ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

日本人は障害者に慣れていない『パーフェクトワールド』

2016年03月13日 03時16分38秒 | 障害者の自立


視線は注がれる

――今年の4月から「障害者差別解消法」が施行され、障害を持つ人への差別的行為をした会社や店舗が行政から注意を受けたり改善報告の義務が発生するようになります。阿部さんはどのような時に差別を感じますか?
阿部一雄(以下阿部) 小規模の飲食店に行くと、今でも「車椅子お断り」とハッキリ言う店主さんはまだまだいます。店が狭いからとか、他のお客さんに迷惑がかかると言うことですね。舌打ちする人もたまにいます。日本は大きいお店やホテルはバリアフリーが進んでいるけれど、小さな店は予算やビルの設備の問題で出来ないところがほとんどです。
有賀リエ(以下有賀) 私はこの漫画で樹(いつき)という子を描くようになってから、街の段差にすごく敏感になりました。テレビを見て良いなというお店があっても、段差があると行けないなって。家族に車椅子の人がいる感覚です。
阿部 僕も段差はすごく気になります。たった一段あるだけで上がれないので、事前に調べてなるべく段差のないところを探します。この前、夜遅くに池袋駅に行ったらエレベーターが見つからなくてとても困りました。有賀さんは池袋駅のエレベーターの場所ってわかりますか?
有賀 いえ、わからないですね…。
阿部 実は夜使えるものは1つだけで、それ以外はデパートにつながっていて、お店が閉まってしまうと使えない。しかも場所がとってもわかりにくいところにあって、駅員さんに聞いたりして40分さ迷いました。
有賀 駅員さんは持ち場を離れられないですもんね。
阿部 人に声をかけて上げてもらうという方法もあるにはあるんです。でも大きな荷物を膝に載せていたりするとやっぱり頼みにくいですよね。
有賀 そういう気持ちはいつまでも変わらないですか?
阿部 全然変わりません。人の視線も気になりますしね。1巻で樹がつぐみとデートした時、つぐみが周囲の人から向けられる視線に戸惑っていましたよね。すごくリアルだと思いました。車椅子になってはじめて外出した時、電車を降りた瞬間に皆が僕と奥さんを見たんです。ジロジロ見る差別的な目とか興味本位の目じゃなく、スッと視線がいくという感じなのですが、「なんで皆見るのだろう。私たちは何かおかしいのか」って奥さんが怒り出しちゃってね。視線というのはすごいですよ。車椅子で池袋や東京駅を走ってみるとわかります。

日本人は障害者に慣れていない

有賀 海外はどうでしょう?
阿部 アメリカやヨーロッパでそういう視線を感じたことはないですね。スペインは車椅子の人が街中に全然いません。海外は補助金とか優遇制度がないので自立して生活しなくてはならないんです。家でできる仕事をして生活していると聞きました。
有賀 それだと逆に車椅子の人がいると見そうですけど、そうではないんですか?
阿部 そこは昔から日常の中にとけこんでいるので全然気にしないし、特別扱いしません.
 
