Zooey's Diary

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アメリカのルーザー「イエロー・ハンカチーフ」

2011年05月28日 | 映画

あの名作「幸福の黄色いハンカチ」のアメリカ版が作られたということは知っていたのですが
去年、都内の小さな映画館でひっそりと上映されたのを見逃してしまったのでした。
ようやくDVDで観賞。

刑期を終えて出所したブレット(ウィリアム・ハート)は、ひょんなことから若い娘マーティン、
変わり者の青年ゴーディと出会い、ニューオーリンズを目指して旅を始める。

日本版もそうでしたが、ここにはいわゆる一流と呼ばれる類の人間は一人も出てこない。
ブレットはムショ帰り、それ以前も人生の裏街道を歩いてきた男。
マーティンは複雑な家庭環境に育ち、愛情欠乏症とでもいうべきか、情緒不安定気味な娘。
若くて綺麗なのに自分に自信がないものだから、つまらない男に振られたりしている。
ゴーディはアメリカ先住民に育てられた白人青年で、
何処に行ってもいじめられ(あるいは無視され)、自分の居場所を見い出せないでいる。
一種のコミュニケーション障害のような感じで、他人と上手く関わりを持つことができない。
その3人が、オンボロ車に乗って、アメリカ南部の荒涼とした田舎道をひた走るのです。

久しぶりに見たウイリアム・ハート、禿げておなかがたっぷり出ているのに驚きました。
中年というよりも、殆ど老年の入口にさしかかった男。
相手役のマリア・ベロも、この作品の中ではノーメイクで、
荒れた肌、がっしりした身体を持つ生活に疲れた中年の南部女。
二人とも人生の折り返し点にさしかかっており、
前半の人生も人に誇れるようなものではなかった。
では若い二人は前途洋々かといえば決してそうではなく、
するべきことも行くべき処も見つからず、人生を持て余している。

日本版では、健さんの不器用さ、倍賞千恵子の健気さがウリだったと思うのですが
アメリカ版はちょっと違うかな。
それでも、アメリカではこうした人たちがルーザー(負け犬)と見なされるのだと
微妙な違いが面白い。
そんな屈折した人間たちが出会い、初めは警戒しながら
次第に打ち解けて心を許していくという点、そしてその後のストーリーも殆ど同じです。
アメリカ南部のけだるいような雰囲気によく合った、みずみずしい人情劇に仕上がっています。
佳作なのに、殆ど話題にも上らなかったことが残念です…

「イエロー・ハンカチーフ」 http://www.yellow-handkerchief.jp/
コメント (4)
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