指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

白木みのる、死去

2022年11月13日 | 大衆芸能

白木みのるが、2年前に亡くなっていたことが分かったそうだ。85か86だったようだ。

2010年7月の北島三郎の簡保ホールでの公演で、白木らを見て、次のように書いた。

 

                        

中身は、歌手芝居の常道で、1部は芝居で、2部が歌謡ショー。芝居は『幡随院長兵衛』だが、相当にいい加減な脚本。北島の他、星由里子、目黒祐樹、今井健二、船戸順、沢竜二、白木万理、あるいは白木みのる、人見明等も出るが、各自がワン・シーンくらいにしか出ず、およそドラマがない。唯一の劇は、北島・星夫妻の娘水町レイコ(北島の実娘)が、実は沢竜二の娘で、沢が返してくれと言いにくるところと、水野の部下の武闘派の今井らが目黒に反旗を翻すところだが、どちらも伏線がないので、ただ唐突なだけに終わる。完璧に、その場しのぎの「団子の串刺し」脚本なのだ。大体、幡随院長兵衛の話は、男伊達の彼に対して、つっころばしの優さ男白井権八とのホモ的とも言える関係に、旗本の悪役水野十郎佐衛門が絡んでくるもので、白井権八がいないので、幡随院と水野の対立だけで劇に少しも膨らみが出てこない。

芸能活動の他、不動産事業をやっていたとのことで、非常に賢明な方だったと思う。

ご冥福を祈りたい。