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ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

自立の現場 揺れる障害者福祉<3>共同生活支援 熱意と努力に頼るのか

2008年12月02日 01時24分57秒 | 障害者の自立
午後6時。夕食はいつものように静かに始まった。世話人が作ってくれたおかずは野菜と豚肉のいため物に、ポテトとサンマの卵とじ。「結構、ボリュームあるね」。食卓を囲む4人はぽつりぽつりと言葉を交わしていたが、やがて2人が少し議論になった。



 「僕の人生は遠回りばかりですよ。近道が全然見つからない」「人生、無駄なことはないって。遠回りと思ってもそれが近道かもしれない」「よく分からない。もういいや、その話は」



 福岡市中央区のグループホーム「あおぞら」は2006年春に開所した。古びた2階建て民家と近くのアパートに計6室があり、精神障害のある5人が共同生活を送る。



 「人生遠回りばかり」と言い「もういいや」と議論を切り上げた宮下慎吾(34)=仮名=は開所時から入所している。「他の入所者とはあまり話さないようにしている。トラブルになりそうで」



 20歳で統合失調症を発症。7カ月の入院と7年間の引きこもりを経て、6年前からあおぞらを運営する社会福祉法人の作業所に通っている。



 「1人である程度対処できるようになりたいと思ってここに入ったんですが…」。薬のせいか、いつも昼前まで起きられず、調子が悪い日はそのまま部屋にこもる。金銭管理も苦手で、通帳は世話人に預けている。



 それでも、施設の食事のない週末にはチャーハンやフレンチトーストを自分で作れるようになった。「いつか仕事をして自分で暮らせるようになりたい。今はその練習だと思っています」



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 あおぞら世話人の三宅良幸(42)は開所以来、施設の居間に毎晩寝泊まりしている。世話人の勤務は本来、平日午後1-5時と、入所者の相談に応じる午後7-10時の見守りの時間帯。「宿直」は事実上のボランティアだ。



 「軌道に乗るまで」のつもりだったが、相次ぐ“事件”に続けざるを得なくなった。



 ある日、入所者が不意に姿を消し、3日間帰ってこなかった。障害基礎年金や両親からの仕送り全額を衝動的に通帳で引き出し、関西に出掛けたのだ。放浪はその後も何度か起きた。夕食まで元気だった者が自室に戻り、しばらくして症状が激しくなり、そのまま入院したこともある。



 「ふとしたことで状態が一変する方も多い。目が離せないんです」。三宅が自宅に帰るのは月2回ほどだ。



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 「ここで暮らすことで、生きるって楽しいということを知ってほしい」。三宅は入所者にしばしばそう語りかける。そのための演出を常に心掛けてきた。入所者が納める月1万円の食材費をやりくりして毎月、皆で外食に出掛ける。誕生日にはささやかなお祝いをする。今年5月には入所者たちと韓国・プサンへ1泊旅行にも行った。



 しかし、グループホームの運営は厳しい。補助金は月約27万円に固定されていたが、障害者自立支援法施行後は「応益負担」により、入所者の帰省・入院期間中は施設収入が減る仕組みになった。減収となる施設が続出している。



 開所以来、あおぞらは常勤の三宅がすべて1人で切り盛りしていた。だが、施設の毎月の収入は20万円をやっと超える程度。三宅の保険料などを支払うと赤字だった。法人は6月、三宅を別の施設の常勤とし、あおぞらは三宅を含む6人の非常勤で運営する体制に切り替えた。



 先日、三宅は県庁を訪ねた。世話人の体制を聞き、担当者が言った。「常勤がいた方が良いんですけどね」。三宅は経緯を丁寧に説明した。担当者は苦笑いするばかりだったという。 (敬称略)



