功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『少林寺・怒りの大地』

2007-07-26 22:20:32 | カンフー映画:傑作
「少林寺・怒りの大地」
「少林寺・激怒の大地」
木棉袈裟/木綿袈裟
Holy Robe of the Shaolin Temple
Shaolin And Wu Tang 2
1985

▼惜しい!とにかく惜しい!
実はこの作品のTV放映時の吹き替え版ビデオを所持していたんですが(かなり昔に親が録画していた)、あろう事か『燃えよドラゴン』と『酔拳』の録画の為に潰してしまったのです!
この二つの作品はいつでもレンタル等で見れるというのに…あのころの自分を殴ってでも止めたかった!しかし殴って止めてしまったら今の香港映画狂の私は存在していない…ギギギ。
まぁそれはさておき、本作には于榮光(ユー・ロングァン)が出演し、監督と武術指導を兼任して徐小明(ツイ・シュウミン)が関わっている。おまけに中国と合作で大人数を動員したスケール感も結構なもの。くだんのビデオを潰してしまったので長らく視聴していなかったが、この度JVDのDVDにて鑑賞に至りました。

■少林寺が目障りな錦衣衛の将軍は「焼き討ちするのではなく乗っ取ってしまおう」となかなかヒネった企みを思いつき、武當派出身の于榮光を新しい館長として少林寺に連れてきた。
そこで少林寺館長との激突となるが、館長は于榮光の武當拳に破れてしまう。錦衣衛の企みを知って帰ってきた主人公(誰?この人)らが奮戦するも、将軍の引き連れてきた大軍勢に少林寺は死屍累々だ。館長は少林寺館長の証である"木綿袈裟"を生き残った主人公らに託し、武當派の少林寺へ向かうように告げる。その後、館長は大勢の僧達を助ける為に身を紅蓮の炎で包み、果てるのだった…。
于榮光の追っ手が迫る中、主人公は一緒にいた少林僧の子供たちと相談し、二手に分かれて捜査を攪乱させる事にした。主人公は冒頭お世話になった遊牧民系の一家に倒れているところを匿われるが、そこにも于榮光らの魔の手が!機転を利かせて于榮光らから逃げ延びるが、その課程で于榮光に遊牧民家族のお父さんが殺されてしまう。
どうにか目的地である武當派少林寺に到着した主人公とヒロイン(遊牧民の娘さん)。崇山の少林寺が将軍の手に落ち、于榮光が武當の出であることに責任を感じたジャムおじさんの声の武当派館長(TV吹き替え版)は、主人公とヒロインに武當派の技を教えてくれる事に。黙々と修業に励み、2人はめきめきと実力を付けていくが、その際ヒロインに自分が少林僧であるとわかってしまう。僧なら結婚してはいけない…せっかくカップル成立かと思われたのだが。
一方で、兄弟子が命を落としたりとエラい目に遭ってきた木綿袈裟を持つ子供たち。武當に匿われた主人公の拘束に失敗した于榮光らに襲いかかるが、その木綿袈裟を奪われてしまう。
そこで于榮光邸に侵入した子供たちは、于榮光らの不穏な動きを知り主人公と合流する。どうやら将軍の行った凶行が皇帝にバレそう(将軍の独断でやったらしい)なので、将軍がいったん都に赴く間にに于榮光は館長に就任しろというのだ。ヒロインの姉妹達と合流した主人公+ジャムおじさんが付けてくれた武當の加勢2人は奇襲をしかける。
そして牢屋から救い出した仲間達と共に、ついに決戦の時を迎えるのだった。

▲崇山→武當への移動の最中に袈裟の奪い合いという、山田風太郎の忍法帖シリーズを思わせる展開はなかなかに面白かった。
注目すべきはやはり徐小明の武術指導。少林寺の話なので『天山回廊』の時みたいに大スタントはないのかなと思いきや、館長の焼身自殺シーンなど、妥協をしていない様子がうかがえる。全編に渡ってのアクションも高クオリティを堅持。ストーリーもありきたりじゃないしテンポも良い。当時の李連杰『少林寺』ブームから作られた派生作品としては、及第点以上の完成度だ。
私がこの作品に出会ったのは、まだ『ワンチャイ』シリーズに熱を上げていた頃だった。ワイヤーアクションではない円熟したアクションの数々は私の目に新鮮な物として映り、特に小太りながら素早いアクションを披露していた館長(誰?)には驚いた記憶がある。
しかし結末に関しては『里見八犬伝』のように、死闘を共にしたヒロインとかけおちエンドというのもアリだったのでは?DVD見てびっりしたが、TV放送版にはばっさりカットされていたヒロインの最後のセリフがあって、それがまた痛々しい。これじゃあ主人公がヒロイン騙していたヤな男みたいでなんだかなといった感じだ(実際そうだけど)。
個人的なお気に入りは本作の勇壮なテーマ曲。もしかしたらTV放映版に差し替えたBGMかと思ったが、差し替えてあったのはオープニングの映像(TV放映版は本編にあった演舞シーンの抜き出しで、オリジナルは達磨大師の水墨画)くらいだった。その音楽を担当したのは願嘉輝(ジョセフ・クオ)。李小龍の『ドラゴン怒りの鉄拳』やジャッキーの『少林門』、倉田さんの『激突!少林拳VS忍者』など、多くの作品で名スコアを残している人だ。
BGMといえば、劇中傷ついた主人公が遊牧民に救われるシーンの悲しい曲にも注目。なんとその曲は『宇宙戦艦ヤマト』のエンディング曲「真っ赤なスカーフ」じゃないか!『妖怪道士2』では同じくヤマトのワープシーンの曲が使用されていたし、ヤマトって意外に香港映画と根強い関係にあるのか?(違

