monologue
夜明けに向けて
 




妻は昨日、確定申告に行った。いつもの稲荷の前に駐車して車中で待っている間、わたしはこっちを向いている狐に{今年もやって来ました」と挨拶した。そして妻は夜、寝入りばなに金縛りにあった。柔らかい髪の毛に触れるあまりに生々しい感覚にもがき階下に逃げ降りようとしているうちに眠りに落ちたという。
それは平成十四年の夏、九州の宇佐八幡から京都の上賀茂下鴨神社、松尾大社、月讀社などを歴訪の後、初めて金縛りにあって以来のことである。あの時は男性がのしかかってきてごわごわした髪の毛が触れたと言ってふるえながら階下のわたしのもとへ逃げ降りてきたのだった。今回は柔らかい髪の毛で女性らしい。どちらも髪で存在を報せるのは面白い。
fumio



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