自由人

 己を『”親も無し、妻無し、子無し”職も無し、ローンもなければストレスもなし』と詠んで、六無斎清々を僭称。

総裁≠総理の時代に入った自民党

2009年09月30日 10時40分21秒 | コラム
 総選挙で惨敗した麻生氏にかわり、新たに自民党総裁に谷垣氏が選出された。保守合同なって以来、永久政権を目指した自民党だったし、その通りに推移したこの国の政治だった。永年に渡ってたまりにたまった権力の腐敗は、社会のあらゆる面に蔓延し、新たに政権を任された民主党にとっても、「貧乏くじ」にならないとの保障はない。

 総裁=総理だった時代(善戦した河野氏の父が総裁でありながら総理ではなかった一時期があったが)、権力を巡る党内抗争がこの政党のエネルギーだったようで
派閥間における疑似政権交代で権力を維持し続けた。その中でも長期政権を維持した、佐藤、中曽根、小泉内閣では、歴代保守政権の親米路線を維持することにより、親米から崇米へ、そして従米路線へと傾いていった。

 佐藤政権(沖縄密約はこの政権でのこと)の後継者として、「三角大福」といわれた4人は、いずれも順番の誤差はあったが、何れも総理・総裁を務めた。独自外交を意図した田中氏が、ロッキード事件で失脚、それでも病に倒れるまでは、闇将軍として、中曽根長期政権の立役者となった。田中派を引き継ぐ「金竹小」は金丸氏がキングメイカーとして一時陰の権力を行使したが、佐川事件で失脚、竹下氏も総理・総裁になったが、これまたリクルート事件で退陣、小沢氏は、今は政権党の大幹事長である。

 小泉氏は、「自民党をぶっ壊す」と豪語し、郵政選挙によるバブル議席を自民党にプレゼントし勇退したのだが、彼の後継といわれた「麻垣康三」、やはりメディアの主導する“国民的人気”に影響されたのだろう。一番若い安倍氏を後継に選んだのが、自民党崩壊の序章だったのかも知れない。郵政民営化に反対だったという麻生氏を後継に選び早めに、新自由主義路線を改めていれば、つまり融通無碍の保守党の度量があれば良かったのだが、、、。郵政バブルの議席が、自民党結党以来の憲法改定へのゴーサインとでも考えたのだろう、教育基本法の改定、防衛省への昇格を実現し、次の参議院選挙が憲法改定への要石となる予定が惨敗、政権投げだし(本人は病と弁解するが)、安定感があると見なされた福田氏は、衆参ねじれで苦労しこれまた政権投げだし、アキバ人気の麻生氏が「最後の自民党政権」となりかねないのは歴史の皮肉とでも言えるかも知れない。

 「麻垣康三」の最後に自民党総裁に選ばれた谷垣氏だが、メディアからも野党党首の選挙として軽視されたのだが、政権奪還をめざしのスタートも前途多難と言えるだろう。この選挙戦でもそれを象徴する様がTVで放映された。これまで自民党内の最大派閥を誇り、4人も続けて総理総裁を送り出した町村派の長である町村氏(今回は比例で復活当選した)が、北海道における党首選挙の演説会終了後、他の2人とは握手を交わしたのに、批判的な言動を繰り返した河野氏の差し出す手を拒否したことである。度量のない人物が実力者となっていれば、自民党の再生は難しいであろう。その先の二大政党制も、、、。

『核のない世界』と『不戦条約』

2009年09月25日 10時34分31秒 | コラム
 国連の安保理理事会で、『核のない世界』を目指す決議案が全会一致で採択された。丁度80年前、国際連盟で、フランスのブリアン、アメリカのケロッグらの努力で、戦争のない世界を目指す『不戦条約』が締結された。戦争のない世界、核のない世界、これらはよほどへそが曲がっているものでなければ、全ての人類の願い願望である。そうでありながら、戦争が絶えない、核兵器を保持しようとする国、保持し続ける国があるのは何故なのだろう。人類が核兵器・戦争をなくせないと、核兵器・戦争によって人類の存在しない地球が実現しかねないのだが、、、。

