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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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マスコミに連日躍る「江沢民」――でもこれは外堀ですから。
中国観察
/
2006-02-01 09:46:46
すみません。旧正月休暇という思わぬプレゼントをもらったのでつい堪能してしまいました。
この機会に愚痴を言わせて頂くとすれば、私にとって、チナヲチ(中国観察の真似事)は娯楽に属する楽しい作業であり、それゆえ当ブログも書くこと自体は全く苦にならず、書こうと思えばいくらでも書けるかと思います。ただ、
「素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。」
という旗印を掲げている性質上、まず記事集めをしなければなりません。実はこれがかなり大変な作業です。香港→台湾→中国本土の順でみていくのですが、これは娯楽ではありません。分量にすると1日平均でA4に9ptsで詰め込んでも40頁は超えます。それでもここで実際に使う資料は1割にも達しません。
残る9割は私にとっては勉強になっていたり、いつか使うことになるだろうと思ってピックアップしているのですが、まあ捨てているも同然です。それでは余りに勿体ないということで始めたのが姉妹サイト
「楽しい中国ニュース」
です。
ただ労力をかけたくないので「楽しい中国ニュース」での一言コメントは適当に書いていますから当てにすることなく、どうか必ず記事本文に直接あたって下さい。もっともコメントは適当なのですが、掲載する時点で一応記事に目を通しているので、私にとっては以前より情報が頭に入る、流れがみえやすくなるというメリットがあります。これは思いがけない副作用でした。
そして旧正月なのですが、香港・台湾・中国本土とも、さすがに記事が少なくなるのです。分量でいうと半減以下。加えて仕事が休みになったので、ついブログを放ったらかしにして人がましい日々を送ってしまいました。申し訳ありません。m(__)m。
――――
さて前々回・前回にお伝えした「突然ですがここで江沢民です」、具体的には対台湾政策において「胡四点」を前面に押し出し、従来の「江八点」を過去のものにしていく(否定ではない)という中央の狙いがあったのですが、意外なことに「江八点」大売り出しキャンペーンになってしまい、少なくとも中国国内メディアにおいては「胡四点」よりも遥かに高い露出度を示すことになってしまいました。
その後どうなったかといえば、旧正月突入にも関わらず「江八点」発表11周年記念日(1月30日)までは関連記事が躍っていました。で、この記念日をすぎたら今度は「胡四点」になるのかどうか、これは微妙なところで要注目です。
ところで、この「江八点」vs「胡四点」については前回のコメント欄で『毎日新聞』の記事を紹介して下さった方がいました。以下に引用します。
――
台湾方針11周年:胡主席、独自色を発揮 (Unknown)
2006-01-30 18:31:01
こういう見方も...
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060130k0000e030068000c.html
【北京・飯田和郎】中国の江沢民前国家主席が在任中の95年、8項目の対台湾方針(江八点)を発表してから30日で、11年になった。ただ、今年の記念行事は低調で、代わりに胡錦涛主席が昨年3月に示した4項目意見(胡四点)がクローズアップされてきた。中国は台湾政策の主軸を江沢民時代の「早期統一」から「独立阻止」に修正、胡主席が台湾問題でも指導力を高め始めたことを反映している。
中台筋によると、共産党はこれまで毎年、行ってきた党中央主催の江八点記念座談会を開かず、関係諸団体がそれぞれ行う決定を下した。
(後略)
――
……引用終了。できれば『毎日新聞』の当該記事全文を御一読頂きたいのですが、この引用部に限っていえば「ハァ?」とか「ヴァカですか?」といったリアクションをするしかありません。だってこの部分、
「突然ですがここで江沢民です。・上」(2006/01/27)
で紹介した親中紙『香港文匯報』の記事(2006/01/19)や台湾・中央通信社の報道(2006/01/22)そのまんまじゃないですか。いずれも1週間以上も前の「旧聞」です。
いや、「そのまんま」なのはいいのです。問題は『毎日新聞』のこの記事、1月30日付で出されていますが、記者はこの一週間、北京でこの問題については何も観察していなかったのかということです。
――――
「今年の記念行事は低調」
、その通りです。
「4項目意見(胡四点)がクローズアップされてきた」
、これもその通り。
「中台筋によると、共産党はこれまで毎年、行ってきた党中央主催の江八点記念座談会を開かず、関係諸団体がそれぞれ行う決定を下した」