特にヨーロッパはそうですね。障害者のためにドアを開けるということもありません。全然手を貸さないかわりに、街中全部バリアフリーです。アメリカなんかは扉の前で待っていたりして、過剰なくらい手伝ってくれるんですけどね。
有賀 そうなのですか! でも、補償があるけどバリアフリーが行き届かないのと、補償はないけれど徹底されているの、どちらがいいのでしょうね?
阿部 難しい問題ですね。ちなみに東京は日本の中ではすごく特殊なところで、止まっていると見知らぬ人がパパッと2〜3人集まってきて助けてくれます。東京以外の都市だと手を上げないと助けてもらえないんですよ。
有賀 日本人は慣れていないんでしょうね。
阿部 そう、まさに慣れていない。
有賀 車椅子で生活されている女性のブログに、海外ドラマを見ていると車椅子の人がキャストとして自然に出てきていいなと書いてあって、本当にそうだなと思いました。たとえば私が、健常者が主人公の漫画を描いたとして脇役に車椅子の人を出したら「なんでこの人を車椅子キャラにしたの」ってなっちゃう。背が高かったり太っていたり痩せていたり眼鏡のキャラがいたりするのと同じように車椅子のキャラがいてもおかしくないですよね。漫画だけでなく、色んな作品にもっと自然にさらっと出るような世の中だといいなと思うんです。
阿部 特別扱いされていると感じますよね。僕ね、樹が上目遣いで人と話しているのが良いな〜って思ったんです。
健常者の人が見るともしかしたら違和感があるかもしれないけれど、僕から見るとまったくない。よく大人が車椅子の目線に合わせてかがんだり膝立ちしてくれたりしますが、僕はそれがすごく嫌。わざわざそこまでしなくても別にふつうに話せばいいことだと思う。そういうのも受け取り方によっては差別になりますよね。むこうは良かれと思ってやったことも、反対に差別に感じちゃうこともある。
有賀 やっぱりちょっと区切られている部分があるというか。
阿部 日常の中に落ちていないですよね。僕や樹は歩けないだけで健常の人とほとんどかわらない。腫れ物のように扱わなくっていいんです。

障害を日常に落とし込む

有賀 阿部さんが設計するバリアフリー住宅は、他の人のものとどういうところが違うのですか?
阿部 手すりがついていたりバリアがなくなっていたりとか、ハードの面は同じです。違うのは僕は依頼者の生活にまつわる問題を整備して片づけてから工事をするということです。障害レベルだけでなく、本人やその家族の心にどんなわだかまりがあるかをしっかり聞くようにしているんです。特にご家族は障害を負った人間をサポートしたいという気持ちが強いので自分が我慢すれば良いと思ってしまう。でも家は毎日暮らす場所だから小さなストレスは取り払わないといけない。もしそれを無視して工事をすると、自分の生活が家族の犠牲の上に成り立っていたのだと障害者は後になって気づく。樹が車椅子になった高校生の男の子の家に行った時、本人だけでなく家族と話しているのが描かれていてうれしかったです。
有賀 脊損の人は体温調節が難しいから床暖房を入れるけれど、構造の問題で一部段差ができてしまうそうですね。よくわかっていない人はその段差をなくそうとするけど、阿部さんは障害レベルを見て段差をそのままにすることがあるというお話がすごく印象的だったんです。バリアフリーはちょっとの段差も許されないのではないんだって。
阿部 最初は上がれなくても、練習したら上がれるようになりましたって人はたくさんいます。あともう一つの理由があって、段差をとる工事をしないと費用を抑えられる。
有賀 なるほど。ご家族の負担が減りますね。
阿部 僕ね、実は最近バリアフリーコーディネーターと名乗っているんです。障害者が住宅を改造する時、行政、医師、看護師、作業療法士、理学療法士、医療ソーシャルワーカーなどたくさんの人から意見を聞いて設計に反映させます。でもそういった人たちが言うことは、障害者ひとりひとりの生活に則していないことがあるんです。たとえば、一軒家の2階に自室があるのでエレベーターをつける計画を僕が病院に提出したら、1階の和室に部屋を作れと怒られた。でもその和室はクライアントのお母様がカルチャー教室を開いている場所なんです。
有賀 ご家族を犠牲にしてしまいますね。
阿部 病院は社会復帰出来るようにリハビリをさせますが、病院から出た後のことは考えていない。追跡調査をするわけではないですからね。自分や家族の生活や将来を考えつつ、病院や行政から言われることのとりまとめを今障害者自身がすべて行わなければならない。
これはとても大変なことです。僕がその間を取り持つことで、彼らの日常が楽になればいいなと思うんです。

有賀リエ(あるが・りえ)長野県出身。『天体観測』で「Kissゴールド賞」受賞し、デビュー。代表作に大学天文部を描いた『オールトの雲から』がある。本作が初連載作。

阿部一雄(あべ・かずお)愛知県出身。阿部建設株式会社代表取締役。一級建築士。オートバイのレース中に転倒し脊髄を損傷、車椅子となる。車椅子でのマラソンや富士登山などアクティブな活動で知られる。