 核と戦争のない世界は人類の遠い理念である。今回の決議に力を入れたオバマ大統領すら、自分の生きているうちの実現には疑問符を付けているし、、。どんなに遠い目標でも、一歩一歩のそれに向けての歩みがあれば実現不可能ではないのだが、現実路線とやらの実権力によって理念が押しつぶされ続けたこの惑星での歴史を踏まえて、理念を現実のものにするのが、今の時代を生きている全ての人間の責務だと思う。

 戦争の原因は経済である、という真理を先ず確かめることだ。戦争の政治的きっかけはいろいろある。第一次世界大戦の導火線となったバルカン半島の民族問題,汎スラブ主義運動に対する政治的圧力としての軍事演習、その反発としてのサラエボ事件、でも基本対立は、ドイツの帝国主義政策としての3B政策と既得権益としてのイギリスの3C政策がこの地でクロスしたのが根本原因だ。
 この国の戦争でも、日清戦争のきっかけは朝鮮農民の反乱(東学党の乱)だが根本原因は、朝鮮市場の争奪にあったし、日露戦争にしても、きっかけは中国東北の義和団事件だが、ロシアの南下政策と日本の大陸進出が東北でぶつかり合ったからだ。近々では、アメリカが単独で開始したアフガン・イラク戦争も、今では産軍共同体の利益にかなった発動であったことが事実上証明されている。

 豊かになるための経済学、貧困を克服する経済学、はおおかた確立されてきたと思う。一部のものが利を得る、金融工学などという経済理論が大手を振っていたのが、今の地球的規模の経済混乱の根本原因である。『戦争を必要としない経済学』を確立することが、理念が現実に勝利するための必要条件と言えるだろう。

株価やGDPはもはや経済指標ではない、、

2009年09月24日 10時57分02秒 | コラム
 日々株価や為替相場の動向がニュースとして流されているが、それで一喜一憂している様はおかしいのではないだろうか。確かに資本主義が健全であった頃の、商業資本、産業資本の時代は、金融の基準としての本来の貨幣(金本位下における)が流通していたし、その社会の経済状況に合致した、必要十分の貨幣が通用していたし、人間の労働の産物である生産物は、等価交換に近い形で流通していた。

 金本位制度が維持されていたなら、必要十分な貨幣が流通するし、各国の中央銀行の地下庫に貯蔵されてる金の延べ棒の制約を受けた紙幣しか発行できないのだが、資本主義から帝国主義の段階に進むと、より多くの原料供給地と製品の販売地、つまり植民地争奪のための戦争が起き、戦費を賄うために、金本位制度を維持できなくなった。『余分な金』で出回る時代となった。それでもかってはイギリスの通貨ポンドが信頼され、第二次大戦後は、世界の金の3分の2の金を保有するアメリカのドルが金との交換が保障されていたし、世界通貨の役割を果たしていた。

 二クソンショック以来、ただの紙切れに過ぎないドルは、自由主義陣営を守るとの名目で、多量に印刷さればらまかれた。それ故に、世界中の一年間における生産物が必要とする人に渡るために要する、交換の仲立ちとしての貨幣は決まってくるのに、必要以上の貨幣(ニセ札)が流通しているため、『ババ抜き』もどきの投機資本主義が一部の成功者と多くの貧困層とを拡大再生産し続けている。

 為替相場、株式市況はそんな投機資本主義のターゲットとなっている。低金利政策は、将来のために蓄えたお金を、株に投資させる誘惑となる。もっとも優良企業(人に必要で良質の安い商品を提供する)を支援するという、本来の株投資だと問題ないのであるが、、、。日々変動する為替相場は、かっての固定相場では得られない、為替操作による差益を得ている者にとってはにんまりものであろう。

 

政権交代は出発点

2009年09月22日 21時25分56秒 | コラム
 就任記者会見での鳩山新首相の発言内容を聞いて、内閣支持率は65%は越えるであろうと思ったのだが、その後のメディアの調査結果では何れも高い指標を示していた。それだけ主権者の期待が高いということだが、国政の責任を任されることになった民主党も今後大きな困難に直面するであろう。何しろ、財政特例法を成立させ、国債をジャブジャブ発行し続けての財政破綻を引き受けなければならないのだから、、、。

