2日前、NHK総合のクローズアップ現代で『都市と地方のすれ違い “地域おこし炎上”はなぜ?』を放映していた。
見ていて、すこし、ズレていると私は思った。
これは「都市と地方のすれ違い」の問題ではない。「地域おこし協力隊」そのものが間違っているのである。NHKは自民党と中央の役人の雑な「地方創生政策」を批判しなければならない。
「協力隊」に「海外協力隊」がある。海外協力隊員になるには、書類審査、面接だけでなく、受かれば研修がある。研修をうけて派遣され、期限が過ぎれば、戻るのである。
「地域おこし協力隊」は研修をうけていない。派遣でなく、移住である。
当然、「地域おこし協力隊」は侵入者であるから、もともとの地域住民ともめ事を起こすのは当然である。それに、地域のボスは、新参者は自分に従えと、マウントしてかかる。
地域に過疎化がおきるのは、それなりの理由があるからだ。単に中央からの移住者を求めれば良いわけではない。
いま過疎地でも、昔、子どもたちが生まれていたのだ。その子供たちが、大人になって、どうして、その地を離れたか、理由があるはずだ。その理由を検討せずに、移住者が増えれば何とかなるというのは、安易すぎる。移住者を騙していることになる。
過疎化が起きるのは経済的理由かもしれない。自由がなく息苦しいという精神的理由かもしれない。診療所が近くにない、あるいは、土地が公害で汚染されているという健康上の理由かもしれない。自然災害が繰り返されるという生命の安全が理由かもしれない。娯楽が少ない買い物の楽しみがないという理由かもしれない。
もっとも、人の好みは多様だから、他の人がいないからというのが住みたい理由になるかもしれない。私は、娯楽が少ない、買い物の楽しみがないという空間を好む。
過疎化に理由があるとすれば、過疎化はある意味で仕方がないことである。
番組が最初にとりあげたケースは、カフェを開いた移住者と朝鮮ニンジンを栽培して産業を起こそうとする地域住民リーダのあいだのもめ事である。
地域住民リーダは、かっての別子銅山の繁栄を懐かしんでいる。そんなものは帰ってこない。過疎化が進むのは当然であり受け入れるべきだ。朝鮮ニンジンの栽培で苦労しているようだが、それを受け入れる人たちだけで、生活すればよい。そんなに多くの人を養えない。カフェを開いた移住者は若者の観光客をあてにしてだろう。それもさらに少ない人数の人しか養えない。
それなのに、「地域おこし協力隊」を送り込んだ地方自治体の役人は、誤ったことを行っただけでなく、双方を騙したことになる。
地方自治体と自民党は、選挙対策のために、地域創生を行っているポーズをしているだけである。地域住民は、自分の頭で考え、生き抜くべきである。過疎化はある程度仕方がない自然の摂理である。過疎化は悪いことではない。