台湾の選挙が気になって仕方がありません。とはいえ今のところ材料もないし、中共も大人しくしているようなので、いつもと変わらぬチナヲチと相成ります。
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家人の入院等により10日ばかりweb上の記事漁りが滞っていた訳ですが、実は復活して早々に妙な記事を見つけました。『人民日報』(2004/12/08)に出た署名論評です。
●強力なネット世論の創造を――ネット上には政治があり、闘争がある
http://www.people.com.cn/GB/shizheng/1026/3039882.html
『人民日報』の署名論評と聞くと私はつい姿勢を正してしまうのですが(笑)、この文章もタイトルからしてビリビリ来るものがあり、さすがに格の違いを感じさせます。銅鑼が鳴っています。
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さて、のっけから「ネット世論」が出てきましたが、これは反日信者(糞青)等によるそれではなく、「創造」という言葉が示すように、「新しいネット世論」をゼロから形成しようというものです。これが今回の主題ではないので簡単に言ってしまうと、紙媒体が当局の管制下にあるが如く、政府のお気に召す「世論」がネットという新しい媒体を掌握し占領しなければならない、ということです。そのために政治活動を展開し、闘争を展開しなければならない、と(※1)。
この論評、ネット規制の強化をプンプン匂わせた内容ながら、観測筋の間では実はそれに名を借りた権力闘争ではないか、との見方も出ています。とにかく様々な角度から読む必要がありそうな文章ですが、年末進行の真只中にいる私にはそんな余裕などありゃしません。てな訳で、とりあえず今回の前座を務めてもらった次第。
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で、今回の標題の件。たぶん上の論評が暗示する中央の方針とは全く無関係だと思いますが、最近あるPCネットゲームが、実に「いかにも」な理由で発禁になりました。
このゲーム、『足球経理2005』(英語名は『Football Manager2005』)という名前で、私などはつい『サカつく』(※2)を連想してしまいますが、実際ヨーロッパに開発チームがいて、セガの現地法人がそれを発行する形になっているようです。
某巨大掲示板に出ていたリンク(オフィシャルサイト?)に飛んでみると、『サカつく』がJリーグを舞台としているのに対して、こちらは全世界をフィールドにした壮大なオンラインゲームのようです(説明文をロクに読んでいないので多分かなり誤りがあると思います)。スクリーンショットを見ると、『サカつく』をかなりショボくした感じのゲーム画面です。
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が、この『足球経理2005』、際立たないビジュアルとは裏腹に、香港やマカオ、台湾はもちろん、チベットまでもが独立した存在として扱われているという実に素敵なゲームなんです(笑)。裏技を使うとそうなるというのではなく、それが仕様なんです(裏技だったらもっと問題になったかも)。
思えばアジアカップの際、プレス向け小冊子の地図で「台湾と中国の色が違う!」と大騒ぎした国ですから、こんなゲームが無事で済む筈はありません。
英語版、中国語版の2本立てで発売されることになっていたのですが、マクドナルドのサイトがどうのとか、ラーメン屋の壁に貼ってある店鋪一覧がどうのと難癖をつけてくる中国型「プロ市民」が、かようなゲームを見逃す筈はないのです。
果たせるかな、中国での販売代理店である上海の育碧軟件(UBISOFT)が、12月1日に早くも声明を出しています。
http://news.xinhuanet.com/game/2004-12/01/content_2280286.htm
当社は中国で過去8年に約150本のゲームを発売している、どの作品も中国政府の審査を経ている、『足球経理2005』も同じように審査をパスしている、問題の部分は開発サイドに修正の指示を出した、それにこのシリーズは世界的にも有名で健全なスポーツマンシップの育成向上に大いに利する……などなど、何とか切り抜けようと必死の弁明でしたが、もちろんそれが通じるような甘い国ではありません。
だいたい8年も中国で商売しているなら荒唐無稽なる国情も理解しているでしょうから、β版あたりでUBISOFTがその種のチェックを行って当然だと思うのですが……。
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結局、12月7日に文化部が発禁の通達を出しました。一発レッドです。
http://news.xinhuanet.com/it/2004-12/07/content_2305433.htm
かいつまんで訳しますと、
「このゲームは中国の主権と領土保全に危害を及ぼす内容を含んでおり」「わが国の法規に著しく違反している」「国内のユーザーからも強い抗議が相次いでいる」とのこと。