 民主党は高速道路の原則無料化をマニフェストに明記したが、自民党は選挙対策として、土曜・日曜・祭日の1000円乗り放題、これなどは、成人の日、敬老の日、体育の日の祝日をずらして連休とし、遊んでくれて経済効果になるとのとんでもない政策なのだが、早めに是正すべきであろう。この国の国民性を、『盆の上の豆』と喝破した人がいるが、シルバー・ウイークなどと命名された作為の連休中の渋滞はその証明となるのだろう。

 長年にわたって“働くことが好き”との国民性を持ち続けたこの国の人だが、経済を発展させ、余裕ができるようになったのに、遊び方が下手である、遊び慣れていないと言えるであろう。身近な所にいくらでもリフレッシュできて、次の仕事のエネルギーの源泉となる健全な遊びが、本来の遊びなのに、お金を使わないと、みんなが出掛ける所に行かないと、遊びではないと考えているのだろうか、、、。

 民主党の無料化には、国民の反対も多いようだが、政権交代を期に、国民も意識改革が必要だ。つまり、盆と正月に帰省、連休には行楽地へ、という国民行事から自由になることだ。無料化になれば、込まない時を選んで、有給休暇を有効に取得することができる。祝祭日は、その日じゃないと動けない人に譲ることだ。流通費が大幅に低下し、これこそ経済効果に大きく影響するものだ。

国の対立は、民の友好で、、、つづき

2009年09月14日 11時58分55秒 | コラム
 ソビエトが不毛の冷戦体制の圧力に耐えきれず崩壊し、ロシア共和国として歩みを続けている。ソビエト時代、冷戦の一方のアメリカの陣営下にあった日本は、北海道を対ソ防衛の前線とし、国民の反ソ感情醸成に、「北方領土問題」を利用し続けた。曰く,“中立条約を一方的に破り、日本固有の領土を不法占拠している。”

 不法占拠しているのは、歯舞・色丹であり、サンフランシスコ会議で日本の首席全権大使の吉田総理が、千島列島は放棄する、と述べたのだが、歯舞・色丹は根室半島と連続であり千島列島ではないことは、ロシアも容認している。故に即刻、歯舞・色丹は日本に返還すべきである。

 根室湾に面した標別町には「北方領土館」、別海町には「北方領土展望館」根室には「北方四島交流センター」と言う立派な会館があり、入場料も無料である。
 外交は両国間で話し合いで解決しないといけないことだし、一方的な主張を繰り返しても、その実現には最終的に武力に頼る以外にないであろう。アメリカの従属下にあった歴代日本政府は、ヤルタ密談を容認させられ、千島列島を放棄させられたのだから、領土権を主張はできない。但し、日本が放棄したからといって、実行支配のソビエト(ロシア)が領土権を主張するのは間違っている。歴代政権は、サンフランシスコ講和会議で放棄した千島列島は、ウルップ島以北島々である、と強弁しているし、手にできる資料も、ウルップ島以北を千島列島と表示しているが、千島列島(クリル諸島)といえば、カムチャッカ半島から北海道間に、弧として繋がる諸島であることは地勢状の常識である。

 現ロシア政府も“独創的な解決法”と述べているのだから、2007年9月、国連で圧倒的多数で採択された「世界先住民の権利に関する宣言」を基盤に話し合うべきだと思う。アメリカなど4カ国は採択に反対したが、日本は賛成したし、ロシアも反対はしていない。日ロが協力して、先住民の権利拡大に支援を与えるために、これまでの様々な先住民に対する圧迫を詫び、自然と共存する先住民の知恵を活かし、G8とか、G20とか先進国のエゴ故の地球破壊の道を防ぐために、千島列島(クリル諸島)の帰属は、私有権を持たない先住民(アイヌ系)に任せるべきであろう。そしてビザなし渡航は両国に保障し、ロシアの在住二世三世には引き続き居住を認め、千島列島を日ロ並びに先住民の友好と協力、共存の島にできるといいと思う。

