功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『ワル 外伝』

2009-09-18 22:34:28 | 日本映画とVシネマ
「ワル 外伝」
製作:1998年

▼タイトルの『ワル』とは真樹日佐夫原作の学園バイオレンス劇画の事で、本作はその劇画作品の実写版になります。
主人公・氷室洋二は「ワル」の異名を持つ凄腕の不良で、木剣の達人でもあった。幼少のトラウマによって日常的な暴力を求める彼は、教師や同級生らと死闘を繰り返していく。最終的には自分を更生させようとする女教師を手込めにし、対立していた別の教師を殺害して少年院送りになるのだった……と、原作は要約するとこんな感じの物語でした。
この強烈な物語が1970年に少年マガジンで連載されていたとは驚きです。不良漫画といえば現在も数多く連載されていますが、『ワル』からは甘酸っぱい青春要素や、気になるあのコとの恋愛要素は微塵も感じられません。『男組』の時もそうでしたが、70年代の不良漫画はまさにアウトローを地で行く不良漫画であったことが感じられます(まぁ今回も現物の漫画は見ていないのですが・汗)。

 『ワル』はその後もタイトルを変えて長期連載を続け、同時に実写版も多く作られました。70年代には『非情学園ワル』三部作が製作され、現在に至るまで様々な作品が断片的に生み出されていますが、最も有名なのは白竜主演の『新書ワル』系列でしょうか。
本作は本宮泰風演じる氷室洋二が、様々なトラブルに直面する様を描いています。当初は学校を舞台にしていた氷室も、シリーズを重ねる事に刑務所・裏社会へと活動の場を移行。本作は恐らく『新書ワル』ぐらいの時期を扱ったエピソードのようです。

■物語は氷室が手込めにしている元女教師(演渡辺典子)が、高飛車なアイドルの事故によって怪我を負わされる事から動き出す。「俺の女に謝れよこの野郎!」とアイドルの自宅に乗り込む本宮だったが、ちょうど3人組の脱獄囚が彼女に乱暴狼藉を働いている最中だった。普通の正義感あふれる主人公なら助けに入るところだが、本宮はアイドルに文句があるので暴漢を傍観するだけだ(寒
結局、なんだかんだで脱獄囚らを蹴散らした本宮だが、今度は彼のことを知った警察署長・真樹日佐夫が接触してきた。2人は成り行きから空手道場で立ち会うことになるが、真樹センセイの拳に本宮は全く太刀打ちができない。ところで真樹センセイ…そのナリはどう見ても署長には見えませんよ!(爆
その後、日を改めてアイドルの元に現れた本宮は、脱獄囚が残した盗撮写真でアイドルを脅迫して強引に謝罪を強要する。この仕打ちに逆ギレした彼女は、ヤクザに頼んで本宮へ報復しようと企んだ。だが一方で、脱獄囚の仲間である元キックボクサー・村上竜司も本宮に果し合いを挑んでいた。交錯する二者の陰謀…特にこれが絡むことは無いが(オイ!)、本宮は自ら修羅の中へと歩み出すのであった。

▲正直、かなり期待外れな作品でした。カメラワークも演技もどこか軽く、不必要に多いお色気シーンが作品のテンポを悪くしています。私が見たのはDVD版ですが、まるでビデオをダビングしたかのような画質だったのも大減点です。これらマイナスポイントの多可もあってか、肝心のストーリーにも今一歩乗り切れませんでした。
 出演者は真樹や村上竜司というモノホンの方々が名を連ねていて、彼らと本宮のバトルも用意されています。しかし、効果音の偏り(打撃音はあるが風切り音がないので実に不自然)や余計な演出(インパクトの瞬間に不自然なスロー処理を入れる等)が殺陣のスピード感をことごとく削いでいます。
ラストの本宮VS村上では、両者がジャンプキックを放った瞬間にエンドマークが叩き付けられるという中途半端な幕引きで終わっており、実写版『ワル』初接触としては散々な結果になってしまいました。とりあえず他の『ワル』実写版に望みを託したいと思いますが…。
なお、原田龍二は本宮と廊下ですれ違う男の役、峰岸徹は冒頭の回想シーンで顔見せするだけで、両者とも特別出演扱いとなっています。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
返信!(2) (龍争こ門)
2009-09-28 00:02:31
葬流者さんこんばんは!

>そうでしたか、すいません。
いえいえ、こちらこそ少々解りづらい書き方になってしまい、すみませんでした。
今度からは気を付けたいと思います。
返信する
Unknown (葬流者)
2009-09-24 21:27:14
>レビューを読んでもらえれば解ると思いますが、
>要するに殺陣のレベルが低いのでスローが逆効果になってしまっている、
>という事です。

そうでしたか、すいません。
返信する
返信 (龍争こ門)
2009-09-23 22:50:26
葬流者さんこんばんは。

>これは本作品だけじゃ無しに他の格闘映画でも結構見られる遣り方だと思うのですが
レビューを読んでもらえれば解ると思いますが、要するに殺陣のレベルが低いのでスローが逆効果になってしまっている、という事です。

>ついでに新作情報
また知らない内に色々出てますねぇ…
これはよく知らないので、実際に見るまでは何とも言えません。
返信する
未見の身で言うのも何ですが+α (葬流者@本当に久しぶりです)
2009-09-21 10:24:26
>インパクトの瞬間にスロー処理を入れる等
これは本作品だけじゃ無しに他の格闘映画でも結構見られる遣り方だと思うのですが
何故本作品の場合に悪い部分として挙げられるんだろうと
(まあ俺もそういう演出は余り良くないと思うんですよ。いくら撮影上の都合だとは言え……)

ついでに新作情報 http://www.neowing.co.jp/detailview.html?KEY=TSDD-61430
コレは面白そう……?
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