これは一種の予告編というか、準備体操のようなものでしょうか。
中国毒餃子問題について、中国国内からもアクセスできる海外の親中系メディアのウェブサイトに一斉、といっていいタイミングで共同通信の中国語版の記事を引用した報道が登場しました。
●「毒餃子」製造は祝日・休日、中国捜査当局が包装・出荷過程を重点捜査(聯合早報網 2008/02/09/11:15)
http://realtime.zaobao.com/2008/02/080209_11.shtml
●質検総局:対日輸出餃子、意図的な毒混入の可能性強まる(香港文匯報 2008/02/10)
http://paper.wenweipo.com/2008/02/10/CH0802100009.htm
●毒餃子は祝日・休日に生産、中国側が捜査へ(大公報 2008/02/10)
http://www.takungpao.com/news/08/02/10/MW-861916.htm
●毒餃子は祝日・休日に生産、中国側が包装・出荷要員を重点捜査(星島環球網 2008/02/10/08:29)
http://www.singtaonet.com/hot_news/gd_20080210/200802/t20080210_729238.html
記事の内容自体は私たちにとって目新しいものではありません。元記事はいずれもこれです。
●“毒餃子”於節假日製造 警方嚴査包裝裝箱工序(2008年2月8日21:57 来源:共同網)
http://china.kyodo.co.jp/modules/fsStory/index.php?sel_lang=schinese&storyid=53616
日本語版の記事から肝心の部分を抜き出しておきます。
中国製ギョーザ中毒事件で、高濃度の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」や「ジクロルボス」が検出された製品の製造日である昨年の六月三日、十月一日、同月二十日の三日間は中国の祝日や週末の休日にあたり、製造元「天洋食品」での従業員数や製造量が平日より少なかったことが八日、関係者の話で分かった。
中国の警察当局はこの三日間に包装や箱詰め作業をしていた従業員を重点的に聴取するなどし、捜査を進めているもようだ。
中国警察は、これまでの捜査で「何者かによる意図的な混入」との見方を強め、工場への人の出入りを記録した出勤記録簿などを押収した。穴の開いていない袋の内側からも殺虫剤が検出されており、日本での混入の疑いがなくなれば、工場での包装、箱詰めの段階での可能性が高まる。
包装作業を担当していた従業員の家族は「包装作業担当者は調査などのため一月三十日から工場からの外出が(一時的に)禁止となった」と話した。
●中国警察、包装作業員を重点聴取 ギョーザ中毒(神戸新聞News 2008/02/09/08:51)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0000830663.shtml
前掲の海外親中系メディアの報道はこの部分を概ね引用しています。最低でも、
●中国の警察当局はこの三日間に包装や箱詰め作業をしていた従業員を重点的に聴取するなどし、捜査を進めているもようだ。
●中国警察は、これまでの捜査で「何者かによる意図的な混入」との見方を強め、工場への人の出入りを記録した出勤記録簿などを押収した。
……の2点には言及。どの記事も餃子を生産していた天洋食品を訪れた日本側調査団が「特に問題はなかった」と語ったと報じつつも、その一方で、
「公安が動いている。どうやら中国側が怪しい模様」
といった印象や読後感を残す内容です。
「これは一種の予告編というか、準備体操のようなものでしょうか」
と冒頭に書きましたが、いままでのケースからすると、中国は往々にしてこうした中国国内からもアクセスできる海外の親中系メディアのウェブサイトでまず情報を流した上で、ややタイムラグを置いてから中国国内メディアに報道させることが多いからです。
これら海外の親中系メディア、これまでは基本的に中国国内で報道されている記事を掲載するのみだったことから、今回の「一斉報道」は中国側が何らかの動きを準備している可能性を感じさせるものです。
先日のエントリーで紹介した福田首相や町村官房長官の発言と照らし合わせて考えると、「手打ち」発表が近いのではないかと思われます。
●ギョーザ中毒「不幸な事件」=友好関係維持を強調-日中財務相(時事ドットコム 2008/02/10/13:06)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008021000075
