室蓬館、具材に高評価
11月28日に横浜市で開かれた第7回「チャレンジド カップ」パン部門で、一関市大東町大原の障がい者福祉サービス事業所室蓬館の利用者、職員による室蓬館ベーカリーチームが最高賞の大賞に輝いた。カボチャ「南部一郎」、やまと豚など地場産品を使った「しあわせ包子(パオジ)」は高く評価され、同部門3度目の挑戦で初の頂点をつかんだ。
障害のある人たちのパン、菓子作りの全国大会でNPO法人NGBCと実行委員会が主催し、隔年で開催。パン、焼き菓子の2部門で行われ、パン部門には予選通過の9チームと特別参加の中国・上海チームが出場し、実行委の成田真由美委員長(パラリンピック競泳金メダリスト)やシェフらが審査に当たった。
同館からは食品科の鈴木義則さん(51)、金徳子さん(32)、及川一輝さん(18)の利用者3人と職業指導員の千田京子さん(51)が出場。中華まんからヒントを得たパン「しあわせ包子」は南部一郎のペーストを生地に練り込み、中の具材はやまと豚、シイタケなどにラード、黒糖、クルミ、練乳を加えて味わいに工夫を凝らした。
規定時間の中で生地作りや材料の調理から、器具の洗浄、掃除まで全ての工程を利用者で実施。メンバーの中で2度の出場経験を持つ鈴木さんがリーダー役として全体の状況把握と具材の切り分けなどを行い、金さんが生地を、及川さんは計量を主に担当。千田さんは作業確認や審査員の質問対応に当たった。
生地発酵の際に温度が低過ぎる想定外の事態もあったが、審査員からの助言を受け発酵器で温度を上げて乗り切り、予定の22個は無事完成。具材の工夫などが高評価を受けて大賞が決まると、全員で喜びをかみしめた。
過去2回出場した同部門では第6回での銅賞が最高成績。1度出場した焼き菓子部門を含めても第4回の銀賞と最高賞にあと一歩届かなかった。鈴木さんは「初出場だった一輝君も喜んでいたし、(自分は)三度目の正直で念願がかなってすごくうれしい」と笑顔。「今回の賞は今後の活動にも役立つと思う。もう一度本大会に出られるなら連覇を目指したい」と意欲を新たにしていた。
大会に同行した同館の金野育朗施設長は「堂々と礼儀正しく最後までできていたし、チームワークも良かった」とたたえる。しあわせ包子は今後商品化し、同館店舗などで販売を予定している。
パン部門大賞に輝いた室蓬館ベーカリーチーム(2列目左から職業指導員の千田さん、利用者の及川さん、鈴木さん、金さん。左手前は成田委員長。室蓬館提供)
(12/1) 岩手日日新聞