というのも「そのまんま」ですね。……ただ、これらは中央、それもたぶん中央の総意ではなく、胡錦涛派による事前の目論みにすぎなかった形跡が濃厚です。
この北京特派員氏は、
「胡主席が台湾問題でも指導力を高め始めたことを反映している」
と断を下している訳ですが、これは紋切型以上の愚妹さではないかと愚考する次第です。この1週間以上、正確には1月30日まで海外を含む各地で行われた「江八点」11周年キャンペーンがそうしたことを骨抜きにしている、少なくとも「胡四点」を脇に追いやり、メディアを動員して全く別のリズムで躍っていた。……これは中国政治における主導権争いの常道として注目すべきことなのですが、これを全く無視しているのはどうしたことでしょう。
前回の
「突然ですがここで江沢民です。・下」(2006/01/27)
でふれたように、確かに党中央は「江八点」の記念座談会を開いていません。それでも「関係諸団体がそれぞれ行う」事例が相次ぎ、それを国営通信社・新華社が全国ニュースとして配信したり、党中央の機関紙である『人民日報』が報じたりしている。
なるほど党中央は座談会こそ開いていませんが、その機関紙が関連ニュースをガンガン報道しているのです。それだけならともかく、『人民日報』はリレー形式の特集コラムまで連載していたではありませんか。……これはカナーリ重要な政治的シグナルだと思うのですが、全く無視しちゃっていいのでしょうか?
前回書いた通り、どこでいくら派手に「江八点」記念座談会が行われようと、報道しなければ人目につきませんし、一種の示威活動としての政治的効果も小さい。ところが新華社や『人民日報』がどんどん報じていた。しかも胡錦涛が台湾海峡に面した福建省を視察(01/12-01/16)して一席ぶった直後なのに、これです。
要するに、
胡錦涛は主要メディアすらまだ十分に把握できていない
、ということです。だから「これからは『胡四点』で」という意向でいても、現実には「江八点」ばかりが強調されている。思うに任せない、というところでしょう。国営通信社と党中央の機関紙すらしっかり掌握できていないところをみると、党中央のレベルでも
「胡錦涛が指導力を高め始めた」
と表現するには難があると思うのですが、如何でしょう?
――――
折角ですから前回以降の「『江八点』発表11周年記念活動」関連記事(2006/01/27-2006/01/30)を「新華網」(新華社電子版)限定で並べてみましょう。
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-01/27/content_4105810.htm
http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2006-01/27/content_4108749.htm
http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2006-01/27/content_4107272.htm
http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2006-01/27/content_4108976.htm
http://news.xinhuanet.com/tai_gang_ao/2006-01/28/content_4112158.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-01/28/content_4111179.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-01/28/content_4111190.htm
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-01/28/content_4111764.htm
http://news.xinhuanet.com/overseas/2006-01/29/content_4114916.htm
http://news.xinhuanet.com/overseas/2006-01/30/content_4119255.htm
……と、わずか4日間、しかも「新華網」限定でもこれだけあります。胡錦涛の権力基盤が磐石でないときに、江沢民、江沢民の文字が全国ニュースに躍る。政情安定の観点からいえば好ましいものとは考えにくいです。
『人民日報』は社説まで掲げていますよ。これは上述の記事とは毛色が多少異なり、一応「江八点」を踏み台に「胡四点」を持ち上げる内容です。
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-01/29/content_4116000.htm
「『江八点』発表11周年に際してこれを振り返り、『胡四点』をより真剣に学び貫徹しよう」
