。ほら動かないで!



ちょっと お届け出来た? (しま)
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春、こころもとなし

2011年03月09日 | 海の生物

陸のブログは日々春の訪れを思わせる内容が書かれていますが
海の中はというと、まだまだ冬です。
しかし、今年はこの時期にしては黒潮が近づく事もあり、水温が平年よりも2℃程高いです。
陸の季節と海の季節は2ヶ月程ずれていると良く言われます。
なので、今は陸上で言う所の1月位にあたるのです。

冬の海・・・と聞くと「冷たい」「荒れている」というイメージもあります。
確かに水温が低く冷たいのですが、良い事もあるのです。
なんと言っても透明度が最高です。
海の中で浮いていると何処まで見え、非常に気持ちが良いのです。

そして、この時期じゃないと出会えない生物がいます。
代表選手をいくつか上げてみましょう。
まずは、ウミウシ達。この時期には非常に数が増えるのです。
これにはいくつか理由があります。1つに餌となる物が増えるからでしょう。

水中には、変化にとんだ様々な地形があります。
高さ10m以上に及ぶ高い壁や直径3m以上もある巨大な岩等
まさに火山島ならではの複雑な地形が水中に広がっているのです。
伊豆大島は水中もジオパークなんです。
そういう起伏に富んだ地形だからこそ、岩肌に色々な物が付着します。
海藻やカイメン・ウミトサカ等の腔腸動物など、実に多種多様です。
それらを好んでウミウシ達が付いています。
水温が下がる時期には、岩肌に緑色の海藻が付着します。
特に今多いのが、ミドリガイと呼ばれるウミウシの仲間達です。
数が多いのはハナミドガイです。

まるで派手なナメクジの様ですが、水中で見ると可愛いのです。
こんな変わり者もいます。


ユリアガイです。
アサリ等で知られる二枚貝に似ていますが、れっきとしたウミウシです。

冬に会えるのはウミウシだけじゃありません。
ここから得意のヤドカリを1つ
冬にしか出会えないヤドカリ、ケスジヤドカリです。

何故、冬にしか会えないのか?というと通常水深100m以深が生息水深だからです。
浅場の水温も下がるこの時期には、普通じゃ見られない様な浅い場所まで上がってきます。
時には、宿貝に載せて珍しい貝を連れて来たりします。

正確には、貝に付着させたイソギンチャクに寄生して一緒に上がってきた貝です。
名前はツギノスナギンチャクイトカケといいます。

これらは、あくまでも極一部です。
まだまだ、冬ならではの生き物がいます。

春の到来がまだの水中ですが、冬には冬の楽しみがあります。
ドライスーツをいう、特殊なスーツを着て潜ると、体は全然濡れずに潜る事が出来ます。
勿論、体験ダイビングもこのスーツで行いますので、水温が冷たくても全然大丈夫!!
透明度最高の海を是非体験して下さい。
お待ちしております。

 

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水中も春?

2011年02月23日 | 海の生物

陸上はだんだんと春を思わせる日が増えてきましたね。

これからどんどん草花達も増えていくのでしょう、山を歩くのも気持ちのよい季節になってきました。

ところが水中は陸上の季節とは1ヶ月から一ヵ月半くらいは遅れますので、まだまだ冬の寒さです。というのが本来なのですが今年はおかしい?2月も終わろうとしているのに水温が17℃もあります、時期的には12月から1月くらいの水温です。これも異常気象のせい?まぁ寒いより暖かい方がよいのですが・・・。

水温のせいか多少のずれはありますが水中生物達も春を迎えようとしています、恋の季節ですね。

水温が暖かくなってから交尾・産卵などをする種は多いのですが、まだまだ冷たい時期から始まる種もいます。

その代表格がヒメギンポです、因みに上が雄で下が雌になります。雄はこの時期普段の色から派手なオレンジに顔も真っ黒になります。この時期浅瀬では雌がおしりをふりふりしながら岩肌などに卵を産みつけ、それに雄が精子をふりかけます。パッと見踊っている雌の周りを雄がくるくる回っているように見えますが、立派な生態行動です。

その他にもこの時期ベンケイハゼたちもよくペアリングしています。普段は単体でいる事が多いのですが、最近よく二匹でいる所をみかけます。雌の産卵待ちで雄がずっと寄り添っているのでしょう、別の雄に取られないように片時も離れません。

