
「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」
原題:STREET FIGHTER: THE LEGEND OF CHUN-LI
中文題:街頭霸王春麗傳/快打旋風春麗傳/街霸之春麗傳奇
製作:2009年
▼ジャン・クロード=ヴァン・ダム主演作『ストリート・ファイター』は失敗作ではあったが、駄作ではなかった。典型的なアクション映画の型枠に物語を押し込め、数々のキャラクター改変でブーイングを喰らいはしたものの、バカ映画として見るなら十分に楽しめる作品だった。
同年に日本でも劇場用アニメとして『ストリート・ファイターⅡ』が作られたが、「ストⅡ」映画としてはこれがベストの出来だろう。とりわけ凄かったのがアクションシーンで、今見ても作画の精密さには驚かされる(監修は故アンティ・フグ氏)。
なお、この劇場版『ストⅡ』でリュウを演じたのはVシネ俳優の清水宏次朗。同じく格闘俳優のケイン・コスギもOVA『ストリート・ファイターZERO』でリュウの声優を担当しているが、この2人は『ザ・格闘王2』で共演している。今思うと、『ザ・格闘王2』は2人のリュウが闘った貴重な作品と言えるのかもしれない。
さて、そこへ来て本作である。この映画は「ストⅡ」で人気の女性キャラ・春麗(チュン・リー)のスピンオフ作品だ。しかし本作を前にして、私の中に1つの疑問が浮かんだ…この作品、ターゲットとする客層がよく解らないのだ。ゲームを知らない人は本作に興味を持たないだろうし、実際に見ても何が何やら解らない。逆に知っている人も、作中の改変っぷりには憤慨したはずである。実にあやふやな印象の作品だが、その内容もあやふやな物であったと言えよう(理由は後述)。
■クリスティン・クルック(春麗)は、かつて父親を秘密結社シャドルーに誘拐されるという、痛ましい過去を持っていた。
母の死をきっかけにシャドルーへの復讐を決意したクルックは、謎の巻物を解読した鄭佩佩(チェン・ペイペイ)から「タイに行ってホームレスになれば仇雲波(ロビン・ショウ…年恰好が違うが彼がゲン)に会える」と聞かされ、さっそくバンコクへ。紆余曲折を経て仇雲波と出会い、彼から修行を施される事になったクルックは、シャドルーの総帥ニール・マクドノー(ベガ)に復讐の炎を燃やしていく。
同じ頃、シャドルーを追っていたICPOのクリス・クライン(ナッシュ)は、現地警察の女刑事と協力して捜査に当たっていた。徐々にシャドルーへ近付くクルックとクリス…だが、マクドノーはマイケル・クラーク・ダンカン(バイソン)やタブー(バルログ)らファイターを従え、様々な策略を巡らせるのだが…。
▲ストーリーはカプコンの公式設定から色々と取り込んでいるが、なんとも食えない作品だ。
全体的に演出はぼやけており、クルックが強くなっていく工程やアクションシーンもインパクトに欠けている。また、キャラクターの改悪っぷりがヴァンダム版よりも酷い(ナッシュがただの使えない捜査官、ベガがただのオッサン、バルログがただの雑魚…)というのも問題だろう。
肝心の主役である春麗も、あの印象的なチャイナドレス姿にならないばかりか、演者がアジア系でないという時点でヴァンダム版にも負けている。やはりハリウッドとしては、アジア人が主役になるような映画は認めたく無いという事なのだろうか?個人的に春麗は章子怡(チャン・ツィイー)に演じてもらい、バイソンはマイケル・ジェイ・ホワイトでバルログはレイ・パーク、ベガはセガールあたりに演じてもらいたかったが…って、流石にこのキャストは無理があるか(笑
ちなみに監督は『ロミオ・マスト・ダイ』のアンジェイ・バートコウィアクだが、李連杰(ジェット・リー)やセガールと組んでた時より質が落ち、格闘アクションも同様の結果に陥っている。もっとも、『ブラック・ダイヤモンド』の李連杰VSマーク・ダカスコス戦や、『電撃』のセガールVSマイケル・ジェイ・ホワイト戦を茶化した過去を持つアンジェイにとって、本作で仇雲波の扱いをおざなりにすることなど屁でもなかったに違いない。
バカ映画にもなりきれず、アクション映画としても個性を発揮できなかった不幸な作品。しかし本当に不幸なのは、今のところ一番忠実に原作を再現した映像作品が『シティ・ハンター』である「ストⅡ」自身に他ならないだろう(合掌)。
