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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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日中関係
/
2006-09-15 21:00:31
冒頭からひそひそ話です。
「好悪の情を出さない」という当ブログの原則めいたものを取っ外して、中国の政治家(引退者含む)で一番嫌いなのは誰かと問われたら、皆さんならどう答えますか?
私の場合は温家宝・首相。どのくらい嫌いかといえば顔写真を見て反吐を吐きたくなるほど嫌い。あいつと会う機会を仮にセットされたとしても、私なら広州へ行って正露丸を飲んでから人糞がプカプカ浮いている珠江を泳ぐ方を選びます(笑)。
だいたい顔が嫌いです。卑しいではないですか。卑しさと肚の黒さが表情に出てしまっています。江沢民や唐家センのような「豚の内蔵」型のわかりやすい下卑たルックスではなく、李鵬のような器量不足がありありと顔に出ている「無能型」(馬鹿面)でもありません。善人面を必死で演技しているのがバレバレなので見ていて嫌になるのです。
それから庶民派をアピールするための必要以上にアクの強いパフォーマンス。あの作り笑顔やウソ泣きは中国の民度なら通用しますが、香港レベルではもう見抜かれてしまって駄目です。
愚直で朴訥で、しかも寝技が得意ではなさそうで、実際それより力でねじ伏せる戒厳令的な措置に走る可能性十分といった田舎者の胡錦涛のような、一種の可愛気がありません。万事にソツがない、という能力も温家宝嫌いの私にかかれば嫌味で肚が黒いということになってしまいます(笑)。
ちなみに私が好ましく思っている中共政権における政治家は、故人を含めると趙紫陽、胡耀邦、朱鎔基の3人。理由はその事跡の端々から、特に土壇場において「中共人」よりも「中国人」を優先させるかのような香りが漂うからです。
温家宝は土壇場に直面したら「親民総理」の称号をかなぐり捨て、民草を見殺しにしても自分大事で逃げるでしょう。現に趙紫陽の秘書のような役回りを務めていたのに1989年の天安門事件で没落していませんし。
まあ風見鶏並に空気を読むことができる上にそもそもソツがないですから、うまく立ち回って土壇場に追い込まれかねない位置取りは常に避けているのでしょう。オフサイドトラップには絶対に引っかかりません。
――――
以上、内緒話終了。……と思ったのですが、その温家宝が訪欧して十字放火を浴びているのが痛快だ、ということくらいは言わせて下さい。火種はもちろん、あれです。例の新華社が外電を仕切るという報道統制強化の一件。
●中国が新たなメディア規制 外国通信社の配信、新華社管理下へ(Sankei Web 2006/09/12/00:13)
http://www.sankei.co.jp/news/060912/kok000.htm
●【速報】報道戒厳令?海外メディアを「新華社化」する法律施行。(2006/09/10)
●続・報道戒厳令。(2006/09/11)
しかも即日発表・即日施行の法令です。これを訪欧中のタイミングで発表してしまったのですから、温家宝はフィンランドを振り出しに行く先々の記者会見で叩かれまくっています。
●中国・温家宝首相が訪英、人権問題などの質問にぶぜん(読売新聞 2006/09/13/23:48)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060913id23.htm
なるほどさすがは幕政を切り盛りする御老中、「豊前守」になった訳ですか。中国の国家指導者ともなれば、国内ではふんぞり返ってマスコミの舌鋒に追及されるなんてことはあり得ませんから、いい経験になることでしょう。
ここは忍耐一番、かつての江沢民のように逆ギレして報道陣に説教を始めるなんて醜態をさらしてはいけません。個人的には逆ギレしてくれた方が面白いのですが(笑)。
――――
さて、外国通信社を含む報道統制の強化という今回の法令については理解できるでしょう。上記エントリーでも書きましたが、人災・天災の被害隠蔽を暴かれたり、農民暴動や労働争議を報じられたり、闇炭坑との官民癒着や環境破壊をスクープされたり、あるいは「中共また人権蹂躙」「政治改革の気配なし」なんてコラムを配信されては「調和社会」の実現を目指す上で統治者にとって不都合このうえないのです。
それから汚職暴露記事にも胡錦涛サイド(「擁胡同盟」=胡錦涛擁護同盟)は神経を尖らせていることでしょう。中共政権において党幹部が汚職をするのは排便するのと同じくらい自然かつ当然なことなのですが、いまその汚職撲滅キャンペーンが胡錦涛主導で大々的に展開されているのは皆さん御存知かと思います。
