先月封切された映画「峠、最後のサムライ」を観てきました。時代劇はあまり好みでないが、映画の原作である司馬遼太郎の小説「峠」を若い頃に読んでいてそれが面白かったので、機会があれば観たいなと思っていたのです。
これは江戸時代末期に越後の小藩「長岡藩」の家老であった河合継之助(役所広司)の、武士として信念を貫いた生き様を描いた映画です。官軍と幕府軍がせめぎあう幕末動乱の世に継之助はどちらへも加担せず、独立・中立の立場で長岡藩の生き残りを図ろうとしていた。
だが時の流れに乗る官軍は彼の願いを聞き入れず、大軍を率いて長岡藩の領地を侵略する。長岡藩は奇策を用いて善戦するも多勢に無勢、戦局を官軍に牛耳られ万策尽きる。戦傷を負った継之助は率いる藩士と共に長岡藩を去り、峠を越えて会津の領地へ逃れて行く。しかし継之助の傷は癒えず、峠を越えて程なく会津の地で終焉の時を迎えるのであった。・・そんな悲運の結末で映画は終わる。
この映画を観ていたら、今まさに戦いの渦中にあるウクライナ紛争を見ているような既視感があった。勿論侵略するロシアが官軍側で、小国のウクライナが長岡藩、現在進行形のウクライナ紛争では、どうか真逆のシナリオになって欲しい。・・そんな思いが頭に浮かびました。
役所広司さんの河合継之助はピタリとハマり役で、鬼気迫る演技に惹きつけらるものがあった。久々に骨太で正統派の日本映画を観たなと思いました。