功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『新・年少バトルロワイヤル』

2015-03-23 23:20:49 | 日本映画とVシネマ
「新・年少バトルロワイヤル」
製作:2013年

監獄アクションに格闘要素を加えた作品は、これまで欧米を中心に数多く作られてきました。『ブルージーン・コップ』に『デッドロックII』など、タイトルを挙げればキリがありません。
一方、香港映画にも監獄アクションは存在するものの、凄惨な刑務所生活を描いたものが多く、格闘アクション推しの作品は意外と少なかったりします。
そして日本の監獄+格闘アクションですが、こちらは格闘アクションというジャンルそのものに限りがあるため、これは!と言える作品が存在しなかったのです。そう、今までは…。

■爆発的な少年犯罪の増加に対し、政府は少年法を改正して厳罰化を強行。絶海の孤島に巨大な監獄を作り上げ、大勢の凶悪犯を収容していた。
親殺しのドラ息子と共に収監された元暴力団員の中澤達也は、監獄島を支配する悪徳署長・山口祥行による暴力行為の数々と、野獣のような囚人どもが闊歩する地獄絵図を目の当たりにする。
 そんな中、中澤は刑務所公認で行われる格闘試合の存在を知り、そこで勝ち続けている虎牙光揮と出会う。2人は懲罰房で互いに共感しあうが、その間にドラ息子が看守や囚人たちの暴行を受け、無残な死を遂げてしまった。
怒りに震える2人は、外道どもを叩きのめして島から脱出しようと決意。かつて格闘試合の王者だった波岡一喜も加わり、ここに壮絶なバトルロワイヤルが始まる…!

▲本作は主人公の中澤を筆頭に、本物の格闘家たちが多数出演。加えて虎牙や山口といったアクション系のVシネ俳優を揃え、万全の態勢で挑んだ作品です。
ストーリーについては監獄アクションのお約束が守られ、知り合いの気弱な囚人が殺される→主人公が立ち上がって暴動(というか乱闘)が発生→ラストバトル勃発という、実にありきたりな展開に至ります。
 気になるのはアクションの出来で、格闘家を起用したからといって良いファイトが撮れるとは限りません。事実、本作も中盤までは立ち回りがパッとせず、ショボい打撃音(連打するシーンが特に酷い)も気掛かりでした。
しかし後半の中澤VS看守から盛り上がり始め、虎牙も俊敏な回し蹴りでザコを一掃! ウェイトとパワーに秀でた大倉利明を2人で倒し、ラスボスの山口と拳を交えたところで最高潮を迎えます。
 山口はブルース・リー気取りのカンフー使いで、詠春拳を思わせる連打と打点の高い蹴りを放ち、対する虎牙は空手で応戦するのです(ここで構えを取る際のセリフが熱い!)。
この一戦はとても激しいバトルになっていますが、主役である中澤や強いはずの波岡が脇に追いやられ、サモハン映画を彷彿とさせる主人公の逆転現象が生じていました。ここは虎牙だけに山口を任せず、最初から中澤と一緒に戦って欲しかったなぁ…。
 とはいえ、徹底した暴力的な演出・異様な存在感を見せる波岡など、格闘アクション以外の要素にも目を引かれる本作。かなりローバジェットな作品ではあるものの、近年のVシネ格闘アクションとしては注目の逸品といえるでしょう。
ちなみに本作には『3』まで続編があり、こちらでは虎牙VS松田優という極上のマッチメイクが実現しているそうなので、いずれは紹介してみたいと思います。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
虎牙光揮のあの台詞人気ですね (二白桃)
2015-03-28 13:34:54
こんにちは。
私は2010年代の国産徒手格闘作品ではこの作品が一番好きです。
話はありきたりで、アクションも全編に渡って上質な訳ではなかったですが、目立った粗はなかったですし、笑いを取ろうとして寒い結果になったり、エログロに走ったり、高尚なことを言おうとして意味不明になったりといった、国産作品にありがちな欠陥が見当たらず、格闘アクションに真正面から取り組もうという意欲が伝わってきたのが良かったです。
一作目が素晴らしかっただけに、続編で台無しになっていたらどうしようかと心配で、二作目以降は未見です。
あと新のつかない『年少バトルロワイヤル』も。
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返信。 (龍争こ門)
2015-03-31 03:42:38
二白桃さんこんばんは、お返事お待たせしました。

>国産作品にありがちな欠陥が見当たらず、格闘アクションに真正面から取り組もうという意欲が伝わってきたのが良かったです。
 作品の持つテイストを崩さず、視聴者が望んでいるアクションを真摯に提供する本作の姿勢には、私も大いに好感が持てました。
2作目は思いっきり『バトロワ』路線のようですが、個人的には夢の顔合わせだった虎牙vs松田が実現しているようなので、密かに期待しています(現時点では未見)。
ちなみに無印の『年少バトルロワイヤル』は、当方もまだチェックしていません(汗
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