原題:STREET FIGHTER: THE LEGEND OF CHUN-LI
中文題:街頭霸王春麗傳/快打旋風春麗傳/街霸之春麗傳奇
製作:2009年
▼ジャン・クロード=ヴァン・ダム主演作『ストリート・ファイター』は失敗作ではあったが、駄作ではなかった。典型的なアクション映画の型枠に物語を押し込め、数々のキャラクター改変でブーイングを喰らいはしたものの、バカ映画として見るなら十分に楽しめる作品だった。
同年に日本でも劇場用アニメとして『ストリート・ファイターⅡ』が作られたが、「ストⅡ」映画としてはこれがベストの出来だろう。とりわけ凄かったのがアクションシーンで、今見ても作画の精密さには驚かされる(監修は故アンティ・フグ氏)。
なお、この劇場版『ストⅡ』でリュウを演じたのはVシネ俳優の清水宏次朗。同じく格闘俳優のケイン・コスギもOVA『ストリート・ファイターZERO』でリュウの声優を担当しているが、この2人は『ザ・格闘王2』で共演している。今思うと、『ザ・格闘王2』は2人のリュウが闘った貴重な作品と言えるのかもしれない。
さて、そこへ来て本作である。この映画は「ストⅡ」で人気の女性キャラ・春麗(チュン・リー)のスピンオフ作品だ。しかし本作を前にして、私の中に1つの疑問が浮かんだ…この作品、ターゲットとする客層がよく解らないのだ。ゲームを知らない人は本作に興味を持たないだろうし、実際に見ても何が何やら解らない。逆に知っている人も、作中の改変っぷりには憤慨したはずである。実にあやふやな印象の作品だが、その内容もあやふやな物であったと言えよう(理由は後述)。
■クリスティン・クルック(春麗)は、かつて父親を秘密結社シャドルーに誘拐されるという、痛ましい過去を持っていた。
母の死をきっかけにシャドルーへの復讐を決意したクルックは、謎の巻物を解読した鄭佩佩(チェン・ペイペイ)から「タイに行ってホームレスになれば仇雲波(ロビン・ショウ…年恰好が違うが彼がゲン)に会える」と聞かされ、さっそくバンコクへ。紆余曲折を経て仇雲波と出会い、彼から修行を施される事になったクルックは、シャドルーの総帥ニール・マクドノー(ベガ)に復讐の炎を燃やしていく。
同じ頃、シャドルーを追っていたICPOのクリス・クライン(ナッシュ)は、現地警察の女刑事と協力して捜査に当たっていた。徐々にシャドルーへ近付くクルックとクリス…だが、マクドノーはマイケル・クラーク・ダンカン(バイソン)やタブー(バルログ)らファイターを従え、様々な策略を巡らせるのだが…。
▲ストーリーはカプコンの公式設定から色々と取り込んでいるが、なんとも食えない作品だ。
全体的に演出はぼやけており、クルックが強くなっていく工程やアクションシーンもインパクトに欠けている。また、キャラクターの改悪っぷりがヴァンダム版よりも酷い(ナッシュがただの使えない捜査官、ベガがただのオッサン、バルログがただの雑魚…)というのも問題だろう。
肝心の主役である春麗も、あの印象的なチャイナドレス姿にならないばかりか、演者がアジア系でないという時点でヴァンダム版にも負けている。やはりハリウッドとしては、アジア人が主役になるような映画は認めたく無いという事なのだろうか?個人的に春麗は章子怡(チャン・ツィイー)に演じてもらい、バイソンはマイケル・ジェイ・ホワイトでバルログはレイ・パーク、ベガはセガールあたりに演じてもらいたかったが…って、流石にこのキャストは無理があるか(笑
ちなみに監督は『ロミオ・マスト・ダイ』のアンジェイ・バートコウィアクだが、李連杰(ジェット・リー)やセガールと組んでた時より質が落ち、格闘アクションも同様の結果に陥っている。もっとも、『ブラック・ダイヤモンド』の李連杰VSマーク・ダカスコス戦や、『電撃』のセガールVSマイケル・ジェイ・ホワイト戦を茶化した過去を持つアンジェイにとって、本作で仇雲波の扱いをおざなりにすることなど屁でもなかったに違いない。
バカ映画にもなりきれず、アクション映画としても個性を発揮できなかった不幸な作品。しかし本当に不幸なのは、今のところ一番忠実に原作を再現した映像作品が『シティ・ハンター』である「ストⅡ」自身に他ならないだろう(合掌)。
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