東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)と日本マイクロソフトは2012年2月9日、筆記に障害のある児童・生徒がパソコン入力により適正に受験できるよう支援するソフトウエア「Lime(ライム)」を共同で開発、無償公開したと発表した。
Limeがインストールされたパソコン上でWordやメモ帳を使い文字入力した場合、日本語変換候補として現れた漢字を全てテキストデータとして保存する。さらに今後、任意の漢字を変換候補として表示しない機能の追加などを検討していく。
パソコンによる記述の場合、日本語変換機能を使えば、漢字の書き取り問題で容易に正解が出せるといった課題がある。変換過程を記録したり、特定の文字の変換ができないようにすることで、適正な受験を可能にする。
開発背景には、肢体不自由や学習障害などを持つ児童・生徒が、パソコンを使って受験する措置を受けられないという事情がある。紙や鉛筆の代わりに、日常の学習にはパソコンを使うこのような生徒が、入試にパソコンを使った入力方法を望んでも、ほかの受験生との公平性が担保されないとして受験がかなわないケースが多い。例えば、筋ジストロフィを持つある生徒は、パソコンのワープロソフトを使って日常的に勉強していたが、入試では利用を認められなかったため、画像編集ソフト「ペイント」にマウスで文字を書く練習をして受験に臨まざるをえなかったという。
同ソフトの開発に携わった東大先端研教授の中邑賢龍氏によると、パソコンを使って文字入力する際、漢字変換候補が表示されることで、漢字書き取りが出題にあるときに不公平だというのが大学側の見解という。であれば「ワープロ機能を使っても不正がないと大学が分かればいいのでは、と思ったことがLimeの原点」(中邑教授)と説明する。保存されたデータを大学側が見ることで、パソコンが適正に利用されていたか判断できる。
東大先端研と日本マイクロソフトは従来より、障害や病気による困難を持つ児童・生徒にパソコンなどIT機器やソフトを提供し大学進学を支援する「DO-IT Japan」プログラムに取り組んできた。その一環として今回新たに「学習における合理的配慮研究アライアンス(Research Alliance for Reasonable Accommodation、略称RaRa)」を立ち上げ、Limeの利用促進や入試における障害への配慮について情報発信をする。
今後、東大先端研と日本マイクロソフトは、DO-ITの活動を中心にLimeの認知を広めていく方針。具体的には、同プログラムに参加する学生が受験準備として志望大学に配慮の申請をする際に、Limeの存在をアピールしていく。
Limeの動作環境は以下の通り。OSはWindows 7(32ビット版/64ビット版)/Vista(32ビット版/64ビット版)/XP(32ビット版)。日本語変換ソフト(IME)はMicrosoft IME/Microsoft Office IME 2010。
窓の杜 -
2012年2月9日
Limeがインストールされたパソコン上でWordやメモ帳を使い文字入力した場合、日本語変換候補として現れた漢字を全てテキストデータとして保存する。さらに今後、任意の漢字を変換候補として表示しない機能の追加などを検討していく。
パソコンによる記述の場合、日本語変換機能を使えば、漢字の書き取り問題で容易に正解が出せるといった課題がある。変換過程を記録したり、特定の文字の変換ができないようにすることで、適正な受験を可能にする。
開発背景には、肢体不自由や学習障害などを持つ児童・生徒が、パソコンを使って受験する措置を受けられないという事情がある。紙や鉛筆の代わりに、日常の学習にはパソコンを使うこのような生徒が、入試にパソコンを使った入力方法を望んでも、ほかの受験生との公平性が担保されないとして受験がかなわないケースが多い。例えば、筋ジストロフィを持つある生徒は、パソコンのワープロソフトを使って日常的に勉強していたが、入試では利用を認められなかったため、画像編集ソフト「ペイント」にマウスで文字を書く練習をして受験に臨まざるをえなかったという。
同ソフトの開発に携わった東大先端研教授の中邑賢龍氏によると、パソコンを使って文字入力する際、漢字変換候補が表示されることで、漢字書き取りが出題にあるときに不公平だというのが大学側の見解という。であれば「ワープロ機能を使っても不正がないと大学が分かればいいのでは、と思ったことがLimeの原点」(中邑教授)と説明する。保存されたデータを大学側が見ることで、パソコンが適正に利用されていたか判断できる。
東大先端研と日本マイクロソフトは従来より、障害や病気による困難を持つ児童・生徒にパソコンなどIT機器やソフトを提供し大学進学を支援する「DO-IT Japan」プログラムに取り組んできた。その一環として今回新たに「学習における合理的配慮研究アライアンス(Research Alliance for Reasonable Accommodation、略称RaRa)」を立ち上げ、Limeの利用促進や入試における障害への配慮について情報発信をする。
今後、東大先端研と日本マイクロソフトは、DO-ITの活動を中心にLimeの認知を広めていく方針。具体的には、同プログラムに参加する学生が受験準備として志望大学に配慮の申請をする際に、Limeの存在をアピールしていく。
Limeの動作環境は以下の通り。OSはWindows 7(32ビット版/64ビット版)/Vista(32ビット版/64ビット版)/XP(32ビット版)。日本語変換ソフト(IME)はMicrosoft IME/Microsoft Office IME 2010。
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2012年2月9日