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4 コメント

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バカ拳 (脇役王)
2007-07-27 15:51:53
こんにちは!

このレビューとはあまり関係ないのですが・・・
宇宙戦艦ヤマトのテーマソングは他にも孫國明の「バカ拳」で使用されてますよ・・・(笑
おまけにバカ拳の修行シーンにです!
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流用音楽あれこれ (龍争こ門)
2007-07-27 23:48:47
脇役王さんこんばんは!

>宇宙戦艦ヤマトのテーマソングは他にも孫國明の「バカ拳」で使用されてますよ・・・(笑
>おまけにバカ拳の修行シーンにです!
ひええ本当にバカやってるー!?(爆
そういえば呂小龍の映画で『ジャンボーグA』のテーマが延々と流れていたり、リン・シャオロウの『少女戦士』では大音量で『六神合体ゴッドマーズ』の主題歌が使われていたりと、音ネタは多いですね。
確か、フィルマーク作品で『西部警察』のBGMを無断使用していた作品があったような…。どのみち、知っている曲とかが使われていると、「!?」と思うことが良くありますね。
返信する
ゲゲゲ・・・ (脇役王)
2007-07-28 07:22:19
おはようござます!

>ひええ本当にバカやってるー!?(爆

そうなんです!修行シーン自体がバカなのに・・・、ヤマトの音楽使うとは・・・(笑

>そういえば呂小龍の映画で『ジャンボーグA』のテーマが延々と流れていたり、リン・シャオロウの『少女戦士』では大音量で『六神合体ゴッドマーズ』の主題歌が使われていたりと、音ネタは多いですね。

なんか、すごいですね・・・
あ、最近「50パック」に収録されている「ビッグファイト」(田鵬主演)で一部「ゲゲゲの鬼太郎」の歌が流れてました。しかも「ゲッゲゲゲゲのゲ~」の部分ですよ!これには笑ってしまいました(笑

あと田鵬で思い出したんですが、「悪棍」(北京語)と「Hands of Death」(50パック収録、英語)を冒頭の部分だけ見比べたらやっぱりカットされてますね。
「悪棍」だといきなり易原とシュエ・ハンら日本人同士の話し合いシーンが何分間か収録されています。
「Hands of Death」だといきなり日本人三人組が中国人をボコる所から始まりますね。
しかも、英題で「Hands of Death」と出る所(キャストやクレジットが表記される場面です、赤くなる)は「悪棍」では画面が赤くなったら延々とキャスト&クレジットが流れていてやはり北京語版の方が長いようです。
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ビビビ… (龍争こ門)
2007-07-28 22:29:22
脇役王さんこんばんは!

>あ、最近「50パック」に収録されている「ビッグファイト」(田鵬主演)で一部「ゲゲゲの鬼太郎」の歌が流れてました。
「ビッグファイト」→『擂台』ですね?
田鵬の抗日功夫映画らしいですが、私は未だ見ていません。でも功夫映画に鬼太郎って…(絶句
ちなみにあまり関係ない話ですが、うちの地域でやっとウエンツ主演の実写版『ゲゲゲの鬼太郎』が公開されます…って遅いよ!
地方では全国公開の作品が変な時期に遅れて公開されたりすることがたまにあるので、なかなか厄介です。

>カットされてますね。
50パックでは『雌雄雙殺』や『砲[イ馬]傳』でも明らかにカットされてる場面があったんですが、他の作品にもそういった箇所があるみたいですね。
『雌雄雙殺』ではまさかのラストバトル数シーンカットで残念でしたが、90分前後で収録されている作品がほとんどですから、これ以外にもまだありそうです。
とはいえ、50パックに収録されている作品群は単独で入手しようかと思うと躊躇しそうな小物ばかりなので、これはこれで仕方がないのかも…?
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