monologue
夜明けに向けて
 



「こんなだれも知らなかった名前を調べ上げるなんて大変なことなんですね。ご隠居さん、どういう具合に見つけたらいいのでしょうか、前例がないので方法を踏襲できないから困ります。」
「前例か、それならモノローグにオオクニヌシ の名前を調査した例があった。だれもオオクニヌシの本名なんか知らないけれど己等『コト』と特定しているよ。その方法は子供たちの名前から迫っていくやり方だった。オオクニヌシの継承者の事代主という名前を偉大な親の名(事)を継いだものとみたのだね。」
「そういえば西洋でもヘンリー何世とかマーチン・ルーサー・キング・ジュニアとか親の名前を継ぐことは多いようですね。ヒミコも女王だったのだから子供に名前が継がれたかも知れませんね」
「ヒミコには天忍穂耳、天穂日、天津日子根、活津日子根、熊野楠日という五人の男の子がいた。継承者である末子相続人の熊野楠日と玉依姫のもうけた末子が磐余彦(イワレヒコ)で相続人だったのでかれはのちに神武天皇となったのさ」
「天穂日、天津日子根、活津日子根、熊野楠日の中にヒミコの名前を継いでいる人がいるかも知れないですね。」
「末子相続人の熊野楠日という名前はヒミコからではなくスサノオの熊野からとったらしい。残念ながらここにもまだヒミコの本名は見当たらない。」
「ヒミコの本名の謎は深まるばかり、いっこうに解けそうもありませんね。なんだかしなくてもいい苦労をしてるみたい…」
「おやそうかい、六さん、もう音を上げてるのか。何千年も隠されてきた本名がそんなに早くわかるはずがないじゃないか。おまえさんはヒミコの本名がわからないと脚本が書けないなんていう。ということは芝居は完成しないのだね、それは好都合。見に行く被害者も出ないということだ。もうあきらめようか。あきらめよう。やっぱりわからなかったということで…。劇団のみんなに解散宣言したらいい。心からおめでとうを言いたい。じゃあね」
fumio

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