長く信用金庫という仕事をさせて頂いていると、
「門前の小僧習わぬ経を読む」ではないが、
ボンクラな私でも、
多少はこの業界のことが理解できるようになってきたように思う。
そんな、ひとつまみのことを書いておきたい。
地域金融機関・・・語りつくされた存在ではあるが、
その絶対的な真理は、「地域の発展振興なくして私たち信用金庫の存在はありえない」ということ。
「そんなこと判っているわい・・・。」と思っている人は多いだろうが、
でもそのことを自覚して、肝に銘じて、日頃から本気で実践しているかというと、さて、私を含めてさあ、どうであろうか・・・・。
地域金融機関という響きの良さに甘えてはいないか・・・・・。
反面、どんなにその土地が痩せていようと、そこに根をおろし、そこで踏ん張って生きていくしかないのが・・・・、
地域金融機関としての信用金庫の条件づけられた存在であり、経営環境なんである。
だから私はいつも思う。
信用金庫は植物なのだ。
銀行さんのように、餌場を求めて豊饒な土地に移動することは出来ないし、無駄なことはやらないという訳にはいかないからだ。
かって福岡に本拠地のある銀行は、地元からスイスイと撤退したことがあった。しかもエリア内にある2店舗をである。
いい餌場ではなくなったと判断したのだろうか?
東京オリンピックで好景気に湧くであろう、大都会お江戸に支店を出すなんて芸当は私たちには到底できないんである。
平たく言えば、営業区域が限定されている金融機関だから地域金融機関と位置付けられているのでもある。
金融機関はお客様の幸せを願っている、と口を揃えて言うものの、
古くから云われている言葉が、いつも目の前に立ち塞がるのである。
「晴れた日には傘を貸そうとするが、雨の日には貸さないではないか・・・・。」
商売はヒューマニズムではないのだが、シフトエリアというものはある。
もっといえば、そこには程度の問題も存在するのであるが、少なくとも我々信用金庫は、曇りか小雨の日には傘を貸しているのだと思う。
さすがに三年続きの土砂降り状態の中で、「ハイ、どうぞ」という訳にはいかない現実もあるのも事実。
傘を貸すにも貸す責任がつきまとうのである。
業界の先達はかって、「貸すも親切貸さぬも親切」という名言を遺した。
人を見る直感的洞察力、
決算書にはなかなか現れない、経営者の資質を見抜く眼が自ずと要求される。
B/sにも表現され難い経営者の意欲勘定というのもある。
私達の仕事には、実に深い人間力が要求される尊い仕事であると思っている。
大手のメガバンクや地元の地銀がパワーゲームに持ち込んできている中、
それでも、とても楽しいこともある。
今日は、先日の東京ビジネスサミット大賞と特別賞受賞の佐世保市長さんへの報告会が17時から市庁舎で・・・・・
門田建設株式会社さんは、大賞を射止めた太陽光発電シートを携えて
有言会社さいかい堂さんは、世知原佐世保茶露プリンをたくさん抱えて
佐世保市長さんに嬉しい報告を・・・・
佐世保市から全国区の商品が誕生したことを喜び合った。
冒頭の挨拶で私も少しだけ信用金庫の仕事をお話したのだが、この受賞者の皆さんの前では黒子に過ぎないんである。
お客様の小さな喜びを私達の大きな喜びにしよう
これが私たちひぜしんの合言葉
たしかに120名規模で東京まで出かけていくには、それなりのコストも手間も暇もかかるのだが、
今回の大金星でこれまでの9年間の疲れが一度に吹き飛んだ。
地域金融機関とは百の理論より、一つの実践なのだと思っている。