ミスガイたちも交接の時期に入っています、この後幾度となく卵を産んでいきます。因みにウミウシは雌雄がないので出会ったら即交接・産卵するそうです。目の無い彼達はどのように相手を見分けるか分りませんが、ちゃんと同じ種類のウミウシと交接するんですよね。

 

担当 石田

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ヤドカリ概論

2011年02月16日 | 海の生物

な~んて、大そうな題名を付けてみましたが
そんなに難しい話を書くつもりはありません。
「知られているのに、実は皆全然知らない」ヤドカリについて
今日は、ちょっと詳しく書いてみます。

ヤドカリは大きく分けて6つの科に分かれます。
●ヤドカリ科
●ホンヤドカリ科
●ツノガイヤドカリ科
●オキヤドカリ科
●オカヤドカリ科
●タラバガニ科

です。

この内、ヒゲナガヤドカリ科&オキヤドカリ科のヤドカリ達は、生息水深が深く
とてもじゃないですが、水中で出会う事はありません。
タラバガニも実はヤドカリの仲間で、ホンヤドカリ科に近縁の科になります。
タラバガニってカニじゃなんですよ~
では、私達が良く「ヤドカリ」と言って見ているのは何か?というと
ホンヤドカリ科 又は、ヤドカリ科になります。(この際、陸生のオカヤドカリ科は入れません)

磯遊びから十分見る事が出来る、この2つの科
実に簡単に見分ける事が出来ます。
まず、両方ともはさみ脚に注目して下さい。
ヤドカリ科ははさみ脚が両方同じ大きさ 又は、左のはさみが大きくなります。
(1つだけ例外の属がありますが・・・)
つまり~~
(フチドリワモンヤドカリ)

これとか~


(イシダタミヤドカリ)

これとか~になります。
左はさみ(向って言うと右側)が大きいのが分りますか?

そして、ホンヤドカリ科は、右のはさみ脚が大きくなります。


(ベニホンヤドカリ)

こんな感じです。

外見はソックリですが、実は科のレベルで既に違いがあるのです。
ちょっとビックリですよね~

これから春に向けて、潮が一番干く時期がやってきます。
皆さんが、次回ヤドカリを見る時に、何科のヤドカリか見て頂けれ嬉しいです。

(有馬)

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性転換

2011年02月09日 | 海の生物

今回は性別について書いてみたいと思います。

私達人間やそれ以外の哺乳類もそうですが生まれた時の性別が変わることはありません。最近はそうでもないですが・・・、人工的以外に性別は変わることはありません。

陸上の生物の殆どは生まれてから死んでいくまで性別が変わることがありませんが、水中ではそんな事が日常茶飯事に起きています。

中には性別が無い仲間もいますが、多くは成長の過程で雄から雌・雌から雄に変わっていきます。

今回の写真はキンギョハナダイという名前で、世界中の海で普通に見る事ができます。このハナダイの仲間は生まれた時は全て雌で、大きくなって生存競争に勝ち残った一部だけ雄に性転換します。

この写真はまだ生まれてからそれ程たっていない幼魚です、まだ2~3cmほどでしょうか。

これが大きくなってくると次の写真、これもまだ雌の状態です。

さらにこの中から成長して大きく・強くなると三枚目の雄に変換します。

ハナダイの仲間はよくハーレムを作ります、つまり少数の雄が沢山の雌を囲うわけですね。まぁなんとも羨ましいお話ですが、雄どうしの喧嘩や縄張り争いに勝っていかなくてはいけないのでそれも大変ですけど。強い子孫を残していこうとする自然の摂理なんでしょうが、時に傷だらけの雄を見かけることもよくあります。最近は陸上の世界も大変ですが、水中もそれ以上に大変な世界なんですね。

 

担当 石田

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大島のヤドカリ達

2011年02月02日 | 海の生物
久し振りに専門のヤドカリを話題にしたいと思います。
ヤドカリというと、誰もが頭にその姿を思い浮かべる事が出来るでしょう。
貝に入ってはさみが出てて、脚が出てて。
こんな感じで絵にもかける位良く知っていると思います。

しかし、詳しく何処まで知ってるの?と聞かれれば、答えに詰まる方が殆どでしょう。
ヤドカリは、海にも川にも陸にもいるのか?
ヤドカリの脚は全部で何本なのか?
全部の種類が貝に入っているのか?など等
詳しくと言ってもこの程度の質問です。
「そう言われてみると~~」って感じでは無いでしょうか?
以前、カタツムリの時にも書きましたが、あまりにも身近に居すぎて関心すら持たれない生き物。
強いて言えばヤドカリはそんなカテゴリーに入る生き物なのです。