という一節があります。でも今後「『胡四点』を学ぼう」運動でも始まるのでなければ、これは単なる修辞にすぎないかと思います。
――――
今回のキャンペーンといえるほど派手な「江八点」発表11周年記念活動について、
「台湾問題に関する主導権争いが実際に存在するのか、それとも『江八点』をダシにした政争なのかはまだ見極めがつきません」
と前回書きました。実際にはその両方の要素があるのだろうと思いますが、私自身は後者、すなわち「『江八点』をダシにした政争」がメインではないかと思うようになってきています。
江沢民自身は第一線から引退していますし、引退しても院政を敷けるような甲斐性はありません。旧正月前にはすでに李鵬や万里、喬石、李瑞環そして朱鎔基同様の「老同志」扱いで現執行部の要人たちの慰問を受けた、とされています(さすがに「老同志」の中では序列1位ですけど)。
http://news.xinhuanet.com/politics/2006-01/27/content_4108567.htm
要するに江沢民自身が巻き返してどうこうする(例えば第一線に復帰する)、ということはないでしょうが、江沢民の名前を掲げることで、具体的にいえば今回は「江八点」を大いに持ち上げて奉祝することで、胡錦涛派に対する異義申し立て&示威活動を行った政治勢力がいる、ということではないでしょうか。その実力が半端でないことは、新華社や『人民日報』まで使った「攻勢」を展開した、ということで明らかです。
一応記念活動を実施したと「新華網」が報じた地区を挙げてみますと、台湾関連部門が集中している北京市をはじめ、上海市、天津市、広東省、江蘇省、山東省……となっています。沿海地区に偏っているのと同時に、肝心の福建省の名前がないのが興味深いところです。
――――
それはともかく。改めて強調しておきますが、この「胡四点」vs「江八点」などは事態を攻城戦に例えれば外堀にすぎません。じゃあ『中国青年報』の週末版付録で先日取り潰された「氷点」が本丸なのかといえば、それも違います。
ちょっと先走ったことを某巨大掲示板の某スレで書いたのですが、「氷点」廃刊は胡錦涛が押し切られて、トカゲの尻尾切りとして余儀なく潰すしかなかった、という一面と同時に、胡錦涛自身が「けしからん」として、自らの意思で潰した一面があると思います。
その事態において、「氷点」は見せしめにすぎず、実際に狙われたのは『中国青年報』そのものだと思うのですが。……まあそれは次回以降の話題とします。胡錦涛政権発足後(2004年9月以降)の政争めいた動きは当ブログが常に取り上げてきたところですが、今回はちょっと事情が込み入っているので、ひとつひとつトーチカを潰しつつ、本丸へと匍匐前進していくしかありません。
何やら新しい動きも出てきていますので、これから春にかけて中国上層部では主導権争いが激化しそうな雰囲気です。それが暗闘になるか表沙汰になるか。……これは、中共政権の痛点であり続ける台湾問題が俎上に乗せられる事態になるかどうかです。前にもちょっとふれましたが、外交部はすでに陥落している気配が濃厚です。もっとも今回「江八点」を掲げた政治勢力と外交部を掌握した向きは顔ぶれが異なるように思いますけど。
――――
余談ですが、王毅・駐日大使が日本に戻ってきましたね。旧正月を過ごしてから来日すればいいのに、わざわざ旧正月前なんて……というのは結構単純な理由によるものかも知れません。
昨年の「大年初一」(旧暦の元日)に日本政府は尖閣諸島の灯台国有化を発表しました。中共政権側にしてみれば1年で最もおめでたい日に奇襲攻撃を受けたようなものでしたね。今年も何か仕掛けてくるかも知れないぞ、ということで、一応旧正月に駐日大使を東京に貼り付かせて万一に備えたのではないでしょうか。
例えば「李登輝氏来日正式決定」が発表されてもおかしくないタイミングでした。そこで抗議させたり講演や記者会見で反発を示すならやっぱり公使より大使。ただ王毅は、
「トラブルメーカー(李登輝氏)が戦争メーカーになる」
といった、死に損ないの団塊どもが好みそうな脱力系コメント(オヤジギャグ?)が持ち味ですから、前回同様、余り役に立ちそうにはありませんけど。まあ格式の点で、大使不在よりはマシなのでしょう。
肝心の城攻めが進んでいないようですが、そこはそれ、旧正月明けのリハビリということで御勘弁下さい。
――――
【お願い】中国在住の方にお願いです。「楽しい中国ニュース」をはじめ「seesaa.net」のブログが閲覧できないとの御報告を「上海在住」さんや「dongze」さんから頂いておりますが、現在もその状態が続いているのでしょうか?とすれば、「goo」以外で現在閲覧可能のブログサービスにはどういったものがあるでしょうか?「hatena」あたりにミラーサイトを設置しようかと考えているのですが、御助言頂ければ幸いです。
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