自由人

 己を『”親も無し、妻無し、子無し”職も無し、ローンもなければストレスもなし』と詠んで、六無斎清々を僭称。

今こそ”エンデの遺言”を活かせ!

2015年08月26日 07時23分18秒 | コラム

 ”自由・平等・友愛”はフランス革命のスローガンだし、フランス国旗の三色旗はその三つを象徴するものとなっている。エンデは、人間の活動を、精神的、政治的、経済的、なものとしてとらえ、精神的活動では自由を、政治的活動では平等を、経済的活動では友愛、つまり助け合いが必要だと述べている。確かに経済活動の自由こそ、市民革命で人類が獲得した権利だけど、つまり、職業選択の自由、居住、移転、国籍離脱の自由、財産権の不可侵(私有財産制・儲ける自由)が経済活動の自由の中身となるのだが、私有財産制の行き着く先が格差社会の実現になるとは、”神の国をこの地上に!”と考えた啓蒙思想家たちには予想もつかなかったことだろう。

 空想的社会主義を実現しようとして、企業を起こし、儲けをすべて賃金として労働者に分配した会社は、拡大再生産が実現できず倒産してしまった。生産財(土地、工場、まとまった資金)の私有を否定したマルクス主義は、その実現を目指した、1917年ロシア革命によって第一歩を踏み出したのだが、21世紀を待たずとん挫してしまった。資本主義の危機を防ぐ経済理論を確立したケインズ、その理論を活用しアメリカを救ったのがルーズベルトだったが、その理論が通用したのは産業資本が中心であったころまで、金融資本がメインとなっては、新自由主義、小さな政府、が主流となってしまう。

 江戸っ子の啖呵、”金持ちとごみためは貯まれば溜まるほど汚くなる”は古今東西通用する真理のようで、かっては、鉄鋼王カーネギーは莫大な財を社会貢献にとして差し出したし、この国でも、大原孫三郎の例もあったが、儲けた人は、おれは特別な才能がある、もっと儲けようとするのが一般的なようで、かってはこの国でも、累進課税制度で、8000万以上の収入のあったものは、75%の所得税を取られていたのだが、2000万の収入で満足し、社会のために6000万使ってもらう喜びは持てないようで、累進率は低下してしまった。 

 経済的潜在力を保持する中国、何しろ人口はこの国の十倍、そして表向きは社会主義経済を維持していることになっているが、実質は国家資本主義になっていると思う。みんなで少しずつ豊かにとの路線から、”白い猫でも黒いネコでもネズミをとるのはいい猫だ”として、先に豊かになったものが、その豊かさをトリクルダウンすればとの路線に切り替えたのだが、現実の人民共和国は、格差が広まり、今回の世界的な株価暴落の引き金を引くことになってしまった。