行く行くは「ヤドカリ図鑑」を世に出したいと思っている私にとっては、これは大問題。
あまりにもマニアックな生き物の様に思われがちだが
水中の他の生物に比べれば、かなり世に知られている生き物であるのも事実です。

今日は、このブログをお読みの皆様に、少しヤドカリの魅力に触れて頂こうと思います。
今回のテーマは、「美しいヤドカリ達」

色の綺麗なヤドカリは結構いるんです。
中でも「ゼブラヤドカリ」という仲間は非常に美しい色をしています。
大島では6種類のゼブラヤドカリが出現していますが
その内から3種ご紹介しましょう。

まずは、フルセゼブラヤドカリです。


大島では、非常に数の多い種で、この仲間の中では一番温帯域に適応しています。
なので、一年中見る事が出来るのです。

次にクレナイゼブラヤドカリ。

古い図鑑ではこれに「ゼブラホンヤドカリ」の名前が与えられている物もあります。
実に美しい色ですね~
実は、和名は私が考えさせて頂きました。実に思い入れの強いヤドカリです。

最後に、これが正真正銘、ゼブラホンヤドカリです。

何故、これだけ「~~~ホンヤドカリ」なのでしょう?
他のは全て「~~ゼブラヤドカリ」なのに・・・
それは、このヤドカリが発見された時には、「ゼブラヤドカリ属」はなく
「ホンヤドカリ属」だと思われていたからです。
そのまま名前が残っているのも、歴史を感じます。
この種は数も少なく、水深も深い所に生息しています。
因みに、この種が正しく載っている生態図鑑はありません。

何故、こんなに美しい色をしているのでしょう?
この仲間は、基本的には壁の亀裂の奥や、石の下に居ます。
水中では、明るい色は水に水に吸収され目立たなくなります。
しかし、それは光があたる場所の事、暗がりが好きなら別に派手じゃ無くても目立たないはず・・・
謎ばかりです。。。
種が細分化され進化して行く過程で、棲家を選んで来たのでしょう。
もしかしたら、過去にはもっと水深の深い場所で、この明るい体色を隠れ蓑にして生活していたのかもしれませんね。
それが、段々を生息場所を広げ、敵の多い浅場に来ると体色だけでは身を守れず
暗がりの隠れる様になった・・・

こんな感じで考えてみるのも非常に面白いものです。

今後も機会があったら、大島のヤドカリ達をご紹介して行きましょう。
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水中生物の名前 3

2011年01月26日 | 海の生物

今回も水中生物の名前について書いてみたいと思います。


まずは『フリソデエビ』です、写真には大小2匹写っています。大きい方で体長4cm位の小型のエビですが、私達ダイバーには大人気なのです。

名前の由来であろう大きなハサミは、初詣に出かける振袖をイメージさせてくれます。これをユラユラさせながらいるのですが、伊豆近海では秋から冬に掛けて時折観察できます。

ただこのエビ見かけからは想像も出来ないくらい残虐なんです、何を食べるかと言うとヒトデの内臓なんです。大きなハサミで引きちぎって内臓を食べるらしいのですが、どうも私はスプラッター系は苦手です。


次は『アケボノハゼ』です、大きさは4~5cmの小さなハゼです。身体後半の色合いが曙色のようなイメージなのでしょう、美しく上品な名前ですよね。

ただこの名前を付けたのが学者ではなく、かの皇后陛下の美智子さまなんです。天皇陛下はハゼを研究されていますが、その過程で美智子さまが名前を付けたそうです。何となく神々しく見えてきませんか?


最後は『ミノカサゴ』です、大きさは20~30cmほどのカサゴの仲間になります。大きな鰭がミノをイメージさせますが、それより英名の方がカッコイイのです。名前を『ライオンフィッシュ』と呼び、大きな鰭はライオンのたてがみをイメージしたのでしょう。

所変われば見方も違いますが、この仲間外国人の方には大人気。以前外国で潜っていた時欧米系のダイバーの方は皆大喜びで写真を撮っていました、日本でも人気が無いわけではないですが・・・。


このように別の側面から魚の名前をみるのも面白いかも?


担当 石田

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