●中日財務相、毒餃子事件の真相究明へ連携を確認(大公網 2008/02/10/17:26)
http://www.takungpao.com/news/08/02/10/YM-862191.htm
……これも「手打ち」を前にした環境づくりということになるのかも知れません。
――――
しかし、こういう展開に日本国民が満足しているかといえば、さにあらず。……ということは言わずもがなですね。数字が出ちゃいました。
●「中国食品利用せず」75% 電話世論調査(共同通信 2008/02/10/19:20)
中国製ギョーザ中毒事件を受け、共同通信社が9、10の両日に行った全国電話世論調査で「今後、中国製食品は利用しない」という人が75.9%を占めることが分かった。同事件で日本の行政が「責任を果たしていない」と感じている人は51.1%に達した。
中国製食品の利用については「これまで利用してきたし、今後も利用する」が21.6%、「これまで利用してきたが、今後はしない」は36.3%。一方「これまでも利用していないし、今後も利用しない」が39.6%だった。
この数字でみると、事件前に中国製食品を利用していた人は計57.9%だったが、事件後は利用者が21.6%に急激に落ち込むことになる。
――――
●内閣支持率35%に下落 暫定税率反対57%(共同通信 2008/02/10/17:25)
共同通信社が9、10両日に実施した全国電話世論調査で、福田内閣の支持率は35.6%と1月の前回調査に比べ5.8ポイント落ち込んだ。政権発足以来、昨年12月の調査(35.3%)に次ぐ低支持率。「不支持」は44.5%で1.7ポイント上昇した。
不支持の理由では「首相に指導力がない」が前回より6.5ポイント増え、26.1%でトップ。「経済政策に期待が持てない」の22.8%が続いた。
とはいえ、ちょっと気になる記事も。
●生協連、中国側に毒ギョーザのサンプル提供 証拠隠滅の恐れも(MSN産経ニュース 2008/02/10/01:04)
「生協は日本の警察を信用していないらしい」
「もうこの行為はお人好し云々を通り越して中国の御用聞き」
という「きんぎんすなご」さんのコメントに激しく同意であります。
ついでに追加情報。
●喜多方のギョーザからベンゼンなども検出(YOMIURI ONLINE 2008/02/09/02:10)
●徳島で新たに4袋の冷凍ギョーザ外側からジクロルボス(YOMIURI ONLINE 2008/02/10/19:21)
――――
取り急ぎ邪推含みの速報まで。
日本政府にはあまり期待してないんですが、せめて犯人の取調べのための引渡しくらいは実現して欲しいもんです。
犯人が死刑になる前にやれますかねえ。
中国人の従業員が待遇の悪さにぶちぎれて
農薬をぶっかけたという予想どおりの結論になったら
どうなるとお考えですか?
中国側が日中友好を望まないごく一部の急進分子がやったとかなんとかいってますけど
文科省が中止指示 天狗缶詰製の使用 マッシュルーム異臭
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/education/75480.html
これは有機リン系ではなく塩素系(殺菌目的で分量間違ったか?)との噂。というか腹痛程度は無問題?
偽装はしたが健康被害は出していないミートホープは吊るし上げて廃業まで追い込んだのにね
しかし、この事例からも簡単に判断できる事ですが、こと食品に関する日本人の潔癖性とコダワリからすれば、「日中友好?そんなの関係ね~!」ですわな。そこんとこを日中両国政府は読み間違った。
中国富裕層は、日本製食品の安全性にさらに確信を深めた事でしょう。その場合、「日本国民に圧倒的に支持さている」が、売り文句wただし、口頭で。
それより「ランさん」のブログでは「中国の製造年月日」は当てになるのかと書いておられます。
盲点でしたね、今まで製造日が正しいという前提で調べてきたけど、その前提が崩れると・・・。
日本でも製造日のごまかしはある、ましてや中国においてをや。
さて、消毒の件。市場で海水魚を買い、煮ていると強烈な塩素臭がすることがあります。煮上がっても臭くて、食べられたものではありません。多分、市場で魚を並べる時に、消毒液に漬け込むのではないかと思います。
霞ヶ関と中南海の住民はそれで事態を収拾できると考えているんでしょう。
日本の消費者の「黙って棚に戻す」の恐ろしさを甘く見てないか?
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。