功夫電影専科

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『愛と欲望の街 上海セレナーデ』

2010-06-04 21:39:38 | 元彪(ユン・ピョウ)
「愛と欲望の街 上海セレナーデ」
原題:亂世兒女
英題:Shanghai Shanghai/Shanghai Encounter/Raiders
製作:1990年

●革命の気運が高まり、人々の心がすさんでいた動乱期の上海…地方から出稼ぎに来た元彪(ユン・ピョウ)は、ひょんな事からマフィアの抗争に首を突っ込んでしまい、黒社会に目を付けられてしまう。そんなこととは露知らず、彼は憲兵をやっている兄・林子祥(ジョージ・ラム)を尋ねるが、マフィアの幹部を殺したことで首領のサモハンと接触。元彪を気に入ったサモハンは、言葉巧みに彼を仲間に引き込んでしまう。
一転して成り上がっていく元彪だったが、その過程で林子祥の恋人である梅艶芳(アニタ・ムイ)と出会い、彼女が革命家だと知る。だが、しばらくして林子祥も元彪や梅艶芳の秘密に気付いてしまい、サモハンもまた梅艶芳の正体を知って激怒していた。イギリス軍の高官と結託していたサモハンは、日本軍が上海を襲う前に全てのカタを付けようと企んでいる。果たして、元彪たちの運命は…?

 80年代後半の香港映画黄金期、そして90年代前半の古装片ブームの中間に位置するエアポケット的な作品です。この翌年に『ワンチャイ/天地黎明』が現れてワイヤーアクションの嵐が吹き荒れるのですが、本作の時点ではまだ昔ながらのオーソドックスな作風が貫かれています。
内容は上海を舞台にした黒社会モノではありますが、のちの香港ノワールのように洗練されてはおらず、往年の元彪&サモハン主演作のような鋭さも見られません。功夫アクションも凡庸で、ラストの元彪VSサモハン戦以外はそれほど凄いバトルも無いので、実にアッサリとした印象を受けました。
 しかし本作は平均的なクオリティは満たしているし、まるでダメな映画ではありません。問題は本作に個性というものが抜け落ちていた事でしょう。一定の水準はクリアしているけど、それ以外に何も無いというのは少々寂しいものがあります。監督は作曲家の泰迪羅賓(テディ・ロビン)が担当しているんですが、ここは製作側に回っていた元奎(ユン・ケイ)に任せていれば、あるいは違った結果になったかもしれません。
ところで、本作のラストで元彪は「上海に残るよ」と言ってましたが、この後に金城武の『暗黒街 若き英雄伝説』を続けて見ると、なんとなくストーリーが繋がっているように見えます(話や舞台設定がほぼ同じ)。もし本作だけで物足りないと思ったら、『暗黒街』とセットで視聴するのをオススメしたいのですが…きっと鑑賞後は『暗黒街』の事しか記憶に残らないかも(苦笑

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