国の対立は、民の友好で、、、

2009年09月13日 15時18分53秒 | コラム
 オホーツク海に面した日本最北の村、猿払村(平成の合併で消えていなければ)に日ソ友好記念館があった。かって日ソが激しく対立し、ノモンハン事件直後、オホーツク海で、ソビエト(当時の)の貨客船が難破し、大惨事となった。その時猿払村の住民は、400人以上の人を救出し、700人以上の遺体を収容する献身的努力をした。その後、第二次世界大戦、終了間際のソビエトの対日参戦(ヤルタ密談での米ソの約束)で忘れられていたが、1956年、日ソ国交回復以後、冷戦体制の下、日本政府は一貫してソビエトを仮想敵国と見なした政策を採り続けたが、日ソの民間では、この猿払村の人々の功績を記念すべく、記念碑と日ソ友好記念館が民間の基金で建てられた。若い世代の交流として、姉妹都市を結んだ、日ソの村の中学生の交流が、2004年まで続けられたが、互いの財政難で打ち切りになったのは不幸なことだ。それでも姉妹都市は継続しており、その縁で、大やけどをしたロシアの少年を、札幌医大で治療できたのは素晴らしいことだ。

 ところが、今回北海道の車の旅で、この地を通った時、カーナビで表示されていた「日ソ友好記念館」は廃屋となっており、しかも、日ソの文字と舘の文字が欠落していた。「日ロ友好記念館」と名称替えして存続すべきものだと思うのだが。

 網走にある「北方民族博物館」、そこで分かったのは、北海道と樺太の南半分、千島列島はアイヌ語圏となっていることだ。つまりその地域はアイヌ・モシリであったわけだ。その先住民の世界に、江戸時代には松前藩が置かれ、北方からはロシアが南下政策の一貫として進出してきた。鎖国中の日本に最初に通商を求めて来航したのがロシアであって、開国し、明治になって、日ロのアイヌモシリの争奪が始まった。開国直後の日ロ和親条約で、樺太は混住地、ウルップ島以北をロシア領と取り決めた(先住民の意志を無視して)。明治になって国境を決めるに当たって,「千島樺太交換条規」で樺太はロシア領、その代わりウルップ以北の千島列島は日本領となった(これまた先住民への配慮もせずに)。それどころか、両国は先住民を使役し、ロシアは毛皮、日本は漁業資源を獲得し続けた。

矛盾のない選挙制度は、、、

2009年09月12日 19時59分27秒 | コラム
 政権交代が実現した今回の選挙、4年前の郵政選挙でもいろいろ問題があったが、今回の民主党圧勝も現行選挙制度の為せる技といって良いであろう。民主的な選挙制度は主権者の意志と議席数が一致するものでなくてはならない。よって今回も30%弱の棄権者がいたのだし、議席480の中、144議席は空席にして良いのではないかと思う、それだけ歳費の節約になる。

 今回の選挙制度での矛盾と言えば、13万6千票を取って落選した人がいるし、4万4千票で当選した人、2万5千に満たずに比例で当選した人もいる。比例での43%弱で、308議席という圧勝となったのには疑問を感じる。

 政党同士が協力するのは、法案を制定する時に妥協しながら協力すべきで、選挙の時、理念の違うものが妥協しては馴れ合いになってしまう。10年間の自公の馴れ合いが自民党の底力を殺ぎ続けたし、公明党の平和と福祉が後退し、今回鉄槌を受けたのであって、両党共に反省しなくてはならない。もっとも、小選挙区で64の議席を得た自民党は公明の支持がなければ、あと25,6名は落選していたであろうし、自公協力も成果が皆無とは言えないのだが、、、。

 今回の選挙で、正確に民意を反映させると以下のようになるし、民主党も奢ることなく、あくまでも第1党を主権者に任されたと考え、民意のさらなる向上のために、主権者の政治に対する信頼を得る努力をして貰いたいものだ。

 空席・・144, 民主党・・143, 自民党・・90, 公明党・・39

 共産党・・24、 社民党・・14、 みんなの党・・14, 国民新党・・6

 新党日本・・3、 大地・・3、