功夫電影専科

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『帝戦 BAD BLOOD』

2014-09-03 23:12:13 | カンフー映画:傑作
「帝戦 BAD BLOOD」
原題:滅門
英題:Bad Blood
製作:2010年

●物語は、とある黒社会の一族が紙幣の原版を奪おうとする場面から始まる。この強奪計画はすんでのところで失敗し、逮捕されたボスの張兆輝(エディ・チャン)は銃殺刑に処された。
そこで組織のナンバー2・任達華(サイモン・ヤム)が暫定的にボスとなるが、張兆輝の遺書には「組織の財産は我が妹の廖碧兒(バーニス・リウ)と、弟の黎諾懿(クリス・ライ)で分け合うべし」との記述が…。
 納得のいかない任達華であったが、その直後に組織のお抱え弁護士・林雪(ラム・シュー)が謎の自殺を遂げた。続いて黎諾懿も自動車の爆発に巻き込まれて死亡し、組織の中に不穏な空気が立ち込めていく。
廖碧兒は弟の死によって別人のように変わり、一族の中で厄介者扱いを受けていた安志杰(アンディ・オン)と接触。一連の事件は任達華の仕業であると考え、彼の力を借りて任達華に近しい幹部を粛清していった。
 今まで辛い人生を送っていた安志杰は、これを機に組織のトップへ躍り出ようとする…のだが、突如として牙を剥いた廖碧兒に殺害されてしまう。実は遺書の内容は改ざんされており、すべては組織を支配しようとした彼女の計略だったのである。
最後に残っていた任達華も始末し、頂点へと君臨した廖碧兒は笑いが止まらない。――だが彼女は知らなかった。安志杰によって救われ、彼を慕い続けた女傑・蒋[王路]霞(ジャン・ルーシャー)の存在を…。

 様々な秀作がコンスタントに登場している黒社会アクションというジャンル。本作もその一篇ですが、これが90年代の香港映画を髣髴とさせるアクション重視の力作でした。
最初は人間関係が複雑そうに見えますが、ストーリーが動き出してからはバトルの連続で楽しませてくれます。そして何よりも黒社会アクションなのに銃撃戦が一切なく、徹底して格闘戦を貫き通す潔さが堪りません(涙
一方でツッコミどころが多々ある(廖碧兒の強さが明かされる展開が唐突・幹部が死にまくってるのに警察が動かない等)ものの、個人的には幕引きの問答無用さも含めて90年代らしさを強く感じました。
 アクションに関する描写は先述のとおりで、初っ端から安志杰と組織の幹部・盧惠光(ケネス・ロー)&熊欣欣(チョン・シンシン)が警官隊相手に大暴れ!掴みのファイトはバッチリです。
その後も安志杰は熊欣欣らと激突し、すっかりお爺さんとなった陳惠敏(チャーリー・チャン)と世代を超えた戦いを演じます。しかし本作の目玉は、なんといっても次世代の女ドラゴン・蒋[王路]霞の活躍ぶりです。
 彼女は体格こそ小柄ですが(ボーイッシュなところがちょっと林小樓っぽい)、全身のバネを生かして立ち回る様は見応えがあり、安志杰とともにアクションシーンを盛り立てていました。
最終決戦では大勢の手下を前に一歩も引かず、安志杰の「集団戦では決して囲まれずに相対せよ」という教えを守りながら奮戦。衝撃の結末が待つVS廖碧兒ともども、強烈な印象を残すバトルだったと思います。
『SPL 狼よ静かに死ね』からドラマの濃さを引き、功夫シーンのボリュームを足したような本作。長らく香港映画界には本格的な女ドラゴンが不在だったので、蒋[王路]霞の今後には是非とも期待したいですね。

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