自給自足で生活するキリスト教一派の村で、女たちが眠っている間にたびたびレイプされる。男たちはそれを悪魔の仕業、作り話だと言っていたが、ある女性が性的暴行の現場を目撃する。家畜に使う麻酔薬をスプレーして、女性達を眠らせて犯していたのだ。男たちは町の警察に引っ張られて行き、その二日間の留守の間に女たちは集会を持つ。これからどうするか?
「1.何もしない 2.戦う 3.村を出る」の3つの案の内、女たちが選んだのは…
アカデミー賞で作品賞、脚色賞の2部門にノミネートされ、脚色賞を受賞。
「アウェイ・フロム・ハー」「テイク・ディス・ワルツ」のサラ・ポーリー監督というので、楽しみにしていました。
全編、モノクロのような暗い色調。
女たちはみな暗い花柄のロングドレス、男たちはチェックのシャツにサロペット。
舞台はほぼ納屋の二階、或いは何処までも広がる田園。
学校に行くのは男子だけ、女たちは読み書きすらできない。
これは19世紀?何処の国の話かと思って観ていると、突然モンキーズの「ディ・ドリーム・ビリーバー」を大音響で流し、「2010年の国勢調査にご協力ください」とアナウンスする車がやって来て驚愕する。
この信じられない話は、2010年にボリビアのメノナイトの集落で実際に起きた事件を基にしているというのです。
メノナイトというのは、「キリスト教アナバプテストの教派。ブレザレン、クエーカーと共に歴史的平和教会の一つに数えられ、非暴力、暴力を使わない抵抗と融和および平和主義のために行動している」(Wikiより)
「刑事ジョン・ブック目撃者」は、メノナイトの一派アーミッシュの村を舞台とし、あの人々も電化製品や車を拒否し、ランプや馬車の生活をしていました。
今まで盲目的に男に従ってきた女たちが、初めて自分の考えを出張する。
「赦さないと村にいられなくなるし、天国に行けなくなる」いう意見を聞くと、宗教のマイナス面が強調されて悲しくなる。
文盲であっても、自分の考えをきちんと主張する女たちの姿は堂々としているし、民主主義の原点を見せられた気がする。
「女性を虐げても当然と教育された男性も被害者」という考え方は感動的ですらある。
しかし出て行くと言ったって、読み書きすらできない女たちが、村の外でどうやって生きていくのか?
何処で寝泊まりし、何処で生活の糧を得るのか?
レイプする男がいることは事実だが、まともな男もいる筈、そうした夫や息子たちをも捨ててしまうのか?
などと俗物の私は些末なことが気になってしまいましたが、衝撃的な作品であることは間違いないと思います。
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