monologue
夜明けに向けて
 



ククリ神はなぜ菊理媛というハンドルネームを選んだのだろうか。白山(はくさん)の白山姫(しらやまひめ)」は白が九十九を指すから意味がわかるがキクリと発するのではちょっと苦しい気がする。やはり文字に秘密があるらしい。媛はもちろん性別を示すのではなく「秘め」ということで、これは「菊理」を秘めているという名である。よくみれば「菊」には米が隠されている。「米」とは「八十八」の合わせ字で十字の中心から八方に爆発的に拡がる宇宙生成図。
 イザナミの神産みの最後に軻遇突智(かぐつち)を産んでイザナミが死んで怒ったイザナギは十拳剣「アメノオハバリ(天尾羽張)」で軻遇突智(かぐつち)を三段(みまた)に斬る。これはイザナミの提供した原料を前にしてイザナギがバイオ・テクノロジーに腕を揮ったという話しであった。CAGU(かぐ)の血、すなわち四つの塩基、C(cytosine)シトシン、A(adenine)アデニン、G(guanine)グアニン 、U(uracil)ウラシル、、を三つずつの単位(トリプレット)にきったということである。
こうしてできた遺伝暗号の一つの配列(コドン)を神とみなして斬った刀の血から八神が化成(な)る、と表現し、そして、斬られた軻遇突智の体からもう八神がなった、と八で括って表現する。八かける八で塩基配列の総数、六十四種類のことを示唆している。ありとあらゆる生物はこの暗号の組み合わせによってできあがる。十拳剣の別名「アメノオハバ(八八)り」にも八八を隠してある。
 そしてイザナギが追いかけてきた黄泉國で見たイザナミの姿は「於頭者大雷居、於胸者火雷居、於腹者黒雷居、於陰者拆雷居、於左手者若雷居、於右手者土雷居、於左足者鳴雷居、於右足者伏雷居、并八雷神成居。」となっていてやはりあわせて八の数の雷神(電子)とともにあった。
元素を原子価順にならべると八つごとに似た性質が現れることから周期表が作成されたように八が元素のひとまとまりとなる。イザナミはそこでも元素のひとまとまりから世界を構築しようとしていたのである。

 現世に戻ったイザナギの鼻から生まれたスサノオは日本最古の和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」と詠った。これもまた八を積み重ねる国造りの歌であった。元素も生物も国も八の積み重ねでできあがったのだ。

 菊理の「理」はコトワリで九十終わり。菊の「八十八」でどんどん拡がり生成された宇宙が九十で終わり括られる。それが菊理媛という名前のもつ文字霊の意味であった。
fumio



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