功夫電影専科

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【Gメン75in香港カラテ③】『Gメン対世界最強の香港カラテ』前後編

2009-12-11 22:10:58 | Gメン75&82・香港カラテシリーズ
「Gメン対世界最強の香港カラテ」
「Gメン対世界最強の香港カラテPART2」
製作:1980年

▼新メンバー加入で新たな方向性を模索した「香港カラテシリーズ」だが、その狙いは不発に終わった。そこで次に取られた解決策は、なんとも斬新かつ合理的なものだった。Gメンサイドに達人がおらず、香港の敵を迎え撃つのが不安であるのなら、その香港から助っ人を招けばいいのだ。こうして「香港カラテシリーズ」に、また新たな1ページが加えられる事となった。
今回Gメンと共に闘う最初の仲間は、バッタもんスターとして知られる何宗道(ブルース・ライ)である。元々はバッタもんであることを良しとしなかった何宗道だが、本作における彼は飄々とした謎の男を好演しており、彼自身も楽しそうに演じている。

■香港ギャングの江島(チェン・タオ)は、力石考(『南シナ海の殺し屋』の役とは別人)と共謀し、香港在住の日本領事を誘拐して100万ドルの大金を稼ごうと企んだ。さっそくGメンは事件の解決に乗り出したが、実は日本でも同様の手口による誘拐事件が起きていた。事件そのものは誘拐犯の死という形で決着したが、首謀者とされる力石はそのまま逃亡。この男が今度は香港に現れたのだ。
ところが、Gメンの捜査を良しとしない者が現れた。香港警察の警部・高品格は縄張り意識バリバリで、「Gメンの出る幕は無い」と言ってはばからない。敵が身代金を要求してくる中、領事館に一本の不審な電話が掛かってきた。その男・何宗道は情報屋ドラゴンと名乗ってGメンに近付くが、謎が多く要領を得ない。果たして何宗道とは何者なのだろうか?
 この何宗道、高品と繋がりを持つ男だったのだが、高品は身代金の100万ドルを横取りせんと画策していた。ところが香港ギャングの元にも何宗道は現れ、彼らに取り入ろうと動き出す。一方で高品は「身代金も含めて全部俺に任せろ」と言い出すも、Gメンは犯人との裏取引は断固として反対。ようやく犯人からの連絡で身代金の受け渡しと相成ったが、敵は大勢の手下を引き連れていた。
領事の娘とGメンの中島はるみは窮地に陥るも、敵の一味であるはずの何宗道が突然反旗を翻し、敵を一掃した…が、何宗道は身代金までも奪い去ってしまう。身代金を取り損ねた香港ギャングは、またも領事館に100万ドルを要求。しかし領事館の使用人が何宗道の妹であった事から、何宗道の目的と高品の秘密がGメンにも知れることとなる。実は高品、あくまで自分自身の手で香港ギャングを捕らえようと執念を燃やしており、自分が身代金受け渡しに向かうことで連中を現行犯逮捕しようとしていたのだ。
 高品のバックアップに回る何宗道であったが、1人になった所を狙われて高品は殺されてしまう。難民だった何宗道とその妹は、かつて高品に救われた過去を持っていた。香港ギャングに怒りを燃やす何宗道は、領事の居場所を探るためにわざと敵の手に落ちると、すぐにGメンへ連絡を飛ばした。かくして、何宗道の八面六臂の活躍で領事の所在を知ったGメンは、何宗道と共に香港ギャングへ決戦を挑む!

▲ストーリー・功夫アクション・作品の規模など、バランス良く配された「香港カラテシリーズ」でも指よりの傑作エピソードである。
これ以降は香港の助っ人が前面に押し出され、Gメンの活躍が少なくなってしまう傾向になるが、本作ではGメンとゲストの両者がきちんと描かれており、良質の作品となっている。特色だったのは高品格演じる香港の刑事で、本作で強く印象に残った。最初は単なる小悪党かと思いきや、実は誰よりも犯人逮捕に情熱を傾ける男だったという後半の展開が面白く、クライマックスを盛り上げる事にも一役買ってくれている。
 また、何宗道の演技もさることながら、本作中で立ちはだかる猛者たちとのバトルも、バッタもん作品とは違った魅力を見せていた。
今回敵となるのは江島&楊斯(ヤン・スェ)というシリーズお馴染みの顔で、さらに当時ショウブラに在籍していた狄威(ディック・ウェイ)が組織の幹部として顔を見せている(もちろん作中での表記は「屠龍」)。当然、作中では何度も何宗道VS狄威のバトルが繰り広げられ、ラストバトルでは伊吹剛・宮内洋・千葉裕のGメントリオとも立ちあっている。『プロジェクトA』『五福星』に先駆けること3~4年前、既に狄威が日本上陸を果たしていたとは感慨深い。
ラストの何宗道VS江島&楊斯の対決も面白く、この前後編は功夫映画ファンにも自信を持ってオススメできる話といえよう。なお、好評につき何宗道は再びGメンと手を組み、今度は意外な強敵に出くわす事になるのだが、こちらは次回の講釈で…。

ハードボイルド『Gメン75』次の活躍は、今回の特集で唯一の単発エピソードである『香港カラテ殺人旅行』をお送りします。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです。 (ショーン)
2009-12-14 19:34:51
クラシック功夫ファイトCORECTIONの管理人でございます。ブログリニューアルに伴い"FREAKS DEVIL鬼畜の憂鬱な世界"という変てこりんなタイトルに更致しました。お時間がある時にブログ・タイトルの方変更して頂けると幸いです。今後とも宜しくお願いします!
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返信! (龍争こ門)
2009-12-15 22:36:48
ショーンさんこんばんは&お久しぶりです!

>お時間がある時にブログ・タイトルの方変更して頂けると幸いです。
という訳でブックマークをちょびっと修正しました。
私こそ、今後ともよろしくお付き合いしていきたいと思います!
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世界最強の香港カラテ♪ (カピ)
2010-11-27 21:08:16
私もこの「Gメン」香港ロケエピにディック・ウェイが出ているのには驚きました。
きっとまだショウブラザーズ俳優であった頃でしょうか。
確かこの時は「芸名」も違っていたと記憶しております。
時期的にはこれから少し経ったら「燃えよデブゴン4 ピック・ポケット!」に黒いスーツ着て出演するといった感じでしょうか(笑)。
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返信!(1) (龍争こ門)
2010-11-29 01:33:41
カピさんこんばんは&初めまして!

>きっとまだショウブラザーズ俳優であった頃でしょうか。
>確かこの時は「芸名」も違っていたと記憶しております。
 狄威の出演は本当に衝撃的でしたね。仰る通り、この頃の狄威はショウブラで脇役仕事をしていた時期に当たり、芸名も「屠龍」名義となっていました。
彼がショウブラからゴールデンハーベストに渡るのがこの翌年で、『ドラ息子カンフー』の側近役を経た次の年(1982年)の『ピックポケット!』でラスボスに昇格。そして1983年の『プロジェクトA』で、悪役スターとしての地位を不動のものとします。
こうして見てみると、狄威の映画人生はかなり波瀾万丈ですね(笑
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