ただし、「このゲームはまだ国内では正式に発売されておらず、中文版も出ていない」。じゃあどうして遊んだ奴が沢山いるのかといえば、
「主にネット上でのコピーやダウンロード販売(訳者註:もちろん非公式ルート)の形で国内に出回っているのが実情だ」って、やっぱり海賊版かい。
もちろん御禁制の品となった訳ですから売るのも買うのも法に触れます。
こんな通達が全国紙・地方紙をはじめ、ニュースサイトはおろか下記のようなゲーム情報サイトにも尽く掲載されることには物悲しさを覚えます。
http://www.people.com.cn/GB/it/1071/3039902.html
http://game.xaonline.com/ShowBody.asp?SubID=XWDT&MsgID=3414
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とはいえ、政治運動はお手のものですから、党中央の腰が定まると後は悪玉摘発に全力投球です。屑鉄作ったり雀の根絶に狂奔した伝統はいまなお健在というところでしょうか。
●福州市では一部の大学の脇でまだ売られている(海峡都市報)
http://www.hxdsb.com/news/allnews/2004/12/09/n20041209100019.asp
●PCショップの集まる一角では至る所に『足球経理2005』が(重慶晨報)
http://www.cqcb.com/gb/map/2004-12/09/content_423825.htm
上記2件は記者が張り切って潜入ルポなどをやっています。
●『足球経理2005』摘発に全力 違法ダウンロードは最高15000元の罰金刑(貴州都市報)
http://www.gog.com.cn/gzrb/g0405/ca730108.htm
この記事には密告電話まで登場して市民に摘発を呼びかけています。「0851-5572891」だそうです。イタ電しちゃダメですよ。
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ところでこの事件は中国のゲーマーを随分騒がせたようで、新華網の発展論壇がこの問題についての意見を募り、網民(ネットユーザー)から様々な声が寄せられました。
http://news.xinhuanet.com/forum/2004-12/09/content_2308738.htm
最後にいくつか紹介しておきますと、
●これは中国の主権に対し公然と挑発するものだ!こういうゲームは根絶して国内に入らないようにしないと。違法コピーの罰則を強化すべきでは?
●しっかりと目を見開いて、警戒を強めるべきだ!
●中国は強大でなければならない。強大な国力でこの中華人民共和国を支える、それが僕ら中国人ひとりひとりの使命だ。
この3人は普段ゲームをしないか、単純な基地外(江沢民チルドレン)かのどちらかでしょう。
一方で、冷静な見方をする人もいます。
●サッカーの世界での地区割りは、政治的な地区割り(国家)の概念とは別物でしょ。サッカーの場合は(国境ではなく)サッカー協会ごとに線引きされるのが普通。例えば英国なら、毎回試合に出てくる代表チームはイングランドとスコットランド、と2つある。(中略)台湾は実際に自分のサッカー協会があるから、ゲーム上に「中国台湾」が出てくるのはしごく当たり前。あと「中国香港」とか「中国マカオ」も存在して当然。でもチベットは自分のサッカー協会がないんだから、明らかに意図的なものだよね。こういう汚ないやり方はすごく嫌だな。
最後にゲーマーとおぼしき網民が一言。
●悲しい。いちばん好きなゲームがあれだったのに!
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台湾・香港・マカオはともかく、チベットの件は確かに意図的ですよね(笑)。64年目まで遊ぶと特別なイベントがあったりして。あと89年目とか。
まあ中国国内で発禁になった以上、余計な手間になる修正措置もキャンセルされるかと思います。このオンラインゲームが世界中に出回るというのは、中共にしてみたら実に嫌なことでしょうねえ。
ネット上の闘争、早くも押され気味じゃないですか。
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【※1】たぶん私も闘争の対象ということになるのでしょう(笑)。アマチュアだから便衣兵てなところですか。……ハッ、てことは捕虜扱いされずに殺されても文句が言えない!?
【※2】正式名は『J League プロサッカークラブをつくろう!』。当ブログの前口上でも書いたように、チナヲチに足を踏み入れなければ多分私はいまもこのゲームで遊んでいるでしょう。私はテレビゲームに関してはライトユーザーですが、台湾の友人の中にゲーオタがいまして、しつこく薦めるので遊んでみたら面白いのなんの。関係ありませんが今日の選挙、彼は緑陣営(独立志向派)に一票を投じるそうです。
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