LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

第136回神戸ミーティングの報告(10月29日)

2023年11月04日 | Weblog

今回は、久々にゲストをお迎えしての講演会と言う形式で実施しました。
参加人数は23名。最近の神戸ミーティングとしては大規模なものとなりました。
神戸市内の特別支援学校で教員をされているトランス男性(FTM)のM先生をお招きして、ご自身の経歴の事、教員としてのお仕事や職場での人間関係、家族の事、LGBTQの最近の事情の事など多岐に渡るお話を伺いました。
先生は、生まれた時の性別は女の子として割当てられましたが、自らの性別に違和感や疑問を抱えていたものの、まだ日本ではLGBTQと言う言葉もない時代を過ごされ、学校の教員としてのキャリアを重ねて行きました。
配属となった、神戸市内の聴覚障がい者の特別支援学校の先生として、聴覚に障がいがある生徒さん達と共に様々な学校行事も共にされました。

学校行事を終えた時の生徒のみなさんの笑顔を見て、先生が生徒さんたちに「自分らしくて良いんだよ。」と言葉を掛けた時、教員の立場でありながら「自分に嘘をついている自分」を再認識し嫌悪感を感じたそうです。
これを機に性別を男性へ移行される事、周囲にカミングアウトする事を決意。家族の理解や校長先生はじめ学校の職員の方々への理解を得て、学校の生徒さん達にも公表して行きました。

生徒さんたちも「M先生はM先生に変わりはないです。」との返事をいただいたり、性別を移行した当時は、まったく理解できなかった年配の先生の退職後にいただいたお便りの中で「当時は、M先生の事を理解するできなかったが、そんな自分が今では恥ずかしい。」と書かれていたそうです。

講演会の後に、2つのグループに分けて、参加されたみなさんの感想やM先生への質疑応答等、時間ギリギリまで活発に行われました。講演会後にいただいた参加者のみなさまからのご感想6件を紹介します。

***参加者のみなさまからいただいたご感想(6件)***
①親の立場として、やはり子どもが、どれだけ悩んでいても、100%わかってあげられる訳では無いので、それは、M先生の親御さんも同じ思いだったと思います。講演の中で、親への感謝を述べられた、先生の言葉は、親御さんにとっていかばかりだっただろうと思うと、聞いてるこちらまで、胸がじ〜んと感じました。(Yさん)

②M先生のお話、本当に力をいただきました。
先生が集めた20年以上前から集めてきた新聞記事の何十冊ものスクラップノートを持ってこられて講演され、多くのトランスジェンダーがいることをあらためて教えていただいて、我が子たちになんの非もないこと、自分の人生を自分として生きていいんだ、当たり前の権利なんだと普通に思えるようになりました。(Fさん)

④M先生は、これまでの辛かった過去の事はあえてそんなに語られず、カミングアウトをした時の周りの良い反応、良い関係がその後も続いている事、また、カテゴリーの概念にとらわれるんじやなく、「その人はその人自身」「自分は自分自身」だ、など聴いた人が当事者であってもそうでなくても前向きに捉えられるお話で、親の立場として聴いてもとても気持ちが明るくなりました。
我が子が普段話している事と同じ事を話されているのも印象的でした。(Aさん)

⑤「特権を得たいのではなく、ただマイナスをゼロにもどすだけ」、「理解や誰かの許可でなく、ただ当たり前にそのままでいい。」M先生がおっしゃられて、自分も改めてそう感じました。(Gさん)

⑥時間の都合で少し遅れて入室しましたが、M先生の話を聞いて、これまでの人生経験を語っていただけた事に感謝しかありません。そして、私自身もLGBTQに対する無知な人生を送ってきた事に反省するばかりでした。
また、一番ビックリしたことは、参加者の人数です。こんなにも身近に感心をもって下さってる方がいる事それだけで涙が出そうになりました。
M先生のこれまでの人生をお聴きして感じたのは見守っていく事、親子関係から子供に直接できる事は、これからも限られると思いますし、だからこそ必要な時に頼ってもらえる親でありたいと思いました。
また大事なのは差別を受けない共生社会がいつか来る日のために啓発を行っていく事が親としてできる事なのではと改めて感じました。(Nさん)

最近は少しずつLGBTQに関する認知や理解が進みつつあるものの、当事者を取り巻く環境はまだまだ厳しいものがあります。
しかし、M先生のお話を伺っていると、周囲への理解を得るには時間は掛かるものの「見ている人は必ず見ている。」と言う事を再認識し、当事者も家族も決して一人ではなく、身近な所で頑張っている人がいると言う事を改めて確認した講演会でした。


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