大々的であることと本気度が高めなのがポイントです。何せ誰でもやっている汚職をわざわざ殊更に暴き立て、その罪状で処分・更迭するというのは中国における政敵抹殺の常套手段。江沢民も総書記時代にうるさ型の政敵だった陳希同・北京市長(当時)一派をこの方法で政界から追放しています。
「大々的」「本気度高め」というのは、このキャンペーンを発動した胡錦涛サイドが攻勢に出たことを示すものです。なぜかといえば、党の重要会議である六中全会(党第16期中央委員会第6次全体会議)が来月に迫っているからです。
これは世代交代や大型人事の行われる来年の党大会(5年ごとに開催)の前哨戦であり、前哨戦としては最後のチャンスかも知れませんから、「擁胡同盟」は「汚職撲滅」を大義名分にして押しまくり、「反胡連合」(反胡錦涛諸派連合)にコールド勝ち……するのは無理にしても、何とか大差をつけて主導権を握り、人事に手をつけたいところです。
――――
前にも書きましたが、党人事というのはホップ・ステップ・ジャンプなのです。「六中全会」で腹心をワンランク昇格させておいて、来年の党大会でより高いポストに就ける。……具体的にはポスト胡錦涛と目される李克強・遼寧省党委員会書記(同省のトップ)の昇格が焦点です。
他にも胡錦涛人脈の有力なホープである李源潮・江蘇省党委書記や張学忠・四川省党委書記などの昇格、それに新疆やチベットといった辺境で鍛えさせ、経験を積ませている若手を中央に呼び戻す、といった抜擢をしたいところです。
加えて習近平・浙江省党委書記などの「太子党」と呼ばれる二代目政治家を引き立てられれば、党長老連に対するいい御機嫌取りになります。
一方、腹心昇格と並ぶ焦点として、上海市や広東省といった中央に必ずしも従わない「大諸侯」のトップ、例えばすでに中央政治局委員である陳良宇・上海市党委書記や張徳江・広東省党委書記を閑職に回すことができれば言う事なし。
……まあそこまでパーフェクトに事が運ぶことはまずない、と断言してもいいほどの難事ですが、主導権を握りつつも掌握度が不十分だったため全く人事に手をつけられなかった昨年の「五中全会」の轍を踏みたくはないでしょう。
で、それと報道統制強化にどういう関係があるのかといえば、胡錦涛にとって一部の中国国内メディアが「反胡連合」の拠点となり、逆に「擁胡同盟」側の汚職を暴露されるようなことになっては困るのです。だから新華社に情報発信の蛇口を握らせる。新華社がそこまで仕切れるかどうかは疑問なのですが、この新華社のトップもチベット時代に苦楽を共にした胡錦涛の懐刀であることは以前書いた通りです。
――――
それにしても奇異に映ったのは、この「新華社が仕切る」法令、その内容については上述したように政争含みという線で理解できるとして、問題は発表の時機です。……そうそう、温家宝が訪欧しているという最悪のタイミングでわざわざ発表・施行したというところが解せません。
EUは日米などの強い働きかけもあり対中武器輸出禁止措置を撤廃していませんが、これを何とかするというのは今回の温家宝の訪欧における重要課題のひとつだった筈です。ところが報道の自由を制限するといった欧州で最も忌み嫌われそうな措置を、よりによって温家宝が欧州滞在中に発表。
こうなると対中武器禁輸解除などは吹っ飛んで、EUでの受けも悪く、報道陣からはこの法令に関する質問が相次いで温家宝は豊前守。挙げ句の果てに温家宝が外遊先で釈明記者会見を開き、北京でも担当者が弁解に努めるといった「火消し」に躍起となっています。
そうなることなど明白の筈なのに最悪のタイミングを狙った。……というのは、「胡温政権」と呼ばれつつも胡錦涛と温家宝の間に相当な距離感がありそうだという邪推を呼びかねません。
また、温家宝を長とする国務院(政府)において、温家宝が実はかなり嫌われているのかも知れない、といった愉快な想像をしたくなります。なぜなら今回の法令、立法機関である全人代常務委員会ではなく、国務院が制定したものだからです。
――――
例の『江沢民文選』ヨイショ運動が一段落したところで、今度はまた怪しげなタイミングでの法令施行。それを報道統制強化という面だけに目を注がずに、上述したような様々な邪推を試みてみるのも面白いかも知れません。
【※注】今回は別の主題にするつもりだったのが、ついリードだけで終わらせるつもりだった温家宝噺が長くなって話題が別の方向に飛んでしまいました。相済みませんです。反省。
m(__)m
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