朝な夕なに仰ぎ見る御船山207mは市内の何所からでも見渡すことが出来る文字通りシンボルの山である。
そのせいか武雄の人々は武雄に帰ってくるなり、御船山が見えたら「ホッとするバイ」と仰る人が殆どなんである。
御船とは神功皇后が巡幸の折、この山に船を繋がれたとか、この山自体が船の形をしているからとか諸説がある。
後者の方が現実味があるのだが、神国日本としては前者の説もロマンがあっていいではないか・・・。
それにしてもこの山は多面的な顔をお持ちである。
たおやかで女性的な側面もあれば、男性的な荒々しい断崖絶壁もある。
ここの麓には武雄の氏神様である武雄宮もある。武雄高校や慧洲園、御船山楽園、友人のラーメン店来久軒などがある。
要するに武雄の町全体が山懐のようなものなのだ。
そして武雄温泉駅からびっくりするほど近いのである。
この山は大化の改新も、元寇も、秀吉の朝鮮侵略も、坂本龍馬も明治維新も、太平洋戦争も、そしてかっての蓬来町の賑わいも、市民病院問題も、黙って見てきたんだろうなぁ・・・・・。
今夜も御船山の上空に新月が昇った。太古から繰り返されてきた営みが何事もなかったかのように、時の赴くまま巡っている。
私達のちっぽけでささやかな人生など、星のまばたきのヒトコマだといわんばかりに、御船山は今日も実にどっしりと武雄市民のくらしを見守っているのである。
今度一人で登ってみようと思う。