×      ×



・障害者自立支援法メモ▼グループホーム

 障害者が地域で自立した生活を送るのに必要な支援を行う事業としてグループホーム(共同生活援助)とケアホーム(共同生活介護)がある。相談や日常生活上の援助を行うほか、より重度の障害者を想定したケアホームは食事や入浴などの介護も行う。障害者自立支援法が掲げる「施設から地域へ」の理念を実現する受け皿として期待されるが、その数はまだ不足している。原因として施設側の報酬が低く、運営が困難であることが指摘されている上、既存の民家やアパートを事業者が借り上げて利用する例が多いため、特に都市部では事業者側の初期投資の負担が大きいという。また、利用者は施設利用料の1割負担(所得による減免措置あり)のほかに家賃や食費などの実費負担があり、障害基礎年金だけの収入では利用が難しい実態もある。


富山 視覚・聴覚障害者が裁判員に選ばれたら… /富山

2008年12月02日 00時22分42秒 | 障害者の自立
 ◇模擬裁判を傍聴して
 ◇情報、十分伝わるか懸念 手話通訳者の要員確保も課題--「障害」多様さ理解を

 裁判員制度スタートまであと半年。11月18~20日、富山地裁で開かれた模擬裁判では視覚、聴覚障害者が公判を傍聴したり、一部の手続きを体験したりする取り組みがあった。審理で図面を見ることや録音などを聴くことが不可欠な裁判でなければ、視聴覚障害者も原則、裁判員に選ばれる。コミュニケーション手段に障害を持つ人たちが不自由なく参加するため、どんな配慮が必要なのか。模擬裁判参加者の声から考えた。

 ◇初めての裁判

 模擬裁判で審理された事件は、飲酒運転での事故で1人が死亡し、男性被告が危険運転致死罪に問われたとの想定。裁判員はすべて健常者だった。

 うまく参加できるか--。富山県視覚障害者協会理事の塘添(とうぞえ)誠次さん(59)と同県聴覚障害者センター施設長の小中栄一さん(54)は、裁判を初めて傍聴、見学した。

 ◇視覚障害

 「何かご用は」。休廷中、傍聴席の塘添さんに地裁職員が声を掛けた。職員の右腕をつかみ法廷を出た。傾斜や段差のある通路では声を掛け、歩く速度を緩めた。職員が移動介助をしてくれるか不安だったが、「対応は丁寧。会のメンバーにも安心と報告できる」。

 傍聴は携帯型点字板でメモを取りながら。検察官は「モニターを見てください」と裁判員に促し、冒頭陳述や論告を進めた。評議でも、「資料のここに書いてあります」などと説明。「耳で聞いてもすべては記憶できない。資料を読みながら評議する他の裁判員と理解に差が出ないか」。塘添さんは危ぶむ。

 視覚障害者側の不安に対し、地裁は「必要な時は裁判官が口頭で補足する」と強調する。石川、福井の各地裁と具体的な交渉をまだ行っていない両県の視覚障害者団体は、これから各県内の当事者たちに不安や要望について意見を聴く方針だ。

 ◇聴覚障害
 被告人質問。小中さんは裁判員席の脇に座り、被告のそばの手話通訳者をじっと見つめた。通訳者は、検察官や弁護人の質問と被告の発言を、自らの体の向きを右、左と変えて発言者を示しながら伝えた。「見やすい通訳者の位置を確保してもらえた。大まかな流れはつかめた」と小中さん。だが「審理は質問や回答のペースが速く、追いかけるのが精いっぱい」。

 評議はさらに厳しかった。量刑について矢継ぎ早に意見が飛び交う。「誰がいつ話し出すか分からず、ついていけない」。模擬裁判後、「議論が活発なほど、聴覚障害者は理解も発言も難しくなる。裁判所、裁判官だけでなく、裁判員の配慮も不可欠です」と参加者に訴えた。

 通訳者も不安がる。もう1人の手話通訳者と15分ごとに交代して被告人質問に当たった高道恵美子さんは「腕と頭の疲労を考えれば半日が限度」。裁判員制度では3日間の日程が一般的とみられる。すると、1裁判に延べ12人が必要となる。

