フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

「雅のしらべ」に魅せられる

2012-06-17 | フルート

昨日からの雨は上がって、梅雨らしい蒸し暑い日になった。昼過ぎには外気温は30度を超えた。
そんな折、今年も「雅のしらべ」コンサートがあった。

生田流正派大師範の酒井典彦先生が指導されている琴の教室の発表会を兼ねた琴の演奏会である。
夫婦ともどもお付き合いしているMさんの奥さんが出演されるので聴きに行った。

会場は広々とした和室で、庭が美しい。演奏会場にはずらっと琴が並べられていて壮観である。

今日は、尺八の小林鈴純さんの演奏もある。最初の曲は「さくら四重奏」、全員で演奏下ので華やかだった。続いて、琴を習っている子供さん達の可愛い演奏があった。こんな小さいときから琴を習うと、さぞかし上達するであろう。

「秋の風」という曲は、島崎藤村の「秋風の歌」に想を得て琴の曲として作曲されたものである。詩を詠いながらの演奏は、聴きごたえがあった。

しづかにきたる秋風の
 西の海より吹き起り
 舞ひたちさわぐ白雲(しらくも)の
 飛びて行くへも見ゆるかな
 
暮影(ゆふかげ)高く秋は黄の
 桐の梢の琴の音(ね)に
 そのおとなひを聞くときは
 風のきたると知られけり
 
ゆふべ西風吹き落ちて
 あさ秋の葉の窓に入り
 あさ秋風の吹きよせて
 ゆふべの鶉巣に隠る
 
ふりさけ見れば山も
 色はもみぢに染めかへて
 霜葉(しもは)をかへす秋風の
 空の明鏡(かがみ)にあらはれぬ
 
(すず)しいかなや西風の
 まづ秋の葉を吹けるとき
 さびしいかなや秋風の
 かのもみぢ葉にきたるとき


何と言っても、琴と尺八との合奏による宮城道雄「春の海」は、よかった。尺八の枯れた、渋い音色には感動することしきりだった。

洋楽にはない雅な世界に引き込まれて、梅雨の蒸し暑さを忘れさせてくれる清々しいひとときだった。