(左)有賀リエさん(右)阿部一雄さん

『パーフェクトワールド』は「Kiss」で連載中。
『パーフェクトワールド』(コミックスKindle(プチキス)

2016年3月12日 

まもなく施行、障害者差別解消法

2016年03月13日 03時02分14秒 | 障害者の自立

はじめに

 平成25年に成立した障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が今年4月から施行されます。障害者差別解消法の概要を見ていきたいと思います。

障害者差別解消法とは

 この法律は2006年国連総会本会議で採択された「障害者の権利に関する条約」を2007年に日本が批准したことを受け、障害者基本法の理念を具体化する形で制定されました。全ての障害者が健常者と等しく人権を共有し個人として尊重される社会を実現することを目的としています。その内容は大きく、差別解消のための基本指針の策定を政府に義務付けること、行政機関と事業者がなすべき差別解消措置、そのための支援措置、に分けられます。また実効性確保のため一定の罰則も設けられております。

差別解消措置

 障害者差別解消法では行政機関と事業者に障害を理由とする差別を解消するための一定の措置を義務付けています。
(1)差別的取り扱いの禁止
 まず行政機関と事業者は障害を理由として障害の無い者と不当な差別的取り扱いをすることにより権利利益を侵害してはならない旨規定しています(7条1項、8条1項)。これは行政機関のみならず事業者にも法的義務として課されています。不当な差別的取り扱いとは「正当な理由」なく、サービスや各種機会の提供を拒否したり、特別な条件を付けたりすることを言います。そして「正当な理由」が認められるためには、障害者、事業者、第三者等の権利利益を客観的に判断し、真にやむを得ないと言える場合でなくてはなりません。

(2)合理的配慮義務
 障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、つまり何らかの措置を必要としている旨の意思の表明があった場合には、加重な負担とならない限り、必要かつ合理的な配慮をすべきことが規定されています(7条2項、8条2項)。これは行政機関については法的義務を課していますが、事業者には努力義務となっております。どのような配慮を必要とするかは、障害者の障害の内容、具体的な場面や状況等によって様々ですので、個別的に柔軟な判断を必要とするでしょう。具体的には車椅子用のスロープを設置する、筆談や読み上げ、手話や点字による表示等が該当することになるでしょう。また「加重な負担」であるかについては、やはり個別具体的に、事業への影響の程度、費用等負担の程度、実現可能性等を総合的客観的に判断することになります。

(3)対応要領・ガイドラインの策定
 各事業分野を管轄する主務大臣は、事業者に対し、差別解消のために適切に対応するためのガイドラインを策定することが義務付けられています(11条)。また各事業者に対し、ガイドラインに定める事項について報告を求め、助言指導、勧告をすることができます(12条)。それに従わない場合には20万円以下の過料の罰則も定められております(26条)。

コメント

 以上のように、障害者差別解消法は事業者に対しては不当な差別取り扱いを禁止しているのみで、合理的配慮義務に関しては現段階では努力義務となっております。しかし附則の7条では検討規定が置かれ、施工後3年経過時に合理的配慮義務については検討を加えた上で必要があると認めるときは見直しを行うとしています。つまり現段階では事業者に法的義務は無くとも、将来は法的義務化または配慮内容の変化が生じることも十分に考えられます。行政、民間に限らず障害者に対する意識や認識がいまだ不十分であるのが現状です。一般的には盲導犬は知られていても、ペットにしか見えない聴導犬はほとんどの人が知らず、聴覚障害者が店舗等でトラブルにあっているのも事実です。そのような場合には民事上の紛争にも発展しかねないと言えるでしょう。各事業者は障害者のためにどのような配慮が可能であるか、今のうちに検討しておくことも無駄ではないと思います。

2016/03/11     企業法務ナビ


新見で19日に障害者フォーラム 13日まで手芸品や書の展示も

2016年03月13日 02時56分29秒 | 障害者の自立
 障害がある人への理解を深めてもらおうと、新見市障害者自立支援協議会は19日午前11時~午後4時、新見のまなび広場にいみで「新見福祉フォーラム」を開く。