 手話通訳を担うのは全国統一の「手話通訳士」の有資格者。北陸では、富山9人、福井6人、石川十数人に過ぎない。石川県手話通訳士会の佐藤香苗会長は「近隣県で協力しながら態勢を整えたい」と語る。

 ◇模擬裁判を終え
 「健常者と同じ情報や判断材料を得られるのか」。塘添さんの言葉は視聴覚障害者に共通の思いだ。法廷手話通訳など法曹三者では解決できない問題もある。行政や民間と共に、必要な手だてを検討できないだろうか。

 2人は「障害について理解を広げることも必要」とも指摘。「視覚障害者」「聴覚障害者」と一口に言うが、弱視・難聴者から生まれつき障害を持つ人、中途失明・失聴まで多様だ。点字を読めない人や手話が分からない人もいる。小中さんは「必要な支援も違う。裁判所や裁判員に理解されるよう働きかけたい」と力を込めた。


緑のそよ風プロジェクト:障害者施設と商品開発 企業協力、全国販売へ /香川

2008年12月02日 00時17分43秒 | 障害者の自立
 ◇地鶏セットやテディベアなど4種類発売
 障害者施設と企業が協力して商品を開発し、全国へ販売していく「緑のそよ風プロジェクト」が県内で始まった。このほど4商品の販売が始まり、高松市のサンポート高松で30日、施設や企業の代表者を招いてセミナーが開かれた。

 企業の共同事業を支援する高松市の「さぬきビジネスファーム」(古市努代表)が企画。県内の5企業1団体と6障害者施設が、技術指導者やデザイナーを招くなどして新商品を開発した。

 商品化されたのは、さぬき種鶏と自家製のタレのセット▽庵治石で作ったインテリア▽さをり織りのテディベア▽手作りパスタとデザート--の4種類。いずれも障害者施設の通所者らが作った。

 セミナーでは、開発過程で工夫したことや今後の展開について、各代表者がパネルディスカッション形式で発表した。

 個別の事業は全国でもあるが、これほど大規模なものは香川が初めてという。古市代表は「良いものを作りつなげていくことが大事。今後は、量販店にも置いてもらう予定です」と話した。

 商品は、同プロジェクトのホームページ(http://www.midorinosoyokaze.com/)で購入できる。


障害者らに駐車場利用証発行

2008年12月02日 00時16分15秒 | 障害者の自立
 身体障害者用駐車場を正しく使ってもらうため、島根県は3日から、歩行が困難な障害者や高齢者に独自の利用証を発行する「思いやり駐車場制度」を始める。中国地方5県で初めて。

 身障者用駐車場を利用できる人を明確にすることで適正な利用を図るのが狙い。利用証は障害、病気、けが、高齢などで歩行が困難な人や、妊娠7カ月から産後1年までの妊産婦に配る。駐車時に車外から分かりやすく掲示してもらい、利用証のない場合には必要に応じて注意する。

 対象となる身障者用駐車場付近には利用証所有者向けであることを示す説明板を設置する。

交流:座ってトス、レシーブ! エイティエイツ、障害者や児童と--高松 /香川

2008年12月02日 00時14分28秒 | 障害者の自立
 女子バレーボールのクラブチーム「四国Eighty8Queen」(エイティエイツ)の選手と地域住民、障害者らが触れ合う「スポーツフェスタinかがわ」が30日、高松市香南町横井の市香南体育館であった。

 エイティエイツがバレーを通じた社会貢献をと、初めて開催。地域の小学生やボランティア、養護学校の生徒ら延べ約1000人が参加した。

 座ってプレーするシッティングバレーや風船バレーなどをした。県内の車椅子バスケットボールチームのデモゲームもあり、参加者は選手らと互いに声を掛け合い楽しんだ。

 シッティングバレーをした同市鬼無町佐料の升田恋花さん(11)は「みんなと協力してプレーできた」と笑顔。エイティエイツの平山麻里選手は「みんなが楽しんでいる姿を見ると、こっちも元気になります」と話した。