指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『月食』

2022年11月09日 | その他

昨夜は、皆既月食だったが、要があって空を見る暇がなかった。

1994年1月に『月食』という劇があったが、私は『ミュージック・マガジン』に次のように書いた。

 

                        

 

さて、もう誰も憶えていないだろうが、昔々『サイケ歌舞伎・月食』という劇があった。品川の天王洲のアートスフィア(現、銀河劇場)で行われた。作橋本治、演出宮本亜門、音楽ホッピー神山、美術横尾忠則、役者は山路和弘、大沢健、伊藤かずえ、芦屋小鴈、篠井英介、篠原勝之という素晴らしいスタッフ、キャストで、作品のひどいのが唯一の欠点だった。話は、インドの紀元前の神話だそうだが、「陰と陽」という二人の青年の出生、修行、さらに死であるが、非常に面白くなく、隣の席にいた故扇田明彦さんも、しばしばうたた寝されていた。橋本、宮本のホモ・ホモ・コンビなので、山路が全裸になるとのシーンもあったが、興味のない私には何も意味なし。

 

この天王洲アートスフィアも、今はホリ・プロのものになっていて、天王洲劇場と名を変えられている。

この劇場の入口にも大きな階段があり、まるでバカと言うしかない。『風と共に去りぬ』ではないのに。

さて、この月食というのは、性的な意味があるでしょうか、教えてください。


『ママお家が燃えてるの』

2022年11月09日 | 映画

1961年の松竹映画、実話の映画化で、主演は淡島千景、鰐淵晴子や倍賞千恵子らが共演。

 

                      

主婦の淡島千景は、性格の違いから弁護士の夫と別れて、6人の子供を抱えて再出発する。

淡島は、音楽大学を出ているが、ラジオ局に就職する。そこは元四谷のラジオの文化放送で、職場の同僚になるのは、園井啓介。文化放送は、宗教団体が資本に入っていたので、淡島は、キリスト教と関係があるのだろうか。

そして、すぐに3男が高熱を出して、あっさりと死んでしまう。

進行は結構早くて、テンポが良い。

7年後、皆大きくなっていて、長男の椎名勝巳は大学生、次女鰐淵は高校生、三女の水科慶子も高校に行っている。

そして、ある日、職場に電話が掛かってくる、

「お家が燃えてるの!」

急いで、園井と駆けつけると、消防車が来ていて、二階の部屋が燃えたところ。

3男が、マッチ遊びをして出火したのだが、火事はボヤで、二階の一部が燃えただけで消える。

この子は、幼児の時の高熱からの障害があり、軽度の知的障害で、学校で虐められている。

3女が、高校を辞めて、浦辺久米子のおでん屋で働くなどの挿話もある。

最後、淡島は園井と、こけし作りの取材に福島に行く。

こけしの顔を見ていると、淡島は子供たちを思い出す。

東京の家に戻ると、子供たちが優しく迎えてくれてエンド。

私は、原作の松尾ちよがテレビに出たのは見ているが、職場がフジテレビと同系列の文化放送だったからだろうか。

夫は、出てこないが、この二人の離婚の理由は不明だが、要は淡島は、家事が嫌いだったのではないかと思う。

世には、家事が嫌いで苦手という女性はいるもので、監督西河克巳の奥さんもそうで、家事はすべてお手伝いさんがやっていたそうだ。

この話は、シングル・マザーが子供を抱えて頑張るという筋で、ある意味で先駆的な映画である。

監督川津義郎

衛星劇場