 くらしき作陽大(倉敷市)の出身者らでつくる音楽ユニット「あちゃらけ」が、市内の福祉事業所の利用者とコーラスを披露する。

 昨年11月、倉敷市などが高梁川流域の事業所を対象に開催した食品コンテストで優勝した同協議会の「具だくさんけんちん雑煮」を1杯300円で販売。バルーンアーティストの野村昌子さん=真庭市=によるステージショーなどもある。

 フォーラムに先駆け、まなび広場では13日まで、市内の障害者支援施設の利用者が手掛けた手芸品や書、地元のまち並みを備前焼で再現したジオラマなどが展示されている。

 いずれも入場無料。問い合わせは、事務局の市障害者地域活動支援センター・ほほえみ広場にいみ(0867―71―2166)
 
新見市内の障害者支援施設の利用者が手掛けた作品が並ぶ展示会

被災地の障害者支援へ 神戸で食品など販売

2016年03月13日 02時49分44秒 | 障害者の自立

 東日本大震災から5年となった11日、被災地の障害者を支援しようと、「拡大版いちいちバザールwith南京町」が、神戸市中央区の南京町広場に設けられた。岩手、宮城、福島県の障害者事業所から製品を取り寄せ、販売。郷土色豊かな食品などが並び、買い求める人たちでにぎわった。

 中央区社会福祉協議会が主催。仙台名物・牛タンのカレーや宮城の郷土食材のあぶらふ、マカロニのポン菓子、サケの皮で作ったしおりなどが並んだ。お菓子の詰め合わせを買った和歌山県の男性(67)は「大きなことはできないが、少しでも支援につながれば」と被災地に思いを寄せた。

東北の障害者事業所の製品が並んだ会場

時計2016/3/11     神戸新聞NEXT


障害児の生活スキル向上へ12日に説明会 瀬戸の「ジョブ・ルーツ」

2016年03月13日 02時43分28秒 | 障害者の自立

 知的障害や、発達障害がある子どもたちの生活スキル向上を支援する放課後等デイサービス「ジョブ・ルーツ」が、瀬戸市效範(こうはん)町にオープンする。十二日午前十時から、同じビルにある放課後等デイサービス「ジョブ・スクール」で説明会を開く。

 瀬戸市と尾張旭市で障害者の就労移行支援事業所を運営している会社「ジョブウェル」が立ち上げる。

 二〇一四年に開設した「ジョブ・スクール」では、実際の仕事内容と似た作業をし、ビジネスマナーを教えて中学・高校生の就労準備を支援してきた。

 しかし就職先の企業から、勤務記録を付けるためのパソコン操作ができなかったり、作業用エプロンのひもが結べなかったりと、作業以外の技術が習得できていないという相談が寄せられていた。

 さらに、これまで対象外だった小学生の子どもを持つ親からも、「小学生だがスクールに通わせたい」という要望が多かった。

 そこでジョブ・ルーツでは、対象学年を小学四年生から高校生までに拡大。リボンの結び方やパソコン操作、服のたたみ方など、日常生活に必要な技術を養うカリキュラムを取り入れる。スポーツの時間も設け、集団行動を学んでもらう。

 ジョブ・ルーツの大沢のぶ子所長(42)は「業務内容以外のことでつまずいてストレスがたまったり、仕事を辞めたりしてしまう人もいる。生活スキルを幼いうちから習得して、生き抜く力を養いたい」と話した。

 活動日は月曜から土曜。一日あたりの定員は十人までとする。利用料金は所得に応じた負担となる。瀬戸市と尾張旭市在住者と、長久手市の中学生は車の送迎もある。四月二日には内覧会も開く。(問)ジョブ・ルーツ=0561(56)1414

「ジョブ・スクール」で職員(右)の指導を受け値札の仕分けの練習をする子どもたち

2016年3月12日    中日新聞