
新型コロナ緊急事態宣言をあすから4週間延長するという。これまで、新規感染者数が確実に減ってきたが、これからは、減少がゆるやかになるのでは、あるいは、減らないのではないか、という不安が私にはある。
緊急宣言後、これまで、みんなの外出自粛にささえられて、新規感染者数が減少してきた。政府、自治体が、何か適切な感染対策をしたわけではない。
きょう、図書館に本を返しにでかけた。天気が穏やかなこともあって人出が多い。公園の広場には子供連れの親が体を動かして遊んでいる。子どもはもちろんのこと、マスクをしていない、あるいは、マスクから鼻や口を出している大人も結構の数いる。ゆるんでいる。
菅義偉は「安心」を政策の理念に掲げるが、「危機」が依然としてあるのに、「安心」していいような印象を与えるスピーチはまずかったのではないか。
イギリスのボリス・ジョンソン首相は、ワクチン接種が始まったからと安心してはいけない、集団免疫ができるのはずっと先だ、それに変異型コロナの脅威もある、とスピーチして、先日、国民に危機の共有を訴えた。
日本のワクチン接種が年内に終了するかわからないし、集団免疫が生じるのはその先のことである。危機の共有の方が重要である。
東京都と神奈川県は感染経路の追跡と濃厚接触者の割り出しを、家庭内と老人介護施設内に限定した。したがって、無症状の活動的感染者は市中に放たれた状態だ。感染者の減少に、濃厚接触者の割り出しの限定からくる行政PCR検査数の減少が関与しているかもしれない。
それに、あってはならないことのはずだが、感染者が入院できず、自宅待機で亡くなっている。
保健所の業務過多の解決は、業務内容を減らすことではなく、働き手を増やすことだ。保健所の業務をマニュアル化すれば、職を失った接客業の人たちを雇うことができる。電話をかけたり受けたりする人と、答える人とを分ければ良い。相談の内容によって、経験のある人にふればよい。保健所業務をシステムと考え、プロセスを分けて人を割り振ればよい。プロンプターを使って答えてもよい。働き手を増やす、回線数を増やす、デジタル機器を増やす、これは予算をつければできることだ。1.1兆円のGoToキャンペーン用の補正予算を回せばよい。
新型コロナ患者用病床を増やすという話しもよく見えない。医療機関のベッド数が本当に増えない限り、すでに入院している人が多い出されたり、ホテルに閉じこめられたり、自宅に放置されたりすることになる。新設のベッドがないというのは、本当の解決にならない。軽症者用の相部屋のベッド数を新設しないといけない。相部屋であれば、医療関係者の負担は軽い。
PCR検査を簡易検査で済まさず、イギリスのようにRNAの塩基配列決定に進むべきである。新型コロナの変異と拡散をリアルタイムで追うことができる。そのためには、昭和大学教授の二木芳人、参議院議員の武見敬三の言うように、国立感染研究所が塩基配列の決定を独占することをやめないといけない。
特措法と感染症法を厳罰化したことで、政府の責任が終わったことにならない。存在する危機を隠すことは、行政のやることではない。